今日から始める護身術4【護身に役立つ格闘技】

今日から始める護身術4【護身に役立つ格闘技】

いつも心に一頭のツキノワグマを。どうもサイコ田中です。

本日はシリーズ「今日から始める護身術」の第四回【護身に役立つ格闘技】と題して、

身を守ることに役立つ格闘技を、それぞれの長所短所と共に紹介したいと思います。

 

格闘技と護身術

格闘技って、どれも護身用に使えるんじゃないの?と思われる方もいらっしゃるかと思いますが、

私個人の意見としましては、半分YESで、半分はNOです。

まず、格闘技にはどれもルールがあり、試合もスパーリングも、そのルールに従って行われます。もちろん練習もそのルールがあることを前提に成り立っています。

ほとんど毎日のようにミットを蹴ったりサンドバッグを叩いたりしているわけですから、殴る、蹴るといった動作は一般人の比較にならないほど練磨されており、

破壊力も桁違いです。

一対一の殴り合いなど、普段の練習に近いシチュエーションで、なおかつ相手が素人であれば、まず負けることは無いでしょう。

 

逆に言えば、ルールの枠を外れた、想定外の状況や反則技などに対しては、ほぼ無防備ということです。

例えば相手が複数人の場合や、刃物を持っているようなケースでは、普段の練習とかけ離れた状況になるため、

どんなキャリアの持ち主だったとしても、わずかな反応の遅れとミスで、致命傷を負いかねません。

 

このように、格闘技を習っている、あるいは知識があるからと言って、自分の身を守れることにはなりません。

あくまでも条件つきで、素人よりも少し有利なだけでしょう。

剣道有段者も、竹刀が無ければただの人です。

そうした現実を踏まえて、実際に格闘技を紹介していこうと思います。

 


打撃系格闘技(Striking)

立ち技系ともいわれる分野の格闘技で、代表的なものは空手、ボクシングなどです。

打撃系全般に共通する特徴は、高い攻撃力とハードルの低さです。

打撃系格闘技はその名の通り打撃に特化しており、その破壊力は圧倒的です。

ジムや道場が全国にあり、そのほとんどが初心者向けクラスを開講しているので、誰でも気軽に始められるというのも魅力です。

 

ボクシング

ボクシングは、良くも悪くも王道を行く打撃系格闘技で、

洗練されたディフェンス技術、華麗なコンビネーション、そして圧倒的なスピードが特徴です。

 

●長所

・ディフェンスに特化しており、護身に最適

・相手を一撃でKOできるパンチが身につく

・有酸素運動によるダイエット効果(女性にもオススメ)

 

●短所

・パンチしか覚えられず、パンチにしか対応できない

・身体が大きくなりにくい

・ライセンスを取ると面倒なことになる

 

フルコンタクト空手

空手は日本の代表的な格闘技ですが、その中でもグローブなどの防具をつけずに素手で殴りあうフルコンタクト空手は、護身という観点においても有効と考えられます。

フルコンタクト空手の武器は何と言っても一撃必殺の破壊力、これに尽きます。

 

●長所

・素手の殴り合いに特化しており、より実戦的

・礼儀作法が身につく

・全国に多数の流派と道場がある

 

●短所

・顔面への打撃に対応していない

・何かと精神論を持ち出す傾向がある

・道場による当たり外れの差が激しい

 

キックボクシング(ムエタイ)

キックボクシングは、ボクシングと空手のいい所を足して割ったような格闘技です。

しっかり顔面打撃にも対応しているうえに、蹴り技も習得でき、肘打ちなどの有効な使い方も学べます。

 

●長所

・パンチとキック、両方を習得できる

・首相撲や肘打ちなど、実戦的なテクニックが身につく

・女性にモテる(?)

 

●短所

・覚えることが多く、未経験者にはハードルが高い

・ジムの数が少なく、初期費用なども高くなる傾向がある

・闇が深すぎるプロの世界


寝技系格闘技(Grappling)

柔道やレスリングなど、相手をつかんで投げたり、関節を極めたりすることに特化した格闘技です。

これらの格闘技はつかみ合いの距離から展開することが多く、相手を動けなくする技も多彩なため、護身にはうってつけといえます。

打撃系格闘技に比べると競技寿命が長い傾向にあり、幅広い世代の人々が活躍しているジャンルでもあります。

 

 

柔道

柔道は日本の国技でもあり、伝統的な武道のひとつです。

投げ技以外に絞め技、関節技もあり、特に相手を抑え込む技術は洗練されているため、

相手をなるべく安全に制圧したい場面などでは有効と考えられます。

 

●長所

・着衣の相手と組み合う場面での対応力の高さ

・学校や地域の道場で指導が受けられる

・身体が大きくなる

 

●短所

・相手をつかめなければ何も出来ない

・練習中の事故などが問題視されている

・とにかく道着がクサイ

 

レスリング

レスリングは王道を行く寝技系格闘技のひとつであり、相手を投げる、転がす、抑えつけるという一連の流れの鮮やかさは、他に類を見ません。

レスリングを経験したアスリートは身体能力が極めて高い傾向にあるため、他のスポーツ、格闘技への応用も期待できます。

 

●長所

・とにかく強力なタックルとテイクダウン

・相手の動きをコントロールすることに特化

・総合的な身体能力の向上

 

短所

・カウンターの蹴りなどをもらうと致命傷になる

・相手を後ろに投げるなど、危険な技が多い

・大学など限られた場所でしか指導を受けることが出来ない

 

ブラジリアン柔術

寝技といえばこれが真っ先に思い浮かぶ人も多いのではないでしょうか。

たとえ自分が下になろうと上になろうと関係なく極められる無数のサブミッション、多彩な技の連携と展開。

とにかく関節技を極めるならこれです。

 

●長所

・他に類を見ない多彩な関節技

・ルールさえ守れば誰でも安全に練習できる

・競技そのものの奥深さと面白さ

 

●短所

・とにかく寝転がった状態(グラウンド)が前提

・合わない人にはとことん合わない

・国内では指導者を見つけるのが困難

 

 

寝技系全般について当てはまる致命的な欠点として、次のようなものが考えられます。

・相手をつかむ、倒す以外の選択肢が無い

・打撃に対し無防備

・タックルなどにカウンターをもらうリスク

 

柔道出身で総合格闘技へ移行した選手などを見るとわかりますが、

ディフェンス技術が身についていないと一方的に殴られて負けてしまいます。

寝技系が持つ特徴と武器を最大限生かすためにも、打撃に対する最低限の対応を学ぶことは必須です。

逆に言えば、きちんと対策さえ出来れば、打撃しか知らない相手はあっさり倒せるということです。


その他の格闘技(Others)

打撃系、寝技系以外の特殊な格闘技もいくつか紹介します。

これらはまだまだ発展途上であり、国内でジムや指導者を見つけるのが非常に困難ですが、

ただ単に空手、柔道を習うよりもずっと効果的に護身のテクニックを学べることは言うまでもありません。

 

総合格闘技

いわゆるMMA(Mixed Martial Arts)です。海外だとUFC、国内ではRIZINといった団体が有名です。

大晦日にテレビで裸の男が殴りあっているのを見たことがある人は多いのではないでしょうか。あれがまさにそうです。

総合格闘技の最大の魅力は何と言っても「打・投・極」すべてに通じているという点でしょう。

殴ってよし、蹴ってよし、投げてよし、極めてよし。ほとんどルールのある喧嘩です。そういった意味では、路上で遭遇する危険な状況に近いものがあるといえるでしょう。

物騒な話になってしまいますが、喧嘩に強くなりたければ、今の時代は総合格闘技一択です。(暴力を推奨、正当化する意図は一切ありません)

 

●長所

・「打・投・極」全てを同時に習得できる

・最も路上の喧嘩に近いルール

・男らしい身体が手に入る

 

●短所

・練習も試合もとにかく危険

・ジムや道場が少ない

・初心者にはあまりに高すぎるハードル

 

クラヴ・マガ

イスラエルで開発された軍隊格闘技です。

日常で遭遇しうるあらゆる危険な場面を想定した独自の技術体系を持ち、武装した敵の制圧に特化しています。

あくまで私個人の意見ですが、現在日本国内で指導を受けられる実戦型護身術の中では、おそらく最強です。

本気で身を守りたいと思っている人には迷わずオススメします。

 

●長所

・高度にシステム化された練習で無理なく強くなれる

・他の格闘技では学ぶことが難しい、武装した相手への対応が学べる

・打撃やグラップリングなど、様々なオプションプログラムを選択できる

 

●短所

・指導を受けられる場所や機会が著しく限定されている

・初期費用や年会費などコスト面でのハードルが高い

・クラスは明確に別けられているが、練習は総じて厳しい


結局どれが一番?

ここまで大まかに3つの種類に別けて護身に役立つ思われる格闘技を紹介してきましたが、

結論から言うと、どれが一番強いかなんて誰にもわかりません。

打撃系には打撃系の、寝技には寝技の特長と魅力がありますし、どれが一番かを決める明確な基準はありません。というか、そんなものはナンセンスです。

一番大切なことは、強くなるために練習を続けること、追求をやめないことです。

そして何より、苦しい練習も地味な筋トレも、楽しみながら取り組めることです。

ですからあなたが格闘技に興味が無ければ無理に始める必要はありませんし、楽しくない練習を惰性で続ける意味は無いでしょう。

冒頭に述べたとおり、格闘技はあくまで護身におけるヒントであり、わずかなアドバンテージに過ぎません。

この格闘技が最強で、それ以外は弱い、使えないなどということもありえません。どんな技術も使い方であり、その根底にある信念と理想こそが重要なのです。

全ての格闘技は突き詰めれば暴力です。護身の目的とゴールは暴力ではありません。綺麗事のようですが、それだけはどうか心に留めて置いてください。

 

あなたがやってみようと思える格闘技はありましたか?

もしも興味のある格闘技が見つかったら、迷わず始めましょう。何事にも遅すぎるということはありません。

そしてあなたの出会った格闘技が、あなたやあなたの大切な人を守るために役立つ日が来たとしたら、それがあなただけの最強の格闘技です。

 

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました。