なぜ格闘家は脚が細いのか
- 2019.08.06
- 筋トレ
いつも心に一杯のしじみ汁を。どうもサイコ田中です。
管理人はよくジムに行くと周りから「脚トレやってないの?」と言われます。
以前はきちんと理由を説明していましたが、
最近ではそれも面倒になったので「嫌いだから」と答えるようになりました。
格闘家の方の身体を見ると、一部の例外を除いては、上半身に対して下半身がやや細く見えることが多いと思います。
何故このようなことが起こるのでしょうか?
今回は格闘技と筋トレ、特に下半身のトレーニングについてお話したいと思います。
なぜ格闘家の下半身は細く見えるのか
ここでは格闘家の下半身が細い、あるいは細く見える理由について、
競技の特性など4つの観点からお伝えしたいと思います。
格闘家の身体に憧れている方や、下半身痩せに興味をお持ちの方は参考になさってください。
上半身があまりに発達しすぎているため
単に上半身が大きすぎるので、
コントラストが強まって下半身が貧弱に見えてしまうことが多いようです。
そのように「見えている」だけですから、実際は下半身もかなり鍛え上げられているわけですが、
それよりも上半身の比重が大きいため、相対的に小さく見えてしまうだけとも考えられます。
(UFCファイターのジェレミー・スティーブンス選手などがわかりやすい例です)
特に総合格闘技の場合、相手を殴る以外に掴んで持ち上げたり、組み合った姿勢からの駆け引きなど、
単純な上半身の力に頼る局面が多いため、このようなことが起こります。
(人間一人を平気で投げたり持ち上げたりできるのに、下半身が弱いということはあり得ません)
鍛えてもあまり意味が無いから
パンパンに血管が浮くまで追い込んでも、格闘技にはそこまで役立たないかもしれません。
キックは下半身の力を使って蹴るのではなく、
腸腰筋などどちらかと言えば腹筋に近い筋肉を使って蹴るからです。
(よってほとんどのムエタイ・キックボクシング選手は腰回りが異様に太くなっています)
タイ人のムエタイ選手や指導者の中には「大丈夫なの?」と思うくらい脚の細い人が多いですが、
彼らの蹴りは驚くほど強力です。
それもそのはず、本場タイのファイターは脚の力を使って蹴らないからです。
ミドルキックの連打などは、上手に脱力が出来ないとすぐに脚が疲れて息が上がります。
特に脚を「鞭のようにしならせる」イメージを持つことで知られるムエタイの蹴りなどは、
蹴り足をいかに素早く引くことができるかが重要なポイントであり、
丸太のような鍛え上げられた脚では、逆にパフォーマンスが落ちてしまう可能性さえあるのです。
減量の過程で自然に落ちる
自分の適正体重(階級)に合わせて身体を絞っていく過程で、
下半身は上半身よりも小さくなる傾向があるように見受けられます。(逆の人もいるかもしれませんが)
格闘家の多くはどちらかというと上半身の筋力を重視するので、
減量期間に入ると下半身だけを狙って鍛えるようなことはほぼなくなります。
特にボクシングの場合はとにかく縄跳びとロードワーク(走りこみ)、シャドーなどで汗を出していきますから、
下半身は必然的に細くしなやかな印象になります。
(陸上長距離選手のようなシルエットを想像していただくとわかりやすいかもしれません)
ストレッチの頻度と柔軟性の影響
静的ストレッチ(一般的な柔軟体操)が筋肥大に影響することが明らかにされている通り、
ストレッチの頻度と関節の柔軟性が筋肉のつき方に影響を与えている可能性は高いと言えます。
特にキックボクサーなどの場合、ハイキックを始めとした蹴り技を効果的に運用するため、
股関節および下半身全体の柔軟性は欠かすことができません。
さらにグラップリング系種目においては怪我を防ぐだけでなく技のかかり具合にも影響するため、
全身のストレッチに置かれる比重が極めて高く、
驚くほど華奢な印象を与える体型の選手が多いことも事実です。
またボクサーなどは更に減量と体型維持がここに含まれるため、
一般の人々に比べかなり着痩せする傾向にあることで知られます。
細いほうが有利な場面も
柔術などでは脚を使ってかける絞め技も多く、
これらの技は脚が太いとやりにくいうえに、効果を最大限に発揮できません。
(上半身についても同様です)
柔術ベースの総合格闘家は細身の選手が多く見られますが、その体型にはちゃんと理由があるということです。
またシンプルに下半身を鍛えすぎると好きな服が着られなくなるというデメリットもあります。
スタイルやファッションを気にする方にとって、過剰な脚トレは天敵ともいえる存在であり、
見た目の印象やシルエットを崩したくない方にとっては、
積極的に取り組む意味があまり無いというのも事実でしょう。
特に日本人男性の場合下半身がパンパンに発達しているよりも、
やや細いぐらいのほうが異性からの印象は好ましいものになるでしょう。
下半身の筋肉に限らず、とにかく強く・デカくすればいいというわけではありません。
(ましてボディビルダーでもない一般人にとっては歩く・走るが無理なくこなせればそれで十分です)
何の意味もない「脚トレマウント」を取ってくる残念な人々のことなど気にせず、
各々の目的に合った安全かつ合理的なワークアウトを続けていきましょう。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
(2020年7月16日 大幅に加筆修正)
-
前の記事
今日から始める護身術13【誰でも使える簡単なトリック】 2019.08.05
-
次の記事
「合気道はインチキ」について思うこと 2019.08.07