【小ネタ】反復練習の重要性と課題【コラム】

【小ネタ】反復練習の重要性と課題【コラム】

いつも心に1匹の怪しい野良猫を。どうもサイコ田中です。

”反復練習”と聞くと、

「今時時代遅れだよ」とおっしゃる方もいらっしゃるかもしれませんが、

身を守る技術を習得するうえでは欠かすことの出来ない習慣です。

何故、同じ動作の繰り返しがそれほど大きな意味を持つのでしょうか?


何事も”慣れ”と経験の積み重ね

仕事にせよ趣味にせよ、

初めてのことは大抵上手くいきません。

中にはどんなことでも最初から人並み以上に出来てしまう器用な方もいますが、

そのような人は少数派に違いありません。

 

特別な才能や資質に恵まれた一部の人種以外の所謂”凡人”の我々にできること、

為すべきことは、とにかく場数を踏み物事に慣れていくことに違いありません。

簡単な書類の作成にせよ車の運転にせよ何にせよ、

よほど要領の悪い人でなければ繰り返すことで必ず上達し、

安全確実で効率的な方法というものを自然に身に着けることが出来るものです。

これは、セルフディフェンスを学ぶ上でも全く同じことです。

 

漫然と繰り返すだけでは意味がありませんが、

続けていくことで必ず上達できますし、重要なポイントも見えてきます。

ですから最初は失敗続きで上手に出来なくてもいいからまず始めること、

そして一度始めたことをなるべく長い時間継続することが何よりも大切なのです。


反復練習の重要性と応用に向けた課題

反復練習反復練習と言っても、

ただ漫然と同じようなメニューのドリルや対人練習を続けていけばいいのではありません。

効率的な反復練習とは何か、そして実戦への応用に向けてどのような課題が挙げられるでしょうか。

 

基本動作を高い精度で身に着ける

基礎が大事なのはどんなことにも当てはまりますが、

身を守ることが目的なのですから生半可な内容ではお話になりません。

 

・一般的なパンチやキックなどの動作

・ディフェンス関係のスキル

・対武器並びに武器の基本操作

などセルフディフェンス基礎もその中身は多岐にわたりますが、

いずれもその基礎を可能な限り高い精度で習得し、

一つの技術をいつも同じように再現できる必要があります。

 

たった一度のミスが命取りになる極限状態で、

「あ、間違えた……」は通用しません。

どのような場面でも習い覚えた技術が寸分違わず、

そして最も高い効果を発揮する形で再現できるまで、

基礎トレーニングを徹底的に継続することはもはや最低条件でしょう。

 

反応してから動作に移すまで

パンチやキックの基礎動作が様になってきても、

正確にこちらが意図したタイミングで用いることが出来なければ全く意味がありません。

 

相手の動作や目線などに注意を払い、

反応して動き出すまでの過程も反復によって記憶しなくてはなりません。

もっと正確に表現するならば、

自身の肉体(マッスルメモリー)に正しい反応と操作を覚えさせる時間が必要です。

 

具体的には「ゴー‼」の掛け声と共にパンチを打つ、

パートナーが両手を上げたら振り払って蹴りを入れるなど、

眼で見て、あるいは音を聞いてから動作に移るといった、

外部からの情報に対する応答とその応答時間を短縮するトレーニングが必要ということで、

もちろん長い長い反復練習の末に身につくものに違いありません。

 

動きの中で正確に対応する

互いに棒立ちの状態でスタートするリアルファイトなどあり得ません。

常に相手も自分も動いている状況の中で、

更に上で述べた反応と対応が求められるわけですから、当然訓練が必要です。

 

具体的には、

・普通に歩いている状態から掛け声と共にディフェンス動作へ

・座って談話している状態からブザーと共に立ち上がり攻撃

・小さく左右に足を運びながらボールが飛んで来たら武器を抜く

などシンプルかつ現実的なシチュエーションに即したドリルは特に有効です。

 

大切なことは認知と行動を統合することであり、

反復して身に着けた動作を他の動きをしている最中も迷わず正確に実行できるようになるまで、

何度も何度も繰り返し身体に覚え込ませることです。

言うまでも無くこの工程は時間がかかるうえにストレスを伴いますが、

高い応用力を身に着けるうえで不可欠な取り組みに違いありません。

 

より高度な条件付けと対応力の強化

ここからが反復練習の最重要にして最難関の課題です。

ここまで繰り返した訓練の集大成として、

複雑な動作をいくつも組み合わせた上に、厳しい条件を設定し行う練習です。

 

具体的な例を挙げると、

・相手の攻撃をブロックし武器を抜く

・武器を抜いたら2名の攻撃者に最低3回攻撃を加える

・最後の1人は脅威かどうかを目視で判断し任意に行動する

というものですが、これは管理人がクラブセキュリティ(バウンサー)として勤務していた時代に実際に取り組んだドリルであり、

最も苦手で大嫌いだったトレーニングの一つです。

(もう時効なので白状しますが、この練習が嫌で嫌で仕方がないので頻繁に仮病を使って休んでいました)

 

こうしたドリルにおける課題とは、

・「極限状態で正確な動作が出来るか」

・「攻撃者を確実に処理できるか」

・「脅威でない一般人を保護できるか」

といった項目であり、特に難しいのが最後の一つ——「脅威かどうかの見極め」です。

 

実際の練習では相手役が黒のリストバンドを付けているか否か、

という至ってシンプルな条件付けで行われていましたが、

実際の現場ではそう簡単にいきません。

 

一見無害に見える女性客も敵意をもって近づいているかもしれませんし、

攻撃者の仲間のように見える男性が実は全く無害な一般客という可能性もあるのです。

そうした状況判断というものは一朝一夕に出来るものではありません。

とはいえ失敗すれば自分や周囲に危害が及ぶことは明白です。ミスは許されません。

 

「極限状態でミスをしないこと」は護身における最重要・最難関課題の一つであり、

セルフディフェンスを学ぶ人間は日夜この課題をクリアするため努力を重ねているといっても過言ではありません。

そして反復練習はそうした目的のため絶対に欠かすことの出来ない取り組みと言っていいでしょう。


プロでもミスはするのだから……

なんだか悲しいお話なのですが、

その道のプロでもミスはしてしまいます。

(管理人も勤務中の「やっちまった回数」は恐らく上位に位置しているでしょう)

 

例えばプロの格闘家でも追い詰められると悪い癖が出て格下相手にノックアウトされたり、

トップクラスのアスリートでもプレッシャーのかかる場面で冷静さを欠くと信じられないようなミスをします。

プロの方々でもそうなってしまうのですから、

何の肩書もキャリアも無い一般人は、

普段からミスをしないための努力を欠かすことが出来ません。

 

恐らく当ブログを訪れこのような記事をお読みになっている方の大半は、

本気で身を守る方法を身に着けようとお考えになっていることと思いますが(実際どうか知りませんが)

プロでもミスをする極限状態で、しかもたった一度のミスも許されない闘いを強いられているのですから、

生半可な覚悟ではとてもやってはいけません。

 

目的意識やイメージは人それぞれだとは思いますが、

セルフディフェンスを学ぶということは要するにそういうことです。

常に高い志を持ち、質の高い努力を継続できない方には不向きであるということを、

念のためお伝えしておこうと思います。

 

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました。