シナリオ別ソロ・ドリルNo.02【胸倉を掴まれた状態からの殴打】

シナリオ別ソロ・ドリルNo.02【胸倉を掴まれた状態からの殴打】

いつも心に1本のどす黒いトルクレンチを。どうもサイコ田中です。

ストリートファイトで最もメジャーなシチュエーションの一つは、

服の胸元(胸倉)を掴まれた状態から受ける攻撃です。

今回はそうした胸倉を相手に掴まれた状態からのカバー(ブロック)と、

安全かつ即効性の高い反撃をセットにしたソロ・ドリルをご紹介します。


”胸倉を掴んだまま”の相手などいない

護身術でよくサンプルとして示されるシチュエーションに、

「相手に胸倉を掴まれたら」というものがありますが、

あなたの胸倉を掴んだままじっとしている相手などいるはずがありません。

服や体の一部を掴まれてしまった場合、

・そのまま全力で殴られる

・力任せに振り回される(揺さぶられる)

・壁などに強く押し付けられる

など、必ず「そこから先」の展開が待っています。

当然のことながら攻撃者はあなたとダンスを踊ったり、友達になりたいわけではないのので、

腕や服の一部を掴んだままにらみ合う、といった状況ははほぼ起こりえません。

よって、「胸倉を掴まれた」という部分のみに着目した技術体系はほぼ無意味であり、

何の抑止力にもならない点に注意が必要です。

(そもそも相手の方が体が大きかったり力が強い場合、掴まれた状態から逃れるのは至難の業です)

胸倉を掴まれたとき、そこからどのような攻撃を受けるか、

またどういった危機的な状況が想定されるかをより具体的に、現実的にイメージすることが何より重要です。


胸倉を掴まれた状態からのブロック・反撃

ここからは、胸倉を掴まれた状態からの殴打を想定した基本のソロ・ドリルを、

効果的な反撃手段と共にお伝えします。

ソロ・ドリルを標榜しているように文字通り一人で、

限られたスペースの中で練習可能な内容となっていますが、

パートナーがいればなお効率的は違いありません。

(相手がいない場合、壁にテープなどで頭および胸の高さに目印をつけるとわかりやすくなります)

 

頭部のブロック

言うまでもなく、相手は片方の手であなたの胸倉を掴んでいるわけですから、

そちらの腕で殴られる心配はありません。リスクはゼロと考えていいでしょう。

(掴んだほうの手でグイグイと顎を圧迫される程度です)

まだ掴まれていないほうの腕による殴打を警戒し、

相手に左手で掴まれているなら左腕で、

右手で掴まれているなら右手で頭を覆うようにします。

(こめかみ辺りから髪をかき上げるようにするとイメージしやすいかと思います)

全人口の10%が左利きとされているように、ほとんどの攻撃者は右利きと考えていいため、

特に左腕で掴まれた状態から、右腕で殴られる状況を想定するといいでしょう。

 

相手の腕を両腕で抑える

現代護身術の基本的なテクニックとして、2on1ディフェンスというものがあります。

ナイフを持っている腕などを2本の腕でしっかりと押さえつけ、

確実にホールドし急に引き抜かれるなどのリスクを軽減するメソッドですが、

相手が非武装の場合でも有効と言えます。

特に非力な女性などにとって不可欠なテクニックであり、

これを知っているか知らないかで生存率に大きな差が出ると言っても過言ではないでしょう。

やり方はいたって簡単で、

自身の胸の前で、相手の腕をしっかり両腕で抱きかかえるようにイメージするだけです。

(ターゲットは胸倉を掴んでいるほうの腕です。殴りに来たほうの腕を掴むのは難しいのでオススメしません)

相手の肘が伸びるように前腕・上腕の両方にしっかりと力を加え、

腋の下に相手の手が、胸の前に肘があるような位置関係を作れるよう意識しましょう。

 

間髪入れずに頭突き・金的蹴り

相手の腕を掴むことに成功しても、

ぼんやりしていると掴んでいないほうの腕で殴られます。

相手の腕を掴んでしっかりと上半身の動きを制することが出来たら、

そこから間髪入れずに頭を振って頭突きを入れるか、

股間(金的)に膝蹴りなどを叩き込む必要があります。

胸の前でしっかりと腕を組み、相手の頭がどこにあるかをイメージして頭突きを2回、

金的蹴り3回程度を1セットした動作を繰り返し、

ブロックからホールド、反撃までのセットをしっかりと体に覚え込ませることが大切です。

(感覚がつかめない場合は頭突きのみ、金的蹴りのみを練習しても問題ありません)


迷ったら「先制攻撃」でもOKだが……

服や体の一部を掴まれた時点で相手の暴行罪は成立しているため、

やりすぎなければあなたの正当防衛は半自動的に成立します。

よって胸倉を掴まれた瞬間に鼻や喉、目の辺りにパンチを叩き込むのが最も速く確実なアプローチには違いありませんが、

周囲に目撃者がいる場合、あなたが「先に手を出した」と捉えられ、

法的に不利な立場に置かれる可能性も否定はできません。

ぼんやりしていると致命的な攻撃を受けてノックアウトされるリスクがあることも確かですが、

可能な限り先に手を出させたうえで、

・自己防衛の意思があること

・自己防衛の必要性があること

・やむを得ずとった行動であること

などを確定させることが、法的な面でのリスクを軽減することに繋がります。

しっかりと正当防衛を成立させるためにも、

「先に手を出されて強い身の危険を感じ、仕方なく反撃した」というスタンスが何よりも大切です。

(相手に致命傷を負わせてしまった場合、有罪は免れないため注意が必要です)

 

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました。