護身術を学ぶ上で絶対に理解しておきたい2大原則

護身術を学ぶ上で絶対に理解しておきたい2大原則

いつも心に1丁のダブルバレル・ショットガンを。どうもサイコ田中です。

護身術と聞くと、ほとんどの人は力を使わず相手を倒す魔法のようなテクニックを思い浮かべるかもしれませんが、

それは全く現実的ではありません。

フィジカルや運動神経に依存しない技術体系は理想的なものですが、

やはり身を守るためにある程度の身体能力とテクニックは求められます。

今回はそうしたフィジカルとテクニックの大切さを、

あらゆる護身術の根底にある2つの原則に沿って解説したいと思います。


身を守ること=ファイトに勝つことではない

日本という国は良くも悪くも典型的な法治国家であり、

法律に守られているという側面と、縛られているという両方の側面があります。

現在の法律では基本的に手を出した時点で暴行罪が成立するため、

危害を加えられる恐れのある場面でも迂闊に手が出せませんし、

自分が加害者になることを避けるためには逃げる以外の選択肢がありません。

もしリアルファイトに発展して相手を無事に制圧できたとしても、

法廷でのファイトではあなたの負けになる可能性すらあるのです。

大切なことは、必ずしも相手を倒すことが身を守ることに直結するわけではないということです。

刃物を振り回している相手は、迅速に制圧することが好ましく、

暴れている酔漢や薬物中毒者なども取り押さえることが無難なのは間違いありません。

その一方で、先述の通り日本の法律では手を出した時点で暴行罪に問われることが避けられないため、

その場をおさめるために取った最善の行動のはずが、後になって自分自身を追い詰める結果になる可能性も無視できません。

非常事態において攻撃者や周辺の第三者に気を配っている余裕はなく、

身を守るために取った咄嗟の行動によって過剰防衛に問われるリスクは、本職のセキュリティにさえ付きまといます。

護身術の究極的なゴールは、互いに無傷でその場を立ち去ることです。

相手を倒すことを目的にするアイデアやテクニックは、単なる暴力の延長にしかないことを忘れてはいけません。

(そのような技術体系に依存しなければ身を守れないことも事実ですが、実力行使はあくまで最後の手段です)


護身術を学ぶ上で絶対に理解しておきたい2大原則

ここでは護身術を学ぶ上で非常に重要な2つの原則について、

具体的な例を挙げながらお話ししたいと思います。

あらゆるトレーニング・メソッドの根底にある共通のアイデアとなっておりますので、

身を守ることに興味のある方はぜひ参考になさってください。

 

適時性(即応性)の法則

適時性の法則は、簡単な表現で伝えるとするならば、

「やられたらすぐにやり返しましょう」

ということです。

やられたらやり返すなんて、ひどく幼稚に聞こえるかもしれませんが、

身を守るために重要かつ不可欠な考え方です。

例えば相手が殴りかかかってきたのにその場に棒立ちで動けずにいた場合、

一方的に殴られて終わってしまいます。わかりきったことですね。

相手に明確な攻撃の意思や殺意が感じられた場合は、常にそれに応じた適切な対応が求められますが、

相手が動くのと同時かそれよりも速く動くことが重要となってきます。

これが適時性(即応性)の法則という考え方です。

自己防衛において適時性の法則が欠かせない理由は、

人には「立て続けに攻撃されると動きが止まってしまう」という厄介な性質があることに起因します。

大勢の敵にいろいろな方向から同時に攻撃されると、頭を抱えたまま身動きが取れなくなってしまうことがほとんどです。

一対一の場面でも、相手がアグレッシブに攻め続けてくるような局面では、防戦一方になりがちです。

防戦一方、ディフェンス一辺倒の状態から抜け出して反撃するのは至難の業です。

もちろん殴るほうも疲れますが、ダメージを受ける分だけ疲労や消耗が激しいのは、間違いなく殴られているほうです。

ガードを固めて相手の疲労を辛抱強く待つという考え方もありますが、それまで一体どのくらいの時間が与えられるでしょうか。

最初の30秒を何とか耐えきったとしても、ガードが下がった一瞬にもらった致命的な攻撃をきっかけに倒れされてしまうというのは非常によくあるシナリオです。

このような事態を避けるためにも、相手の最初の攻撃が見えたら(受けたら)、

すぐにこちらも手を出す(何かをする)という対応が自然であり、最も安全と言えるでしょう。

 

比例の法則

算数や数学が苦手という方向けにシンプルな表現を用いると、

「1発殴られたら、2発3発返しなさい」

ということになります。

一昔前に流行った言葉を使うなら、「倍返しだ!」ということです。

基本的に、身を守るためには相手を瞬間的に圧倒する力が必要です。

ナイフを抜いた相手には拳銃を、拳銃を抜いた相手にはマシンガンをといった具合に、

常に敵を上回る攻撃力がなくてはその場をおさめることはできません。

相手を止めるためには、常に相手を上回る攻撃手段が必要ということです。

これが護身術における比例の法則です。

比例の法則を支えるものは言うまでもなく、

単純なフィジカルの力やテクニック、経験値の差など個人の戦闘力に違いありません。

どれだけ沢山のテクニックを覚えていても身体が小さければ大きい相手には手も足も出ませんし、

フィジカルという点で優位に立っていても相手が喧嘩慣れしている場合は凶器攻撃であっけなく倒されるかもしれません。

比例の法則に従って身を守ることには、

ある程度身体が出来上がっていることや、凶器攻撃に精通しているなどの前提があります。

知識や危機管理能力だけ、フィジカルやテクニックだけを磨いても生き残れません。

最後の最後、「やるしかない」場面においてはそれらを総動員し、

常に攻撃者が振りかざす暴力という名の脅威を、2倍3倍にして返すという意識が大切です。


詠春拳に見る護身の2大原則

詠春拳(Wing-Chun)は、護身の2大原則を満たした数少ない完成された武道です。

・攻防一体

・受け即攻撃(受け速攻)

・高速連打

など、適時性(即応性)・比例の法則をそのまま体現したような技術体系が特徴であり、

合理性といった観点においてはクラヴ・マガと同等かそれ以上の可能性を秘めています。

白髪の老人のようないわゆる「達人」が木人を叩く様ばかりが想起される詠春拳ですが、

現代武術やスポーツとしての格闘技とは比較にならない歴史を持つ最古の護身術と言っても過言ではありません。

どんな格闘技や護身術を学ぶべきか迷ったときは、

長い歴史の中で高度に進化を遂げてきた、中国武術に答えを求めるのも面白いかもしれませんね。

 

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。