【コロナ】パンデミックに伴う犯罪リスクの変化と対応【危機管理】
- 2020.05.07
- 護身術
いつも心に1本の医療用メスを。どうもサイコ田中です。
世界で新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、外出を控えるなどといった感染予防措置が、
暴行や窃盗などの犯罪リスクにも変化をもたらしつつあります。
今回はそうしたパンデミックに伴う犯罪リスクの変動と適切な対応についてお伝えします。
全体的な犯罪率は低下傾向にあるが……
新型コロナウイルスの蔓延が世界に広がった今年(2020年)3月以降、
世界各国の犯罪率は確実に低下していると見られています。
日本国内についてのデータは得られていませんが、
少なくともアメリカ・ニューヨーク市では犯罪発生件数が、
3月の前半だけで前年比の2割減、殺人・窃盗・強盗などがいずれも1割以上減少し、
性的暴行については前年比の約半分以下にまで減少しています。
外出制限が続くことで更なる犯罪率の低下が期待されることに疑いの余地はありませんが、
その一方で増加傾向を見せている犯罪があることも事実です。
パンデミックに伴い増加する犯罪と、求められる対策にはどのようなことが考えられるでしょうか。
パンデミックで増加する犯罪とその対策について
パンデミックによって全体的な犯罪率が大幅に低下しつつある中、
パンデミック以前よりも増加している犯罪も確認されています。
ここでは考えられるリスクとその対策についてお伝えしたいと思います。
家庭内暴力(DV)
外出制限・外出自粛に伴い国内外を問わず増加が確認されているのが、
家庭内暴力(以下DV)です。
家から出られない状況が続くことは、配偶者など近親者との距離が今まで以上に縮まることを意味し、
親しい間柄にあるからこそ生じる軋轢や衝突は避けられません。
パンデミック以前より不仲であったり折り合いが悪かったりした場合、
何らかのトラブルが生じるリスクは一層高まり、警察沙汰になるのは時間の問題とも言えます。
(日本では夫婦喧嘩に端を発する殺人事件まで起こっています)
DVや家族間・夫婦間でのトラブルを回避するための対策として、
・ストレスを溜めない
・適切な距離感を保つ
・言動には今まで以上に気を遣う
などが考えられますが、どれも「もう十分やっている」「これまでもずっとやってきた」という方が大半と考えられ、
根本的な解決に結びつけるのは困難なように思われます。
もしも自分一人では心細いと感じたり、身を守るのが難しいと感じられる場合は、
各自治体のDV相談窓口か、警察に相談することを強くお勧めします。
DV対策については以下の記事でも詳しく解説しています。
↓ ↓ ↓
近隣(騒音)トラブルに関連した事件
長期にわたり自宅待機を強いられただでさえストレスが高まった状態に置かれている中、
これまで我慢できたことが、不意に限界を超えてしまうことは十分に考えられます。
その典型的な例として、日本国内では4月以降、
近隣の騒音トラブルなどから殺人または殺人未遂に発展するケースが多数確認されています。
特に壁の薄い集合住宅の周辺などにおいて顕著な問題であり、
DV同様パンデミック以前より潜在的なリスクだったことに疑いの余地はなく、
早急に何らかの対策が求められることは言うまでもありませんが、解決には以下のような高いハードルがあります。
・どちらかが出ていくしかない(引っ越し)
・地方自治体や管理会社などによる騒音対策は期待できない
・マナーやモラルなど根本的な社会常識や人間性の問題
「さっさと出ていけばいい」と思う人もいるかもしれませんが、壁の薄い集合住宅に住んでいるような人々にとって、
引っ越しの費用はとても一朝一夕に用意できるようなものでなく、無理があると言わざるを得ません。
(かく言う私自身も、家賃3万4千円の安アパートにかれこれ4年暮らしています。もちろん壁はペラペラです)
また地方自治体や管理会社などが積極的に各戸の騒音対策に乗り出すとは考えにくく、
結局は住人一人ひとりの倫理観やマナーの意識に委ねられ、根本的な問題は解決を見ることがありません。
とは言えただ耐えるだけではいずれ空気を入れすぎたタイヤのように破裂してしまうのが目に見えているため、
誰にも迷惑をかけないストレス発散方法を探し、なるべく怒りなど負の感情をため込まない工夫が肝要と思われます。
管理会社や大家を通して苦情を入れたことで状況が悪化するというケースも珍しくはありません。
間違っても直接怒鳴り込んだり、恫喝するような真似をすることが無いよう注意し、
もしも強い身の危険を感じた際は速やかに110番通報できるよう心の準備もしておきましょう。
隣室にはどのような人物が暮らしているのかわかりません。もしも危険な思想を持った相手を敵に回してしまった場合、
文字通り命はありません。いわゆる「壁ドン」などは自殺行為だと思ったほうがいいでしょう。
お酒が絡んだ暴行や傷害など
上の2つの項目にも関連するところですが、
アルコールが絡んだ事件は増えると予想されます。
アメリカでは在宅勤務している人の実に4割が「営業時間中に飲酒する」と回答しているなど、
お酒にだらしない部分が出てくることは想像に難くありません。
ただ自分一人で楽しむ分には全く問題ないにしても、お酒を飲むことで人に迷惑をかけたり、
非常に危険な飲み方をする人がいることも事実です。
アルコールは怒りなど負の感情を増幅し、時に人を無謀または無責任な行動へと駆り立てます。
結果として上に述べたDVや近隣トラブルを引き起こしたり、暴行がエスカレートするなどのリスクが上昇します。
外出自粛が推奨される今の時期は可能な限りアルコールを遠ざけ、
飲むとしても家族や他人に迷惑をかけることの無いよう、節度を持った飲酒を心がけましょう。
また言うまでもありませんが、未成年の飲酒は法律で禁じられています。
なかなか外に出られずストレスを感じている学生の方も出来ればエナジードリンクなどで我慢し、
間違ってもお酒やたばこに手を出すことの無いように注意しましょう。
あなたやあなたの身近な人にとって、とても大切なことです。
空き巣・居空き・忍び込み
勘のいい方は「逆じゃねえの……?」と思われるかもしれませんが、
実は増加の傾向にあるとされているのが空き巣や忍び込みといった住居への侵入です。
侵入者がターゲットにするのは個人宅などではなく、
営業停止している飲食店などの店舗や事務所などであり、
外出制限されている現在では夜間のみならず昼間でも犯行に及ぶ可能性が高いと言えます。
完全リモートワークへ移行した企業や休業中の事業者の方も、
・個人情報などが入ったPCや記憶媒体
・経営に関わる書類など
・金庫類
の扱いには十分注意し、可能なら安全な場所に移動させるなどの措置を取ることをお勧めします。
また個人宅へのいわゆる「居空き」もそのリスクが高くなることが予想されます。
ゴミ出しや買い物など、少しの外出でもしっかり戸締りを確認し、
カギの管理を怠ることの無いようにしていきたいですね。
その他のリスクと対策
上に挙げた犯罪リスク以外ではパンデミックに乗じた特殊詐欺や悪質商法、
企業へのサイバー犯罪などが懸念されますが、
休業要請の影響により職を失った人や学生生活が破綻した若者などによる、
突発的かつ無差別的な凶行はこれから少しずつ増加すると考えられます。
単なる暴行に始まり強盗・殺人に至るまで、
現在は減少傾向にあるとされている犯罪も、また違った形でその件数が増えていく事は想像に難くなく、
貧困はもちろん精神的な抑圧も解消されなければ、パンデミック同様犯罪リスクの増大にも歯止めがかかりません。
個人で出来ることは限定されていますが、
・毎日最新ニュースをチェックする
・外に出る際は大金を持ち歩かない
・昼間はもちろん夜間も不用意に出歩かない
などを徹底し、DVや近隣トラブルなど身の回りの事件を「明日は我が身」という視点で受け止め、
常にリスク分析の習慣と危機管理の意識を持ち続けることが大切です。
目の前のリスクは「ウイルス感染」だけではない
新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、人々の関心と注目の対象は、
国内の感染者数や死者数など、「ウイルス感染」のリスクのみに集中しているという印象が否めません。
パンデミックの裏では上に述べたような犯罪のリスクがゆっくりと、しかし確実に増大しつつあり、
どれも決して他人事は言い切れません。
マスクの着用、手洗い・うがいを徹底するなど感染予防への取り組みも大切には違いありませんが、
全世界がある種の極限状態に置かれている今こそ、
各々の危機管理能力向上が求められているとも考えられます。
ソーシャル・ディスタンスを保つことや感染予防の取り組みばかりに注力するのではなく、
その背後にある潜在的な、あるいはすでに顕在化しているリスクにも目を向け、
一人ひとりが安全で快適な生活を送るために出来ることは何かを探していきましょう。
ウイルスではなくポジティブな意識の変化を伝染させていくことが、
この窮地を乗り切るために出来る、最も手軽で効果的な対策になるはずです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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