今日から始める護身術28【腕をコントロールする際のポイント】

今日から始める護身術28【腕をコントロールする際のポイント】

いつも心に1袋の冷凍ホウレンソウを。どうもサイコ田中です。

護身術で当たり前のように扱われる技術体系の一つに「手や腕のコントロール」が挙げられます。

相手の攻撃を防ぎながら、自分にとって有利な体勢を維持することが主な目的ですが、

効果的に運用するにはいくつか重要なポイントを把握している必要があります。

今回はそうした手や腕のコントロールにまつわる基本的な考え方についてお話ししたいと思います。


簡単に触らない・触らせないことが大切

セルフディフェンスにおいて、手が触れられるような距離に攻撃者を立たせることは、

それ自体が既に一つのミスです。

危険な場所や相手に近づかない、近寄らせないことが護身の第一歩であり、

真っ当な危機管理や防犯の意識を持ち合わせている人間にとって常識的な対応です。

手で触れられるような距離に危険な思想を持った人間が近づいた場合、

・距離を置く

・逃げる

・助けを呼ぶ

といった基本的な選択肢が全て失われてしまい、「やるしかない」という状況を強いられる可能性が高くなります。

危険を察知するか違和感を感じるといった初動対応のスピード感はもちろん、

危機感を覚えてからの反応の速さも、いざという時身を守る上では重要になってきます。

スマホの操作に集中しがちという方は時々画面から顔を上げる習慣を、

音楽を聴きながら通勤・通学する習慣のある方は音量やヘッドホンの密閉性などに注意し、

常に一定の注意力・警戒レベルを維持できるよう意識していきましょう。

また少し触られただけで激昂したり、ありもしない痴漢の被害を訴える厄介な相手も少なくありません。

攻撃者を簡単に近づけないだけでなく、自分自身が安易に手を出さないように気を付けましょう。


相手の腕をコントロールする際の注意点とちょっとしたコツ

ここからは攻撃者の手や腕をコントロールする際に気を付けるべきポイントについて、

知っているだけで応用力が身につくちょっとしたコツと共に解説します。

つかみ合いの場面や興奮している人物を抑える際などに有効なテクニックとなっています。

防犯・護身など身を守ることに興味をお持ちの方はぜひ参考になさってください。

 

掴まれた腕はそのままでいい

よく護身術のパフォーマンスとして「腕を掴まれたら」というシナリオが見られますが、

片方の腕を掴まれているくらいなら、ジタバタすることはありません。

最も恐ろしいのは、片方の腕を掴まれたまま、

・もう片方の腕で殴打される

・強く引っ張られる

・凶器を突き付けられる

といった状況であり、「腕を掴まれている」という状況そのものにはそれほど大きな脅威はありません。

ほとんどの人は掴まれた腕を力任せに振り払うか、引き抜こうとする傾向にありますが、

興奮している相手は一度や二度ではあきらめず、何度振りほどいてもまた掴もうとしてきます。

このようなシチュエーションにおいて、無理に相手の手を振りほどく必要はありません。

あなたの目的がさっさとその場を離れることならば、空いているほうの腕で思いきり相手の顔面を殴りつけましょう。

(危険極まりないアプローチですが、これが最も手っ取り早く確実です)

それでも相手を手を離さなければ間髪入れずにもう一発、二発と立て続けに攻撃し、

あなたが「相手に危険を感じなくなるまで」手を出し続けてください。これが一番大切なことです。

相手に強い悪意や攻撃の意思が見られない場面で、まだ話が通じる状況であれば、

掴まれていないほうの腕で相手の空いているほうの手を掴むことで状況のエスカレートを回避できます。

傍目には大の大人が両手をつなぎ合って……という珍妙な光景に見られるかもしれませんが、

どちらも傷つかない膠着状態であり、最も安全性の高いのスタンスです。

服を掴まれるなどしている場合はまた対応が変わってしまいますが、

基本的に掴まれてるほうの腕で攻撃される心配はありません。

左腕で掴まれているなら、飛んでくるのは右のパンチだけです。

落ち着いて顔または頭の左側をブロックできるような体制を作り、肘打ちや膝蹴り、頭突きなどでカウンターを狙っていきましょう。

 

凶器を持っている腕は必ず両手で抑える

基本的に、相手の片方の腕を両手でコントロールするのはご法度とされています。

空いているほうの腕で、がら空きの顔面を好きなだけ殴られるからです。

ですが相手がナイフなどの凶器を持っている場合は例外です。

もう片方の腕で殴られようが何をされようが、凶器を持っているほうの腕を全力で抑えなければ命はありません。

凶器攻撃を止められなかった場合は致命傷を負う確率が極めて高く、

特にナイフなどの鋭利な刃物で太い血管や神経の集中した部位を攻撃された場合のリスクは計り知れません。

(心臓など命に関わる臓器を傷付けられた場合も同様です)

相手の手に凶器が見えたときは、凶器が握られているほうの腕(前腕)を両腕で抱きかかえるようにホールドし、

絶対に引き抜かれたり振りほどかれたりしないよう、しっかり体重をかけることがポイントです。

全体重を相手の腕へ預けるようなイメージで真下に力を加え、凶器の先端が地面のほうに向いている状態を維持できれば、

ある程度時間を稼ぐことはできます。

膠着状態には違いないため、ここから武装解除→制圧へと移行する必要がありますが、

一人ではあまりにも難しいため、警察などの応援が駆けつけるのを根気強く待ちましょう。

凶器を持った相手に対しても、諦めなければ勝機はあります。

 

両腕に対しては必ず両腕で応じる

あなたと攻撃者の体力が同程度なら、片腕同士の力比べは互角になるでしょう。

しかし相手が両腕で掴みかかってきたのに片腕でどうにかしようとしていたら、恐らく勝ち目はありません。

相手が両腕を使ってきた場合には、あなたも両腕で応じる必要があります。

よくあるシナリオは、

・前から両手で首を絞められる

・横から両手で片方の腕を引っ張られる

・両手で胸倉をつかまれる

などであり、いずれも片方の腕でどうにかしようとしてもうまくいきません。

(まして相手のほうがフィジカル面で上回っているような場面ではびくともしないでしょう)

このような状況ではしっかり両手で相手の腕をつかみ返すか、

凶器攻撃の対応と同様に相手の腕一本に対して両腕で対応する必要があります。

ただし、強い身の危険を感じているなど本当に切迫した場面においては、

先述の通り「相手の腕をどうにかする」のではなく、「その場からは離れること」を優先し、

相手のがら空きの顔面に頭突きやパンチをお見舞いするほうが、よほどスマートな対応になると考えられます。

特に相手のほうがフィジカル面で上回る場面において、一度でも掴まれた場合そこから脱するのは容易ではありません。

相手はあなたの服や体の一部を掴むために両腕を使い、顔面をカバーできない状態になっているのですから、

黙って顔にパンチや頭突きを、腹部や金的に膝蹴りなどを叩き込んだほうがよほど効率的で効果的に違いありません。

相手のほうが強いとわかりきっている場面でなければ後々過剰防衛に問われるリスクも無視できませんが、

身を守るためにはやむをえません。そういった意味では、迷ったらとりあえず手を出すという対応も間違いではないでしょう。


腕力と体幹の強化は必須

私はこれまで腕の細い指導者・インストラクターというのを見たことがありません。

腕力は相手をコントロールすることはもちろん、

パンチを打つ、攻撃をブロックするというところにも大きく関与しており、護身の目的を果たすうえで絶対に無視することはできません。

また単純な腕力のみならず手首の強さ、握力の強さも組際や武器攻撃、武装解除において重要となります。

前腕が太くなるようなトレーニングを週に最低でも2回は取り入れ、

二頭筋のような上腕ばかりにフォーカスしたワークアウトにならないよう注意しましょう。

更につかみ合いやクリンチ状態での攻防、制圧が必要な場面では体幹の強さもカギになります。

少し押されただけでフラフラしたり、腕を強く引かれただけで体勢を崩されていては命がいくつあっても足りません。

日ごろからプランクや片足立ちなど、体幹部分にしっかり効かせるメニューにも取り組み、

強い軸と安定したボディ・バランスを自分のものにしておきましょう。必ず役立つ時が来ます。

 

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。