【小ネタ】総合格闘技における最速KO記録から見えるパンチの有効性【コラム】
- 2020.06.24
- 護身術
いつも心に1丁のレーザーブラスターを。どうもサイコ田中です。
護身術の究極的な目標は「互いが無傷で帰宅できること」ですが、
(要するに争いに発展しないことです)
身を守るために実力行使が避けられない場面があることも事実です。
ファイトになった時の目標は可能な限り短い時間で相手をフィニッシュすることですが、
最短・最速で相手を倒すために、どのようなアプローチが有効でしょうか。
今回は、総合格闘技における最速KO記録に基づき、
パンチとカウンター攻撃の有効性についてお話ししたいと思います。
寝技・関節技での最速フィニッシュ例はほぼ皆無
今回は最速KO記録の参考として、世界最大の総合格闘技プロモーターである、
UFCの公式記録(2020年6月1日現在)を取り上げます。
UFCにおける全27の最速フィニッシュレコードの中で、
最多(21件)を占めるのが、パンチによるフィニッシュです。
その他非常に稀なケースとして、飛び膝蹴りなどがありますが、
テイクダウンからのパウンドや絞め技・関節技でのフィニッシュは数えるほどしかありません。
路上のファイトにおいて典型的なフィニッシュパターンであるパウンドがここまで少ないのは、
プロ格闘家のテクニック・パワー・スピードが極めて高い水準にあることの表れであり、
一撃のもとに相手を沈める絶対的な破壊力の象徴とも言えるでしょう。
当ブログにおいて護身術を扱う記事では再三にわたり打撃テクニックの重要性をお伝えしてきましたが、
最速KOという記録のみに絞って見ても寝技・関節技でのフィニッシュが皆無に等しいことからも、
パンチなどの打撃テクニックが相手をフィニッシュすることにどれだけ有効かが垣間見えることと思います。
また総合格闘技の試合のように「よーいドン」でスタートしない路上のファイトにおいては、
特に急所への不意打ち・急襲が有効であり、いきなりタックルやテイクダウンに持ち込むというのは、
とてもスマートな対応とは言えません。
多様な局面への対応が求められるセルフディフェンスにおいても、打撃テクニックは非常に重要な位置を占めています。
仮に相手を傷付ける恐れがあったとしても、パンチやキックの練度を高めることは、必ず自己防衛能力の向上に繋がります。
特に時間や機会が限られている社会人の方は、とりあえず寝技・組技体系のアプローチは後回しにし、
打撃テクニックを磨くことを優先するほうが賢い選択と言えるでしょう。
UFC最速KO記録から見えるカウンターパンチの有効性
UFCの最速KO記録で最多を占めるテクニックがパンチであり、
特にカウンターのタイミングでクリーンヒットしたパンチは、
ほぼ100%フィニッシュに繋がっています。
なぜカウンターパンチはこれほどまでに強力なのでしょうか。
ダメージ(衝撃)が2倍になる
カウンターとは互いの打撃が交錯する、相打ちのタイミングになることが前提です。
静止したものにぶつけるのと、同じ対抗速度で衝突するのでは物理的に衝撃の大きさが違ことから明らかな通り、
自分がパンチを打ち込むパワーに相手が踏み込む・技を繰り出す勢いが加わることにより、
体感的にそのダメージは2倍以上に膨れ上がります。
原理的には2階級から3階級上のパワーでの打撃力になるため、
体格差や身体能力面でのハンデは無くなり、身体の大きな相手を一発で倒すことも可能と言えます。
(ただし当然のことながら、パンチを打った拳や手首・肩などの関節は無事では済みません)
打ち合いの中で偶発的にヒットする
最速KOの記録が生まれた試合の映像を注意深く観察すると、
激しい乱打戦の中から偶然当たったパンチがフィニッシュに繋がったように見えるものも少なくはありません。
(典型的なものは、13秒でフィニッシュしたアルドVSマクレガーでしょう)
互いが有効射程内で全力のパンチを振り回すわけですから、どちらがまともに食らって倒れても不思議ではありませんが、
良くも悪くもカウンターのタイミングでヒットさせた方が主導権を握るという図式に変わりはなく、
これは路上のファイトにおいても当てはまることに違いありません。
素人同士の殴り合いにおいても見られる1発KOのパターンの多くは、至近距離で振り回したパンチの一発が、
たまたまカウンターのタイミングで顎などの急所に直撃するというものであり、
カウンターが1発逆転のキーであるのと同時に、自分がKOされるリスクも考慮しなければならないことがよくわかる例とも言えます。
(プロのファイターは動体視力や個人の当て感などを頼りに「狙って当てている」ことに注意が必要です)
タイミング的に防ぎようがない
一撃で相手を倒すうえで欠かせない要素は、
相手に心の準備をさせないということです。
(不意打ちが最も確実なフィニッシュパターンであることにも関連しています)
カウンターのタイミングは文字通り相手が手を出すタイミングに相当するため、
相手はブロックしたりフットワークで距離を取るという選択肢を持たないのに加え、
パンチのモーションに入ってから危険を察知できたとしても、ほぼ防ぎようがありません。
完璧なタイミングのカウンターは死角から顎やこめかみ(テンプル)を一撃で打ち抜くため、
打たれたほうは倒れて初めて気が付くということがほとんどであり、
KO記録の試合を見ても、完全に意識が飛んでしまっているケースが多く見受けられます。
(KOされた後も必死に相手の足にしがみつく選手の姿を見ると、プロのプライドと執念が強く感じられます)
レアケースとしての飛び膝蹴りとテイクダウン
UFC最速KO記録の大部分はパンチによるものであることは既にお伝えした通りですが、
非常に稀なケースとして、飛び膝蹴りによるフィニッシュが見られます。
飛び膝一発でのKOは1件しか確認できませんでしたが、
明らかに飛び膝蹴りをきっかけとしてリズムを掴み、そこからフィニッシュに繋がったパターンはいくつか見られ、
最速KOの一つのパターンとして、その可能性を再確認することができました。
(日本では故・山本KID徳郁選手がヘラクレスこと宮田和幸選手を4秒で葬った試合があまりにも有名です)
飛び膝蹴りは相手へ走り込むようにすることで威力を増大させることが可能であり、
ヨエル・ロメロ選手のパフォーマンスに見られるように、身体ごとぶつかるようにして打ち込むものが特に強力と考えられます。
また飛び膝蹴りと同様非常に稀なパターンとして、テイクダウンからのパウンドも見られました。
相手の蹴りをキャッチする、単純に押し倒すようにしてテイクダウンするなどきっかけは様々でも、
上になったほうが有利であることは誰の目にも明らかです。
路上で相手をテイクダウンするのはかなりリスキーですが、もしも首尾よくマウントを取れた時には、
積極的にパウンドを打ち込むことも、短い時間でのフィニッシュに繋がるかもしれません。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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