【護身】”自爆”しないパンチの打ち方・拳の握り方【豆知識】
- 2020.05.19
- 護身術
いつも心に1枚の怪しいスタンプカードを。どうもサイコ田中です。
路上のファイトのみならず、競技としての格闘技においてもメジャーな怪我の一つは、
間違いなく手(拳)や手首の負傷に違いありません。
今回は管理人自身のファイトにおける怪我や故障の経験を基に、
自分のパンチで”自爆”しないために知っておくべき豆知識をお伝えしたいと思います。
手首や拳を鍛えるトレーニングについては、以下の記事で詳しく紹介しています。
↓ ↓ ↓
拳や手首の負傷が多い=「パンチがある」?
よく手や手首の周辺に負傷の多い選手は「パンチがある」と言われますが、
(「パンチがある」とは一般的にパンチ力がある・パンチに破壊力がある、という意味になります)
天性のパンチ力を持ちながらそのパワーが仇となり引退を余儀なくされる選手がいる一方で、
ハードパンチャーとしてKOの山を築き上げ特に目立った怪我もなく現役を終える選手も珍しくはなく、
怪我の頻度とパワーの相関については、明らかにされていない部分が多々あります。
基本的に練習中の怪我であれば、
・ウォームアップ不足
・疲労など劣悪なコンディション
・過剰な運動負荷
などが原因と考えられており、本人のパワーなどに依存するというよりも、
その日の体調や身体の硬さなどといったコンディションに関連しており、
大半は自己管理の甘さにより引き起こされるものと思われます。
例えば私が総合格闘家として試合に出ていた頃はしょっちゅう拳や手首を怪我していましたが、
特に人から「パンチがある」と言われた覚えはなく、
(かなり着痩せするタイプなので、初めてミットを持つ相手には驚かれますが)
単に自分が手首周りのストレッチや拳のコンディショニングを怠っているだけでしかないという自覚があり、
事実、前腕や握力を鍛えるメニューに力を入れることで怪我の頻度は少しずつ低くなっていきました。
また10代の学生など身体に未発達な部分がある状態でのパワーなどはまして当てにならず、
「パワーがありすぎて腰の骨が折れた」などという武勇伝も、
結局のところ自身が生み出すパワーに耐えられない部位が身体のどこかにあったというだけで、
それは単なる”自爆”でしかなく、凄いことでも何でもありません。
アスリートであれ一般人であれ、最初に土台として怪我をしない身体を作り、
その身体が持っているポテンシャルを最大限に引き出す努力をすることに意味があります。
わざわざ言うまでもないことですが、どんなに強烈なパンチが打てたとしても、
パンチを打つたびに怪我をしていたら全く意味がありません。
まずパンチを打っても壊れない拳と手首を作り、そこからフォームなどを修正して更に怪我のリスクを減らし、
余分なエネルギーを使わずに最大の破壊力を生む工夫こそが肝要です。
自分のパンチで”自爆”しないために抑えるべき3つのルール
ここからは自分のパンチで”自爆”してしまわないために知っておくべきルールについて、
フォームなど3つの観点から解説します。
現在格闘技を学んでおられる方はもちろん、
格闘技や護身術を学ぶうえで怪我をしない身体づくりに興味をお持ちの方は参考になさってください。
拳はタイトに握りすぎない
「拳は強く握らないと強いパンチが打てない」と思われがちですが、
拳を強く握りすぎると、怪我のリスクを高めることになるかもしれません。
パンチの破壊力と握力には密接な繋がりがありますが、
(パンチ力と握力に関連する物理法則についての説明はここでは割愛します)
拳を固く・強く握るということは、
手の骨や筋肉にかかるテンションを最大限に高めている、と言い換えることも出来ます。
ゴムチューブのようなものを想像するとわかりやすくなりますが、
ゴムを緩めた状態で圧力をかけるよりも、ゴムをピンと張った状態で外圧を加えるほうが、
遥かに切断されるリスクは高まりそうですよね。
これと全く同じことが、パンチを打つ際の手や手首には起こっていると考えるべきです。
拳をしっかり強く握りしめることは、手の指や手首を保護するために大切なことですが、
強く握りすぎた状態で思わぬ方向に圧力がかかり、そのダメージを逃がし切れるだけの柔軟性と耐久力が無ければ、
拳と手首は一発で破壊されてしまいます。
(一般的なものは中手骨骨折などが考えられます)
格闘技の試合であればバンテージで保護した上にグローブを着用しているので、手の骨や筋肉にかかるテンションが最大になることはありませんが、
素手のリアルファイトではよほど拳や手首を鍛え上げていなければ、一発で再起不能なほどのダメージを受ける可能性も無視できません。
素手のパンチを繰り出す際は出来るだけ拳をゆるく握り、
相手の額や肘などの硬い部位にぶつけてしまわないよう注意が必要です。
(拳を強く握らなくても、しっかり腕が振れていれば拳の骨がぶつかるだけで十分な破壊力を発揮できます)
小指側の拳骨に圧力をかけない
フルコンタクト空手でもボクシングでも、
パンチは必ず人差し指と中指の付け根にあたる2本の拳骨を当てるよう指導されます。
(空手では「拳頭(けんとう)」などと呼ばれる部位です)
これにはいくつか理由があり、
・小指側の骨が非常に繊細なため
・前腕と拳の先端を一直線で結ぶため
・ナックルを押し込むコークスクリュー効果
などがメジャーですが、怪我のリスクと直結しているのは上の二つです。
まず小指に限らず指は細かい骨と関節の集合であり、少しでも不自然な角度で力を加えると簡単に骨折・脱臼してしまいます。
特に小指側2本(薬指・小指)の中手骨は繊細であり、握り方が甘ければ場合によっては親指にまでそのダメージは波及します。
完治させるのが困難な怪我で、格闘家の場合は選手生命にも関わるため特に注意が必要な部分です。
(管理人自身も、右手拳の度重なる骨折が引退の原因の一つとなりました)
また特に人差し指の付け根にあたる骨を前方に押し出すようにした握りは、
手首から前腕にかけてのラインを真っ直ぐに結ぶ理想的な握り方であり、
破壊力を最大にしながら怪我を防げる理にかなった打ち方に繋がっています。
パンチを打つ際は絶対に拳の小指側からぶつけるようにすることを避け、
(横軌道のフックまたはオーバーヘッドパンチにおいて特に注意が必要です)
必ずナックルパートと呼ばれる親指側2本の拳骨を真っ直ぐぶつける意識を持つことが大切です。
無理に肩を内旋させない(コークスクリューしない)
特にボクシングにおいて多く見られるパンチのフォームとして、
肩を大きく内旋させ拳を内側に捻り込むようにする打ち方がありますが、
肩の故障に繋がるため理想的とは考えられません。
一般に肩を大きく内旋させる目的は、
・肩で顎を隠すため(ディフェンス)
・パンチをより深く突き刺し相手に効かせるため(オフェンス)
といった攻防両面での優位性を満たすことが考えられますが、
肩の大きな内旋はローテーターカフなどと呼ばれる肩の回旋に関連する腱に多大な負担をかけ、
インピンジメント症候群などメジャーな障害を引き起こす原因になると考えられています。
確かに上に挙げたような理由のために肩をしっかり内旋させたパンチを心がけることも理に適ってはいますが、
長期的な健康面や選手生命を考慮した時、確実に蓄積していく靭帯や関節へのダメージは決して無視することはできません。
肩を大きく内旋させなくても、しっかり顎を引き肩をすくめるようにするだけでまともに顎を打たれるリスクは軽減できます。
また肩全体を内側に捻るのではなく、肘から先――手首にかけてのラインを絞るように打ち込むだけでもナックルを返すことは可能であり、
肩に大きな負担をかけずとも体重の乗ったコークスクリューパンチを打つことは可能です。
もしもパンチを打つ際に肩の痛みや違和感・脱力感がある場合はフォームの修正を試み、
無理に肩を内旋させることのない自然で安定した打ち方を探ることが肝要です。
路上のファイトでは掌底を使うという手も
拳をバンテージやグローブで保護できない路上のファイトでは、
手のひらの親指の付け根にあたる”掌底”(しょうてい)という部位を使うのも一つの手です。
古典的な近代護身術では非常にメジャーなテクニックであり、
・下から相手の顎や鼻をかち上げる
・相手の顎にフックの軌道で打ち込む
・目の周囲を狙って素早く打って引く
といった運用法が効果的と考えられます。
言うまでもなく拳や手首を傷めるリスクはパンチに比べ極めて低く、
相手に与えるダメージも状況によって調節できるためより実戦的とも言えます。
掌底打ちに関しては以下の記事で詳しく解説しています。ぜひ参考になさってください。
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最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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