今日から始める護身術26【掌底打ちの使い方】
- 2020.02.13
- 護身術

いつも心に1通のブラックメールを。どうもサイコ田中です。
今回はシリーズ「今日から始める護身術」の第26回として、
護身術におけるメジャーなテクニックの一つである掌底打ちの安全な使い方についてお話しします。
ビンタや張り手と混同されがちだが……
掌底打ちがどういうものかあまりイメージが沸かないという方のために簡単に説明すると、
「いわゆるビンタや相撲における張り手のようなものです」ということになるのですが、
実際は全く似て非なるものです。
相撲の張り手は確かに掌底打ちには違いありませんが、護身を目的とした運用方法ではありませんし、
ビンタは手のひらで叩くだけなので相手を倒す力はありません。
掌底とは文字通り手のひらの底の部分――親指の付け根当たりの肉が厚く盛り上がった部分での打撃を指します。
手のひら全体で相手を押したり叩いたりするテクニックではありませんので、
ビンタや張り手などと混同しないよう十分注意が必要です。
(とはいえ力の強い人が繰り出せばビンタも張り手も一撃必殺の破壊力になる可能性はありますので侮れません)
正しい掌底打ちの使い方と注意点
ここからは実際に正しい掌底打ちの使い方とそのデメリットについてお話しします。
格闘技の経験や護身術の知識が全くない方にもわかりやすく説明していますので、
身を守ることや防犯に興味のある方はぜひ参考になさってください。
基本フォームと安全な打ち方
まず正しい掌底打ちを繰り出すための基本姿勢として、
立ち方から見ていきましょう。
利き腕側の足を半歩から一歩後ろに引いて半身を切り、ゆるく開いた両手を顔の前に構えます。
(いわゆるファイティングポーズは相手を刺激するため好ましくありません)
ここから相撲の張り手をイメージして手のひらを前に突き出すのが基本的な打ち方ですが、
・指は軽く折り曲げて
・手首に近いところを突き出すイメージで
・下から上に突き上げるようにして
打つように心がけていきましょう。
指をまっすぐ伸ばして指先にまで力を入れてしまうと、
うまく掌底部分を突き出すことができません。(実際にやってみるとわかることですが)
人差し指から小指は軽く曲げて爪が前を向くようにし、親指を手の甲の方向に強く引きつけるようにすると安定します。
慣れていないとどうしても手のひらの中心から指のあたりをぶつけしまいがちですが、
これでは相手に効かないうえに怪我をするリスクも高まるため、しっかり手首に近いところを突き出すようにイメージしましょう。
打つ際には相手の顎や鼻を下から突き上げるイメージで、真っ直ぐではなくやや角度をつけて打ち上げると効果的です。
掌底を打つ際の注意点とデメリット
掌底打ちは直感的に繰り出せるうえに人体の構造上理にかなった攻撃手段ですが、
いくつかの注意点を抑えていないと逆効果になる可能性があります。
まず掌底はパンチと違って手を開いた状態での打撃になるため、
自分自身の指を傷めたり、相手の目に指を入れてしまう恐れがあるため注意が必要です。
また掌底はパンチのように点ではなく面を打ち抜く技術であるため、
当たり所が悪いと相手に想像以上のダメージを負わせてしまうリスクがあります。
実は昨今の研究により、総合格闘技で使われる小さなグローブ(オープンフィンガーグローブ)よりも、
ボクシングで使われる比較的表面積の大きいグローブのほうが殺傷力が高くなる可能性があることがわかっています。
(これについてはきちんと物理法則を使って説明ができるのですが、複雑な話になるためここでは割愛させていただきます)
拳の骨を直接ぶつけるパンチよりも、掌底打ちのほうが衝撃の加わる面積が広くなるため、
実際に脳へ与える影響は掌底打ちのほうが高くなると考えられます。
安易に掌底を繰り出してしまった場合、運よく相手の動きを止めることができても、
脳をはじめ四肢に障害が残ったり、最悪の場合命を落とす可能性があるということです。
(命に関わる怪我になる可能性は掌底のみならず全ての打撃テクニックに共通することですが)
自己防衛の目的で掌底打ちを用いる際はこれらのリスクを十分考慮したうえで、
過剰防衛に問われたり相手を必要以上に傷つけることの無いよう注意が必要です。
”不意打ち”の練習を忘れずに
こういうことを書くと「頭おかしいんじゃないの?」と突っ込まれてしまいそうなのですが、
護身用のテクニックを正しく効果的に用いるためのポイントは、
・相手に心の準備をさせないこと
・見えにくい角度から急所を打つこと
です。
鏡の前で掌底打ちなりパンチの練習を繰り返すのはとても大切ですし、
サンドバッグを叩くのも効果的なトレーニングには違いありませんが、
身を守るのが目的ならば、しっかりと”不意打ち”の練習もしておく必要があります。
例えば掌底であれば手のひらを相手に見せて降参するようなポーズから、
いきなり掌底を突き出してダッシュで逃げるという動作を繰り返してもいいでしょう。
腕を組んで相手の話を聞くふりをしながら、いきなり左右のパンチをコンビネーションで繰り出す動きを繰り返すのも効果的です。
互いにファイティングポーズを取った状態でスタートするリアルファイトはほとんど起こりえません。
(今日までの私自身の経験上はまだ一度もありません)
ゴングが鳴るスポーツとしての格闘技などとは違い、
路上では相手と向かい合った瞬間からファイトは既に始まっています。
いつでも自分が危害を加えられる(被害者になる)可能性があるということを忘れず、
少しでも身の危険を感じたときには対処できる心構えが何よりも大切です。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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