今日から始める護身術9【ナイフはなぜ危ないのか】
- 2019.07.28
- 護身術
いつも心に一体のミイラを。どうもサイコ田中です。
突然ですが皆さんは、もしもナイフを突きつけられたらどうしますか?
怖いし、何も出来なくなってしまいそうですよね。
もしも訓練を受けていたとしても、実際に刃物を目にしたときの恐怖と不安は、あまり変わらないと思います。
なぜ、ナイフなどの刃物は怖いのでしょうか?
今日は私の実体験なども交えつつ、刃物の恐ろしさと、ケース別の対処法を紹介したいと思います。
刃物による無差別殺傷など、凶悪な事件も他人事とは言えない世の中です。
いざというとき生存率を最大限高めるために、あなたにも出来ることがあることを知ってください。
あまりに厳しいナイフ・ディフェンスの現実
先に結論から申し上げます。
ナイフなどの刃物による攻撃の約9割は、防ぐことが出来ません。
映画やドラマで華麗にナイフを取り上げるアクションシーンがあるかと思いますが、
あれはあまりに非現実的であり、幻想というほかありません。
なぜ、刃物による攻撃を防ぐのは困難なのでしょうか?具体的な例を挙げて説明します。
攻撃を止められない
例えばイスラエル生まれの軍隊格闘技クラヴ・マガでは、初級クラスのナイフ・ディフェンスにおいて、
両手で相手のナイフ攻撃をブロックするというテクニックを習います。
ですが冷静に考えてみてください。あなたがナイフによる攻撃を防ぐのに両手を使っているのに対し、
相手はナイフを持っていないほうの手も、足も、自由に使えるのです。
当然ですが、相手はナイフを止められたと思ったら次の瞬間には、
空いているほうの手でつかみかかるか、殴りつけてきます。こちらは手が塞がっているので、まともにもらうしかありません。
うっかり手を放してしまえば、あとはナイフによる攻撃が待っているだけです。
このように、攻撃者がナイフ以外の攻撃手段をいくつも持っているのに対し、
素手で身を守るほうにはほとんど選択肢がありません。
防戦一方になり、最後には刺されるか切られて終わってしまいます。
多角的な攻撃に対応できない
ナイフによる攻撃は、極めて多彩で変則的です。
握りや構え方一つで攻撃パターンも変化し、攻撃される部位や角度も大幅に変わります。
一回の攻撃をどうにかやり過ごしても、
次から次へと襲ってくる様々な方向からの攻撃に、全て対応するのは不可能です。
上から振り下ろされたナイフを両手でうまく受け止められても、
その瞬間に相手の手からナイフを奪わなければ、がら空きの胸や腹部を刺されて致命傷になります。
相手の殺意が強ければ、あなたが倒れて動けなくなっても、攻撃の手を緩めないでしょう。
ナイフ・ディフェンスにおける難題とは、
予測不能に近い攻撃を紙一重でかわし、瞬時に武装解除しなければならないという点なのです。
これは、訓練を受けていない素人や、試合で使う技しか覚えていない格闘家には真似できません。
防御する手段が無い
例えばパンチやキックなどであれば、格闘技の知識があればブロックの仕方がわかりますし、それに従っていればまず問題は無いでしょう。
ですがナイフによる攻撃は、身体の一部を使って防ぐことなど出来ません。
片腕一本を犠牲にする覚悟で挑むというなら話は別ですが、並大抵の人はそんな覚悟を決めて攻撃者に対峙することはできません。
またナイフの大きさや形状を正しく認識していないと、防いだと思っても刃が身体に届いていて、普通に刺されるということも起こりえます。
特に刃渡りが10センチ近くなると、体感的にリーチは20センチ前後長くなるため、距離感をつかむのが難しくなります。
今年(2019年)6月に起きた交番襲撃事件では刺された警察官は防刃ジャケットを身に付けていたそうですが、
それでも致命的なダメージを回避できず、重症を負っています。
もしもナイフで不意打ちに近い形で急所を狙って攻撃された場合、まず命の保障はありません。
武装しているかどうかさえわからない
ナイフには様々な大きさや種類がありますが、
一番小さいものになると手のひらに収まるくらいのものまで普通に売られています。
まして夜間に、つや消しの黒っぽい刀身のナイフで攻撃されたら、ほとんど目に見えません。
私自身、相手が素手だと思っていたら、いつの間にか手の甲を思いっきり切られていて、
血を見てやっと気づいたという恐怖体験も一度や二度ではありません。
相手の服装や挙動などから凶器の携行を見破るというのもまた慣れと経験が求められ、一般人には至難の業です。
刃物を手にした相手と遭遇したら
では現実に刃物を持った相手と向き合うことになったら、一体どうするべきなのでしょうか。
とにかく逃げる
あなたが真っ先に考えるべきことは、護身が必要な場面全てに共通して言えることですが、
まず全力で逃げることです。
相手が凶器を持ってこちらに攻撃する意思があるとわかった時点で、なるべく早くその場を離れることが先決です。
そして逃げるかどうかを決断し、実際に行動へ移すまでの時間も可能な限り短縮することが求められます。
この逃げるという初動が、生存率を上げるうえで最も重要です。
物を投げる
とにかく刃物を手にした攻撃者とは一定の距離を保ちたいので、
手近なものは何でも投げて相手の動きを止めましょう。
椅子や自転車など、重いものを投げつけるのがもっとも効果的ですが、
軽いものでもとにかく投げつけていれば簡単には接近されません。
近くに消火器があるなら煙を食らわせるのは有効ですし、周囲が真っ白になるので視界を奪う効果もあります。
ナイフなどで武装した相手と向き合ううえでも最も致命的なのは、距離を縮められることです。
身体の一部をつかまれるなどした場合、命は無いと思いましょう。
長いものを振り回す
物を投げるのと同様に、持ち物を振り回すというのは有効です。
とにかく簡単に触らせなければいいので、ある程度長さのあるものを不規則なリズムで振り回し、
相手に的を絞らせないようにしましょう。
傘や杖などが強度の関係上好ましいのですが、
持っていない場合はベルトや上着、充電器のコードなどでも問題ないでしょう。
とにかくナイフによる攻撃をまともに食らわないよう距離を取ることが目的なので、相手にダメージを与える必要はありません。
更に言えば相手にダメージ与えられるような道具は、奪われたときのリスクが高くなるため使うべきではないでしょう。
最後は「やる」しかない
相手から逃げることができず、周囲に投げたり振り回せるようなものが無い場合、
これは最悪の事態ですが、生き残るためには「やる」しかありません。
よほど高度な訓練を長期にわたって続けてきたわけでもない限り、
素手でナイフをどうにかするのはほぼ不可能です。ただ、簡単にやられないために出来ることはあります。
まずは金的蹴りを狙います。素早くコンパクトに相手の股間を蹴ることが出来れば、その一発で動きを止め、逃げ出すチャンスに繋がるかもしれません。
さらに下半身へのキックはカウンターをもらうリスクが小さく、蹴るほうもバランスを崩さず最小限の動きで攻撃できるため安全です。
蹴り足を素早く戻せるというのも強みです。
金的蹴りがうまくいかなかった場合は、どこかを切られるか刺される覚悟で、パンチを当てにいきます。
顔に一発でも入れることが出来れば確実に相手の動きは止まるので、その隙を見逃さずに逃げましょう。
リーチを最大限生かせない分キックよりリスクは高く、カウンターをもらうダメージもありますが多少は仕方ありません。
パンチした手をつかまれないよう素早く引くことを意識し、真っ直ぐ顔面だけを狙いましょう。
相手が顔を打たれることを気にしてガードするような動きを見せたら、すかさず金的蹴りを狙います。
残念ながら、素手でナイフを持った相手と向き合うような状況に陥った場合、一般の方の9割はまず助からないと思われます。
ナイフによる攻撃はほとんど防ぎようが無く、身体の一部をつかまれるなどした場合はどうしようもないのが現実です。
突きつけられた時点でほぼ終わりと言っていいでしょう。
合気道や一般的な護身術などで紹介されている、手首をひねるなどの武装解除の方法は、
相手との体格差などを一切考慮していないため無意味です。(相手のほうが力が強い場合は全く抵抗できずにやられてしまうため)
またそのような方法で実際に相手からナイフを奪おうとしても、練習したとおりの攻撃パターンにしか対応できない上に、
「ああやって、こうやって」と頭で考える時間が生まれるので動きは遅くなります。
一番手っ取り早いのは、真っ直ぐ相手の目を見たまま、いきなり金的を蹴ることです。これは相手が刃物などの凶器を持っていない場合も同様です。
相手に明確な殺意や敵意があることを感じたら、迷わず攻撃するしかありません。
先手必勝の急所攻撃は、身を守るための切り札です。覚えておきましょう。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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