【防犯】相手と口論になったときに意識すべきこと【護身】
- 2020.04.26
- 護身術
いつも心に1本の五寸釘を。どうもサイコ田中です。
国籍や性別・年齢を問わずリアルファイトのほとんどは些細な諍い、
特に小さな勘違いなどをきっかけにした口論から始まります。
今回はもしも誰かと口論になったときに意識すべきことについて、
現代護身術の戦略を基に解説していきたいと思います。
「口論に勝つこと」が目的ではない
もしも相手と口論になったとき、あなたが目指すべきなのはその口論に勝つことではなく、
その場からなるべく速やかに、そして(出来る限り)互いに無傷でその場から立ち去ることです。
それは口論になった相手が家族や友人でも、見知らぬ第三者でも変わりません。
あなたが首尾よく口論で相手を打ち負かすことに成功したとしても、
相手があなたを許すことはありません。そして恐らく相手はあなたに言われた言葉を一生忘れません。
口論に勝っても結局あなたが誰かを敵に回すことに変わりはなく、
口論が終わった直後にリアルファイトへと発展する可能性は否定できません。(むしろそうなる可能性のほうが高いとも言えます)
口頭でのファイトが始まったときにあなたが最初に意識すべきことは、
相手とのやり取りをいかにしてスムーズに、そして速やかに収束させるかということです。
決して言葉で相手を打ち負かしたり、論破することを目的にするべきではありません。
あなたがどんなに頭の回転や雑学、ボキャブラリーの豊かさに自信を持っていたとしても、
いきなり顔を殴られたら悲鳴を上げながらのた打ち回るほかはないのです。
口論の場面で意識したい3つのポイント
ここからは実際に相手と口論になった際に意識すべきポイントについて、
姿勢やコミュニケーションの取り方など3つの項目に分けて解説したいと思います。
ファイトは相手と向き合った瞬間から始まっています。まずは口頭でのやり取りを制し、
「闘わずして勝つ」ためのきっかけをつかみましょう。
相手に説明させる(喋らせる)
まず最初のポイントは、どんどん相手に喋らせることです。
例えば、
・「どうしてそんなことを言うのですか?」
・「どうしてそう思うのですか?」
・「ふーん、それで?」
など、相手に説明を求めるような言葉で応じたうえで、
相手に休む間もなく喋らせることが重要です。
あなたが相手に喋らせている間にやりたい(やるべき)ことは主に2つです。
1つ目は相手を観察し、情報を集めることです。
話している内容はもちろん、相手の服装や持ち物から凶器を隠している可能性の有無、
周囲に仲間がいるかどうか、酒や薬物で酩酊状態にあるかどうかなど、可能な限り多くの情報を収集する必要があります。
こうして集めた情報を基に、逃げるか闘うのかの判断はもちろん、その場で警察を呼ぶか、
しっかり話を聞いたうえで対応するかを決定します。
大切なことは、相手に喋らせている間に、目の前の相手だけを意識しないことです。
この後自分はどうするか・どうすべきなのかを、周囲の状況なども総合的に判断して意思決定し、
速やかに行動へ移す準備の時間として使う意識が重要です。
余裕のない場面でも相手が丸腰かどうか、体格差はどうかなどを最低限の情報を短時間に収集・整理することは必須と考えましょう。
2つ目はシンプルに時間を稼ぐことです。
これは特に相手が感情的になっていて、今にも手を出されそうな極限の緊張状態でこそ重要となるポイントです。
相手との体格差が極端に大きかったり、武器を持っている可能性が疑われる場面では、
実際に手を出されるまでの時間をどれだけ長く引き延ばせるかが課題になります。
パンチ一発で致命傷になることが容易に想像されるような大柄な相手を前に、
ぼんやりしていると問答無用でノックアウトされて病院送りにされてしまいます。
なるべく相手のほうに何かを喋らせ、もしも可能なら少しでも長く会話を成立させ、
相手を落ち着かせること(説得)、周囲の助けを求めることを意識しましょう。
もしも強い身の危険を感じ、「これ以上は持たない」と判断した時はやるしかありません。
時間を稼ぐのが難しい場面では意識を肉体的な防御または反撃に切り替えてください。
消極的・弱腰の対応を見せない
どんなに不利な状況においても、簡単に弱さ・脆さを見せてはいけません。
会話の段階で圧倒されるということは、精神的にマウントを取られることに相違なく、
そのままリアルファイトに発展した場合、まず勝ち目はありません。
口頭にせよ直接的にせよ、ファイトでは背中を見せたり相手から目を逸らしてしまった時点で負けです。
もしもあなたが一瞬でも弱気な姿勢や怯えた様子を見せたが最後、相手は更に攻撃的になり、
文字通りあなたにとどめを刺しに来ます。そこからの逆転はほぼ不可能です。
背中を丸めて目を泳がせたり、「えーと」とか「あのー」といった間投詞を多く用いることは避け、
毅然とした態度で相手と向き合い、はっきりとあなたの主張と立場を明らかにしていく意識が大切です。
注意すべきなのは、弱腰の対応にならないことと、挑発的・攻撃的な態度や言動を見せることは全くの別物ということです。
よく口論の場で肩を怒らせたり、顎をしゃくったりする攻撃的なボディランゲージを見せる人がいますが、
これは完全に逆効果です。
口論が始まった時点で、相手は既にある程度感情的・攻撃的になり興奮しています。
そこからあなたが相手を煽るような言葉を放ったり、身振り手振りを見せることは火に油を注ぐ行為に他ならず、
状況はエスカレートする一方で歯止めが効きません。
上に述べた通り、口論におけるあなたの最終目標は「速やかに、そして安全にその場から去ること」です。
絶対にファイトを望むような言動で相手を刺激したり、周囲を煽ったりしてはいけません。
結果もしも相手を本気でキレさせてしまったときは、その場で殺されたとしても文句は言えないでしょう。
いつでも身を守れる姿勢・立ち方を保つ
口論の場で最も恐ろしいのは、いきなり直接的な攻撃(パンチなど)を受けることです。
特に死角から側頭部や顎、首の周辺を打たれた場合のリスクは計り知れず、
打ちどころが悪いとその場で命を落とす恐れさえあります。
相手とやり取りをしている最中は姿勢と立ち方、立ち位置にもしっかりと気を配り、
突然の不意打ちにいつでも反応できるよう意識する必要があります。
安全な立ち方の一つとして、インタビュースタンスが考えられます。
インタビュースタンスは、ロダンの『考える人』をイメージするとわかりやすいかもしれませんが、
顎にどちらかの手を添え、その肘をもう片方の手で支えるようにする立ち方です。
この立ち方はファイティング・ポーズのように相手を刺激する恐れがなく、
しっかりと頭部(特に顎の周辺)と胴体の急所を保護できる効果的な立ち方であり、
現代護身術において最も基本的な立ち方の一つとして広く浸透しつつある基本姿勢です。
もしも咄嗟にこのインタビュースタンスを思いつかなかったとしても、
両手をポケットに入れたり、両腕を組んだりしなければ大きな問題はありません。
大切なことは、咄嗟に頭や胸の周囲、腹部をカバーできるということです。
学生や女性の方は、胸の前でカバンを抱えても抑止力となる可能性があります。
(両手が完全にふさがり反撃を想定した動きは制限されますが、カバンを投げる・ぶつけるという手段が残されています)
一番は聞き上手・話し上手になること
口論の場面を制する上で何よりも重要なこと、
それは聞き上手・話し上手であるということに他なりません。
相手の話をしっかり聞くことは相手を理解することであり、最適な対応を見つける最短にして最良の道です。
相手をよく知らないうちに敵と決めつけて応じるのは好ましくありませんし、
相手の立場と主張をしっかりと把握することで、あなたがその場を切り抜けるための主導権を握れる可能性だってあるのです。
また聞き上手であるだけでなく話し上手であることは、相手とのやり取りをより円滑なものにし、
互いが無傷でその場を立ち去るための突破口にもなりえます。
冷静に事実や根拠だけを並べて相手を論破していくのではなく、
ウィットに富んだジョークなどを織り交ぜながら相手の意識や攻撃的な感情を別な方向に逸らしていくことができれば、
その場を丸く収めることのできる確率はぐっと高まります。
普段から様々な分野の雑学や豆知識を貪欲に取り入れながら、ボキャブラリ―も増やして婉曲な言い回しも沢山身に着けておけば、
口論の場で武器として使えるあなただけの”キラーフレーズ”が必ず見つかります。
それは相手を一撃ノックアウトするパンチよりも効果的な技として、ファイトを終わらせるための強力な切り札になります。
相手と口論になったときはしっかりと相手の話を聞き、決して弱腰になることなく冷静に受け答え、
互いが無傷でその場を立ち去るための道を探りましょう。
そのためにまず自分の非を認めることは勿論、相手の立場・主張に耳を傾け受け入れる姿勢が大切です。
殴り合いの喧嘩は、傍から見ると酷くみっともないものです。
大人ならトラブルはしっかりと話し合いで解決させていきましょう。
「闘わずして勝つ」という言葉の通り、結局は争いを避けるのが一番に違いありません。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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