【護身術】パンチの練習で肩・腰を傷めないために知っておきたいこと【怪我予防】

【護身術】パンチの練習で肩・腰を傷めないために知っておきたいこと【怪我予防】

いつも心に1切れのスモークタンを。どうもサイコ田中です。

運動習慣のあまり無い女性や中高年の方が護身術の練習を始める際に問題となるのが、

練習中の怪我や事故をどのようにして回避していくか、という点です。

若く健康的な方にとっても、スパーリングを通して致命的な怪我をするということは決して珍しくはなく、

不正なフォームでサンドバッグを叩くなどしても運動機能の障害が誘発されます。

今回は特に基本のパンチに絞ったうえで、肩や腰を傷めないために出来ることは何かについてお伝えします。


ウォームアップ・準備運動は入念に

冬場はもちろん夏場においても、

しっかりと体を温めてほぐしておくことは、怪我を防ぐうえで非常に重要です。

特に普段身体を動かす習慣のない方や、学生時代に部活動などでハードな運動経験のない方などは、

少しの動作で靭帯・関節を傷める可能性があり、注意が必要と言えます。

・首

・腰回り

・肩関節(肩甲骨など)

・ハムストリングス(太腿の裏側)

・アキレス腱

などを中心とし、歩くなどゆっくりとした動作で身体を温めて様子を見ながら、

最低でも15分はウォームアップと調整、ストレッチに充てるようにしたいものです。

激しいシャドーの前後や重いサンドバッグなどを叩く際には、

特に大きな負担のかかる肘や手首もしっかりと伸ばしておきましょう。

運動前後の準備運動については、「やりすぎる」ということはありません。

(明らかな痛みや違和感がある場合は、練習そのものを中止するという決断も必要です)


パンチで肩・腰を傷めないための5つのポイント

ここではパンチを練習する際に肩や腰を傷めないために知っておきたいことを、

フォームなど5つの項目に分けてお伝えします。

防犯・護身に興味をお持ちの方で、普段あまり身体を動かさない方や、

中高年の方はぜひ一度参考になさってください。

 

パンチを打つ際は力みすぎない

初心者の方に多い間違いとして、

パンチを打つ際に力が入りすぎている、といったケースは頻繁に見受けられます。

「強く打たなければ」という思いから肩や肘、背中などを過度に緊張させてしまうのは無理もありませんが、

パンチのような打撃テクニックを正しく安全に運用するためには、適度な脱力が必要です。

特にメジャーな間違いとして、

・拳を強く握りすぎている

・肩に力が入りすぎている

・腕が完全に伸び切っている

といったものが挙げられます。

拳を強く握りすぎるとパンチにキレがなくなるだけでなく、

疲労が溜まりやすく練習の質も下がってしまいます。

パンチを打つ際は当てる瞬間(インパクトの瞬間)に拳を強く握り込むよう意識し、

それ以外は卵か虫を捕まえているようなイメージで、ゆるく握っておくことが肝要です。

拳のみならず肩から背中にかけて力みが出たときも同様に動きが悪くなり、

肩や腰などを傷める原因にもなります。

出来るだけ脱力とリラックスを心がけ、身体に力が入っていると感じたときには、

一度ファイティングポーズを解いて深呼吸するなどしてリセットしましょう。

またパンチを打つ際には、肘が完全に伸び切ってしまわないよう注意しましょう。

 

肩を大きく内旋させない

ストレート系のパンチを打つ際に肩を大きく内旋させる、

いわゆるコークスクリュー型の打ち方は回避すべきです。

確かに肩を内旋させ拳を捻り込むようにすることで、

・肩で顎を保護する

・ナックルをより深く押し込める

・肘で相手のブロックを崩せる

などの恩恵が得られることは確かですが、

いわゆるローテーターカフ――インピンジメント症候群などに関連する肩の筋肉には、

想像以上の負担がかかるため、とても合理的とは言えません。

特に中高年以上の方ともなると四十肩・五十肩と言った腱板周辺の障害も顕著となり、

いよいよ肩周辺の故障リスクは無視できないものとなります。

肩を無理に内旋させるようなフォームは避け、

「下半身から力を伝えること」「打ち終わりに素早く基本姿勢に戻ること」などを意識し、

肩や腕に負担の少ない身体の使い方を身に着けていくイメージが大切です。

 

肩を肘より前に出して打たない

よくボクシングのフックなどは、

「肩が肘より先に出るように打ちなさい」と指導されますが、

肩に痛みを引き起こす原因になると考えられ、好ましくありません。

そもそも腕が肩の動きに連動し「後からついてくるように」打つ打ち方は、

肩をしっかりと鍛え上げたボクサーだからこそなせる業であり、

それ以外の、——格闘技経験などない一般人にとっては無理なフォームに違いありません。

(格闘技経験者でも、ボクシングのボディの打ち方は肩に大きな負担がかかるため慣れと調整が不可欠です)

肩を支点に腕だけを大きく振り回すような無理なフォームは避け、

腕・肩・腰がしっかりと連動した、タイトなフォームを意識しましょう。

またジムで先に述べたようなフォームでの指導を受けた際には、

きちんと自分から痛みや違和感がある旨を伝えることも必要です。

 

肩のインナーマッスルを鍛える

肩のインナーマッスルは、しっかり鍛えなければ衰える一方です。

特に中高年の方にとっては四十肩・五十肩の原因ともなる筋肉であり、

場合によっては上着を羽織るなどちょっとした動作が原因で生じる障害も想定されます。

・ゴムチューブやタオルを上下左右に引く

・軽いダンベル(1キロ前後)を持って腕を回す

・鉄棒などにぶら下がる

といったエクササイズを通して、日ごろから肩のインナーを鍛えることが怪我の予防に繋がります。

またインナーのみならず肩の大きな筋肉(三角筋)を鍛えることはもちろん、

背中や首回りの筋肉を鍛えることも、肩を支える上で重要となります。

肩周りの動きや強度に不安を感じたときは、ゆっくりインナーから鍛え始め、

徐々に肩周辺の大きな筋肉も鍛えるようにしていくといいでしょう。

オススメの種目はダンベルを使ったサイドレイズと、自体重を用いた懸垂運動です。

 

下半身・腹筋背筋を鍛える

格闘技経験のない方のほとんどが、

パンチを肩や腕など、上半身の力に頼って打とうとしがちです。

(ボディビルダーの方などが意外と強いパンチを打てないときがありますが、

この辺りの問題と関連しているように見受けられます)

パンチは下半身から力を伝え、腰・背中・肩などが連動し始めて機能するものです。

ですから上半身を一生懸命鍛えるというよりも、

下半身はもとより腹筋背筋を徹底的に鍛え上げることが、

結果的に練習中の怪我を減らしつつ、強いパンチを打つことに繋がってきます。

特にコアと呼ばれる体幹部の強さと安定性はパンチのみならずキックや組技体系とも深く関連しており、

鍛えられているかどうかが決定的な差になると言っても過言ではありません。

まずは1分間のプランク、そして50回前後の自重スクワットから始め、

肩や腕・腰などの負担を最小にしながら最大のパフォーマンスを発揮できる、

強い足腰を作っていきましょう。

ケトルベルを用いたトレーニングも、全身連動性を高めることができ非常に効果的です。


練習を続けることは大切だが……

仕事に勉強、どんな事についても当てはまることですが、

とにかく上達するには練習し続けるほかはありません。

最初は肩や腰・下半身などに違和感があっても、

練習を続けることで体に負担の少ない自然なフォームが身に付き、

いつの間にかどこにも不調を感じなくなっている、ということも珍しくありません。

特に肩などの筋肉は動かす機会を増やすことで負荷に慣れていき、

自動的にパンチなどの動作に適した筋肉が増えていくため怪我のリスクも相対的に減少していきます。

とは言え痛みや違和感を感じたままで練習を続けるのはやはり好ましくはありません。

明らかな痛みや違和感、関節の引っ掛かりや詰まり感を覚えているようなときには、

練習を自主的に中止し、早めに整形外科を受診することを強くお勧めします。

強くなるためのトレーニングで、怪我をして弱体化しているのでは笑えません。

自身の経験や体力に合わせた安全かつ効率的な練習メニューを消化し、

怪我無く・無理なく強くなっていきましょう。

 

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました。