一度覚えたテクニックを忘れないために
- 2019.12.03
- 護身術
いつも心に1年分のレトルトカレーを。どうもサイコ田中です。
どんなことにも当てはまると思いますが、一生懸命に覚えたことが本番で出てこなかったり、
ここ一番という場面でド忘れしてしまうということは起こりえます。
身を守るためのテクニックも同じです。
今回は、一度覚えたテクニックを忘れてしまわないためのアイデアをご紹介します。
現在護身術を学んでおられる方や、身を守ることに興味をお持ちの方は参考にしてください。
極限状態では全部忘れてしまう?
テスト勉強とよく似ているのですが、
一生懸命勉強して覚えたことも、想定外の事態やわずかなミスをきっかけにして、
全部飛んでしまうことは珍しくありません。
例えばそもそもテスト範囲が全然違ったとか、まだ裏にも問題があった……のように、
想定外の状況からパニック状態に陥り、覚えたことをすべて忘れてしまう典型的なパターンです。
これは路上でトラブルに巻き込まれた際も同じことで、
せっかく時間やお金をかけて身を守るテクニックを身に着けたのに、
いきなり顔を殴られて、痛みや恐怖、不安などから何をすればいいのかわからなくなることは十分考えられます。
このような極限状態や高いストレスにさらされた状況下において、知識はほとんど意味を持ちません。
繰り返し体を動かすことで習い覚えたテクニックが、反射的に出てくるというのが最も理想的です。
現代護身術においてとにかく技術体系がシンプルであることや、頭を使わずに済むよう構成されているのには、こうした背景があるのです。
覚えたテクニックを忘れないための3つのアイデア
ここではせっかく覚えたテクニックがいざというとき使えないという事態を避けるために出来ることを、
3つの項目に分けて紹介します。
努力して身に着けた技術が本番で活かせなければ元も子もありません。
時間やお金を無駄遣いしないためにも、覚えたことを忘れないために出来ることを知っておきましょう。
とにかく自宅またジムで反復練習
レッスンやセミナーに一度参加したからといって、いきなり強くなれるはずがありません。
勉強では予習・復習が大切なように、一度習った動作などを自分自身で確かめる時間が必要です。
簡単な動作なら自室など限られたスペースでも問題なく再現できるでしょうし、
相手がいれば技の掛け合いをすることで実戦に近いイメージを高いレベルで保つことができます。
もしも一度教わった動作をスムーズに再現できなかったり、
途中で手順や流れが分からなくなったときはそのままにせず、再度同じセミナーに参加するか、
自分よりキャリアのある練習相手から再度指導を受けましょう。
わからないまま放置したり、「知ったかぶり」の状態になるのはよくありません。
得意なところ・長所を伸ばす
護身術は、色々な教科の合計点で評価されるテストに似ています。
相手の攻撃を防ぐだけでなく、反撃の技術も必要です。
寝技や関節技、時には武器を使った攻撃の知識も求められます。
言うまでもなく、すべての項目で100点満点を取ることはできません(それが理想には違いありませんが)。
ですから自分が得意なところをとことん伸ばしていくという考えが最も効果的になります。
打撃テクニックが得意なら、パンチやキックの練度をとことん高めてもいいでしょう。
寝技や組技にすごく自信があるのなら、どうすれば得意な形に持っていけるかを考えるのも面白いでしょう。
護身術や格闘技のみならずあらゆるスポーツについて当てはまることですが、最後はセンスがものを言います。
どんなに時間をかけてもある程度のところから上達しない分野というのは必ず出てきます。
そういう時は、自分の得意な分野や長所を見つけて、それらを徹底的に伸ばす努力をするのが強くなる一番の近道です。
とりあえず「60点コース」を目指す
護身術は教科がたくさんあるテストに似ていると述べましたが、
実戦における心構えも、テストを受けるときのそれとよく似ているかもしれません。
ほとんどの人は、100点を取るつもりで勉強し、そのための対策を重ねると思います(そうじゃない方もいらっしゃるとは思いますが)。
ですが場合によっては、どうやっても解けそうにない問題が出てきたり、明らかにヤマを外してしまうこともあるでしょう。
そんなときは、目標を100点から80点に、80点から60点に……といった具合に、ハードルを下げていけばいいのです。
自分も相手も無傷という状況を100点とするなら、それはあまりにも高すぎるハードルに違いありません。
ですがとりあえず自分は無傷でその場から立ち去る、何としても致命傷だけは避けるという風に考え方を変えれば、
あなたがその場で「やらなければならないこと」の難易度は大幅に下がっていきます。
いつでも100点満点を取ってやろうという気持ちでいると、うまくいかなかったときや、想定外の事態に遭遇した時、
高い確率でパニック状態に陥ってしまいます。
自分に出来ることは何かをいつも客観的に認識し、いざというときどんな選択肢があるのかを意識していれば、
自然に生存率は上がっていきます。
一番大切なことは、どんなシチュエーションでもベストを尽くすことです。
40点が赤点ラインなら、とりあえず60点取ればいいのです。
何なら41点でもいいのです。
生き残るために出来る範囲の抵抗を試みることは、必ずあなたの生存率を高めることに繋がっていきます。
”自信”は大切……でも慢心してはいけない
護身術や格闘技を学んで身体も出来上がってくると、自然に自信がついてきます。
そうした強い自信やバイタリティのようなものは、攻撃者にも伝わるためそれ自体が抑止力にもなります。
ですが何の根拠もなく自分を強いと思い込み、慢心してしまうのは好ましくありません。
暴力とは、あまりに非日常的な概念です。特に平和ボケした日本ではそれが顕著と言えるでしょう。
よほど治安の悪い地域に住んでいるような人でもない限り、暴力に慣れているということはあり得ません。
いきなりナイフで切りつけられる、何の動機もないまま殴られるという事件は決して他人事ではなく、
誰にでも遭遇する可能性のある非常事態です。
こうした非常事態においては、どれだけ積み重ねた修練も、鍛え上げた肉体さえも無意味になる恐れがあります。
プロの格闘家でも、背後から撃たれたらただでは済みません。
セキュリティのスペシャリストさえ、若い女性に笑顔でナイフを突き付けられたら反応が遅れるでしょう。
私は基本的にどんなテクニックもアイデアも、最後は気休めにしかならないという考えを貫いています。
極限状態において生半可な知識や技術は全く役に立ちません。
自分はそこら辺の路上で当たり前のように殺されるかもしれないという危機感は、決して大げさなものではありません。
根拠のない自信よりは、卑屈で臆病なぐらいが丁度いいのかもしれませんね。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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