近親者による暴力(DV)と向き合う際の5つのポイント
- 2020.02.02
- 護身術
いつも心に一粒の鎮痛剤を。どうもサイコ田中です。
当ブログでは主に第三者――すなわち見ず知らずの第三者による暴力に対抗する術をお伝えしていますが、
近年は配偶者や近親者による暴力(DV:Domestic Violence)も大きな問題になりつつあります。
今回は現代護身術の考え方に基づき、
親しい間柄にある人物からの暴力と向き合う際に抑えるべきポイントについてお話ししたいと思います。
まずは相手と距離を置くことから
最初に一番大切なことをお伝えします。
もしもこの記事を読んでくださっているあなたが現在近親者から暴力を受けているなら、
今すぐにそこから離れてください。
身を守るために最も重要なことは、目の前に差し迫った危険や攻撃者から距離を置くことです。
家族や恋人から暴行を受け続けていると思考がネガティブな方向に傾き、
「ここからは逃げられない」「誰も助けてくれない」と考えてしまいがちですが、
それはただの錯覚、思い込みです。
DVの相談窓口は全国の地方自治体に設置されており、
事情を話せばカウンセラーや保護施設(シェルター)などの紹介を受けることができます。
また現実に命に関わるような激しい暴力の危険に晒されているなら、
相手が恋人であれ何であれ、速やかに警察へ届け出ましょう。
あなたの大切な人生を言葉や行為で脅かす相手はもはや家族でも恋人でもありません。
そうした対象は紛れもなく攻撃者・犯罪者です。
どんなに相手を愛していたとしても、近くにいるべきではありません。
DVと向き合うための5つのポイント
ここでは現代護身術の観点から、近親者間暴力(DV)と向き合う際に注意すべきポイントについて、
5つの項目に分けてお話ししたいと思います。
家庭内暴力、デートDVなど、あらゆるシチュエーションに対応可能な考え方となっておりますので、
性別や年齢を問わず近親者による暴力にお悩みの方はぜひ参考になさってください。
相手との「距離感」に注意する
親しい間柄にある相手だからこそ注意すべきなのが、距離感の保ち方です。
家族や恋人ですから、手の届く距離や、場合によっては息がかかるような距離にいても不思議ではありません。
しかし護身の観点においてそのような距離は、
「いつ殴られてもおかしくない距離」に相違なく、大変危険です。
過去に一度でも手を上げられたことがあるならば、
身を守るのに最低限の距離を保つ工夫が必要です。
また物理的な距離感だけでなく、精神的な距離感も非常に重要です。
あなたを必要以上に束縛したり、プライバシーを侵害するような言動を見せるような相手からは、
速やかに距離を置くことをお勧めします。
逃げ場のない場面では助けを呼ぶ
相手が近親者であるからこそ必ず付きまとうのが、
「逃げるのが困難な場面での暴行」です。
例えば車の車内での暴行などは典型的であり、避けようがないと言っても過言ではありません。
こうした逃げ場のない状況下での暴行に対処する際に重要なことは、
そこで「もうダメだ」と思って諦めたり、我慢したりしないで、
誰か他の人に助けを求めることです。
車の車内であっても、まったく人通りのない夜の森でもない限り、
クラクションを鳴らせば誰かが異常に気が付きます。
自分が運転席にいるなら両腕で頭を保護しながら肘でステアリングを強く押し込み、
助手席なら運転席側に身を乗り出して、力の続く限りクラクションを鳴らし続けましょう。
この他にもエレベーターであれば非常用のボタンが設置されていますし、
マンション等の室内でもカギのかかるトイレや浴室などに逃げ込めば安全を確保できます。
相手の暴行により負傷した場合は迷わず救急車を呼び、
強い身の危険を感じたときは、速やかに警察へ通報しましょう。(これで相手にも逃げ場がなくなります)
相手とのやり取りを記録しておく
痴漢などの被害に遭った際にも有効な対処法として、
相手とのやり取りを映像や音声という形でしっかり記録しておくということが挙げられます。
法的に強力な証拠となる上に、自治体または民間の支援機関を利用する際にも参考資料として提出することができます。
証拠を残す場合に気を付けなくてはならないことは、
相手に見つからない方法で記録することと、
闇雲に証拠を突き付けて相手を恫喝ないし脅迫しないことです。
もしも相手に記録を残したことを知られた場合のリスクは計り知れません。
証拠を消されるだけでなく、そのことがきっかけで暴行がエスカレートする可能性は極めて高いと考えられます。
映像や音声を残す際は記録媒体を慎重に扱い、しっかりとパスワード等でロックしたコピーを最低でも2つは確保しましょう。
また証拠材料を使って相手を追い詰める行為も同様にして火に油でしかなく、
あなた自身が脅迫や恫喝で訴えられる可能性も無視できないため好ましくありません。
いつでも逃げられる準備をしておく
家庭内暴力の場合は社会的な背景から困難なことも多いかもしれませんが、
デートDVなどの場合であれば、いつでも「その場から逃げる」という選択肢は有効です。
たとえそこが飲食店の店内でも、映画館でも動物園でも、
ダッシュで逃げるという至ってシンプルな対処法があることは言うまでもありません。
相手から走って逃げる際に気を付けるべきポイントは、
・走れる服装であること
・相手に手などをつかませない
・必要であれば声を上げる
という3点です。
まず高いヒールや丈の長いスカートなど、走れない服装は好ましくありません。
例えデートでも履き慣れたスニーカーや激しい動きに対応した服装を選ぶべきです。
また相手に手などをつかまれた状態では逃げようにも逃げられません。
安易に相手と手をつないだりせず、後ろから髪の毛を掴まれたりしないよう、
なるべく相手の真横か少し後ろを歩くようにしましょう。
最後に、どうしようもなくなったら大声を上げてください。
声を上げながら全力ダッシュしている女性を放っておく人はいません。必ず誰かが助けてくれます。
「やるしかない」ときはまず頭を守る
相手が実際に暴力を振るってくるようなときは、
とにかく頭を守ることが大切です。
両手で頭を抱え込むようにして、後頭部とこめかみを腕で、顎を肩で隠すようにしましょう。
間に合わなければ、顎を引いて(自分の胸元を見るようにして)肩をすくめるだけでもダメージを軽減できます。
頭を守ることは大切ですが、ただガードを固めているだけは文字通り防戦一方です。
頭を守りながら、周辺で武器になりそうなものを探し、何かあれば手に取って振り回すなり投げるなりしましょう。
また周囲の人間に気づかれないよう顔ではなく腹部などを狙って攻撃してくるような陰湿なケースでは、
胸の前に大きめのクッションを抱えたり、お腹の前で腕を組むなどの対処法が考えられます。
本当にどうしようもないときは、とにかく相手に抱き着くというワイルドカードもあります。
相手の肩の向こうに顔を出すか、胸元に顔をうずめるようにすることで、
直接腹部や顔面を殴打されるリスクが大幅に軽減します。
そのまま押し倒されたり投げ飛ばされたりしないよう軽く膝を曲げ、腰を落とすのがポイントです。
(ずっと抱き着いていても状況は打開できません。クリンチはあくまでもその場しのぎです)
一人で悩まず相談する勇気を
ありふれた言い回しになってしまいますが、
現在DVの被害に遭われている方は、一人で悩まず誰かに相談しましょう。
繰り返しになりますが、昨今はDVの大きな社会問題化に伴い、
全国の地方自治体に相談窓口が設置され、保護施設などとの連携もスムーズになりつつあります。
警察へ届け出るのが社会的または精神的に困難でも、そうした相談窓口の利用だけでも検討する価値は大いにあります。
近親者からの言葉や行為による暴力は、面識のない第三者からのそれとは比較にならないダメージが伴います。
「逃げられない」「助けてと言えない」「離れるわけにはいかない」……目の前の現実は苦痛で絶望的なものに見えるかもしれませんが、
あなたには必ず救われる道があります。
今すぐに相手と距離を置いたり直接話し合ったりするのが困難でも、
まずは電話で相談するところから始めてみませんか?
あなたの人生は一度きりで、あなただけのものです。
誰にもあなたの生活や価値観、存在そのものを脅かす権利はありません。
当ブログでは、すべての人が自分らしく生きられるよう、ヒントとなる情報を他にも多数提供しています。
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
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