【小ネタ】「困ったらとりあえず何か投げろ」は正しいか【コラム】

【小ネタ】「困ったらとりあえず何か投げろ」は正しいか【コラム】

いつも心に1mgの怪しい鎮痛薬を。どうもサイコ田中です。

管理人は護身術を真剣に学び始めた10代の頃、

当時師事していた外国人インストラクターから事あるごとに、

「困ったときは何でもいいから相手に投げつけろ」と指導されていました。

非常にシンプルなアプローチですが、一体どれほど効果があるのでしょうか?


現実のファイトはとにかく泥臭い

映画のファイトシーンのように素早く華麗に、

そして一方的に相手を圧倒するというのが究極的な理想ですが、

現実のファイトというのは傍から見ると泥臭く、みっともないものです。

 

郊外にお住いの方はピンと来ないかもしれませんが、

都会では駅のホームで酔っ払い同士が取っ組み合いを始めたり、

そこら辺の路上で若者同士が互いの脚や腰にむしゃぶりついているなど珍しくもありません。

最近では高齢者同士の熱いバトル(笑)もそれなりの頻度で拝むことが出来ます。

 

パンチ一発で終わったり、キレのある蹴り一閃で終わるファイトなどありません。

互いがとにかく必死になって顔を赤くしながら掴み合い、揉み合い、

終わったころには服は破れあちこち擦り傷だらけ、砂ぼこりと何かの汁でグズグズ……そんなものです。

もちろん争っている当の本人同士は糞真面目、とにかく必死なのですが、

外野からすれば吹き出してしまうほど滑稽に見える——それが路上のファイトのリアルです。

 

我々は”路上の伝説”こと朝倉未来やホルヘ・マスヴィダルではありませんから、

始まってしまったらとにかく覚悟を決めるしかないのです。

行きかう人々の見世物となり、泥臭く争った末に得るものが何もないという現実に、

真正面から向き合うという悲壮な覚悟をです。

ストリートファイトのリアルというのは、そういうものなのです。


「何か投げろ」が効果的な3つの理由

現代護身術において「相手に向かって何かを投げる」というアイデアは効果的とされていますが、

その理由や正しい運用方法を知らなければ効果は薄れてしまうでしょう。

ここでは投げるものや投げ方など3つの項目に分けて、

「何か投げる」をより効率的に活用する考え方をお伝えします。

身を守ることに興味をお持ちの方は、是非一度参考にしてください。

 

手っ取り早く確実

現代護身術のコンセプトにおいて、

シンプルかつ効果的というのは非常に重要な意味を持っています。

 

「何かを掴んで投げる」という動作は手っ取り早く、

直感的にわかりやすく無駄がありません。女性はもちろん、小さな子供でも実行できます。

更に手軽であるのと同時に一定の効果も見込めます。

訳も分からず拳を振り回すより、手近にある硬いものやある程度重さのあるものを投げるほうが、

相手の接近を許さず時間稼ぎにも繋がり一石二鳥です。

また自分が怪我をするリスクも抑えられるうえに、

相手に過剰なダメージを負わせる危険性も小さいため法廷闘争においてもこちらが有利となります。

(特に女性や学生の場合、「身の危険を感じやむを得ず対応した」と証言すればほぼ罪には問われないでしょう)

 

次の動作への起点となる

ものを投げるという動作は、

上に述べた通りそれ自体が身を守るためのアクションであるのと同時に、

次の動作へと繋げる起点として効果的に機能します。

 

例えばあなたがハンドバッグを持っているのであれば、

それを掴んで振り回すよりも、相手の顔に投げつけ隙を作り、

一気に距離を詰めてパンチや肘打ちを叩き込んだ方が遥かに効率的です。

またキーホルダーやライターなど小さく金属光沢を放つアイテムの場合、

下から山なりにふわりと投げてやれば、相手はそれに目を奪われるか、

両手で受け止めようとします。

(理屈はわかりませんが、大多数はどういうわけかキャッチしようとするのです)

この際大きな隙が生じるため、そのまま逃げてもいいでしょうし、

あなたが手元にもっと強力な武器(タクティカルペンなど)を所持しているなら、

それらを抜いて構えるチャンスにもなります。

 

椅子など大きなものでも活用できる

椅子のような少し大きいものでも、

使い方次第で身を守ることに大いに役立ちます。

 

椅子を掴んで振り回したり投げたりしてもいいのですが、

身体を鍛える習慣のある男性以外は難しいでしょうし、

過剰防衛に問われるリスクも上がってしまいます。

 

手近にスツールやパイプ椅子のようなものがあるときには、

相手の足元に転がしたり、

相手が向かってくるタイミングに合わせて倒したりすると特に効果的です。

特に複雑な形状のスツールや重さのある肘掛け椅子などは、

避けなければ脛や膝を強打し、避けても足元がばたついて体勢を崩すため、

どちらにせよ相手の動きを一定時間大きく制限できます。

この間にダッシュで逃げてしまう——というのが基本的なアプローチになりますが、

慌てている相手の顔面にフルスイングのパンチをお見舞いするというのも全然ありでしょう。

このテクニックは相手が複数いる場面でも効果を発揮しますが、

自分の退路が無くなってしまわないよう注意しましょう。


「物を投げる」は日本では違法?

さて、ここまで「何かを投げる」テクニックの効率的な運用法についてお伝えしてきましたが、

ここで皆さんに残念なお知らせがあります。

それは「相手に物を投げる」という行為が、

日本の法律では暴行罪に問われるリスクがあるということです。

非常に重要なことなので繰り返しますが、

当たったか否かを問わず、人に物を投げると暴行罪に問われる可能性があります。

 

「じゃあダメじゃん……」と思った方も少なくないでしょうが、

状況として既にあなたが危害を加えられており、

「身を守るためやむを得ず取った行動」であることが認められるなら問題はありません。

(「正当防衛」と「過剰防衛」の境界は非常に曖昧ですが、後者になることは珍しいと考えていいでしょう)

 

だから好き放題相手に向かって物を投げつけていいよ、ということにはなりませんが、

あなたやあなたの大切な人が危険に晒されている差し迫った場面で、

ただ黙って耐えているなんておかしな話です。

トラブルの場面では手近に掴んで投げられるものが無いかを探し、

無くても倒れた際に砂や金属片を握り込むことは覚えておきましょう。

あなたが身を守るための武器は、色々なところに転がっているはずです。

 

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました。