【防犯】身体の小さい人が身を守るためのルール【護身】

【防犯】身体の小さい人が身を守るためのルール【護身】

いつも心に1丁の信号拳銃を。どうもサイコ田中です。

護身術における最大のテーマの一つは何といっても、

「如何にして自分よりも身体の大きい相手と向き合うか」というものになるかと思われます。

格闘技や護身術を始めた動機として、自分より大きな相手を倒したかったと語る方は少なくありませんが、

本気で自分よりも大きな相手と対峙する際には、それなりの覚悟が必要です。


自分より大きな相手に勝ち目はない?

先に結論だけを申し上げると、誠に残念な話ですが、

基本的に自分よりも身体の大きな相手を倒すというのは、不可能と考えるべきです。

ほぼ全ての競技格闘技が体重別に細かく階級(クラス)を設定しているように、

素手のファイト(徒手格闘)においてフィジカルの差は致命的なファクタであり、

覆しようのない決定的な差とも言えます。

身長にして5センチ、体重にして10キロ以上の差は文字通り大人と子供ほどのギャップを生み、

リーチ、パワー、単純な打たれ強さなど、身体の小さな方には不利な要素ばかりが揃うことになり、

真っ向勝負を挑んでもまず間違いなく勝機はありません。

(勝機が無いどころか、その場で殺されたとしても全く不思議ではないと考えるべきです)

また一部の伝統武道などでは「小よく大を制す」などという格言もあり、

身体の小さな人間が自分よりも大きな相手を圧倒する技術体系の存在を示唆していますが、

そのほとんどは実戦において全く機能しないと考えるのが無難です。

このような武道精神を現した言葉のほとんどは「健全な精神は健全な肉体に宿る」などと同様に、

「そうあってほしい」という理想を表したものであり、その可能性を明確に示したものとは言えません。

(正しくは「宿る」ではなく「宿れかし」であり、「宿ってほしい」という強い願望を意味しています)

確かに、身体の小さなファイターが巨人のような大男を圧倒する光景には胸が高鳴りますが、

十分に訓練されたプロの格闘家でさえ、体格差の大きい相手とのファイトは文字通り命に関わるため、

そうそう簡単にはオファーを受けません。

まして何のトレーニングもしていない一般人が自分よりも遥かに大きな相手を敵に回してしまった場合などは、

命がいくつあっても足りないと考えるのが妥当でしょう。


身体の小さな人が覚えておくべき3つのルール

ここからは身体の小さな人(平均的な体格よりも小柄な方)が身を守る上で覚えておくべきルールを、

実際に想定されるシチュエーションの例と共に3つお伝えしたいと思います。

細かいテクニックなど全くわからなくても、知っておくだけでいざという時の生存率を高められるヒントになっています。

身を守ることに興味をお持ちの方で、特に小さな体にコンプレックスを感じてらっしゃる方は、

一度参考になさってください。男性はもちろん女性の方も、知っておいて損はないはずです。

 

 

攻撃を無理に防ごうとしない

よくある護身術のメソッドで、「まずはしっかり攻撃を受け止める(ブロックする)」というものが見られますが、

身体の小さな方にとってはあまり現実的とは言えません。

体格差の大きい場面では、

・ガードごと吹き飛ばされる

・ガードの上からダメージを受けてしまう

・ガードしても防ぎきれない

ということが想定され、ただ相手の攻撃を受け止めるだけでは致命傷を回避できない恐れがあり危険です。

また極端なフィジカルの差が生じている場面では、

相手に腕など体の一部や服を掴まれた状況から力任せに投げられたり、

壁に押し付けられ身動きが取れなくなることなどが想定されます。

身体の小さな方はなるべく攻撃者と真っ向から対峙することを避け、

小刻みなフットワークや上体の動きを組み合わせ、簡単に的を絞らせない工夫が肝要です。

通常は安全とされている2mから3mの距離も、体格差のある場面では絶対とは言い切れません。

全力ダッシュで追いつかれない距離を保てる範囲ならその場から逃げることを最優先にし、

プライドも羞恥心も捨てて周囲に助けを求めることが、生存率を上げるカギになります。

 

相手の自滅を待つ(時間を稼ぐ)

上に述べた通り、体格差のある状況ではフットワークを使った逃げ切りが重要となりますが、

その本来の目的は、相手の自滅を待つことにあると考えるべきです。

繰り返しになりますが、大きな体格差を覆すというのは至難の業です。

あなたの攻撃はほぼ通用しないため積極的に反撃を試みるべきではなく、

攻撃が失敗してしまった時のリスクのほうが遥かに大きいことに疑いの余地はありません。

(腕や脚を掴まれる、強烈なカウンターを合わせられる……etc)

体格差の大きいファイトであなたが最優先にすべきなのは、

・相手の正面に立たない

・真っ直ぐ後ろに下がらない

・背を向けて逃げようとしない

という3点であり、これらを同時に実現できるテクニックは、左右の小さなステップに相違ありません。

人の頭というのは想像以上に小さなターゲットです。完全に制止した状態でも無ければクリーンヒットさせるのは困難であり、

ほんの少しでも動くと完全に外れるか、当たったように見えても全く効かないということが起こります。

頭や上半身だけを動かすだけでも十分ですが、捕まることを回避するためにも足を動かすのが一番であり、

左右に不規則な動作を繰り返すのが最も効果的と考えられます。

ただ逃げ回るだけではその場しのぎにしかならないため、なるべくダメージを受けずに時間を稼ぎ、

相手がバランスを崩して転倒したり、勢い余ってあらぬ方向に駆け出すなどしたタイミングを見逃さず、

全力ダッシュでそこから逃げるのが最終目標には違いありません。

(相手に背を向けていいのは、あなたが目の前の攻撃者に「脅威を感じなくなった」ときだけです)

 

脚(蹴り)は相手に届く

体格差のあるファイトではほぼ勝ち目が無いため、徹底的に交戦を回避することが目的になりますが、

逃げ場がないなど、やらなければやられる状況があることも事実です。

身体の小さな人の攻撃手段は著しく限定されてきます。

まず間違いなくパンチは届きません。

試しに自分よりも背が高い人に、限界まで腕を伸ばした状態で体に触れてもらいましょう。

そこからあなたが相手と同じように目いっぱい手を伸ばしても、決して相手に触れることはできません。

これがいわゆるリーチの差であり、基礎筋量などと同様に決して埋まることの無い差です。

また腕力にも決定的な差があるためテイクダウンを奪うのも至難の業であり、組み合った状態の攻防にも突破口はありません。

完全なお手上げ状態にも思えますが、身体の小さなあなたにも、相手に届かせることのできる武器があります。

それはです。

脚は、限界まで伸ばせばよほど致命的なリーチの差が無い限り必ず届き、

素早く蹴り足を戻せば掴まれたりする心配もほぼありません。

頼りない印象のキックですが、腕などよりよほど強いことには違いなく、

(逆立ちで3km歩けと言われてもできませんが、脚を使って歩けばどうにかなりそうですよね)

金的(股間)等の急所を狙って正確に蹴り込むことが出来れば、相手を倒せないまでも動きを鈍くすることは可能です。

膝の下辺りをちょんちょんと触るように蹴るだけでもプレッシャーになり、

前に出ようとする相手の下腹部から前腿へのキックは強い抑止力として機能します。

蹴りを放つ際の注意点は、絶対に自分の腰以上の高さにまで足を上げないことです。

普段から蹴りの練習をしているファイターや格闘技経験者でもない限り、

腰より上の高さへの蹴りはバランスを崩すリスクが高く、転倒の危険を無視できません。

また足を高く上げる蹴りは股関節が柔軟でなければ威力が激減し、

素早く蹴り足を引くことも困難となるため、足を掴んでそのまま倒されるという最悪のケースも考えられます。

やむを得ず蹴りを使った攻撃を行う際は、主に相手の下半身を狙ったコンパクトな打撃を心がけ、

出来れば何らかのキックを当てると同時にダッシュで走り去るところまでをイメージしましょう。

(サッカーボールを蹴るように助走をつけて相手の膝か脛を蹴り、勢いのままに走り去るサッカーキックがオススメです)


「もうダメだ……」と思ったときは

やはり体格差のあるファイトの現実は厳しく、上に述べたルールを守っても、

無傷でその場を立ち去れる確率はかなり低くなると思ったほうがいいでしょう。

リアルファイトのような極限状態では身体がすくみ、思考は完全に停止して思うような動きが出来なくなります。

これは訓練を受けている人間でも変わりません。

極度のストレスに晒された状況下で、もし身体がイメージ通りに動かなくなっても、

とにかく頭を守ることだけは覚えておきましょう。

頭には脳はもちろん目・鼻・耳など急所に相当する部位が多数集中しており、

どこかに強打を受けてしまうとそれだけで命に関わるダメージになる恐れがあり大変危険です。

追い詰められ、抵抗手段もなく「もうダメだ……」と思ったときでも、

持っているカバンを盾にしたり、両腕で頭を抱え込むようにして、とにかく頭だけは保護することを心がけてください。

圧倒的体格差のある場面でも、とにかく頭を守り切るだけで生存率は大幅に上昇します。

(胸や腹部にも危険な部位は存在しますが、殴打のみで致命傷になる箇所は限定的です)

体格差の大きい場面では、「相手を倒して立ち去る」ことでなく、

「致命傷を避けて少しでも生存率を上げる」ことを目標に対応する心構えが大切です。

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました。