全く意味が無いどころか逆効果になる「ガードの間違い」5選と直し方

全く意味が無いどころか逆効果になる「ガードの間違い」5選と直し方

いつも心に1匹の黄金カブトムシを。どうもサイコ田中です。

身を守るための基本となるディフェンス技術はガード(ブロック)に違いありませんが、

初心者の方のほとんどは間違ったまま覚えて運用している印象があります。

今回はガードとして効果が無いだけでなくむしろ逆効果になる、

よくある「ガードの間違い」とその修正方法についてお伝えします。


迷ったらとにかく頭を抱える

よくドラマや映画などで急に殴りかかられた人物が必死になって頭を抱える描写が見られます。

みっともなく弱弱しい印象ですが、身を守るためには合理的な対応と言えます。

基本的に頭部や顔面には人体の急所とされる部位が集中しており、

特に側頭部(こめかみ)、顎、後頭部などへの打撃は致命的で、

まともに殴られた場合は命を落とす危険性もあります。

これらの危険な急所をしっかりと保護するためにも、

「しっかりと顎を引き、両手で後頭部を覆うようにして頭を抱える」というのが、

誰にでもすぐできる安全なブロックの形です。

パンチをかわしたり格闘家のように受け流す・受け止める技術を知らなくとも、

迷ったらとにかく両手で頭を抱えるようにすると覚えているだけで、

緊迫した場面での生存率を少しでも高めることに繋がるでしょう。


よくあるガードの間違い5選と修正方法

ここでは初心者や格闘技経験のない素人の方がやってしまいがちなガードの間違いを、

姿勢など5つの項目に分けてお伝えします。

修正方法やいざという時のワイルドカードとも言えるテクニックも併せて紹介していますので、

老若男女を問わず身を守ることに興味をお持ちの方はぜひ参考になさってください。

 

きちんと顎を引けていない

致命的かつ頻繁に見受けられる間違いは、

ちゃんと顎を引けていない、というものです。

基本姿勢の段階での間違いであり、とくにパンチを受ける際においては危険なミスで、

相手のどんなパンチもKOパンチになってしまう恐れがあり注意が必要です。

しっかりと顎を引くことにより体幹安定性も向上し打たれてもふらつきにくくなり、

顎も簡単に揺れなくなるため頭部に受ける打撃によるダメージを軽減することに繋がります。

また顎を引くだけでなくやや猫背気味に背中を曲げることで、打撃に対する衝撃耐性はさらに向上します。

(ボクシングの試合などでかなり大きく前傾して構えている選手が見られますが、ガードを固めるうえでは合理的な体勢と言えます)

 

顎を引くことを癖づける簡単な方法は、

顎の下にテニスボールや丸めたタオルを挟んでシャドーボクシングをする、というものです。

顎が上がってくるとボールが落ちてしまうのでわかりやすく、

ボールを落ちないよう顎を強く引こうとするため、

自然に顎を引く形が身についていくというメカニズムになっています。

(プロのムエタイ選手ともなると、薄い紙きれのようなものを顎の下に挟んで姿勢を矯正されます)

 

ガードする手が顔から離れている

頻繁に見受けられる誤りの代表例として、

ガードの手が顔から大きく離れてしまっている、というものが挙げられます。

ガードする手が顔から離れてしまうと、相手の打撃を受けた腕がそのままの勢いで自分の頭にぶつかるため、

結果的にブロックとして機能していないどころか、むしろ逆効果になってしまう恐れさえあります。

(ガードしているつもりになっていながら、その実態は自分の手で自分を殴っているのと大差ありません)

ガードする際にはしっかりとブロックする腕やグローブを額に密着させ、

相手の打撃の勢いを少しでも吸収するイメージを持つことが肝要です。

 

この間違いを正す簡単な方法は、

しっかりと手で額に触れることを意識することです。

ガードの動作を確認する際に、しっかりと両手または片手が額や側頭部に触れる形を作ることで、

腕が宙ぶらりんになる間違ったフォームを修正することができます。

ガードの動作で自分の手が顔に触れない時は間違いだとすぐわかるのに加え、

ガードする手がずるずると下がってくることを防ぐ効果もあり一石二鳥です。

ブロックの形が上手く作れない初心者の方は、積極的に自分の顔に触れることから始めてみましょう。

(片方の手を顎にくっつけたままにする、両手を鼻の前から動かさないといった試みも効果的です)

 

ガードが高すぎてボディががら空き

ボクシングなどを始めたばかりの初心者の方によく見受けられる間違いとして、

ガードを上げることを意識しすぎるあまり、お腹周りががら空きになってしまうというものがあります。

ガードをしっかり上げて頭部を保護するイメージを持つことは大切なことですが、

胸や腹部への攻撃もきちんと防げなければ意味がありません。

ガードの体勢を作る際には、お腹や胸ががら空きになっていないか、

肘が外に開いたりしていないかを、鏡を見てチェックするようにしましょう。

 

ガードが上がりすぎる間違いを正す手っ取り早い方法は、

肘の高さを一定に保つ練習です。

ガードが高くなってしまう人に共通するのは、

前腕で顔面をカバーしようとして、肘が高く上がりすぎてしまっているというケースです。

よほど腕が短い人でもない限り、人体の構造上は肘が胸の前から首の高さにまで上がっていれば、

十分顔面から頭部全体をカバーでき、それ以上肘を高く上げる必要はありません。

肘打ちの練習をするような場面を除いては、肘を高く持ち上げるような構えは避け、

どんなに上げても首から顎の下までにとどまるよう意識することが大切です。

 

前後の体重配分が不適切

ディフェンスの際にふらふらしてしまうという方は、

前後の重量バランスが乱れているかもしれません。

後ろ足に体重がかかりすぎると腰が引けてしまい、

打撃をもらうたびに上半身が反って危険な体勢になってしまいます。

また逆に前に体重が乗りすぎていると、バックステップなどで距離を置く動作に遅れが生じ、

結果的に総合的なディフェンス能力が低下してしまうため好ましくありません。

前後の体重配分はなるべく50対50の形を意識し、

どんなに相手のプレッシャーが強くとも前60:後40前後のバランスを保てるイメージを持つことが重要です。

 

体重バランスを一定に保つためのドリルとして、

片足立ちチェックをおすすめします。

やり方はいたって簡単で、普通に構えの形を作ったら、

どちらか片方の足を地面から離して片足立ちになります。

バランスを取りやすい方と取りにくい方があると思いますので、

(どちらも特に問題なかった方はとても完成度の高い体幹をお持ちです。自信を持ちましょう)

バランスを取りにくい方の足で片足立ちのままパンチなどの動作を繰り返し、

前後の均整を取れるよう意識していきましょう。

片足立ちチェックの過程でパンチを打つ際の体重移動や、床を蹴る感覚なども掴めるかと思います。

 

ガードを固めすぎる

初心者の方がスパーリングの時間などに陥ってしまう好ましくない状況として、

ガードを固めたまま手が出なくなる、というものが挙げられます。

ガードをしっかりと固めて攻撃を防ぐのは大切ですが、

攻め手を欠いていてはただのサンドバッグとして殴られ続けるだけです。

消耗からガードが下がり致命的な打撃をもらうのは時間の問題であり、

このような状況に陥った場合は、

・何でもいいから手を出す

・クリンチに持ち込んで相手の動きを止める

・コーナーやロープ際から脱け出す

というイメージが重要になってきます。

セルフディフェンスにおいては、壁やフェンスに押し付けられた状態での連続した殴打や、

凶器を使った連続攻撃を受けている際などにも当てはまる考え方です。

 

ガードを固めて動けなくなる状況を回避するためには、

相手の打撃の切れ目を見つけて手を出すほかはありません。

どんなにアグレッシブ、テクニカルなファイターでも、

コンビネーションの組み立てには一定の規則と癖があります。

例えば頭を2回打ったらボディを挟んでアッパーにつなぐ、

ボディを強めに打ったら強いフックを打ってもう一度上下に散らす……など、

打たれながらでもその打撃にある種のルールがあることは見えてきます。

(ボコボコにされている最中は思考が止まってしまいがちですが、冷静になれば突破口は開けます)

打撃パターンがつかめてきたら、ブロックの合間に小さなジャブを返したり、

モーションの大きい技の前後でクリンチを試みたり、相手のリズムを崩すことが肝要です。


ハイガードで打撃戦を優位に

ハイガードなどと呼ばれる相手の顔の前に手を伸ばすようなガード型も有効と言えます。

特に自分の方が背が高くリーチを生かせる場面において有効なテクニックであり、

ハイガード自体の攻撃を防ぐ能力は決して高くありませんが、

顔の前に手を出されて視界を塞がれるというのは想像以上に不快であり、

アグレッシブで突進力のあるファイターを足止めするにはうってつけと言えます。

また総合格闘技の世界最大プロモーターであるUFCのコナー・マクレガー選手はこのハイガードを応用し、

相手の腕や肩に触れることで、攻撃の予備動作を察知しカウンターを合わせるという驚異的なテクニックを披露しています。

このようにハイガードは比較的簡単かつ安全に運用できるうえに、

状況によっては一方的に主導権を握れる強力なディフェンスとなっています。

もしも通常のガードやブロックでは心もとないと感じたときには、

ワイルドカードとしてハイガードを採用するのもありかもしれません。

 

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました。