路上で蹴りを使ってはいけない3つの理由

路上で蹴りを使ってはいけない3つの理由

いつも心に1週間分のアミノ酸を。どうもサイコ田中です。

実戦空手などグレーな分野にまで突っ込んだ指導をしている道場などに通っている人は、

「路上では相手を蹴るな」と指導されたことがあるかもしれません。

かつての管理人自身がそうでした(当時はまだ子供だったのでよくわからなかったのですが)。

ここではなぜストリートではキックを使うのが好ましくないのか、大きく3つのポイントに別けて解説したいと思います。

格闘技経験がない方のために、安全なキックの運用方法も紹介していますので、是非参考にしてみてくださいね。


護身の用途に蹴りを教えているのは日本人だけ?

海外の大きな団体や法人向けのセミナーに参加すると、

外国人講師の大半が金的蹴り以外の蹴りを指導しません

主に指導されるのはパンチやフットワーク、肘打ちなども混ぜたコンビネーションであり、

初心者向けのコースではキックのキの字も出てきません。

この理由について尋ねると講師は皆口をそろえて「必要がないから」と答えます。

蹴りにはリスクのほうが多く、一撃で倒せる威力がない限り使う意味は皆無という解釈のようです。

日本の実戦空手道場や日本拳法、少林寺拳法などでは護身の技術体系として蹴りを含みますが、

これは日本独自の考え方で、世界的には珍妙な光景なのかもしれません。

管理人自身、護身のためにキックを使うことには懐疑的です。

なぜ、蹴りはあまり役に立たないとされるのでしょうか?


蹴りが好ましくないとされる3つの理由

路上のファイトで蹴りを安易に使うのがよくないのは、

格闘技経験の無い素人はもちろん、格闘技経験者も同様です。

蹴りにはどのようなリスクがあり、それらをカバーして効果的な攻撃をするためにはどんな方法があるのかを見ていきましょう。

 

バランスを崩しやすい

言うまでもなく蹴りを放つ瞬間は、

脚が三本ある人以外は片足立ちになり、非常に不安定な状態となります。

足元が滑りやすかったり、電車の車内など不規則な揺れのある状況では特にバランスを崩しやすく、

一撃で相手を倒せなかった場合は転倒して追い詰められるリスクが一気に高まります。

 

足場が不安定なときやスリップしやすい場合は蹴りに頼らず、

なるべく上半身を使った攻撃で凌ぎましょう。

拳や手首が壊れた場合でも、まだ肘や頭は使えます。

使えるものを全て使い切って、出来る限りの抵抗を試みましょう。

 

蹴り足をつかまれる(キャッチされる)

これが蹴りを放つ際に考えられる最悪のケースです。

ミドル以上(腰より上)の高さの蹴りは特に掴みやすく、

素人でも運動神経のいい相手は普通にキャッチしてくることもあるので格闘技経験者でも注意が必要です。

体力の差が大きい場合はそのまま投げられたり、転がされて大変なことになります。

一撃で倒せる自信でもない限り、安易にミドル以上の高さに蹴りを飛ばすのはやめておきましょう。

 

垂直軌道の金的蹴りや膝蹴りは蹴り足を素早く引くことが出来るためキャッチされるリスクが小さく、

初心者でも簡単かつ安全に繰り出すことが出来ます。

また大きく一歩踏み出しながら、

相手が立っている場所に飛び込むようにして蹴るサッカーキックは、

蹴ってそのまま逃げることも出来るのでオススメです。

写真のように勢いをつけて大きく踏み込み、

蹴り足を相手のすねや膝の下辺りに思い切りぶつけてそのまま走り去るか、相手の背後に回りましょう。

先端にメタルの入った安全靴などを履いている場合は靴のつま先を、

そうでない場合は足の甲や足首に近い部分のすねで蹴るようにすると効果的です。

 

蹴ったほうが怪我をする恐れがある

素人の方は特にそうだと思いますが、

何も考えずに蹴りを繰り出して足を怪我すると一気に不利になるばかりか、

運よく相手を倒せてもその場から素早く立ち去れなくなるため面倒なことになります。

UFCファイターのアンデウソン・シウバ(Anderson Silva)が自身のローキックで脚に大怪我を負ったのはあまりにも有名な話であり、

準備運動やストレッチも行えないまま始まる路上のファイトでは、

一発のキックで靭帯や関節を痛め、二度と格闘技が出来ない体になる可能性さえあります。

逃げるための足を残しておくことは、路上のファイトにおける鉄則です。

その足を自分の攻撃によって(自爆して)使えなくするなどは以ての外です。

 

蹴り足を怪我しないためには相手の動きをよく見て、太ももや膝の下、

ふくらはぎの外側など比較的柔らかい場所を蹴ることです。

このとき、「蹴る」というよりは、自分の足を相手の脚に「乗せる」ぐらいのイメージで十分です。

あまり強く蹴ってブロックされると足を痛めるリスクがあるので、蹴りはあくまで見せ球で、

本命はパンチという意識を持っておくといいでしょう。


路上で相手は何をしてくるかわからない

路上のファイトは試合ではありませんから、相手は何を仕掛けてくるかわかりません。

バウンサー時代にキックボクシングを習っていて蹴りがとても上手な後輩がいましたが、

あるとき蹴り足をナイフでブロックされ(蹴りが当たる場所にナイフを構えられて)、

足が大変なことになってしまいました。

(結局彼は格闘技どころか日常生活にも支障をきたすまでのダメージを負い、若くして杖を突いての生活を余儀なくされました)

このように、何を仕掛けてくるかわからない相手に対して迂闊に手を出すのは危険です。

格闘技の経験があって体力に自身があっても、思わぬ不意打ちやカウンター、

試合やスパーリングでは想定されない反則攻撃などで相手に主導権を握られる恐れは十分にあります。

自分の知識や経験、技術などを過信することなく、

どんなときも自分は被害者になる可能性があることを心に留めておきましょう。

そしてあっさりと被害者になってしまわないために、日頃から鍛錬と危機管理能力の向上に努めましょう。

 

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました。