【防犯】本当に役立つトレーニング・メソッドと安全な練習方法【護身】

【防犯】本当に役立つトレーニング・メソッドと安全な練習方法【護身】

いつも心に1匹の凶暴な野ネズミを。どうもサイコ田中です。

最近は治安の良い日本でも防犯意識が高まり、特に都市部では護身術を学ぶ人が増えているそうですが、

日本国内で学べる普通の護身術の多くは、凡そ現実的とは言えないものです。

今回は本当に役立つテクニックや知識を身に着けるためのトレーニング方法を、

体力や経験、安全面などに十分配慮したうえで紹介していきたい思います。


なぜ日本人が学ぶ護身術は”デタラメ”なのか?

日本で指導されている護身術はその多くが「デタラメ」「インチキ」「使えない」と言われます。

何故でしょうか?

まず日本にお住まいの方が護身術と聞いて連想するのは合気道のような、

腕などを掴まれた状態で逆に相手を投げ飛ばすような技術体系になると思われますが、

そもそも合気道は護身術ではありません。

とても大切なことなので繰り返します。合気道では身を守れません。

合気道は体重移動やフットワークなど、身体の使い方を学ぶ武道であり、

目の前の相手を倒すこと・制圧することなどは最初から想定されていません。

また合気道と関連して”小手返し”や相手の手指の関節をどうにかして脱出するようなテクニックを思い浮かべる方も多いかと存じますが、

これらも全く持ってナンセンスであり、本来の意味での自己防衛には結びつきません。

相手の腕や手の指の関節を少し捻って脱することができるような局面は、差し迫った命の危機などとは程遠く、

子供の喧嘩のように生易しいものに他なりません。

本気であなたを傷付けようとしている人物が、たかが手首を捻られた程度で掴んだ手を離すでしょうか。

自分より身体の大きい相手を、闘牛士か何かのように華麗に翻弄できるでしょうか。

あなたが本気でを身を守りたいと思っているなら、自分が置かれる可能性のある極限状態を、なるべく鮮明に思い描いてください。

生半可な技術や知識でどうにかなる場面は数えるほどしかありません。

護身術として何らかの格闘技や武道を学んでいる方も、”命の危機”において自身の習い覚えた技が本当に意味を持つか、

自分自身に改めて問い直してください。

私はとあるセミナーで現役の軍人インストラクターに「遊んでるのか?」と失笑された日を忘れたことはありません。


本当に役立つトレーニング・メソッドと安全な運用方法

ここでは本気で身を守るために役立つトレーニングの方法を、

体力や経験、環境等に考慮つつ、安全な運用方法と共に紹介したいと思います。

防犯、護身に興味をお持ちの方はぜひ参考になさってください。

トレーニングパートナーが見つからない方のために、一人で行えるトレーニングも紹介しています。

 

普段着を着用した状態でのワークアウト

ほとんどの護身術セミナーで蔑ろにされてしまう重要なファクタとして、

普段着でのトレーニングが挙げられます。

あなたが外出するとき、いつも練習の時と同じようにラフで動きやすい恰好をしていますか?

仕事柄ジャージや柔軟性の高い作業着を身に着けているという一部の人を除けば、

大多数が運動機能を無視した服装がデフォルトになっているのではないでしょうか。

外出時にジーパン・Tシャツという服装が多い方は練習の時も同じような恰好で臨んでください。

同様にスーツを着用する機会が多い方は破れても困らない古いスーツを、

タイトな服装が好みという方は可能な限り運動性を損ねないよう工夫したうえで、

ミット打ちやスパーリングなどに取り組むことが大切です。

これだけで練習の質がガラリと変わります。

怪我を防ぐため、練習前は動きやすい服装(ジャージ等)を着てしっかりとウォームアップし、

ストレッチを入念に行ってください。

またタイトな服装で臨む場合はポケットの中に何も入れないようにし、

腕時計や余計なアクセサリーなどは外すようにしてください。

 

一対多数のスパーリング

路上で想定される最悪のシチュエーションの一つに、

一対多数で逃げ場のない状態が挙げられます。

普段から1対2または1対3といった極めて不利な状況下を想定したワークアウトに取り組んでおけば、

いざという時パニック状態に陥ることを回避し冷静に立ち回れるスキルと自信が身に付きます。

この練習に取り組む際の注意点は、

攻撃側もディフェンス側も、本気で動くということです。

怪我を防ぐためにトレーニングパートナーのことを考えて手を抜く人がいますが、

それでは相手のためにならないことは勿論、自分自身の役にも立ちません。

練習の時点で意識して極限状態を作っていく事が、本当の切迫した場面での対応力に差をつけることは明らかであり、

手加減された難易度を体が覚えてしまうと、実戦で全く動けないという最悪のシナリオに繋がりかねません。

例え相手が女性でも年配の方でも、パートナーと自分自身のために、本気で取り組む意識とイメージを共有していきましょう。

怪我を防ぐためにしっかりとプロテクター、マウスピースを着用し、

体格差が大きい場合は防衛側の武装を許可するなど戦力のバランスを保つ工夫が必要です。

ダミーナイフなどの取り扱いにも十分注意が必要です。

 

ロールプレイ・ドリル

護身術が正しく機能するために欠かすことのできないトレーニングが、

ロールプレイ形式での反復練習です。

一対多数スパーと同様に攻撃側と防衛側に分かれ、

・攻撃側はナイフで武装した強盗

・防衛側は帰宅途中の道路を歩いている

・防衛側はツールを携帯していない

など細かくシチュエーションを設定し、それらに沿った武装解除・制圧を繰り返し練習するというものです。

基本的に攻撃者と防衛者は一対一の形で行い、

1分から30秒という短い時間で区切ったうえで、

・ナイフで5回以上刺されると防衛失敗

・ナイフを武装解除できた場合は防衛側の勝利

といった具合にルールを決めて行うのが最も効果的と考えられます。

このトレーニングを安全に行ううえで欠かせないのは、レフェリー役の存在です。

怪我や練習中の過剰なヒートアップを防ぐとともに、しっかりと時間を管理する重要な役割を担うため、

ある程度の経験と知識が求められますが、不安な場合はレフェリー役を二人以上設定すれば安全性は十分確保できます。

攻撃者、防衛者、レフェリー役をインターバルごとに交代し、ぐるぐると反復するのが一般的です。

 

開始状態のみを決めた自由組手

リアリティを高めるうえで効果的なレッスンが、

開始時の状態だけを設定した自由形式のスパーリングです。

・胸倉をつかまれた状態

・横から両腕で首を絞められた状態

・後ろから羽交い絞めにされた状態

など、オーソドックスな局面を想定し、

「開始」の合図から先は攻撃側も防衛側も、何をやってもいいとするハードコアなトレーニングとなっており、

普通のグラップリングや打撃のスパーとは異なり、

・相手の服を掴む

・髪の毛を掴む

・(武装して行う場合は)ナイフを抜く

など、文字通り何でもありで行うことが最大の特徴となっています。

このトレーニングを繰り返すことにより、

「どのテクニックは現実的で、どれが使えないか」をしっかり体験として覚えることが可能となります。

出来ると思っていたことが出来なかったり、効かないと思っていた技が実際には案外使えたり、

気づきや発見の多い極めて実践的なトレーニングですが、怪我のリスクも高くなります。

必ずレフェリー役を一人以上設定し、パンチなどの攻撃は全て寸止めで行うことを徹底しましょう。

ヘッドギアやマウスピースの着用も忘れずに。

 

「不意打ち」にフォーカスしたソロドリル

護身の鉄則は「急所への不意打ち」ですが、

それだけを練習する時間を設けるセミナーや道場は限定的のように見受けられます。

ほぼ棒立ちに近い体勢から、

・相手の話を聞く振りをしながらのパンチ

・頭を下げて謝る素振りを見せながらの頭突き

・財布を取り出す動きを見せてからの金的蹴り

など、タイミングや動き出しの隙の大きさなどを考慮しつつ、

一撃で相手を倒せる不意打ちのパターンをいくつも繰り返し練習することは必ず力になります。

この練習は一人でも安全に行えますが、一人で取り組む際にはできるだけ攻撃者の姿をリアルに思い浮かべ、

距離感や立ち位置なども考えながら行う必要があります。

また特にパンチを練習する際には、自分の顔や胸の高さばかりでなく、

必ず自分よりも大きな相手を想定し、少し高い位置を狙う練習も忘れてはいけません。


対人練習の反復は大切だが……

陸の上で水泳の練習ができないように、

相手がいない状態で護身術を身に着けるのは無理があります。

しかし対人練習だけを漫然と繰り返せばいいという考え方はあまり好ましくありません。

スパーリングには常に怪我のリスクがあり、加減ができない(知らない)パートナーと組んでしまった場合、

日常生活が困難になるほどのダメージを負う可能性も決して無視できません。

まただらだらと対人系のドリルを繰り返し行ってしまった場合は状況別の対応がパターン化されてしまい、

結果的に応用力や柔軟性が損なわれ総合的な防衛能力が低下する恐れもあります。

どんな技術もパートナーがいなければその使い道や効果を理解するのは困難に違いありませんが、

対人練習だけがすべてではないということも忘れてはいけません。

横一列に並んでのパンチやキックの練習がどんなに馬鹿馬鹿しくても、それらには必ず意味と理由があります。

決して基礎練習を疎かにすることなく、常に高い向上心を持って取り組む姿勢が何よりも大切です。

そしてそうした高い意識とイメージを共有できる仲間を持つことが、強くなる一番の近道であることは言うまでもありません。

 

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。