【小ネタ】重力を味方につける「体重のかけ方」と護身への応用【コラム】

【小ネタ】重力を味方につける「体重のかけ方」と護身への応用【コラム】

いつも心に1杯のキューバ・リブレを。どうもサイコ田中です。

何年もかけてシステマを学んだ管理人ですが、

結局システマが持つ独自のメカニズムは半分も理解できませんでした。

(システマについてまとめた記事はこちら

とは言え人体の動作とその作用には科学的に最も効率的な形というものが存在し、

それは最小の動作でなるべく大きな力を発揮し攻撃者を圧倒するという、

自己防衛の分野においても重要なファクタとなります。

今回は体重(重力)の使い方と押す・引くといった動作への応用について、

実戦的なテクニックと共にお伝えしたいと思います。


体重は重いほど有利?それとも不利?

格闘技やラグビーといったコンタクトスポーツはもちろん、

あらゆるスポーツにおいて身体の大きさ・フィジカルの強さは非常に重要な位置を占めます。

(卓球など例外もあります)

特にシンプルな体の重さ――すなわち体重は、

あらゆる物理学の法則(公式)に「重さ」の要素が見られるように、

エネルギー(パワー)の発生に必要不可欠と言っても過言ではありません。

(F=maなどは典型的な例です)

基本的に体重は重ければ重いほど大きな力を発揮でき、

衝撃に対する耐性(慣性の大きさ)・単純な腕力や握力の強さなど、

軽いよりも重いに越したことは無いとさえ言えます。

ただし体重が重くなりすぎると動きが鈍くなったり、

より短い時間でスタミナが失われるなどのデメリットもあるため、

「体重が重いから強い」などと簡単に断じてしまうわけにもいきません。

体重が軽ければ逆にスピードや柔軟性、瞬発力などを武器にすることでその差を埋めることが出来、

特に格闘技におけるカウンター打撃は、力を伝えるタイミングの重要さを示す典型例です。

身体が小さく体重が軽い人も、「こんな体だから自分は弱いんだ」などと悲観せず、

自分にしかない強みを見つけて磨くことで、唯一無二の武器を手に出来るかもしれません。


身を守るための「体重の使い方」と3つのルール

ここからは路上トラブルなどの現場で身を守るうえで役立つ「体重の使い方」について、

3つの基本ルールと共にお伝えしたいと思います。

体格や運動経験などには依存しない技術体系となっておりますので、

老若男女を問わず身を守ることに興味をお持ちの方はぜひ一度参考になさってください。

 

体重は「利き腕側」にかけていく

凶器を持った相手の腕などをコントロール際には、

利き腕で相手の腕を取り、そのまま利き腕側に体重をかけていくのが合理的です。

片手腕立て伏せなどを試みるとよくわかりますが、

基本的に利き手とそうでないほうの腕では、体重を支える力に差があります。

(中には全く差がない方や、逆になっている方も見られます)

相手の腕などをコントロールする際、利き腕と反対の腕でどうにかしようとしても、

根本的に握力・腕力が弱くすぐに力負けするか、振りほどかれやすく危険です。

可能な限り利き腕でしっかりと相手の手首や二の腕をホールドし、

利き腕側に上体を傾けるようにし、体重を相手の身体に預けるようにすると力が入りやすくなります。

(右手で相手の腕を抑えるときは、右肩から首の右側辺りに体重をかけていくよう意識すると比較的容易です)

 

全体重をかけるイメージはジャンプで覚える

体格差のある場面や相手が凶器を手にしているような極限状態では、

腕などに全体重をかけるようなイメージで望まなければ勝機はありません。

この感覚を捉えるのが難しい場合は、以下のような方法がおすすめです。

 

(パートナーがいる場合)

1.パートナーの片方の腕を両手でつかむ

2.上から全体重をかけるようにして真下に押す

3.押す動作に合わせてその場で軽くジャンプする

 

(一人で行う場合)

1.適当な高さの手すりなどに両手でつかまる

2.上から全力で下へ押すように力を加える

3.押すのと同時に地面を蹴って小さく飛び上がる

 

ポイントは、

飛び上がるときに両腕にぐっと体重が乗る感覚を意識することです。

この感覚を養い徐々に慣らしていく事により、

咄嗟に緊急性の高い場面に遭遇してもスムーズに全体重を預ける動作を再現できるようになります。

(相手を地面に押さえつけ制圧する・ナイフを持った腕をコントロールする…etc)

 

パンチ・キックにはあえて体重を乗せない

パンチやキックに体重を乗せていくには、

・重心がどこにあるか

・重心はどこへ移動するか

・力はどの方向に加わるか

など通常の身体感覚でとらえるには少々複雑な点が多く、

よほど運動神経に恵まれてでもいない限り非常に困難と考えられます。

無理して体重移動を意識したフォームを身に着けようとした結果、

身体にフィットした正しいフォームを崩し、怪我や故障に繋がりかねません。

パンチやキックには無理して体重を乗せようとせず、

正しく合理的なフォームを保つことを優先するのが好ましいでしょう。

 

どうしても体重を乗せる感覚を掴みたいときには、

・パンチのフォームでグイグイと壁を押す

・パートナーの身体に手や足を「置きに行く」イメージで打つ

・バットを用いた素振り運動

などがヒントになるかもしれません。

(一生懸命ミットやサンドバッグを叩く過程で、自然に身につくことも少なくありません)


パニックになったらとりあえず「腰を落とす」

ここまで体重移動を用いたアプローチについてお伝えしてきましたが、

極限状態では頭が真っ白になって、知っていることや覚えたことも忘れてしまいがちです。

もしも実際に第三者から攻撃を受けパニックになってしまったら、

とにかく腰を落として重心を低くすることを試みましょう。

背筋を伸ばして棒立ちのままでは体幹安定性が低くなり、

頭部を殴打されるなどした場合あっけなく倒されてしまう恐れがあり危険です。

しっかりと顎を引いて膝を緩く曲げ、

中腰とはいかないまでもなるべく腰の位置を低くすることで、テイクダウンされるリスクも軽減します。

迷ったときや焦って正常な判断が難しいような場面では、

・顎を引いて腕などで頭を保護する

・片方の足を後ろに引いて斜に構える

・軽く膝を曲げ腰を落とす

といった立ち方を試みるだけでも、生存率はぐっと高まります。

「ただ殴られるだけ」「一方的にコントロールされる」といった状況を自分から遠ざけ、

相手の思い通りにならないことが、身を守るための第一歩です。

(男性はもちろん女性についても同様です)

 

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました。