”ファイターの身体”を作る3つのルール

”ファイターの身体”を作る3つのルール

いつも心に1匹のニホンカワウソを。どうもサイコ田中です。

突然ですが、皆さんが身体を鍛える理由は何ですか?

とにかくモテたい、強くなりたい、ハードなスポーツをやっているなど、

理想や目的は人それぞれだと思われますが、

あなたがもしも「闘える身体」――すなわち”ファイターの身体”を求めているなら、

必ず知っておくべきルールがあります。


過剰な筋量(バルク)の追求は的外れ

かつては私自身もそうでしたが、「強くなりたい」「ファイトに勝ちたい」と考えると、

とにかく筋量(バルク)を追求しがちです。

確かに身を守る上で身体の大きさ、フィジカルの強さは強力な武器であり、

欠かすことのできない要素です。

しかしあなたが軍人や消防士などで、負傷した人物や重い装備を運ぶ機会などが無い限り、

過剰な体力や筋力は文字通り「ただの自己満足」に終始してしまうかもしれません。

そもそも100kg,200kgという重量を平気で挙上する体力があったとしても、

それをファイトに生かすとなると話は変わってきます。

ただ重いものを持ち上げたりする力と、強いパンチやキックを打つための力は、

全くの別物だからです。

それを理解しないでただ身体を大きくするためだけのハードワークや食事を続け、

もしもボディビルダーのような筋骨隆々の肉体を手に入れたとしても、

それは「見せ筋」と揶揄されても仕方がありません。

よく「使えない筋肉」という言葉が出てきますが、

「使えない筋肉」などありません。

「使い道」と「使い方」がわからないから、

持て余しているだけなのです。

筋トレのみならず仕事に勉強、どのようなことにおいても言えることですが、

目的とそこへ至るための方法を知らないまま闇雲に続ける努力は、空虚で愚かな戦いに違いありません。

あなたが本気で強くなりたいなら、まずはその目的を明確にしたうえで、

そこから見えてくる「本当に必要なもの」を地道に揃えていくしかないのです。


”ファイターの身体”を作る3つのルール

ここからは単なる筋肉の塊ではなく「闘い」に特化した”ファイターの身体”を作るためのルールを、

トレーニング内容など3つの項目に分けて解説します。

「本当の意味で強くなりたい」という思いをお持ちの若い方や、

目的もなく漫然と続けている筋トレの意味を見直したいという方は、ぜひ参考になさってください。

 

反動と連動性を否定しない

身体を大きくするための筋トレには、絶対的なルールが存在します。

それは、反動と連動性を徹底的に否定する(排除する)ということです。

反動と連動性がキーとなる典型的な種目として、懸垂が挙げられます。

懸垂は、下半身から全身を大きく使って反動をつけると、

普通に20回も30回も続けることができてしまいます。

確かにこれでは、全身の色々な筋肉が連動してしまい、

ターゲットとして想定される背中または肩にしっかりと刺激は入りません。(それどころかずっと抜け続けている状態です)

ですがパンチもキックも、全ては足元から全身各部の関節をしっかり連動させることで、

大きな力を伝えることが目的です。

例えばフックは一度上体を小さく回旋させ「溜め」を作ることで、

そこから縮んだ筋肉の反動によって相手を倒すノックアウトパワーを生み出します。

さらに上半身のみならず、下半身(脚)から腰にかけての連動もパワーの発生に関連しています。

このように、通常の筋トレでは完全に否定されるべき反動と連動性は、

格闘技などファイトに関連する身体操作においては欠かせない要素となります。

よってファイトを想定した身体づくりではむしろ反動と連動性のほうを強く意識したトレーニング内容を組み、

しっかりと下半身から上半身へと大きな力を伝えていく感触を掴むことが大切です。

(具体的なトレーニング種目として、ケトルベル・スイングや反動を使った懸垂などが考えられます)

 

漫然とウェイトトレーニングを続けない

上に述べた反動・連動性の項目とも関連する部分ですが、

「強くなりたい」と思うととにかく高重量を扱ったり出来るだけ高い負荷を追求したくなりますが、

単純な高重量・高負荷トレーニングは効果的とは考えられません。

確かに速筋優位の肉体に近づけるうえで、高重量低レップのトレーニングは欠かすことのできない種目になりますが、

本当に重視すべきは、そうして身に着けたパワーを「どのようにして伝えるか」のほうに違いありません。

ウェイトトレーニングのほとんどは自分の肉体から生じたエネルギーを何かに伝えるというよりは、

重い負荷や重量に必死に抗う・抵抗するというイメージが強く、受動的な面が大きくなります。

一方、サンドバッグを全力で叩いたり、メディシンボールを投げるといったトレーニングは、

肉体から作り出されるエネルギーをしっかりと伝えることを意識できる内容となっており、

能動的な側面が強まります。

「全身を使ってエネルギーを伝える」という感覚を身に着けることは、パンチ力やキック力を強化する上で不可欠なものです。

ただ漫然と高重量を扱うトレーニングを続けるくらいなら、

片手で拳を作ってグイグイ壁を押すだけのほうが、よほど効果的と言えるかもしれません。

 

適性体重と体型を探る

ここまで「単に体を大きくしても仕方がない」と述べてきましたが、

その本質は結局のところ、「人にはそれぞれ適した体格・体重がある」ということに収斂します。

例えば総合格闘家というと、筋骨隆々のアメコミ・ヒーローのような体型ばかりが想起されがちですが、

中には”ナチュラル体型”と呼ばれるどちらかと言うと華奢で頼りない印象を与える体型のファイターが存在することも事実です。

(UFCファイターのネイト・ディアス、ブライアン・オルテガらがこれに該当すると考えられます)

彼らは典型的な格闘家の肉体というよりは、むしろ起伏に乏しい標準的なボディラインを持ち、

腹筋が完全に割れているわけでもなければ、腕や脚が丸太のように太い……などということもありません。

それでも激しい打ち合いで相手を追い詰め、テイクダウンを決め、確実に相手をフィニッシュする力を持っています。

時には見た目だけなら2階級近く差のある相手を、一方的に圧倒する場面すらあるほどです。

このようなことが起こる背景には、骨格と適性体重(体型)の問題があると考えられます。

適性体重や体格と言われてもピンとこない方のために出来るだけ簡単な表現を用いると、

「本人が最も動きやすいと感じる体型・体重」ということになります。

これは完全に人それぞれで、身長や体脂肪率が全く同じでも見た目が全然違うということが起こってきます。

例えば同じ身長180cmのファイターA選手とB選手がいたとして、

A選手・B選手共に体重・体脂肪率が等価でも、骨格や各部の筋量の偏りなどにより見た目は変わってきます。

上半身はスーパーマンのようでも下半身が頼りないという典型的な”チキンレッグ”の場合や、

全身満遍なく鍛えられているせいで相対的に細くしなやかに見られたり、異常なまでに着痩せするパターンも珍しくはありません。

またあちこち脂肪が乗って腹筋が全然見えないのに動きがキレていたり、

筋肉の塊のように見えるのに全くパワーが感じられない不思議なファイターもいて、外見ではほとんどパフォーマンスを測ることができません。

ただ確実に言えることは、各々が自分の最高のパフォーマンスが出来る体型・体重を把握しており、

そのラインを維持するためのトレーニングや食事を続けているということです。

例えば適性体重が76kgのファイターは80kgでは重すぎるため減量が必要であり、

適性体重80kgのファイターは76kgでは軽すぎてパワーが発揮できないため、増量の必要があります。

体脂肪率10%では動きが重くなるなら7%へ、体脂肪率一桁台で体調が安定しないならギリギリ10パーセント台を維持するなどの工夫も求められ、

体型・体重管理の難しさは想像を絶します。

ですがそうして導き出された最適解は必ず自身の運動パフォーマンスを向上させることに繋がっており、

本人がその見た目や身体の仕上がりに納得しているかどうかは、全く別の問題と言えます。

そして各々が最高の力を発揮するための体重・体型は本人にしかわかりません。

体重を増やしたり体脂肪率を下げたりする過程で体型は大きく変化していくと考えられますが、

それがどれだけ頼りない体型になろうと、どんなに軽い体重になってしまおうとも、

自分が最高のパフォーマンスを出せる体型を見つけて維持していく事が何よりも重要であることは言うまでもありません。

身体が重すぎて機敏に動けないのに筋量を増やすのは意味がなく、

身体が軽すぎてパワーが足りないのにフィジカル・トレーニングを無視するのは本末転倒です。

体重が重すぎる場合は可能な限り絞り、軽すぎる場合は限界まで増量を試みたうえで、

自身の適性体重と体型を探りながら足りない部分を補うように鍛えることが、ファイターの肉体を手に入れる最短の道です。

(肩や腕、背中など特定の部位にフォーカスしたトレーニング・メニューにはあまり意味がないということです)


「何を目指してるの?」と言われないために

筋トレを続けていると周りから「一体何になりたいの?」などと言われ返す言葉が無いという方がいらっしゃいますが、

明確な目標や目的が無ければ、そのように揶揄されても仕方ありません。

既に上で述べた通り、どのような努力も全て明確な目的意識と方法の追求により初めて意味を持ちます。

あなたが周囲から白眼視され冷たい言葉を投げかけられているのならば、

それはあなたの目的意識が不十分で希薄なものであり、説得力の欠けた理由になっているからかもしれません。

例えばダイエットしたいと言っている人が脂質や炭水化物を積極的に摂取するのは不自然であり、

逆にバルクアップしたいと考えている人が十分な量の食事を確保しないのは筋が通りませんよね。

あなたの目的が「身体を大きくすること」だとして、その目的の背景にあるものは何ですか?

ただ何となく女性にモテたいとか、重いものが持てるようになりというのも間違いではありませんが、

そのような輪郭のぼやけた曖昧な目的意識では、「何を目指してるの?」と問われても文句は言えないのではないでしょうか。

あなたが目指すもの、手に入れたいものが明確になれば、必ずそれはあなた自身の顔つきや言動にも表れ、

周囲にもはっきりと伝わるはずです。

私は職業柄身体を鍛えること、絞ることがある意味当然であり、

よって周囲から身体を鍛えることについて疑問を投げかけられことも、批判を受けたこともありません。

あなたがアスリートでも格闘家でもボディビルダーでもない、ただの一般人――それは全く問題ではありません。

問題なのは、あなたが一体何をどうしたいのか、どのように生きたいのかということです。

あなたが自分らしく生きるために筋トレが必要ならば、徹底的に鍛えればいいでしょう。

誰が何と言おうと「これが自分だ」と言えるものがあるなら、それを徹底的に貫き通せば済む話です。

もしも身体を鍛えること、食事を管理したり体重・体脂肪率を測ったりすることにわずかでも疑問があるのなら、

それはあなたが本当に望む生き方ではないのかもしれません。

 

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。