【QuickTIPS】コンタクト・マネジメントと効果的な速攻【護身術】

【QuickTIPS】コンタクト・マネジメントと効果的な速攻【護身術】

いつも心に1年分の乾燥ピーマンを。どうもサイコ田中です。

現代護身術には様々な考え方やアプローチが存在しますが、

近年特に欧米においてその有効性が強く示されるようになりつつあるアイデアに、

”コンタクト・マネジメント”があります。

一体どのようなコンセプトなのでしょうか。


距離とタイミングを支配するということ

護身術のみならず、格闘技などコンタクトスポーツにおいても、

距離とタイミングを支配することはある意味で至上命題と言えるでしょう。

 

相手との距離感を適切に維持することは身を守ることに直結するだけでなく、

自分が攻勢に転じる際にも主導権を握ることに繋がります。

また効果的なタイミングでのブロック・カウンターはそれだけでファイトを完結させる強力な武器であり、

圧倒的な力やスピードさえも凌駕する切り札となります。

 

この距離とタイミングを支配するパフォーマンスを非常に高いレベルで実現しているのが、

元UFCの二階級制覇王者、コナー・マクレガー選手です。

彼はサウスポースタイルから右手を相手の方へ伸ばすようにして距離を測るセンサーにし、

的確なタイミングでカウンターを合わせることでいくつもの勝ち星を挙げてきました。

このスタイルをまた違う形で活用しているのはK-1の二階級制覇王者、野杁正明選手です。

彼は顔の前に構えた両腕をセンサー代わりに距離感や相手のリズムを読み取り

強烈なボディーや顔面への膝蹴りで国内外を問わず数多の強豪を葬り去ってきました。

本人曰く近眼というハンデをカバーするため出来上がったスタイルとのことですが、

現在では彼のプレッシャーをかけるファイトスタイルとも非常によく噛み合い、

効果的なファイトスタイルとして確立されている印象を受けます。


コンタクト・マネジメントと受け速攻

ここからはコンタクト・マネジメントに関する解説だけでなく、

実戦で活用できる効果的な速攻パターンも併せて紹介します。

老若男女を問わず実践可能な内容に絞ってお伝えいたしますので、

身を守ることに興味をお持ちの方は是非参考になさってください。

 

腕一本分のスペースを常に保つ

相手が素手の場合であれば、

原則的に腕一本分の距離を保つことで直接被弾の確率は大きく低下します。

 

何も難しいことはありません。

あなたが目の前の相手に対して片方の腕を前に突き出したとき、

相手がその手に触れない距離を常に維持するよう後退または横移動をし続ければいいということです。

これがコンタクト・マネジメントの第一歩であり基礎となります。

(欧米のメソッドでKeeping Arm’s Length:KALと称されるテクニックです)

 

この腕を突き出すという単純な動作は、相手との距離を維持するだけでなく、

・相手を踏み込みにくくさせる

・相手の攻撃を妨害する

・腕を振り払う隙を作らせる

といった副次的作用もあり、護身テクニックとしての効果は十二分です。

 

パンチをブロックするとか直線的なパンチを打つといった格闘技ベースの技術を一切知らずとも、

腕を前に突き出して「近づくな」と制するだけなら、誰にでも実践できますね。

 

相手の腕を振り払う動作と速攻

さて、腕を前に突き出して後退し続けているだけでは状況が好転することはありません。

後ろに壁が迫ってきて逃げ場がなくなったり、相手が掴みかかってきた時が勝負の瞬間です。

 

ここでは相手が片手で掴みかかってきた場面を想定して考えます。

1.突き出している方の手で相手の手を払いのける(叩き落とす)

2.払いのけた勢いを使って上体を回旋させる(タメを作る)

3.払いのけた手と逆側の腕で顔面にパンチを叩き込む(受け速攻)

 

最初のステップで相手の腕を押さえつけたり、掴んで制してしまっても構いません。

大事なことは自分の体に触れさせず、服の一部などを簡単に掴ませないよう防ぐことです。

次に相手の手を制した動作を使って半身を切り(半歩下がってタメを作る)、

攻撃に転じるための体勢を作ります。

手を払う動作と斜に構えるステップは、一挙同で(ほぼ同時に)、

相手に攻撃の意図を悟らせないよう短い時間で終えることが肝要です。

半身を切ると同時にもう片方の手を振りかぶり、相手の側頭部または顔面を狙い、

フックまたはストレートを直撃させます。

一撃で終わらせるのが理想ですが、インパクトが甘ければ更に打撃を重ね、

完全にフィニッシュするイメージで畳みかけましょう。

 

払った手でそのまま打つフック・肘打ち

上で紹介したテクニックでは相手の手を払う動作と攻撃動作が分かれていましたが、

完全に一挙同で完結させる方法もあります。

それが払った手でそのまま打つフックと肘打ちです。

 

ボクシングには少し汚いテクニックとして、

相手のガードを下げさせて(払いのけて)そのままパンチを打つやり方があります。

これの応用として、相手が掴みかかってきた手を払いのけて、そのままフックを食らわせることができます。

やり方はいたってシンプルで、

相手の手を払いのけたら、そのまま小さく前進または後退しながら同じ手でフックを打つだけです。

大きなタメが作れない分、ステップの体重移動で破壊力を増す必要がありますが、

小さな動作で、尚且つ予期しないタイミングと角度から打てるためその効果は絶大です。

 

またムエタイで用いられるテクニックとして、相手のガードしている手を小さく払って、

そのまま水平方向の肘打ちを叩き込むというアプローチも護身に応用が可能です。

相手が触れようとしてきたらその手を上から押さえつけるようにして手前に引き寄せ、

小さく前にステップインしながら肘の先を顔面へ押し込みます。

肘は人間の身体の中でも特別な鍛錬なくして生まれつき非常に硬い部位となっているため、

その衝撃とダメージは想像を絶します。

現在海外の大規模格闘技プロモーターONEで活躍中のジョナサン・ハガティー選手が多用し、

ハイライト映像でも前手で触りに行き、肘を打ち込む動作が繰り返し確認できます。


イメージトレーニングは一人でもOK

さて、ここまでコンタクト・マネジメントの考え方と実戦への応用について解説してきましたが、

イメージトレーニングは一人でも十分に行うことが可能です。

 

相手の腕を模した柔らかい棒状の物や木の枝を手で払い、

踏み込んでパンチを打つ動作を繰り返し確認していくだけでも、

実戦対応力は格段に向上します。

また上体を捻ってタメを作る動作も、何度もその場で確認しながら行い、

スムーズにパンチへ繋がるイメージが構築できればそれで十分です。

 

あとは自信をもって毅然とした態度で相手と向き合い、

もしも危害を加えられそうになったら、落ち着いて腕を前に突き出して、

強烈なカウンターをお見舞いしてやりましょう。

ここまで真剣にこの記事を読んでくださったあなたになら、必ずできるはずです。

 

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました。