ロシア生まれの軍隊格闘技”システマ”はフェイクなのか

ロシア生まれの軍隊格闘技”システマ”はフェイクなのか

いつも心に1年分のスニッカーズを。どうもサイコ田中です。

ロシア生まれの軍隊格闘技”システマ”を習い始めて、気が付くとかれこれ4年にもなっていました。

(2016年4月から主に東京・大阪での一般向けセミナーに参加)

ここまでシステマを学んでわかったことについてまとめましたので、

これからシステマを学ぼうとお考えの方、システマに興味をお持ちの方は参考にしてください。


システマとは何か

システマは、ロシアで生まれた軍隊格闘技であり、

冷戦期には「謎の武術」とされてきましたが、ソ連崩壊を皮切りに少しずつその全容が明らかにされ始め、

2000年代には護身術として日本でも指導を受けられるまでに一般化されました。

(かの有名なスターリンの元ボディガードが創始者というから驚きです)

システマは、

・呼吸

・姿勢

・脱力

・移動

といった4つの項目を軸に構成され、

独自の呼吸法と身体操作により「受けたダメージを無力化する」「小さな動きで最大のダメージを与える」といった、

まるで魔法のような戦闘技術が身につく、と考えられています。

(私はそんな力を身に着けられなかったので、本当かどうかはわかりません)

その抽象的で独特の技術体系から、システマは護身術業界はもちろん格闘技を扱う場においても、

インチキ扱いされることが珍しくありません。

なぜ、システマはフェイクと言われるのでしょうか。


システマがインチキ扱いされる5つの理由

ここからは、私自身の経験や指導者・参加者の言動などを基に、

システマがインチキ扱いされてしまう理由を5つ挙げたいと思います。

(システマの技術体系や思想・理念などを否定したり、システマに関わる方々を批判する意図は全くありません)

 

とにかく全てが「ゆっくり」

システマは、練習でもなんでもとにかくゆっくりしています。

高齢者向けの健康体操を想起するほど緩慢でメリハリがなく、

対人の練習もほとんどダンスのように緊張感がありません。

ある指導者が「ゆっくり行えない動作を早くやっても失敗するのが目に見えています」と、

至極真っ当なことを口にしていましたが、

全力(フルスピード)のパフォーマンスがイメージできないため実戦でどのような結果になるかがわかりにくく、

練習も終始ゆっくりした動作が求められるため、それが癖になると対応が一歩も二歩も遅れてしまい、

結果生存率が低下する恐れがあることは明白です。

システマを学んでいる恐らくすべての人が感じている最大の懸念事項は、

「本気で襲われたとき、本当にこのスピード感で対応できるのか」ということに尽きると思われます。

 

スパーリング・試合が皆無

システマはボクシング・空手のような競技格闘技ではありません。

よって防具をつけてスパーをしたり、ルールを決めた試合形式の練習も行われることは無く、

完全に座学と技術指導のみに終始しています。

試合が行われないのはいいとして、安全面などに考慮したとしても最低限スパーリングさえ行われないのでは、

自身が身に着けた技術がどのように活かされるのか、どう機能するかを知る術がありません。

確かに練習中パートナーと「ああでもない、こうでもない」と教えられた技を試行する時間はありますが、

全力で打つ、守る、カウンターを合わせるということは皆無に等しいため、

対人戦技を学んでいるはずなのにその実感が全くないという不思議なことが起こります。

「全てがゆっくり」と言う部分とも重なりますが、冬場などは一滴の汗もかかずに練習を終えるなどはザラです。

 

指導方針・指導内容がバラバラ

以前当ブログで扱ったハワイ武道”カジュケンボ”は、指導者が自ら新たな技を生み出すことが認められているため、

ジムや指導者ごとに指導内容が微妙に変わってくるという面白い特性があります。

しかしシステマはその本来の目的と理念から指導内容がある程度統一されているべきであるにもかかわらず、

指導者によって教えが変わることがあります。

例えばあるセミナーでAという指導者が言っていた通りに立ち振る舞おうとすると、

別のセミナーで指導者Bに「それは正しくない」と突っ込まれ困惑するということは、一度や二度ではありませんでした。

(単に私が根本的なミスを犯していた可能性も否定はできませんが)

その際「A先生はこのように仰っていましたが……」と質問すると、怪訝な表情で首を傾げられ、

「通訳が間違ったことを伝えたのかもしれない」という答えが返ってきましたが、

これでは指導内容そのものがガバガバだと思われても仕方がないでしょう。

日本人指導者でも指導者ごとに少しずつ解釈や考え方が異なっていて(それはそれで面白いのですが)、

結局「自分で考えてください」という残念なお言葉をいただく機会も少なくはありませんでした。

(私の参加した問題のセミナー2回が2回とも”ハズレ”だった可能性を考慮しても無理があります)

 

指導者が等身大の人物でない

システマの日本人指導者の方は普通かそれより少し大きいくらい、

中には平均より小柄な方も大勢いらっしゃいますが、

私が参加したセミナーのロシア人指導者は、例外なく全員が巨漢でした。

よくシステマのパフォーマンスで、ジークンドーのワンインチパンチのように、

小手先だけに見える小さなパンチで相手に大ダメージを負わせるというものが見られますが、

身長190センチ越えの大柄なロシア人が殴ったら、軽くでも痛いに決まっているのです。

ほとんどの日本人にとってガ〇ダム並みの怪物に見える大きなロシア人男性が、

「システマを覚えれば、あなたにもできます」と言いながらパートナーを軽く叩いて跪かせても、

「そりゃそうでしょ……」と思われるに違いありません。

もし仮に小柄な女性が同じパフォーマンスをして見せても、今度は合気道のようにインチキ臭くなって、

結局「システマって実際どうなの?」という印象を持たれることに変わりはないのです。

 

昇級・昇段といった概念がない

これはシステマのある意味最も致命的な欠陥で、

これが無ければ私の評価はもう少し違ったものになっていたと思うほどです。

システマには明確な級位や段位・ベルトシステムのようなものが存在しないため、

「誰がどの程度熟達しているのか」が明確にされることがありません。

明確なクラス分けもなく、初心者と上級者の混在などはザラであり、

似たような服装の場合は指導者と一般参加者の区別すらつきません。

これは空手や柔道の道場で全員が最初から黒帯を締めているのと相違なく、

練習中にパートナーを探すのも一苦労です。(みんなよくわかってないから、適当でいいとも言えますが)

ただ上下関係が皆無なためよくある体育会系の鬱陶しいノリや「しごき」はなく、

クラス全体の雰囲気は非常にアットホームで居心地がの良いものになるという長所もあります。

変に緊張したり指導者に媚びたりする必要はないため気楽と言えば気楽ですが、

緊張感が無さ過ぎて「危ない技術」を学んでいることを忘れてしまいそうになるのが玉に瑕というところでしょうか。


システマで強くなれるかと聞かれれば……

システマを始めようと思っている方、興味をお持ちの方に、

「システマをやって強くなれますか?」と聞かれたら、

私は素直に「わかりません」と答えることにしています。

システマを学び始めてから4年が経ちますが、あくまでも私自身については、

システマを学んでから飛躍的に身体操作が向上したとか、

強いパンチが打てるようになったという実感は得ていないというのが正直なところです。

もちろん運動神経に優れた若い人や、もともと格闘センスに溢れた人なら話は別かもしれませんが、

少なくとも何の格闘技経験もなく、今日までハードに身体を鍛えてきたわけでもない人がいきなり始めて、

あっさり強くなれるなどとはとても思えません。

勘違いされがちなのですが、システマで学ぶことができるのは相手を倒す技術というよりは、

自分や相手の身体をどのように動かすのか、どのように力を伝えるのかということであり、

その目的と理念は合気道のそれに限りなく近いと考えられます。

(合気道もまたシステマと同様に組手や試合がなく、動作が非常に緩慢なことが大きな特徴です)

もしも相手を倒す、極限状態を切り抜けるということを目的に据えるのであれば、

クラヴ・マガなどの実戦的な軍隊格闘技や総合格闘技を学ぶほうが遥かに効率的であり、

上達と共に強くなった実感も得やすいと言えるでしょう。

大切なことは、「何をやって強くなるか」ではなく、

「何のために強くなるのか」だと私は考えています。

あなたの目的が強くなることなら、その目的をさらに掘り下げ、

「強くなる目的」を明確にするところから始めましょう。

そしてあなたの”本当の目的”を果たすためにシステマが必要ならば、迷わずセミナーへ足を運んでください。

 

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。