今日から始める護身術3【基本の心構え】

今日から始める護身術3【基本の心構え】

いつも心に1mgのカフェインを。どうもサイコ田中です。

シリーズ「今日から始める護身術」の第三回は【基本の心構え】と題して、

危険な状況を回避し、自身が被害者にも加害者にもならないためのヒントをお伝えしたいと思います。

 

護身の意味と目的について

一般的に護身術というと、次のようなものを思い浮かべる方が多いかと思います。

・暴れている相手を制圧する

・つかまれた状態から抜け出す

・相手の武装を安全に解除する

 

確かにこれらは護身術の技術には違いありませんが、

基本的にこちらが手を出すのは最後の手段であり、避けるべき状況と言えます。

私が思う護身の究極的なゴールは「何も起こらないこと」です。

実際に手を下さなければならないような状況を回避していくことが、本来の護身術のあり方で、

実際に攻撃者を制圧するような技術は、おまけのようなものだと思っています。

誰かに危害を加えられるような状況に陥らないための技術、考え方こそが護身の本質であるべきで、

その先にあるものは単なる暴力でしかありません。

もしもあなたが自分の身を守ることを口実に暴力を正当化しようとしているなら、それは非常に危険な思想です。

大事なことなのでもう一度言います。

相手を傷つける行為は、それがどんな理由であれ単なる暴力であり、犯罪です。

綺麗事などではありません。

あなたが犯罪の被害に遭わないために、そしてあなた自身が犯罪者にならないためにも、護身の意味を正しく理解してください。

 

余談になりますが、

私は学生時代、ほぼ毎日のようにラバーナイフを振ったり軍隊格闘技の真似事をしていた時期があるのですが、

ある外国人留学生にこう言われました。

「君はそれが護身術だって言ってるけど、俺からしたら君はただのFreak(ヤバイ奴)だよ」

「自分の身を守りたいのはわかるけど、それだって結局は暴力じゃないか」

「もしかして君は本物のPsycho(サイコ野郎)なのか?」

正直に言って、背筋が凍りました。

そして自分がいかに愚かな考えに取り憑かれていたかを悟り、自らの振る舞いを恥じました。

よくある黒歴史だといいのですが……。

ちなみにこれが、私が「サイコ」とあだ名されるようになった所以でもあります。

(実にどうでもいい情報でしたね)

 

 

危機管理能力を高めよう

では実際、攻撃者と直接向き合う状況を回避するために、あなたには何が出来るのでしょうか。

馬鹿馬鹿しいほど単純な答えですが、それは、

危険な状況をつくらないことです。

わかりきった話ですが、そもそも攻撃者に出会うような状況を作らなければ、

「やらなけらばやられる」という最悪な事態は回避できます。

そのためにはまず、日々の生活の中で、危機管理能力を高めていく必要があります。

 

危機管理ってどういうことかわからないという人のために、ざっくり説明すると、

「いつも最悪の事態を想定して動こうね」ということです。

例えば仕事ならミスした場合のことを考えてあらかじめ保険をかけておくとか、

電車が止まっても遅刻しないように別のルートを調べておくとか、ごく当たり前のことです。

 

それを日常生活に当てはめていけば、それが自動的に身を守る手立てになります。例えば、

・帰りが遅くなった

→不審者や酔っ払いなどに出会うと危ないので、遠回りでも明るい通りを歩く

・路肩に不審なワンボックスが停車している

→事件に巻き込まれる可能性を考慮して、なるべく近寄らないようにする

・見知らぬ人が声をかけてきた

→人は目的も無く近づいて来ない。注意深く相手を観察して対応する

 

至ってシンプルですが、要は「次にこうなるかもしれない」という予想を立てて、

もっと露骨な言い方をすれば、妄想を膨らませながら行動することがとても重要です。

自動車免許をお持ちの方は、教習所で教わりましたよね。

「だろう」運転ではなく、「かもしれない」運転を心がけましょう、というやつです。

あれを日常生活にも当てはめてみてください。

つまり、「私は大丈夫」ではなく、「明日は我が身」の精神で行きましょうという話しです。

「水と安全はタダ」などという言葉は、この際忘れましょう。

 

ソーシャルスキルを磨こう

あなたが危険を回避するために最初から持っている武器、それはソーシャルスキルです。

言い換えるならば、コミュニケーションの能力です。

相手を観察し、自分に何を求めているのか、何を伝えようとしているのかを探ることは、

トラブルが起きた際に互いが傷つかないために出来る、護身の第一歩です。

あなたがどんなに注意力を働かせて危険を回避するように動いても、

トラブルに巻き込まれる可能性をゼロには出来ません。

例えば電車の車内など、他者との距離が否応なしに接近するような場面では、

一番簡単な「距離を取る」という対応が難しい場合があります。(女性であれば、痴漢の被害に遭うのが典型例です)

そういった状況で相手とトラブルになった場合の多くは、手を出すには至らないまでも、

相手に対する具体的なリアクションというのが求められます。相手を見ること、話を聞くことといったソーシャルスキルは、

まさにこのような場面で力を発揮します。

では実際にどのような対応が望ましいのか、想定されるいくつかのパターンに分けて見ていきましょう。

 

・相手がこちらに敵意を向けているとき

まずはこちらに争う意思が無いことを示すため、広げた両手を相手のほうに向けて、

「落ち着いてください」「話し合いましょう」と語りかけます。非常によくある対応ですが、これはとても重要です。

決してあなたのほうから攻撃的な態度を取ったり、姿勢を見せてはいけません。(ファイティングポーズなどは最悪です)

一番大切なことは、相手の興奮を鎮めて、きちんと話を聞くことです。

それが時間稼ぎになって、警察やセキュリティの助けが来るまでに、危害を加えられる可能性を大幅に下げることが出来ます。

もし攻撃されたとしても、広げた両手で相手は狙いを定めにくくなっているので、ダメージを軽減できます。

 

・電車の車内で痴漢に遭った場合

痴漢の被害は特に女性が多いと思いますが、取るべき対応はひとつです。

毅然とした態度で相手の手をつかみ、「警察に行きましょう」と伝えてください。

相手の手をつかむのは、当然逃げられないためですが、それ以上に、

「お前はもう逃げられない」「お前はもう終わりだ」という言外のメッセージになるからです。

痴漢をする人間のほとんどは、その行為が持つリスクの高さを十分に理解しています。

そのスリルを楽しんでいるのかもしれません。いずにれしても彼らは「捕まったら終わり」という条件の中、

そのような行為に及んでいます。手をつかむという対応はまさに、幕の引き時を教える合図です。

ほとんどの相手はその時点で萎縮するか動揺し、身動きが取れなくなるでしょう。

仮に相手が暴れて逃走を図ったとしても、そのとき他の乗客が異変に気づくので、犯人に逃げ場はありません。

また「警察」というキーワードを明確に示すことで、周りに事件性をアピールし、緊張した空気を作る効果もあります。

 

・酔っ払いに絡まれた場合

これも非常によくあるケースだと思いますが、考え方は同じです。

相手をよく見て、話を聞き、落ち着かせることです。時間が無くても、無視はいけません相手を刺激します。

「どうしたんですか?」「気分が悪いんですか」など、落ち着いてやさしい言葉で語りかけます。

近くに椅子やベンチがあるなら「一回座りましょう」と声をかけるのもいいでしょう。

相手がある程度落ち着いてきたら、「水を持ってきます」「タクシーを呼んできます」などと言い訳をして、

さっさとその場を離れてしまいましょう。

ただし、冬場の屋外や交通量の多い場所は危険なので、ちゃんと安全な場所に誘導して警察などに預けてから立ち去りましょう。

何度も言いますが、自分も相手も被害者にならないことがベストです。

 

 

こちらが争いを避けようとしても、それが困難なケースもあります。

・日本語が通じない外国人

・認知症の高齢者

・若者の集団

・薬物などで酩酊状態にある人

 

これらの相手は話が通じないか、こちらの説得に応じない可能性が極めて高いので、残念ながら実力行使が求められます。

こうしたやむを得ない状況については、また別の機会にお話したいと思います。


いかがだったでしょうか?

何かトラブルに巻き込まれそうになると、焦ってパニックになってしまいがちですが、

一番大切なことは、冷静に状況を見極め、相手を注意深く観察することです。

そうすることで必ず突破口は見えてきますし、もし実際危険な目に遭ったとしても、被害を軽減することに繋がります。

普段の生活でも「危機管理」、そして「ソーシャルスキル」という言葉を意識していることが、

いざという時にあなたやあなたの大切な人を守るための手助けになることをどうか覚えておいてください。

 

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました。