今日から始める護身術15【つかみ合いの駆け引き】

今日から始める護身術15【つかみ合いの駆け引き】

いつも心に一脚のパイプ椅子を。どうもサイコ田中です。

いきなりですが、路上におけるファイトは主に2種類に別けられます。

一つは、どちらかが先に手を出して殴り合いに発展するパターン。

もう一つは、罵り合いや掴み合いといった近距離から展開されるパターンです。

今回は、この「つかみ合い」という局面に焦点を当てて、相手をなるべく傷つけずに戦いを終わらせる方法などを紹介したいと思います。


つかみ合いと殴り合いは全く違う

あえて言うまでもありませんが、掴み合いと殴り合いは根本的に違います。

相手と服の一部などをつかみ合っている状態は、いつでも殴りあいに発展する可能性があるように見えますが、事実は全く逆で、

「殴り合いを避けたい」という意思が働いているからこそ、近距離でのつかみ合いに移行しているわけです。

特に女性同士の喧嘩だと、髪が長いので髪を掴んだりしますが、これも直接的な暴力を回避した結果に他なりません。

殴る気があるのなら、つかみ合いになった瞬間かそれより前に、もう手を出しているでしょう。

そうならないことを望みながら、互いに引く気が無いという拮抗状態こそが「つかみ合い」という状態の正体です。

この状態なら、まだ相手はこちらの話を聞いてくれる可能性が残されているので、

積極的に語りかけて穏便に解決するのがベストです。

話が通じないと判断された時点で殴り合いへと移行する恐れはありますが、そうなってもリスクを最小限にする方法はあります。


相手をコントロールするということ

つかみ合いという状態における最大のテーマは、

いかに相手の動きや感情をコントロールするかです。

互いに両手または片手で相手をつかめる距離というのは、柔道やレスリングなど寝技系格闘技の間合いであり、パンチなど打撃の距離ではありません。

こうした状況で最も警戒すべきことは、相手に有利な奥襟や胸倉、手首などを簡単に掴ませないことです。

つかみ合いから発展する最悪のケースは、そのまま近距離での殴りあいになるか、

その場に投げられたり押し倒されたりして上を取られる事です。

これらを回避するために、どんなことが出来るのかを見ていきましょう。

 

まずは相手の目を見て説得・交渉

馬鹿馬鹿しい話ですが、相手が酔っ払いだろうが何だろうが、

まずは熱意と誠意を持って説得です。これはどんな場面でも同じです。

「落ち着いて話をしましょう」とか「何があったのか聞かせてください」で十分です。

つかみ合いの場面ではほとんどの場合相手がキレて我を忘れていることが多いのですが、

それでも手を出してこないということは、まだ様子を見てくれているということでもあるのです。

本当に理性が働かない状態ならば、いきなり殴られても不思議ではありません。

服の一部を掴んで怒鳴られているくらいなら、あまりビクビクする必要も無いでしょう。

相手がこちらの呼びかけに答えてくれそうなら、

「どこの駅で降りる予定だったのか」とか「家はこの近くなのか」といった情報を引き出しましょう。

これらの情報は警察が来てから役に立ちますし、何より興奮している相手を落ち着かせる効果があるのです。

(生年月日や名前などを聞くのも同じ効果があります)

言うまでも無く、先に手を出すなんて論外です。

ですがやむをえない場合、先手必勝が危険を回避する鍵になることもあるので、強い身の危険を感じた際は、躊躇無く攻撃しましょう。

 

弱点を簡単につかませないために

相手があなたの交渉に応じず、興奮が静まる気配も無いなら、いよいよ次の段階へ移ります。

奥襟(首の後ろ側の襟)や胸倉、手首などは掴まれると不利になります。

これらを簡単に取らせないよう相手の手を掴み返すなどして抵抗しましょう。

最初にこれらの弱点を握られた場合は、

軽く相手を突き飛ばしてでも距離を取りましょう。そのままでは危険です。

一番簡単な方法は、相手の手首をそのまま握り返すことです。

例えば右手で胸倉を掴まれているなら、左手を上から重ねるようにして相手の右手首を取ります。(外せそうなら外しましょう)

同様に左手で右手首を掴まれているような場合、こちらも同じように相手の右の手首を左手で掴みます。

絶対にやってはいけないことは、相手の手や手首を、両手で押さえることです。

相手が刃物を持っている場合は別として、

基本的に両手で一つの場所をコントロールすることは避けるべきです。顔面ががら空きになりますし、攻撃された際のガードも遅れます。

相手の手首を両手で掴まなくてはいけなくなったら、そのまま素早く相手に抱きつくか、身体を押し付けるようにしましょう。

まともに殴られるリスクが軽減します。

 

いざ殴り合いへ。最初の一撃は?

相手が交渉にも応じない、手首などをつかまれて今にも殴られそう、という状況になってしまったら、

もう「やる」しかありません。

上の方法で奥襟や手首を安易につかませていなければ、そのまま投げられるようなことはまずありえません。

ですが相手のほうが体重が重かったり、身体が大きかったりした場合は押し倒されるリスクがあります。

馬乗りの状態からの脱出は至難の業ですから、なるべく回避したいところです。

相手が攻撃する気配や、あなたをその場に引き倒そうとする動きを見せたら、即反応する必要があります。

つかみ合いの距離は、ほとんど互いの息がかかるほどの超至近距離です。

このような距離で最も有効な攻撃手段は、頭突きです。

相手の手首や腕をなるべく押さえてコントロールしつつ、相手の胸に顔をうずめるような感覚で、思い切り額をぶつけましょう。

額と額がぶつかるとこちらもダメージを受けるので、

前髪の生え際の少し下、骨の膨らんだ箇所を、相手の口元から目元の辺りに叩き込みます。

このとき、首を後ろに引いて反動をつけてはいけません。

相手に攻撃の意図を悟られますし、カウンターをもらうリスクがあります。

相手に出来る限り顔を近づけたら、いきなり無言で身体ごとぶつかりましょう。そうすれば自動的に頭突きが入ります。

頭突きで相手の動きが鈍くなったら、さっさと手を振りほどいて逃げるか、金的蹴りを入れて止めを刺しましょう。

(攻撃は最後の手段です。可能な限り相手と向き合い、穏便な解決を目指しましょう)


つかみ合いのカギは握力

言うまでも無くつかみ合いや組み合いの形でカギを握るのは、

単純な腕力です。

相手を掴む力が弱ければあっさり振りほどかれてしまいますし、腕の力が弱ければ逆に振り回される恐れもあります。

普段筋トレをしている人は、手首や握力を鍛えるメニューに力を入れておけば、

いざという時相手とのやり取りを優位に進めることができるでしょう。

またトレーニングの習慣が無いという方は、普通の腕立伏せから始めて、

徐々に指先、握り拳で10回2セットくらいの負荷を目指しましょう。

男性の場合腕が太いと女性にモテますし、日常生活でも役に立つ場面は多いと思いますので、腕や手首は積極的に鍛えることをオススメします。

また、つかみ合いの喧嘩では体幹の強さも重要ですから、

普段からコアを鍛えるプランクなどに取り組んでいると更に心強いかと思います。

頭突きという攻撃手段を紹介しましたが、あくまで暴力は最後の手段です。

出来る限り相手と話し合い、互いに傷つかないための努力を心がけましょう。

 

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました。