米軍式呼吸法”4カウント法”の効果的な使い方と注意点
- 2020.05.15
- 護身術
いつも心に1人前のボルシチを。どうもサイコ田中です。
突然ですが皆さんは、高いストレスに晒された状況でどのような対処法を思いつきますか?
とにかく自分に「大丈夫だ、落ち着け」と言い聞かせる人もいるでしょうし、
猫の画像を見たりしてどうにか落ち着こうとする人もいるかもしれません。
今回はそうした極限状態を切り抜けるためのテクニックの一つとして、
米軍式呼吸法”4カウント法”について解説したいと思います。
”呼吸”で人は強くなれるか
昨今は鬼退治をテーマにした某漫画(またはアニメ)の影響により、
国内外を問わず”呼吸”が肉体に与える影響が再評価されつつあるように見受けられます。
呼吸とは読んで字の如く、ただ息を吸って吐くという一連の流れですが、
全身に酸素を供給し二酸化炭素を排出するという、生命維持に欠かすことのできないものです。
腹式呼吸などは特に有名であり、美容や健康、スポーツの分野にまで応用されているメジャーな呼吸法です。
また筋トレにおいても呼吸は非常に重要なファクタであり、
息を吸うタイミング・吐くタイミングがパフォーマンスに影響することは言うまでもありません。
格闘技でもよくパンチを打つ際などに「シュッ、シュッ」と息を吐く選手を見かけますが、
パンチを打つ動作に関連する筋肉の緊張と弛緩に深く関連しており、スピード・パワーの両方に密接な繋がりがあります。
このように呼吸は人間の生命維持にとって不可欠なものであり、あまりに当たり前すぎて意識する機会は決して多くありませんが、
確実に人体のパフォーマンス向上と関連していることがわかります。
かの有名なロシア式護身術・システマのように呼吸だけで人が強くなれるかと問われれば答えに困りますが、
正しく効果的な呼吸法を知っていれば、いざという時生存率を高めることに繋がる可能性はあると言えるでしょう。
米軍式呼吸法”4カウント法”の運用方法と注意点
ここからは身を守るために役立つ可能性を秘めた米軍式呼吸法”4カウント法”の効果的な使い方と、
セルフディフェンスの分野に応用する際の注意点についてお伝えしたいと思います。
防犯・護身はもちろんストレスコントロール全般、メンタル強化などに興味をお持ちの方は参考になさってください。
4カウント法について
4カウント法は、主に米軍特殊部隊ネイビーシールズで採用されている軍隊式呼吸法の一つであり、
軍事の分野のみならず警察・消防・セキュリティの分野においても幅広く指導・運用されており、
昨今は精神的・肉体的ストレスが高くなる様々な業種への応用も期待されています。
4カウント法のやり方はいたって簡単で、
・4秒かけて吸う
・4秒間息を止める
・4秒かけて吐く
という流れをひたすら繰り返すだけです。
その名の通り吸う、止める、吐くという流れをそれぞれ4秒かけて行うことがポイントであり、
吸う、吐くの間に「息を止める」という工程があることも大きな特徴と言えます。
自己防衛への応用とその注意点
4カウント法の主な目的は「心身のリセット」と「パフォーマンスの最適化」であり、
ストレスの高まった状況下での心理的安定性の回復と維持、冷静さと広い視野の獲得に繋がるとされています。
パニックを伴う非日常的な状況下において特に有効と考えられる4カウント法ですが、
効果的に運用するためにはいくつかの注意点を把握しておく必要があります。
鼻から吸って口から吐く
4カウント法に従った呼吸も基本的な腹式呼吸などと同様に、
鼻から吸って口から吐くのが最も効果的とされています。
特に吐く時間を長くする(6秒前後)ことでリラックスの効果が強く表れ、
心理的に強いストレスを感じている場面などにおいて高い効果を発揮します。
また火災や有毒ガスの発生時には「におい」から異変に気付くことも多いため、
普段から鼻呼吸を心がけることで危機管理能力の向上にも繋がります。
目の前の状況に集中しない
4カウント法でパニックを回避し本来のパフォーマンスを取り戻すためには、
しっかり呼吸そのものに集中する必要があります。
目の前の状況があまりに非日常的で強いストレスを伴う場合、
ただ4カウント法を繰り返すだけでは緊張状態から抜け出せない可能性があります。
人の悲鳴やサイレン、爆発音などが聞こえるような極限状態では可能な限り耳を塞ぎ、
眼を閉じるなど呼吸だけに集中する工夫が必要です。
(目を閉じたり耳を塞ぐと危険な場面では、安全な場所に避難することが最優先です)
頭を使わない(考え事をしない)
4カウント法で自分を落ち着かせようと試みても、
頭の中で考え事をしているとそちらに気を取られるため効果が半減してしまいます。
極限状態では「次にどうするか」「今何をするべきか」といった判断と意思決定を速やかに行う必要がありますが、
パニック状態では正常な判断が下せるはずもありません。
焦って冷静な判断が出来なくなった時、自分を見失いそうになった時こそ一度考えることはやめ、
4カウント法に従って本来の自分を取り戻すことを最優先にすべきです。
差し迫った脅威のある場面では使えない
当然と言えば当然ですが、目の前に刃物を持った人物がいるとか、
服や腕を掴まれて今にも殴られそう、という差し迫った脅威のある場面では、
悠長に息を吸って、吐いて……を繰り返すような時間はありません。
そのような極限状態では身を守るための行動(逃げる、頭を保護する……etc)などが最優先であり、
命を守るために必要なあらゆる対処が求められます。
リアルファイトでは呼吸のペースを速く
もしも対人トラブルに巻き込まれ、目の前の相手とファイトに発展してしまった場合は、
4カウント法は一旦忘れましょう。
ファイトのような動物的反応が求められる極限状態では、
自分を落ち着かせるよりもむしろ、攻撃性を強化するためにある程度の興奮が求められるからです。
アドレナリンの分泌を促進し、身体を戦闘モードへ切り替えていくためには、
呼吸のペースをどんどん速く、吸って吐く間隔を短くする意識のほうが重要になります。
それこそシステマをネタにした某お笑い芸人の方がされているように、
・短い間隔で鼻から何度も吸う
・吸った空気を口から小刻みに吐き出す
という4カウント法とは完全に真逆の呼吸法が特に有効と考えられます。
そうして一気に増加した血中のアドレナリンと大量の酸素をガソリンにして、
目の前の敵を圧倒するファイティング・マシンになりきることが、生存率を高めるカギになります。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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