「護身術は使えない」の真実
- 2019.08.27
- 護身術
いつも心に1パックの白味噌を。どうもサイコ田中です。
皆さんは、「護身術」というとどのようなものを想像されるでしょうか。
腕を掴んできた相手をそのまま倒して制圧、ナイフで襲い掛かってきた敵を素早く武装解除して撃退……色々なイメージがあるかとは思いますが、
ほとんどがインチキ臭く、真似できないように思えてしまいますよね。
今回は何故一般的な護身術が「使えない」という印象を与えるのか、その理由について私なりの考えをふまえて解説していきたいと思います。
「本当に使える護身術」がどんなものかについてもお話しますので、
現代護身術がどういうものか、興味をお持ちの方はぜひ最後まで読んで参考にしてみてくださいね。
護身術=格闘技の一種という勘違い
よく護身術と聞くと格闘技のようなものだというイメージを持たれている方もおられるかとは思いますが、
護身術はあくまでも身を守るための技術体系であり、
ルールの上で互いの技術や戦略を競うスポーツではありません。
確かにパンチやキック、投げ技や締め技など格闘技をベースとしたテクニックを用いる事には違いありませんが、
それらの目的は全て「攻撃者の制圧による自己防衛」であり、
相手を打ち負かす事や華麗にノックアウトすることではありません。
逆に言えば、ルールの上で成り立つ事を前提にした格闘技のテクニックは、
護身の用途には役立たない事があるということです。
そういった意味では、「護身術が役立たない」というより、
「格闘技が護身には使えない」という表現のほうが適切なのかもしれません。
護身術が「使えない」と言われる理由
検索エンジンで「護身術」と打ち込むと検索候補に「使えない」と続くほど、
巷では護身術=意味が無いという認識が定着しています。
何故そのようなイメージを持たれているのか、ここでは考えられる3つの理由を挙げたいと思います。
あくまで私個人の考えですので、参考程度に捉えて頂ければ幸いです。
誰でも出来るわけではないから
よく護身術の謳い文句に「誰でも出来る」といった言葉が見られますが、
そんな都合のいい技術やアイデアはこの世に存在しません。
まして護身術は自分に敵意を向けている相手を想定した技術体系であり、
体力や運動神経、格闘技の経験といった前提を考慮しなくては意味を成しません。
残念ながら基本的に体力面で圧倒的に劣る女性が身体の大きな男性に勝つのは不可能です。
よくある護身術のデモンストレーションに、女性が大柄な男性を制圧するといった光景が見られますが、
実際にあのような状況が再現される事は稀でしかなく、
奇跡的な確率で再現されるかどうかというのが現実です。
ある技術について言及するとき、ほとんどの人がその技術を真似る過程で「自分には出来ない」と気付きます。
このような体験が「インチキ」とか「使えない」という印象に結びついている事は言うまでもありません。
状況変化に対応できない指導方法による誤解
よく護身術のパフォーマンスを紹介する動画などで「腕を掴まれたら」とか「胸倉をつかまれたときは」のように、
状況別、パターン別に技術が紹介されていますが、
それらは残念ながら単独では機能しません。
リアルファイトに発展した場合、その多くはつかみ合いか近距離のにらみ合い、罵りあいなどから始まり、
どちらかが手を出す事から殴り合いへと移行します。
この過程で攻撃を受ける側が置かれる状況は、
至近距離でのつかみ合いまたはにらみ合い(掴まれた場合の対処)
↓
身体の一部を掴まれた状態からの頭部への攻撃(パンチなどの打撃に対するディフェンス)
↓
地面に引き倒されてマウントポジションを奪われる(馬乗り状態からの脱出)
といった具合に、目まぐるしく変化します。
このような複雑かつ変則的で、極めてペースの速い状況変化に対応できなければ、
あっという間に犠牲者になってしまいます。
「胸倉を掴まれた」「パンチが飛んできた」などのようにパターン別ではなく、
「胸倉をつかまれたまま殴られる」といった、
複合的なシチュエーションに順応できる技術体系こそが本当に役立つ護身術です。
それ以外は全て「使えない」と吐き捨てられても仕方ありません。
法的に「使えない」技術が多い
護身術の基本は言うまでも無く、
「急所への不意打ち」です。
相手の眼球や金的など、鍛えようが無く人体にとって大ダメージとなる部位への攻撃は極めて強力ですが、
当然のことながら「過剰防衛に問われるリスク」も併せ持っています。
もしも急所攻撃などを成功させてリアルファイトに勝利できても、
その後の「法廷におけるファイト」では勝ち目が無いでしょう。
身を守るためにやむを得ないとしても、
日本の社会では現実的に「使うことができない」技術体系があることも事実です。
ですから結局のところ多くの護身術は、
「覚えても仕方がない」という意味での「使えない」技術と見なされることになります。
本当に役立つ護身術を身につけるために
本当に使える護身術を学ぶためには、本末転倒になってしまうのですが、
実際に危険な目に遭う中で、自分に足りないものを身を持って知るほかありません。
例えば女性の場合、身体の大きい暴漢相手に生半可な「小手返し」や「噛み付き」が通用しないとわかれば、
催涙スプレーなどのツールを携行するのが確実という結論に至るでしょうし、
男性でもただ単に身体を強く大きくするだけでは、刃物を持った相手や複数名相手には手も足も出ないことが経験として理解できれば、
そこから武器術や軍隊格闘技へと傾倒するきっかけが出来るでしょう。
護身術を学ぶ上で私が一番良くない事だと感じているのは、
「これさえ覚えておけばいい」という思い込みと、そのような技術体系への依存です。
護身術に正解や結論はありません。
相手が両手にナイフを持っている、正体のよくわからない凶器を使ってくるなど、想定される状況は多岐にわたります。
その全てに完璧に対応できるなどということはあり得ません。
色々なシチュエーションを実際に経験し、そこから現実に想定されるリスクと対策を学ぶ事こそが一番の近道であり、
慢心せずに追求を続けるためのモチベーションになると私は考えます。
本気で使える護身術が学びたいと思っている人は、
自分の足で治安の悪い場所を歩き、トラブルの渦中に飛び込みましょう。
実際に五感や肉体を通して感じることでしか身につかない技術があるという現実を知ることこそが、
身を守るための第一歩になるはずです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
-
前の記事
カギを武器にしてはいけない理由 2019.08.25
-
次の記事
韓国人男による暴行事件から学ぶ女性のための護身 2019.08.28