【小ネタ】”将軍”ジョナサン・ハガティーに学ぶ超攻撃的打撃テクニック【コラム】
- 2022.03.15
- 格闘技
いつも心に1本の電動剪定ハサミを。どうもサイコ田中です。
皆さんは、現在UFCなどに並ぶ世界トップクラスの格闘技団体ONE championship(以下ONE)をご存じでしょうか。
日本のRIZIN FFと同様、総合格闘技のほかにキックボクシング・ムエタイの試合をメインコンテンツに据えたプロモーターであり、
近年は日本人選手の参戦も増加傾向にあります。
今回はそんなONEのムエタイ軽量級部門においてエースの座に君臨しつつある若きファイター、
ジョナサン・ハガティー選手の魅力とその強さについて語りたいと思います。
(権利の関係で記事内の画像はいずれも本人と直接関係が無いものとなっております。ご了承ください)
「軽量級=KOが少ない」はもう時代遅れ
かつてはキックボクシングにせよ何にせよ、体重の軽い階級――すなわち軽量級においては、
とにかく派手な失神KOや一発KOはほとんど見られないと言われていました。
ですが2010年代以降、特に日本の新生K-1において武尊選手を筆頭に、
お世辞にも体格的に恵まれているとは言えない選手たちによる豪快なKOが、
当たり前のように見られる時代が訪れました。
(武尊選手以外にも、同じくK-1の武居由樹選手、RIZINの那須川天心選手が代表的と考えられます)
ONEのジョナサン・ハガティー選手もまさしくそうした階級を感じさせない破壊力の持ち主であり、
170センチ/60キロという小柄な体格を全く感じさせないパワフルなファイトには、
打撃系格闘技の未来すら垣間見えるほどです。
こうした小柄な選手が活躍する背景には、
・より高度に現代化されたフィジカルトレーニング
・減量ルールの改善
・階級設定の厳格化
などが挙げられると考えられますが、
管理人個人としましては、
日本の那須川天心選手のような典型的”天才型”の才能発掘と養成環境の充実が大きく影響していると見ています。
近年は格闘技のみならず様々なスポーツで練習環境の整備と改善が進み、
選手一人ひとりがより安全に、そして伸び伸びと練習に取り組めるようになったように見受けられます。
こうした環境の変化が、もともと持っている素晴らしい才能をより迅速に、そして無理なく開花させていることに疑いの余地はなく、
今後もそうした天才型ファイターの理解を超えたパフォーマンスを目撃する機会は増えていくでしょう。
”将軍”ジョナサン・ハガティーに学ぶ超攻撃的打撃テクニック
その端整な容姿と堂々たる出で立ちから”General(将軍)”の名を冠するジョナサン・ハガティーですが、
そのニックネームのもう一つの意味はずばり”全般的な能力の高さ(総合力)”に相違ありません。
彼の圧倒的パフォーマンスを支える総合力の高い打撃テクニックには、一体どんな秘密が隠されているのでしょうか。
タイトな(完成された)テクニックの数々
キックの那須川天心選手やボクシングの井上尚弥選手らにも当てはまる部分ですが、
彼らはいずれもタイトな(しっかりとした)基礎という名のバックボーンを持っています。
ハガティー選手の場合はムエタイを7歳から始めたとされていますが、
幼少の頃より形成されてきた彼の重厚な基礎の片鱗は、試合中はもちろん練習中の姿にも垣間見えます。
ハガティー選手の練習風景から得られる情報として、
・シャドーでもミットでもフォームを崩さない
・しっかりとしたフォロースルー
・タイトなコンビネーション
・一発一発に「遊び」が無い
など、いかに基礎を重視したトレーニングを続けてきたかが容易に見て取れます。
こうした特性は前述の通り結果を残している軽量級ファイターの多くに共通する項目であり、
「身体が小さいファイターが強くなるために必須の項目」と言い換えても差し支えないでしょう。
攻守バランスの取れたスタイル
驚くほど選手層の厚いONEですが、
ハガティー選手ほど攻守のバランスに優れた選手を探すのは至難の業です。
(ONEのムエタイは総合力の高い選手が名を連ねていますが、彼はその中でも突出しているように見受けられます)
ハガティー選手は攻撃テクニックが完成されているだけでなく、
・柔軟な上半身をフルに活用したディフェンス
・華麗かつ軽快なフットワークの数々
・状況に応じて使い分けるタイトなブロック
・キックに対する見切りの上手さ
など、防御テクニックも極めて高い水準にあります。
特に動体視力(反応)と上半身の柔軟さを活かしたスウェーバック、
受け速攻(ガード直後の速攻)の安定性は群を抜いており、
この上フットワークまで活用されるのですから、並みの対戦相手はお手上げです。
一切躊躇の無い肘打ち(エルボー)
ハガティー選手の代名詞的攻撃テクニックの一つは肘打ち(エルボー)に違いありませんが、
彼の恐ろしいところは、
・どんなタイミングでも
・どんな距離からでも
・どんな角度からでも
確実に相手を倒しに行く肘打ちが出せるということでしょう。
ベーシックな横軌道の肘打ち(カット・エルボー)はもちろん、
強烈な打ち下ろしの肘(ダウン・エルボー)、
フットワークを組み合わせた回転肘打ち(スピニング・エルボー)など攻撃手段は多岐にわたり、
それらを一切の躊躇いなく、フルで振り抜く姿勢にもノックアウトへの執念が見て取れます。
(たまに肘打ちが空を切りますが、彼は全力で打っているので大きく前のめりになります。要するに遊びが無いのです)
ハガティー選手はこれから総合(MMA)への転向も示唆していますが、
何の対策もしていない対戦相手は、彼の肘だけで文字通り血だるまにされてしまうことでしょう。
長い脚を活かした強い前蹴り(ティープ)
肘打ち(エルボー)の他にも、
長い脚をフルに活用した踏みつけるような前蹴り(ティープ)も、
彼の代名詞的攻撃テクニックの一つです。
ハガティー選手の前蹴りが他と違っている点は、
・圧倒的に長い射程(リーチ)
・上から踏みつけるように力強く蹴る
・相手の胴体だけでなく顔面も狙う
の3点であり、特に最後の「顔面を蹴る」という部分がポイントになっています。
通常前蹴りと言うと相手と距離を取ったり、
アグレッシブな相手の動きを制するために用いられることが多いのですが、
ハガティー選手は明らかに倒しに行く蹴り方をしています。
(よって積極的に相手の頭部を狙って蹴りを繰り出しています)
彼が同じ階級の選手の中ではリーチ面で優れていることも、
この前蹴りという技を多用することに関連していることに疑いの余地はありませんが、
持って生まれたフィジカルも技術も、高いレベルで効果的に活用できるからこそ機能していることを忘れてはいけません。
(単に体の大きい人がただ脚を投げ出すように蹴っても、相手は倒れません)
「穴のないファイター」の見本として
ここまでジョナサン・ハガティー選手の魅力とその強さについて、
管理人個人の私見によりお伝えしてきましたが、
彼のような完成された、言わば「穴のないファイター」というのは、
今後ますます増えていくのではないかと考えています。
上に述べた通り練習環境が充実していることはもちろん、
レベルの高い選手が互いに競い合い切磋琢磨する中で、
最終的には「何でもできる」「総合力が高い」選手が覇権を握る時代が訪れるのかもしれません。
言うまでもなく、強力な武器が一つしかないファイターは、
それを使えない状況に追い込まれたとたんに機能停止します。
(逆に言えばそうして相手を「処理していく」ということが、一つの課題ということになります)
仮に決定率がそれほど高くなくとも、使える武器を多く握っていることが、
結果的に相手へのプレッシャーにもなり、不利な局面を打開していく事にも繋がっていきます。
今回紹介させていただいたジョナサン・ハガティー選手は、
そんな「穴のないファイター」の見本であることに疑いの余地はありません。
既に完成されている印象の否めないハガティー選手ですが、
MMA転向など展望と可能性は広がるばかりです。
若き天才の今後の活躍から、目が離せません。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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