ただ「逃げる」だけでは助からないケースと適切な対応について

ただ「逃げる」だけでは助からないケースと適切な対応について

いつも心に1冊のブラックベルト・マガジンを。どうもサイコ田中です。

最も簡単で効果的な護身術はとにかく全力で走って逃げることであり、

物理的に攻撃者を遠ざけることに他なりません。

しかしただ逃げただけでは助からないどころか、より状況を悪化させてしまうケースも存在します。

今回はそうした「逃げる」が通用しない場面と適切な対処法についてお話ししたいと思います。


まずはトラブルを回避するところから

危機管理にまつわる記事では再三にわたりお伝えしていることではありますが、

自己防衛の第一歩はまずトラブルを回避するところから始まります。

相手との距離感や最低限のマナーを守ることは勿論、

時には自分や身近な人を守るために正義感や倫理観というものを内に秘めることも必要です。

喫煙している未成年者や酔っ払い、大声で話している外国人などを見ると声をかけたり、

注意しなくてはという気持ちが生まれるのは自然なことです。それ自体は悪いことではありません。

ですが世の中には少なからず「声をかけてはいけない人物」が存在します。

これらの人物を敵に回しトラブルに発展してしまった場合、どのような危険な目に遭ったとしても不思議ではありません。

言葉や態度、表情や視線などで相手を刺激しないよう細心の注意を払い、

もしも距離を置けるなら最初からそのような危険人物には近づかないことが肝要です。

また万が一トラブルになったとしても、語気を強めたり敵意などを露わにしてはいけません。

性別年齢を問わず、人目をはばからず大声で互いを罵りあったり何事か喚き散らしているような人を見かけますが、

・大声を出す

・相手を非難するような視線や言葉を浴びせる

・攻撃的なボディランゲージを繰り返す

などといった行為は緊張状態を強めてトラブルをエスカレートさせる可能性があり大変危険です。

明らかに相手に非がある場面でも落ち着いた口調と態度で接し、相手を今以上興奮させないよう意識することが大切です。

(簡単に言えば「できる限り大人の対応をしましょう」ということです)


「逃げる」が通用しない4つのケースと正しい対処法

ここではただ単に「逃げる」だけでは助からないかもしれないケースと正しい対処法を、

シチュエーション別に4つ紹介したいと思います。

知っているだけで危機管理能力の向上が期待できる内容となっておりますので、

防犯や護身、自己防衛に興味をお持ちの方はぜひ参考になさってください。

 

攻撃者が武装しているとき

相手が刃物や鈍器などを手にしている場面ではその場からなるべく速やかに離れることが求められますが、

攻撃者との距離が縮まった場面では注意が必要です。

明らかに相手の攻撃が届かない距離で周囲の安全を確保できている状況であればまずは「逃げる」ことが最適解になりますが、

もしも手の届くような距離やあっという間に縮まる程度の距離しか確保できていない場面では、

相手の武装解除を優先しなければ危険かもしれません。

凶器攻撃で最も恐ろしいのが背後など死角からの攻撃であり、

もしも相手の手が届く距離で背を向けて逃げてしまった場合は、

背中を切られたり後頭部などの危険な部位を凶器で強打される危険性があり、大変危険です。

またもしも十分な距離を確保できていたとしても、シンプルに攻撃者のほうが足が速かったり、

バイクのような機動性の高い乗り物を利用されるとあっという間に追いつかれる危険性があり、

結果的に背を向けて逃げたことが裏目になる可能性があります。

このような状況ではどれだけ困難でも相手の武装解除と制圧を最優先にすべきであり、

攻撃者から距離を置くのは応援が駆けつけるなど、十分安全が確保されてからにするべきでしょう。

 

攻撃者が一人ではない可能性があるとき

トラブルになった相手が一人きりのように見えても、周囲を観察すると仲間や関係者と思しき人物が見つかることがあります。

このような状況では逃げると挟み撃ちに遭ったり退路を断たれたりして、

結果的に一対多数という最悪な状況に陥る可能性は十分考えられます。

勝ち目がないと判断したり状況の悪化を回避するため「逃げる」選択をするのは間違いではありませんが、

周囲の状況などから「逃げる」ことが最適であると言い切れる場面でなければ逆効果になる恐れがあることを忘れてはいけません。

逃亡を試みた結果挟まれたり追い詰められたりして一対多数の形になってしまうくらいなら、

まだ一対一の状態で相手をノックアウトしたほうがよほど安全であり、無傷で済まないにしても一定の生存率は確保できます。

もしも「逃げるか戦うか」の判断を迫られたときには一度冷静に周辺の状況などを見極めたうえで、

確実に逃げ切れると判断した時のみ「逃げる」選択をしましょう。

(逃げられない場面の多くは残念ながら「やる」しかありません)

 

攻撃者が近親者または悪質なストーカーの場合

逃げることで置かれた状況を悪化させる最たる例は、

相手が家族や恋人などの近親者や、ストーカーだった場合でしょう。

目の前に差し迫った危険がある場合は逃げることが最適解であり、それ以上は無いとも言えますが、

このようなケースでは結果的に逃げてしまったことが裏目に出て、もっと危ない目に遭う可能性があります。

まず近親者から逃れるにあたって真っ先に考えつくのが自宅ですが、この場合は攻撃者の拠点に踏み込むようなものなので自殺行為となります。

同様にして知人や親せきの家に逃げ込むというのも好ましくありません。

あなたの近親者またはストーカーが危険な思想を持っている場合、交友関係は全て洗われている可能性が高く、

些細なきっかけで居場所が特定されてしまう恐れがあるため大変危険です。

この場合は知人や友人など、逃げ込んだ場所にいる第三者も巻き込んでしまう恐れがあるため二重の意味でリスクが高く、

よほど緊急性の高い場面でもない限り回避するのが無難と言えます。

また相手が悪質なストーカーの場合、TwitterやFacebookといったSNSから個人情報を特定し、

Phone Trackerのような位置情報アプリで居場所を監視される恐れがあります。

このような場合は逃げても逃げても携帯電話の電源を切るか全く関係のない場所に端末を放置でもしない限り逃げ場はなく、

かえって自宅の場所などを特定されてしまう危険が高まります。

もしも身辺に不安を感じたり、悪質なストーカー被害が2週間以上続く場合は速やかに警察に相談し、

信頼できる人物の助けを求めるなどの対応が求められます。

(携帯のGPSを使った追跡のリスクは、相手が家族や恋人のような近親者のような場合でも想定されるため特に注意が必要です)

 

DV(ドメスティック・バイオレンス)については、ぜひ以下の記事も参考にしてください。

↓ ↓ ↓

近親者による暴力(DV)と向き合う際の5つのポイント

 

防衛者が運動不足または肥満傾向にある場合

攻撃者ではなく防衛側であるあなた自身の問題です。

もしも運動習慣などがなく身体が硬かったり、心肺系(スタミナ)が十分鍛えられていなかった場合、

逃げる過程で怪我をしたり息が上がって動けなくなるといったリスクを無視できません。

生き残るために逃げたのに結果的に怪我をしたり追い詰められたりしているようでは本末転倒です。

また同様にして肥満傾向にある人も注意が必要です。

体重が重すぎる場合は満足に走ることができず、もし走れたとしても膝や腰にかかる負担は計り知れません。

もしも首尾よく逃げ出せたとしても、攻撃者に追いつかれたときには息も上がり、すでに足腰が限界……。

これでは命がいくつあっても足りません。

日ごろ運動習慣がない方はせめて就寝前にハムストリングス(太ももの裏)やアキレス腱など、

走る動作に関連する部分だけでもストレッチすることを心がけましょう。

また肥満気味の方は適度な有酸素運動を取り入れ食事をしっかりと管理し、

走ることに支障が出ない程度まで身体を絞る必要があります。


Run,Hide,Fightの3原則+α

もしも運よくトラブルの現場や危険な相手から距離を置くことができたとしても、

簡単に気を抜いてはいけません。

上に述べた通り攻撃者が仲間を呼ぶ、車に乗るなどして追撃してくる恐れは十分にあり、

ただ単に距離を置くだけでは身を守れない可能性があります。

北米式自己防衛メソッドの基礎にRun,Hide,Fightという3つのルールがあります。

Run,Hide,Fightはそれぞれ

Run=逃げる

Hide=隠れる

Fight=戦う

であり、日本人の多くは最後の一つ、Fightの部分を、

Call=人や警察を呼ぶ

に置き換えるのが理想的とされています。

もしも攻撃者から距離を置くことに成功した場合はそこで気を抜かず、

次は安全な場所に身を隠すことを目標に動きましょう。

そうして隠れることに成功してもなお攻撃を受けるような極限状態では速やかに警察に通報し、

必要であれば武装するなどして精一杯抵抗を試みることが大切です。

これは最近日本国内で問題になっている”煽り運転”などのロードレイジ案件でも力を発揮する考え方です。

まずは逃げること、身を隠すこと、そして助けを呼ぶことを最優先とし、

攻撃者と直接向き合う時間をなるべく短くするよう心がけましょう。

 

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。