OODAループを用いたセルフディフェンス・メソッド
- 2020.01.28
- 護身術
いつも心に1台の改造自転車を。どうもサイコ田中です。
突然ですが皆さんは、OODAまたはOODAループというものをご存じでしょうか。
OODAループはアメリカで考案された軍事分野における意思決定メソッドですが、
現在ではビジネスや政治の場面でも広く活用されています。
今回はそんなOODAループを防犯および護身に生かすための考え方についてお話しします。
模範的なドライバーは誰でも知っている理論?
OODAループとは、
O:Observe(観察)
O:Orient(状況判断)
D:Decide(決定)
A:Act(行動)
といった4つのセクションの頭文字を取った意思決定メソッドであり、
一番最初のO=Observe(観察)からA=Act(行動)までの流れを絶え間なく繰り返すことから、
OODAループと呼ばれます。
実はこの考え方、模範的な運転者は誰もが無意識に用いている理論かもしれません。
自動車の運転は、
・認知
・判断
・操作
という3つの要素から成り立っています。
運転中は認知から操作までの流れを絶え間なく繰り返すことで安全を確認し、
事故を未然に防ぐためにブレーキやハンドルなどを適切に操作しなければなりません。
この考え方はまさしくOODAループのそれと重なるものであり、
運転の三要素における認知の部分に、OODAループの2つのOが含まれていると考えればわかりやすくなります。
いきなりOODAループなどという単語を聞かされても何が何だかわかりませんが、
運転中の思考パターンに当てはめていくと、イメージしやすくなるかもしれませんね。
防犯・護身におけるOODAループの活用方法
ここからは具体的な例を挙げながらOODAループを防犯または護身の目的で用いる際のポイントについて、
OODAの頭文字に対応した4つの項目に分けてお話しします。
Observe(観察)
護身の分野において最も重要な項目となるのが、最初のO=Observe(観察)です。
ここを蔑ろにしてしまうと続く3つのセクションにネガティブな影響を及ぼし、
最後の最後――A=Act(行動)に至るまでの時間が長くなったり、誤った対応を取ってしまう恐れがあります。
危機的な状況においても常に視野を広く保ち、冷静に状況を観察することが大切です。
(例)駅の構内または電車内で刃物による殺傷事件が発生した場合
・駅員や鉄道警察隊から具体的な避難指示などは出ているか(構内アナウンスや車内放送)
・他の乗客はどの方向に動いているか(事件が発生している場所の推定)
・警察官や救急隊員の姿は見えるか
・被害に遭った人(攻撃を受けた人)が近くにいないか
などを冷静に見極めていくことが考えられます。
Orient(状況判断)
O=Observe(観察)に次いで重要なセクションが2つ目のO=Orient(状況判断)です。
Observe(観察)によって集められた情報をもとに、現在自身が置かれている状況を把握することが主な目的ですが、
大切なことは、必要に応じて最初のO=Observe(観察)に戻ることです。
状況判断にはまだ情報が不十分だと感じる場合や、周囲のパニック状態などにより局面の見極めが困難な場合は、
時間をかけて観察することが必要不可欠です。
(2つのOは状況によって行ったり来たりを繰り返す可能性があります。臨機応変に対応しましょう)
(例)駅の構内または電車内で刃物による殺傷事件が発生した場合
・避難指示やアナウンスが聞こえない→情報が不十分(最初のOに戻る)
・乗客の動きがバラバラ→容疑者の居場所や事件の発生個所はわからない(最初のOへ)
・警官や救助隊員の姿が見える→少なくとも自分がいる場所の周囲は安全(次のDへ)
***警察官などが近くにいるからと言って油断は出来ないため最初のOへ戻る選択肢もある***
・被害に遭った人が近くにいる→自分も攻撃される可能性がある(すぐにDへ)
***緊急性の高い場面ではDを飛ばしてAへ移行することも考慮する***
Decide(決定)
文字通り、次に取るべき行動を決定します。
2つのOをおろそかにするとここでの意思決定に時間がかかったり、判断を誤る恐れがあります。
緊急事態こそ情報収集と状況判断に重きを置き、スムーズな意思決定に繋げる意識が大切です。
(例)駅の構内または電車内で刃物による殺傷事件が発生した場合
・避難指示やアナウンスが聞こえている→指示に従って動くことを決める
・乗客が全員同じ方向に動いている→後に続くことを決める(上のOに戻って状況を見極めてもよい)
・警官や救助隊員の姿が見えない→警察や消防へ通報するかどうかを決める
・被害に遭った人が近くにいる→助けるか逃げるかの二択(どちらが正解かは状況による)
Act(行動)
最後の最後、行動に移す局面です。
ここまでのOからDに大きな誤りがない限り、ある程度の生存率は保証されると思われますが、
どんなことにも絶対はありません。不測の事態に備え、いつでも最初のOに戻る心構えが重要です。
また行動に移した直後にそれが間違いだと気付いた場合も、落ち着いて最初のOからやり直すことで修正できる可能性が残されています。
場合によっては行動に移すことを保留するという考え方もあります。
(例)駅の構内または電車内で刃物による殺傷事件が発生した場合
・避難指示に従って安全な場所まで移動する(最初のOに戻る)
・他の乗客の後に続いて移動する(Oに戻る)
・警察へ通報して現在の状況を伝える(警察とのやり取りを経て再びOへ)
・被害に遭った人を助けて安全と思われる場所へ移動する
***負傷者を下手に動かすと容態が悪化する恐れがあるため注意が必要です***
ゲームで楽しくトレーニング
車の運転はOODAループと密接な繋がりがあると述べましたが、
実はゲームをプレイする際にも同様の思考ルーチンが使われています。
特に目まぐるしく戦況の変化するシミュレーションゲームや、戦略的な要素の強いゲームにおいて顕著であり、
FPS(FirstPersonShooter)などと呼ばれる一人称視点型シューティングゲームでは、
OODAの考え方をより直感的に、そして実戦的な形で学ぶことができます。
FPSを通してOODAループを無意識に使うことを覚えるのと同時に、
OからA――すなわち観察から行動までの流れをよりスムーズに、そして迅速に行う能力を磨くことができます。
たかがゲームと思われるかもしれませんが、
・相手の行動を予測する
・身を隠す場所を探す
・逃げるか戦うかを決める
など、現実的なリスクへの対応力も高められることは間違いありません。
ここに「武器を探す」「安全地帯へ移動する」といった要素が加わったバトルロイヤルシューターはまさにセルフ・ディフェンスを学ぶのにうってつけと言えます。
ただの息抜き、ストレス解消としても十分楽しめる内容となっていますので、1日30分程度を目安にプレイされてみてはいかがでしょうか。
低スペックPCでもプレイ可能なPUBG LITE、スマートフォン等でプレイできるPUBG MOBILEがオススメです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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