【護身】”ホッケーファイト・コンセプト”で身に着ける次世代のCQC【リアルファイト】

【護身】”ホッケーファイト・コンセプト”で身に着ける次世代のCQC【リアルファイト】

いつも心に1台のコンクリートカッターを。どうもサイコ田中です。

突然ですが皆さんは、”ホッケーファイト”というという言葉をご存じでしょうか。

北米などでメジャーな競技の一つであるアイスホッケーでは、

暗黙のルールとしてコート(ホッケーリンク)上におけるファイト(喧嘩)が認められており、

中にはファイト専門の戦闘要員(エンフォーサー)のようなポジションも存在するほどです。

当然ながらホッケー選手らは極めて摩擦の少ない氷の上で器用にバランスを保ちながら殴り合いを繰り広げるわけですが、

彼らが持つノウハウは、路上のリアルファイトにも応用することが可能と考えられます。

今回はそうした”ホッケーファイト”をヒントにした全く新しいセルフディフェンス・コンセプトを、

一人でも出来る練習方法と共にお伝えしたいと思います。

(「全く新しい」などと記しましたが、実はアメリカではずっと昔からある伝統的なテクニックに違いありません)


まずは相手と十分な距離を保つことから

言うまでもありませんが、護身術の目的は身を守ることであり、

ファイトで相手を打ち負かすことではありません。

とても大切なことなのでもう一度お伝えします。

我々の目的は、生き残ることであり、相手を倒して再起不能にすることではありません。

この記事のみならず、当ブログでお伝えしている内容は全て、

この点に十分留意してお読みになってください。

 

ファイトが始まりそうな雰囲気になったとき、

目の前の相手とトラブルになりそうな気配を感じたとき、

あなたが真っ先にすべきことは、対象から距離を置くことです。

 

手が届く距離になってしまうと、ファイトが始まるのは時間の問題であり、

残念ながらセルフディフェンスにおける最悪の状態に相当する、

「やるしかない」状況に陥ってしまいます。

 

こうなると体格差があろうとなかろうと、

相手の手に凶器があろうとなかろうと、

生き残るために出来る全ての努力と抵抗が求められます。

(例:大声で助けを呼ぶ、近くにあるものを投げる……etc)

 

ここから無傷で生き残るというのは至難の業であり、

よほどフィジカルや経験の面で優位に立ってでもいない限り、

その場で命を落とすリスクまで考慮しなくてはなりません。

このような最悪の事態を回避するためにも、

まずは目の前の差し迫った脅威から距離を置き、

手の届かない安全な間隔(2メートル以上が好ましい)を保つ工夫が必要です。


”ホッケーファイト・コンセプト”で接近戦を制するために

ここからは”ホッケーファイト・コンセプト”によるセルフディフェンスで身を守るために知っておくべきことについて、

実戦的なテクニックを中心に5つの項目に分けてお伝えします。

一人でも出来る練習方法も併せて紹介していますので、

身を守ること、護身術に興味をお持ちの方はぜひ一度参考になさってください。

 

基本は「押して引く」

”ホッケーファイト・コンセプト”の基本はいたってシンプルであり、

「押して引く」——これだけです。

(全く説得力がありませんが本当にこれだけです)

 

 

まず大前提として、氷上のように足場の不安定な状況では、

互いがしっかりとつかみ合っていなければすぐに転倒してしまいファイトになりません。

 

パンチは主に下半身からパワーを伝えることがダメージ増加のポイントになりますが、

踏ん張りの効かない状況ではそうもいきません。

ホッケーファイトにおいて選手らは、不安定な氷上という条件で効率的に大ダメージを与えるため、

「押して引く」(Push&Pull)というシンプルなテクニックを多用しています。

 

下半身から力を伝えられなくても、

相手を押して距離(空間)を作り出し、

そこから強く引く力を組み合わせてパンチを繰り出すことにより、

最小のコストで最大のダメージを生み出せるという仕組みです。

 

こうした考え方は特に非力な女性や小柄な男性にとっても有効であり、

相手を押して引くのと同時に金的や腹部に向けて膝蹴りを放ったり、

相手が押す力に抵抗しようとして前のめりになった瞬間に頭突きやパンチを叩き込むといった運用が特に有効です。

 

よくあるゴムチューブのようなものを公園の遊具など安定したものに括り付け、

利き腕と逆の腕でチューブの先端を掴み、

強く引くのと同時に利き腕でパンチを繰り出すといった練習が効果的でしょう。

(チューブで抵抗を加えた状態でのパンチ単体の練習ももちろん有効です)

 

相手の利き腕側の肩をつかむ

”ホッケーファイト・コンセプト”におけるとても重要なルールとして、

必ず相手の利き腕側の肩口をつかむ、というものが挙げられます。

 

日本のみならず全世界を対象とした統計を見ても右利きの人の割合は9割を超えているため、

ほとんどの場合、相手の右の肩口を押さえるようにするのが最も効果的と言えます。

相手の利き腕側の肩口を強く押さえれば、利き腕の強力な攻撃をまともに食らうリスクを半減することに繋がるだけでなく、

攻撃の気配を直前に感じ取ることも出来るため、一石二鳥と言えます。

 

この時大切なポイントは、必ず自分の利き腕とは逆の腕でつかむということです。

利き腕はパンチを放つことや頭部をブロックするためにフリーな状態を保つことが好ましく、

例え非力だとしても利き腕とは逆の腕を使って相手を押さえるのが理想的に違いありません。

 

右利きの方は自分の左手で相手の右肩をつかんで押さえながら右足を半歩から一歩後ろに下げて半身を切り、

積極的に右の強打を狙っていきましょう。

左利きの方は右手で相手の右の肩口をつかんだら、そのまま相手の右側へ回り込むように動きながら、

左のアッパーやフックを積極的に当てていきましょう。

 

相手の身体の一部を押さえた状態での攻撃は、

壁に片手をついた状態でパンチや膝蹴りを繰り出す練習である程度身に着けることが可能です。

壁や樹木など高さのある安定した構造物に利き腕と逆の手をつき、

そこからアッパーやフックなど角度をつけたパンチを繰り出し、

至近距離での身体の使い方をイメージできるようになるといいでしょう。

 

肩(肘)で相手の攻撃をブロックする

相手の肩口をつかんでいないほうの腕はフリーの状態なのでいつでもブロック可能ですが、

反対側の手は簡単に放すわけにいきません。

しかしそのままでは顔面ががら空きになってしまいます。さてどのように対応すべきでしょうか?

 

相手の肩口をつかむために腕を伸ばした状態では、

実は顎を軽く引いて下を向くようにするだけで、

耳から下のラインが肩に隠れてカバーされます。

 

また相手がパンチを繰り出す気配を見せたときは、

肩を押さえているほうの手に力が伝わるため、事前に察知することが出来ます。

素早く顎を引いて肩で顔の半分を隠しながら、

肘を跳ね上げてパンチの軌道を反らしてやるとより安全にブロックすることが可能です。

(肘を外に大きく開いていくというよりも、

ドアノブを回すように相手のシャツなどをつかんだまま内側に引き絞るようイメージするとわかりやすいかもしれません)

 

相手の肩の向こうに顔を出す(顔を押し付ける)

相手の腕が背中から生えてでもいない限りは、

ハグをするように相手の肩から向こうへ顔を出してしまえば、

相手はあなたの顔面を殴ることが出来なくなります。

 

相手としっかり組み合った状態を作ったら、

相手の肩の向こうに顔を出して攻撃を防ぎ、

自分の好きなタイミングで顔を出して(スペースを作って)、

肘打ちや頭突き、アッパーなどを叩き込んですぐに元の体勢に戻ります。

これを繰り返せば、自分自身はほぼ無傷のまま、

相手を一方的に攻撃し続けることが可能となります。

 

もしも体格差が大きい場面では、

相手の肩の周辺や胸元に顔を押し付けるようにしても同様の効果が得られます。

逆に相手が自分よりも小さい場合は、相手の頭を自分の胸元に押し付け、

殴りたいときだけ引きはがすようにするのが特に効果的です。

(かなりダーティなテクニックですが、実戦では手段など選んでいられません)

 

シャツの後ろを掴んでコントロール

上で紹介した「顔を出す」テクニックと併用できる強力なカードとして、

相手のシャツの後ろを引っ張り上げるというものがあります。

 

互いにタイトに組み合った体勢になると、やや前傾姿勢になりますが、

この状態でもしも相手の背中やお尻に手が届くならば、

思い切ってシャツの後ろを掴んで引っ張り上げてもいいでしょう。

 

相手のシャツをまくり上げることに成功したら、上から強く押さえつけるようにして殴打するか、

そのままシャツの裾を相手の頭に引っかけて一気に畳みかけるのが有効です。

 

同様のテクニックは相手がフード付きパーカーを着ているような場面においても特に有効であり、

フード部分を掴んで相手をコントロールしながら肘打ちでも何でも好きな攻撃を加えられるだけでなく、

そのまま頭に被せて完全に視界を奪ってしまうというアグレッシブな手段もあります。

 

最も重要なことは、相手のシャツを掴んで手繰り寄せながら、

相手の頭の高さをなるべく低く保ち続けることです。

特に体格差の大きい場面では相手のアイライン(目線の高さ)が自分の胸また腹部よりも低くなるまでは、

絶対に手を緩めてはいけません。

相手を倒した後も顔面を踏みつけるなどダメ押しの攻撃を加え、

脅威がなくなったと感じられるまでは全力で動き続けましょう。


”肩パンチ”を活用して主導権を握る

UFCファイターのコナー・マクレガーが復帰戦で見せた”肩パンチ”のようなテクニックも、

それだけで倒すことは困難でも、相手を不快にさせ追い詰めることには有効と言えます。

 

相手に密着した状態から肩を大きく回旋させてぶつけたり、

下から肩口を叩きつけて顔面を跳ね上げるなど、

効くことは無くとも相手からすれば不愉快極まりなく、

徐々に嫌がって距離を取りたがるようになります。

そうして出来た空間を活用して頭突きや肘打ち、フックなどを叩き込むのは極めて有効であり、

単体で見れば効果が疑問視される”肩パンチ”も、

ファイトで主導権を握るための強力な武器になりえることに疑いの余地はありません。

 

・相手と密着した状態であること

・互いが強くつかみ合っていること

・フットワークなどが機能しないこと

といった前提をうまく逆手に取り、

接近戦をスマートに制する立ち回りを身に着けていきましょう。

 

 

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました。