【QuickTIPS】パンチが”手打ち”になってしまわないために【護身術】
- 2024.12.08
- 護身術
いつも心に1本の艶消しスプレーを。どうもサイコ田中です。
格闘技を学び始めたばかりの方などによく見られる間違いに、
「パンチが手打ちになっている」というものが挙げられます。
よく耳にする言葉ですが、パンチの”手打ち”とは一体どういう状態で、
どうすれば改善できるのでしょうか?
”手打ち”がダメとは限らない
所謂格闘技や武道におけるパンチの”手打ち”とは、
肩や腰などが十分に回旋せず、腕だけで打っている状態を指す表現ですが、
これが完全に間違いかというと、そうでもないと管理人は考えています。
確かに腰や肩を十分に回旋させ体重を乗せたパンチというのは強力で、
人体の構造的にも見ても合理的に違いないのですが、
目の前の相手を制圧することが目的ならば、
そこまでフォームや体重移動などに拘る必要は無いように思います。
(というかそんなことを意識している時間がありません。勝負は一瞬です)
実際完全な手打ちで体重なんて全く乗っていなかったとしても、
いきなり不意打ちのタイミングで目を狙ったジャブが正確に刺されば、
相手は瞬間的に行動不能となります。
身を守ることが目的ならば、これで十分なわけで、
「なんだよ手打ちじゃねーか」なんて言ってくるような輩は放っておけばいいのです。
大切なのは目的意識と合理性であり、
これを読んでいる方が身を守ることを目的としていて、
今後格闘技の試合に出場することなどを考えているというわけではないのなら、
自分のパンチが”手打ち”かどうかなどということは、あまり気にする必要は無いでしょう。
パンチが”手打ち”にならないための3つのポイント
ここからはパンチが”手打ち”にならないために知っておくべき重要な要素を、
ややこしい人体の構造などはなるべく省きながら、3つお伝えします。
女性や小さなお子さんでも実践できる内容となっておりますので、
身を守ることのみならず格闘技や武道に興味をお持ちの方も、是非参考にしてみてください。
腕は「後からついてくる」というイメージ
これもよく耳にする言い回しなのですが、
「腕はあくまでも後からついてくるだけ」というイメージを持つことは、
”手打ち”を脱するために最も重要と言っても差し支えありません。
全く格闘技や武道の経験が無い方に、
「ちょっとパンチを出してみてください」とお願いすると、
9割以上の方がお手本のような”手打ち”を披露してくださいます。
これは言うまでも無く、
「パンチは腕を振って打つもの」という意識が前提にあることを示すものです。
要するに「腕を振りまわす行為=パンチ」と認識しているわけですね。
実際にパンチというのは足元から始まり全身の各関節が非常に短い時間で連動し、
結果的にそれが拳の先に伝わって大きな破壊力を生んでいる、という現象なわけですが、
知識の無い人間が見れば腕をぶん回しているようにしか見えないのは仕方がありません。
ですが我々が目にしているKOシーンなどの多くはあくまでもパンチという現象の結果に過ぎません。
肘の先をぶつければ肘打ちに、それが足先を使ったものならば蹴りになるのであり、
格闘技における身体操作、大まかな動作のメカニズムは共通、そして一貫しています。
それは「全身を使っている」ということであり、
逆にそうでないものは全部”手打ち”と言われてしまうわけです。
「押して引く」という意識
外国人インストラクターの多くは「もういいよ」と言いたくなるほど、
「Push and Pull(押して引け)」という言葉を頻繁に使います。
実は打撃だけでなくグラップリングなど様々な場面で重要なキーワードなのですが、
これは”手打ち”の呪縛から解放してくれる魔法の言葉でもあるのです。
押して引く——あまりにも抽象的な表現ですが結局のところ、
パンチを出している腕の方を「押す」側と考えたとき、
反対側の肩は後ろに「引け」という意味になるのです。
押してダメなら引いてみろ、ではありません。押しながら引くのです。
パンチの腕と逆側の肩を引こうとすると、
必然的にパンチを打っている腕がもう一段階前に出ようとして、
結果的にリーチも伸び、しっかりと肩が回ったパンチの形になります。
この時点でもう”手打ち”の段階を凌駕した威力が出るようになります。
更にここから引いたほうの肩をストレートやフックに繋げようとすると、
「捻じれた状態からの回復(反発)」により大きな力で肩から先が弾き出され、
更に強力な打撃が打てるというおまけもついてくるのです。
(弾力のあるものを雑巾のように絞ると、元に戻ろうとする性質を利用しています)
足元は勝手に動き出す
さて、ここまで”手打ち”を回避するためのポイントを2つお伝えしましたが、
ここまでの説明が理解できた方ならば、恐らく足元——すなわち下半身の動作は、
説明しなくても勝手に出来ていると思います。
というか、そうなっていてもらいたいのです。
(それが正しいパンチの打ち方だからです)
よくボクシングなどの指導員が鼻息を荒くして「パンチは脚から打つんですよ‼」と息巻いていますが、
全く予備知識の無い初心者の方たちからすれば完全に意味不明でしょう。
爪先を回転させて……などと説明してもパンチとの関連性が解説されていないため、
ますます謎は深まるばかりです。こういう教え方は個人的にあまり好きではありません。
上の2項で”手打ち”の意味と回避するためのイメージを伝えましたが、
これをそのまま体で表現しようとしたとき、
足元の動きは勝手についてくるのです。
下半身の動きを止めてしまうとバランスを崩して、
前につんのめったり、打ち終わりに上体が大きくふらつくからです。
そうならないような立ち方と腰の回旋が正しく行われれば、
誰に教わらなくとも勝手にパンチと同時に爪先が回転し、
内腿を絞り込もうとするはずです。
運動神経の悪い管理人でさえ、自分の動きがロボットみたいで気持ち悪いことに気づき、
勝手に足元の動きを付け足したくらいですから、絶対に普通の人は気付きます。
鏡を見ながらパンチを出して、「俺の動き、何かおかしくねぇか……?」と思った人は、
ほぼゴールにたどり着いています。
そしてその違和感は、下半身を動かした瞬間に解消されるはずです。
練習するなら肘打ちから
パンチをいきなり練習しようとすると、
どうしても「腕を振る」イメージが先行してしまい、
結果的に”手打ち”になってしまうという方は少なくありません。
従って最初からパンチを練習するのではなく、
まずは肘打ち(エルボー)の動作を習得し、
腰・肩といった上半身の連動が正しく行われること、
そしてそれに下半身の動作が付随することを身体に覚え込ませると、
後からパンチの練習に移行したときとても簡単に感じることと思います。
いわば肘打ちとは拳の代わりに肘をぶつけるパンチであり、
基本動作はパンチとそう大きくは変わりません。
この説明ではわかりにくいという方は、
少々荒っぽい例えですが、歩いている最中すれ違いざまに肩をぶつける動作をイメージしてほしいのです。
あれはまさに肩を使ったパンチであって、腕を振らないパンチ——いわば肩パンチとも言えるものですが、
この動作から徐々にリーチを伸ばし、当てる部位を肘にしたものが肘打ち、
拳に変えたものがパンチ、という風に解釈してもらえればいいのかなと思います。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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