セルフディフェンスと日本の法律

セルフディフェンスと日本の法律

いつも心に1皿のコオロギ料理を。どうもサイコ田中です。

護身術を学ぶ上で大切な要素はいくつもありますが、

法的な側面からのアプローチはどうしても後回しにされがちです。

今回は現在日本で施行されている法律に基づき、

身を守る上で知っておくべきことについてお話ししたいと思います。


トラブルを回避することが最優先

言うまでもなく、どのような場面でもまずはトラブルを回避するために最善を尽くすことが一番です。

自動車を運転している最中であれば「急に割り込まれた」だとか、

電車の車内であればヘッドフォンの音漏れを注意されたとか、色々な理由が考えられますが、

怒りのピークは5秒から6秒と言われています。

もしキレてしまいそうになったときは、深呼吸を数回繰り返し、この5秒から6秒をどうにかやり過ごしましょう。

そして相手をキレさせてしまわないよう、態度や言動には十分注意し、

もしも自分に非があると明らかにわかる場面ならば、きちんと誠意をもって謝罪することが大切です。

対人トラブルの多くはどちらかがモラルや常識を欠いた振る舞いをするところから引き起こされます。

相手が悪いとわかる場面でも言葉や態度で相手を詰るようなことは避け、

自分から相手を煽ったり刺激するようなことが無いように注意しましょう。

(トラブルの場面で相手の顔にカメラを向ける、ファイティングポーズを取るなどは以ての外です)


護身術を学ぶ上で絶対に知るべき法律

ここでは実践的なセルフディフェンスを学ぶ上で絶対に外せない法律について、

大切なポイントのみに絞って紹介します。

(本格的に解説するとかなり複雑・難解になるため、詳細は割愛させていただきます)

 

暴行罪/傷害罪

現在の日本の法律では、手を出した時点で100%適用されます。ほぼ確定です。

・服をつかむ

・肩を突き飛ばす

・水や飲み物をかける

など、パンチやキックなどのような典型的な暴力行為以外でもあっけなく成立するため注意が必要です。

そして一番大切なことは、

防衛者が自衛(護身)の目的で手を出したとしても形式的には成立するという点です。

 

正当防衛

刑法36条1項において、「急迫不正の侵害に対して、自己又は他人の権利を防衛するため、やむを得ずにした行為は、罰しない」と規定されています。

一つひとつ見ていきましょう。

まず”急迫不正の侵害”という文言についてですが、

これはシンプルに表現するならば、「相手が違法行為をした場合」ということになります。

上で述べたような暴行・傷害は既に違法行為なので、手を出された時点でまずこの最初の条件はクリアとなります。

次に”自己又は他人の権利を防衛するため”とありますが、

これは文字通り「自分の身を守るため」ということになります。

大事なことは、自己防衛の目的と意思がそこにあることです。

手を出す理由が自分を守ることではなく、「相手を攻撃すること・傷つけること」では成り立ちません。

この点に注意が必要です。(相手を仕草や言葉で挑発・刺激した場合も当然アウトです)

そして最後に、”やむを得ずにした行為”という部分ですが、

「ほかに手段がなかった」「手を出すことが最後の手段だった」という意味合いに他なりません。

当ブログではあくまでも”手を出すのは最後の手段”と色々な場所で述べてきましたが、

法的な意味合いでも非常に重要なことであるため、繰り返しお伝えします。

あなたが手を出してもいいのは最後の最後、どうしようもなくなった時だけです。

決して忘れないでください。

 

過剰防衛

正当防衛の範囲を超えてしまった場合、

要するに「やりすぎてしまった」ような状況では、過剰防衛に問われるかもしれません。

あなたの目的があくまでも身を守ることであり、頑なに正当防衛を主張したとしても、

現場に駆け付けた警察官や裁判官が見るのは事態の結果だけです。

もしもあなたが相手に命に関わるような大けがを負わせてしまったり、

防衛の目的を逸脱した凶器(金属バットやナイフなど)を用いた場合は過剰防衛とみなされても仕方ありません。

相手の人数や体格、置かれている状況など様々な条件から総合的に判断されるため、

過剰防衛に問われるかどうかは状況次第であり、すべては裁判官次第ですが、

・倒れた相手を殴り続ける

・自分に敵意を向けていない相手を攻撃する

・刃物で襲い掛かる

などは完全にアウトです。

あなたの目的が自己防衛で、報復や襲撃ではないことが明らかにされていなければ、

過剰防衛に問われても文句は言えません。やりすぎには十分注意しましょう。


護身用ツールの扱いには注意が必要

他の記事でもお伝えしてきたことですが、

護身を目的としたツールの所持と取り扱いには注意が必要です。

あなたの目的が身を守ることでも、

その機能が護身の目的を逸脱していると判断されたときや、

実際に相手を過剰に傷つけてしまった場合有罪判決は免れません。

催涙スプレー、特殊警棒、タクティカルペン……世間には様々なツールが出回っていますが、

本当にそれを使うべきなのか、使ってもいいのか、決めるのはあなたです。

法的な側面などを慎重に見極めたうえで、それでも自分には必要だと思う場合のみ購入・携行するようにしてください。

あなた自身が犯罪者にならないために、とても大切なことです。

 

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。