今日から始める護身術31【グラウンドの基本】
- 2020.09.03
- 護身術
いつも心に1本の可変式薙刀を。どうもサイコ田中です。
セルフディフェンスにおいて最も典型的なシチュエーションの一つは、
倒された状態または両者ともに地面に倒れ込んだ状態からのファイトです。
今回はシリーズ「今日から始める護身術」の第31回として、
グラウンド状態における基本的な戦略についてお伝えします。
基本的には「倒された時点で負け」
残念ながら、性別年齢を問わずルールの無いリアルファイトにおいては、
先に背中を地面に着けてしまったほうが負けになると考えるべきです。
多くの武道において背中が床についた状態は「一本」または「技あり」「有効」などであり、
その時点で敗北を意味します。
ルール上の「敗北」であるのと同時にリアルファイトにおける「死」に他ならず、
絶対に回避すべき状況であることには変わりありません。
体格差がある場合は一方的に殴られるだけでなく、
・体重をかけて押さえつけられる
・首など危険な部位を圧迫される
・床に頭を叩きつけられる
など命に関わる攻撃を受けるリスクが一気に高まり、
マウントを取られる(馬乗りの状態)などした場合はその場で殺されても全く不思議ではありません。
また仮に自分が首尾よく上を取ることが出来たとしても、
相手を過剰に傷つけ法的な面で負けになり、社会復帰が困難となる可能性も無視できません。
グラウンドポジションでの基本的な生存戦略
ここからはグラウンド状態でのファイトで少しでも生存率を上げるためのポイントを、
防御と攻撃に分けて5つお伝えします。
防犯・護身に興味をお持ちの方は参考になさってください。
背中を丸めて急所を保護する
相手から見て横向きに倒されてしまったときは、
とにかく背中を丸めて頭を抱え込む体勢を作ることが最優先です。
特に相手が立っていて自分だけが転がっているような場面では、
・頭部または腹部へのサッカーキック
・顔面への踏みつけ
・上体を押さえつけての膝蹴り
などといった非常に危険な攻撃を受けることが想定され、
それらすべてをかわしたり防いだりすることは不可能と考えるべきです。
両手で後頭部を押さえて腕全体で頭部を包み込むように保護し、
自分のおへそを見るように背中を丸めて急所が露出しないような体勢を作りましょう。
もちろんそのままでは一方的に殴られ続けて危険なことに変わりはありませんが、
成功する見込みのない反撃を試みて窮地に追い込まれるよりは遥かに安全です。
誰かが止めに入ってくれるまで、致命傷を負わないことを最優先に考えてください。
両腕をぶつけるようにしてブロックする
頭部へのサッカーキックに対しては、
両腕をぶつけるような形のブロックが有効かもしれません。
キックが飛んでくる方向に対して、顔の前に盾を作るようなイメージを持ちながら、
両方の肘または前腕を突き出していきます。
この時肘と前腕を相手の蹴り足の脛に向かってぶつけるようにすると、
少しずつですが蹴っているほうもダメージを受けていきます。
何度か腕をぶつけるブロックを試みて相手のサッカーキックが鈍くなってきたら、
相手の片足を掴んで体重をかけることによってその場に引き倒すか、
素早く立ち上がり安全なポジションを確保しましょう。
マウント状態からは「頭突き・金的」で脱出
馬乗り(マウント)の状態からの脱出は至難の業です。
プロの総合格闘家でも、フルマウントを取られるとほぼ為す術がありません。
マウント状態を取られたときに絶対にしてはいけないことは、
相手に背中を向けるように逃げることです。
顔面への打撃などを嫌がって相手に背中を向けて四つん這いのような体勢になってしまうと、
・後ろからの裸締め(リアネイキッドチョーク)
・後頭部への打撃
・見えない角度からの凶器攻撃
など命に関わる攻撃を受けるリスクが一気に高まり、生存率が大幅に低下します。
可能な限り相手と正対したままの体勢を維持し、
下から腰を突きあげるなどしてバランスを崩すことを積極的に試みていきましょう。
またこうした下になった体勢からの突き上げ動作に関連しているトレーニング種目として、
ヒップスラストやワイドスクワットなどが挙げられます。
仮にマウント状態を取られたとしても、全く為す術がないわけではありません。
ルールの無い路上のファイトでは、
・金的への攻撃
・頭突き
・噛みつき
などは常に有効であり、
これらは下になった体勢からでも隙を見て直撃させることが可能です。
特に相手の下腹部に対するハンマーパンチ、
腹筋を使った下からの頭突きは強力であり、
これらをいつでも効果的に運用するためにも、
普段からある程度腹筋を鍛えておくことを強くおすすめします。
上になった時の攻撃は短く・コンパクトに
上を取れたからと言って一安心とはいきません。
ファイト自体をなるべく短い時間で終わらせなければ、
警察官が現場に駆け付けたり、目撃者に状況をスマホなどで撮影されてしまい、
あなた自身にも逃げ場が無くなってしまいます。
馬乗り状態からの打撃などはたとえそれが自己防衛の目的だったとしても、
第三者から見れば一方的な暴行であり、あなたの方が加害者にしか見えません。
・頭部へのハンマーパンチ
・相手の耳元を打つような横軌道のマウントパンチ
・打ち下ろしの肘打ち
といったコンパクトな打撃を数回程度にとどめ、
相手に脅威を感じなくなった時点で素早くその場を離れる意識が大切です。
また相手が凶器などを手にしていたり酩酊状態にある場合は、
可能な限り相手を押さえつけるなどして制圧し、
警察や周囲の助けを呼ぶことを最優先に動くことを心がけましょう。
その場で相手を制圧することに失敗しても、
大声で危険を知らせることは決して無駄ではありません。
安全な形の「押さえ込み」で助けを待つ
柔道のいわゆる「押さえ込み」のようなテクニックを知らなくても、
しっかりと相手に体重をかければ動きを制することはできます。
腕立伏せをするときのようなイメージで相手の上半身に両手をあてがい、
全体重を腕の方にかけるよう上から押さえつければ簡単には抜け出せません。
また下からの打撃などをもらわないよう相手の胸元にしっかりと顔を埋め、
とにかく腕をコントロールするよう心がけるだけでも違います。
先述の通り上からの攻撃は第三者からの客観的な印象が好ましくなく、
例え身を守れたとしても法的に追い込まれるか加害者になってしまうことも珍しくはありません。
可能な限り相手の動きを制して警察官などが現場に駆け付けるのを待ち、
お互い無傷に近い状態でその場を収めることを目指していくのが理想です。
間違ってもあなたのエゴで相手を一方的に打ちのめしたり、
抵抗できない相手を殴り続けたりしてはいけません。
グラウンドの形を回避するために
上に述べた通り、グラウンドの状態は徹底的に回避すべきです。
下になっても上になってもリスクとデメリットしかなく、
首尾よく相手を制圧できたとしても、
もしも相手が「自分の方が被害者だ」と主張した場合は面倒なことになりかねません。
まして相手が複数人の場合は地面に膝をついてしまった時点で終わりです。
こうした事態を回避するためにも、
積極的にスタンド(立ち技)の技術——すなわち打撃テクニックを磨き、
なるべく立った状態で相手を倒してその場を立ち去れる状況を作ることが肝要です。
もちろんテイクダウンに対する対策を学ぶことも大切ですが、
グラップリングの技術体系は複雑で難易度が高く、
習得には長い年月がかかってしまいます。
毎日決まった時間パンチや肘打ち、基本のキックといった打撃訓練を重ねるほうが時短にもなり、
いざというとき身を守ることには大いに役立ちます。
我流でも構いませんので、立った状態からのテクニックを一つでも多く身に着け、
グラウンド状態に持ち込ませない・持ち込まれない立ち回りを自分のものにしていきましょう。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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