本能(反応)を矯正する5つのトレーニングと実戦への応用

本能(反応)を矯正する5つのトレーニングと実戦への応用

いつも心に1本の最高級備長炭を。どうもサイコ田中です。

犬や猫などと同様に、人間にも動物としての本能に従ったリアクションが多数存在します。

・水をかけられると目を閉じてのけぞる

・高所から落下する際に腕を頭上に掲げる

・ぶつけたりした場所を咄嗟に手で触れて確かめる

などが典型的な例であり、これらは意図して行うというよりも、

「勝手に身体が動く」というのが自然と考えられます。

今回はこうした本能的なリアクションを上手く利用して身を守るためのテクニックを、

それらの反応を矯正するトレーニング方法と共に紹介します。


動物的な本能は矯正できない?

脊髄反射のような人体の構造的な本能を矯正するのは困難(というより不可能)ですが、

・何かを見たときどんな動きをするか

・事象Aに対しどのようなリアクションをするか

・シチュエーションを限定した瞬間的な反応

などはスポーツにおける反復練習などのように、

ある程度自分の意志で理想的な形に矯正することが出来ると考えられます。

例えばテニスであれば始めたての頃はサーブの種類や打球の変化、高低の打ち分けなどやることが多く苦労しますが、

ある程度練習を重ねる過程で効率的な動き方や打ち方が身についていきます。

これと同じように、身を守るための技術体系についても、

適切な状況認識と対応を繰り返し確認することで、

必ず反応速度を向上させることが出来ます。

運動の経験や年齢的な面である程度個人差は生じますが、

セルフディフェンスを学ぶのに遅すぎるということはありません。

身を守ることに興味があるという方・単純に強くなりたいという方は、

まず自分に何が出来るのかを知り、出来そうなことから始めていきましょう。

 

当ブログのシリーズ「今日から始める護身術」をぜひ参考になさってください。

【今日から始める護身術】の記事まとめはこちらから


本能を使って身を守るテクニックと5つの矯正トレーニング

ここからは人間が持つ本能を使って身を守るテクニックを、

各々の効率的な矯正トレーニング方法と共に5つご紹介します。

防犯・護身に興味をお持ちの方はぜひ一度参考になさってください。

 

頭を抱える動作から効率的なブロックへ

上から振りかぶるような打撃や正面からのパンチに対しては、

頭を抱えるようなポーズを取る人が多く見られます。

このままでも十分攻撃を防ぐことに繋がりますが、

より生存率を高めるためにも正しいブロックの形に近づけることが理想的です。

 

ただ両手で頭を抱えるだけでは耳やこめかみ、顎などが露出するため安全性が高いとは言えません。

しっかりと顎を引いて後頭部を手で覆うようにして両手で頭を抱え込み、

両方の肘を前に突き出すようにするのが効率的なブロックの形です。

 

攻撃を受けそうになった時、ただ頭を抱えるのではなく、

上記の理想的なブロックの形を再現できるよう、繰り返し動作を確認しておきましょう。

(何も考えずに素早くブロックの体勢が作れるのが理想です)

 

のけぞる動作はバックステップとセットに

正面からの攻撃に対し、驚いてのけぞってしまう人は多く見受けられます。

確かに、相手から頭を遠ざけることが出来るため被弾リスクは軽減されますが、

バランスを崩したり腹部や下半身を狙われる恐れがあり決して好ましくはありません。

 

ただのけぞってしまうだけでなく、身体の重心が後ろへと流れるのと同時に、

後ろへ素早くステップして相手から距離を置く動作をセットにしてしまいましょう。

 

相手の攻撃を回避しながら安全な距離を保つことが出来るため非常に効率的な動作であり、

後ろへのけぞったまま後退りするように下がるだけなので比較的容易です。

上体を反らす(のけぞる)→素早く後ろへステップするという動作がワンセットになるまで反復し、

慣れてきたら左右の動きも加えて的を絞らせないイメージを作っていきましょう。

(バックステップは後方に十分なスペースがある場面のみ有効です)

 

自分から向かっていくイメージを持つ

正面からの打撃に対し恐怖からのけぞってしまう人が多いと述べましたが、

その反応自体を矯正してしまう手もあります。

 

攻撃を受けそうになった時、のけぞったり下がったりするのではなく、

あえて相手に向かっていくような動きを取ることで、

・防戦一方の形を回避する

・クリンチ(抱き着く動作)に持ち込む

・素早くカウンターを合わせる

など選択肢が大きく広がり生存率を高めることが可能です。

 

肘を前に突き出したブロックの体勢か、

額に交差させた腕を押し付けるようにするクロスアーム・ブロックの体勢を取り、

上体を前に傾けるようにして相手の攻撃に対して自分からぶつかるイメージを持つことがポイントです。

相手の攻撃を防いだ後は素早く頭突きや肘打ちなど考え付く限りの反撃手段を用い、

素早く攻撃者の戦闘力を奪うことが肝要です。

(クロスアーム・ブロックのイメージが難しい場合、机に突っ伏して眠るようなポーズを想像するとわかりやすいでしょう)

車のハンドルにもたれるポーズも、クロスアーム・ブロックの形に近いためイメージしやすいでしょう。

パンチを防ぐ際にはしっかりと顎を引き、背中を丸めるようにするのが有効です。

 

手を前に突き出す動作はハイガードの形に

特に女性などの場合、正面からの攻撃に対して両手を前に突き出し、

そのままボコボコ殴られてしまうというケースは頻繁に見られます。

(柔道・柔術出身の総合格闘家も同様の状況に陥る場面が確認できます)

 

確かに、両手を前に突き出すというのは防衛手段として決して間違いでありませんが、

それは攻撃者に対し明らかにあなたのほうがリーチが長く、

手を伸ばすだけで打撃を妨ぐことが出来るような場面のみについて言えることです。

そして、そのようなケースは極めて稀と考えるべきです。

 

あなたがどんなに必死になって腕を伸ばしても、相手の方が腕が長ければ、

一方的に殴られてノックアウトされてしまうのは時間の問題です。

そうなることを避けるためにも、より安全なハイガードの形を作ることが重要です。

 

ハイガード(ロングガードとも)はムエタイおよびキックボクシングにおいて顕著に見られるディフェンステクニックであり、

片腕(特に前に出ているほうの腕)を相手の方に伸ばし、

もう片方の腕で顔や顎を保護するといったスタンスが一般的です。

この形であれば仮に顔面をまともに殴られても直撃は回避できるうえに、

前に伸ばした腕が邪魔になって相手は的を絞りづらく、前進を妨げることにも繋がります。

 

棒立ちの体勢からハイガードの形を作る動作を繰り返し、

両腕を伸ばして顔を背けたり、防戦一方の形になってしまうことを回避する意識を持つことが大切です。

ハイガードのイメージが難しい場合は、

パンチを打ったまま制止したような体勢を作ってみるのも効果的でしょう。

しっかりと顎を引き、手のひらを前方に突き出して肩をすくめるようにするのがポイントです。

 

腕を大きく振らない(コンパクトな動作)

格闘技経験のない方がリアルファイトなど高い緊張状態に陥った場合、

腕全体を大きく回旋させたり、強く振り払うような動作を繰り返してしまいがちですが、

隙が大きく体力の消耗も激しくなるため合理的とは言えません。

 

・伸ばした腕をブンブン振り回さない

・パンチは身体の正面に対し真っ直ぐ打つ

・打ち終わりは素早く腕を引いてガードの体勢へ

・可能であれば肘や膝など硬い部位を積極的にぶつける

といったポイントを意識していく事で、

大きな怪我を防ぎながら効率的な反撃が可能になります。

 

特に頭を素早く振って放つ頭突き肘打ちは至近距離で有効な攻撃手段であり、

パンチで手首や拳を負傷するリスクも回避できるため理想的です。

独学で護身術を学ばれる場合はパンチを積極的に練習するというよりも、

頭突き・肘打ち・膝蹴りなどの打撃テクニックを優先的に習得していくといいでしょう。


路上では「やられたらやり返す」でOK

「やられたらやり返す」なんて幼稚でみっともない響きですが、

路上で身を守るためには欠かせないルールと言っても過言ではありません。

手を出された場面で防戦一方になったり無抵抗のままでいると、

最悪の場合命を落とすリスクがあり大変危険です。

相手を傷付けることに抵抗があったとしても、また世間体や法的な問題が脳裏をよぎったとしても、

身を守るためには最後まで必死に抵抗しなくてはなりません。

たとえあなたが加害者になってしまったとしても、

その場で命を落とすことに比べればずっとましと考えるべきです。

特に相手が酩酊状態にあったり、話の通じない相手(外国人など)の場合は説得など通用しません。

自分と大切な人の身を守るために、死に物狂いで闘う覚悟を持ちましょう。

 

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました。