【小ネタ】ナイフディフェンスのウソ・ホント【コラム】

【小ネタ】ナイフディフェンスのウソ・ホント【コラム】

いつも心に1台のマグロ用電気ショッカーを。どうもサイコ田中です。

護身術を扱ううえで外すことのできない最大のテーマの一つは、

何といってもナイフを扱う自己防衛テクニックでしょう。

巷にはナイフディフェンスにまつわる様々な情報が溢れかえっていますが、

全てが正しいとは言えません。

今回は「ナイフディフェンスのウソ・ホント」と題して、

刃物を扱う護身術で知っておくべき豆知識をお伝えしたいと思います。


もしも刺されたら「痛い」では済まない

言うまでもありませんが、

もしもナイフのような鋭利な刃物による攻撃を受けた場合は、

文字通り命に関わります。「痛い」どころでは済みません。

 

現在日本の法律における銃刀法において明確に所持が規制されている「刀剣類」は、

・刃渡り5センチメートル以上の剣・匕首

・45度以上に自動展開する装置を有する飛び出しナイフ(モーフィングナイフ)

などであり、

「たった5センチ……?」と思ってしまいそうですが、

人はたった5センチの刃物で命を落とす可能性があるということです。

その確率と危険性を決して軽視してはいけません。

 

刺し傷はもちろん、見た目には小さな切り傷でも血管に達する深さとなれば、

迅速な救命処置が求められ、感染症リスクも計り知れません。

 

もしも危険人物から刃物による攻撃を受けた場合は軽傷でも必ず病院で適切な処置を受け、

速やかに警察へ被害届を出しましょう。

また護身を目的に上記の銃刀法に違反する刃物・凶器の類を携行してはいけません。


ナイフディフェンスのウソ・ホント

ここからはナイフディフェンスにまつわる様々な豆知識を、

主にそれらのテクニックが有用かそうでないかといった観点からお伝えします。

一風変わったアプローチも併せてご紹介していますので、

防犯・護身に興味をお持ちの方はぜひ一度参考になさってください。

 

ダッシュで逃げるのが一番?

刃物に対するあまりにも有名で典型的なアプローチは、

ダッシュで逃げることに他なりません。これは勿論「ホント」です。

 

日本国内におけるある防犯(防災)訓練から、

「凶器を携行した対象に立ち向かったグループ」と、

「可能な限り距離を置くこと(逃げること)を優先したグループ」との間には、

実に90パーセント近い生存率の差が生じたという結果が確認されています。

 

言うまでもなく生存率が高かったのは後者、

すなわち「逃げることを優先したグループ」です。

 

刃物を持った危険人物は焦って制圧(取り押さえること)を優先に考えてしまいがちですが、

あなたの目的が生き残ること――生存することであるならば、

ナイフのような凶器を持った攻撃者には決して自分から近づいたり、

制圧を試みたりしてはいけません。

 

また、一口に「ダッシュで逃げる」と言っても、ただ逃げればいいのではありません。

危険な相手に背を向けて走り出してしまった場合、

背後から首や背中のような危険な部位に攻撃を受けるリスクが高く大変危険です。

必ず攻撃者の動向を伺いながら後退りするように距離を置き、

可能なら何らかの遮蔽物を隔てるように動き、攻撃者を手の届く距離に近づけない工夫が肝要です。

 

ナイフを持っている人間を見抜くのは難しい?

これも残念ながら極めて難しいというのが現実で、「ホント」ということになります。

 

市販されているナイフの中には、

・女性の手のひらに収まってしまうようなサイズのもの

・服の一部などと一体化するようなもの

・スマホケースに隠せるような形状のもの

など隠ぺい性の極めて高いものが多く、

それらのほとんどは残念ながら「攻撃を受ける瞬間」まで存在を見抜くことは困難と考えられます。

(要するに攻撃を受けた時点で手遅れということです)

 

とは言えいかにその存在を捉えるのが困難だとしても、

・相手の手の動きに注意を払う

・安全な距離を保つ

・「やられる前にやる」(危険なのでオススメはしません)

などといったアプローチにより対処は可能です。

 

路上トラブルにおける攻撃のほとんどは手から始まります。

相手が手やポケットの中に何かを握り込んでいないか、

相手と向き合いながらもその手の動きに注意を向けているだけで、

一定の生存率を維持することが出来ることはぜひ覚えておいてください。

 

以下の記事でナイフのような凶器を持った人物を見抜くためのTipsを紹介しています。こちらも併せてご覧ください。

↓ ↓ ↓

【小ネタ】ナイフを持ち歩く人間の行動と心理【コラム】

 

合気道のようなメソッドで攻撃を防げる?

よくある合気道や空手の型のような動作で刃物による攻撃を凌ぐというのは、

ほとんど不可能と考えたほうが無難でしょう。よって答えは「ウソ」になります。

(合気道や空手の鍛錬内容を否定・批判する意図は一切ありません)

 

何故、合気道や空手ではナイフと向き合えないのでしょうか?

その理由の最たるものは、

「本気で自分を襲う(殺そうとする)相手」を想定していないことにあります。

 

普段の練習で、パートナーは本気であなたを殺す気で襲うでしょうか?

答えはほとんどの場合NOです。あり得ません。(そもそもそんな人物がいる道場は危険です)

明確な殺意や敵意を持たない攻撃をどれだけ上手に処理できても、

本気で襲ってくる脅威をどうにかすることはできません。

 

またこれはナイフディフェンスに限った話ではありませんが、

練習通りの綺麗な(教科書通りの)攻撃をしてくる相手などいるはずがありません。

路上のファイトともなると、攻撃者のほとんどは何の訓練も受けていない素人か、

少し武道をかじった程度の相手が大半になり、

こうした人物が繰り出す攻撃のほとんどはシンプルに「見たことが無い」ため、

予測不能でリスキーなものになりがです。

(プロのファイターがフォームの崩れた攻撃を繰り出す相手を苦手とすることにも関連しています)

 

「ナイフを持って、こういう方向から、真っ直ぐ私を突いてください」などと細かく前提条件を設定する武道の練習が、

一心不乱にあなたを刺し殺そうとする相手を止めることに役立つでしょうか?

難しく考えるまでもなく、答えは出ているはずです。

 

椅子のようなものは役立つ?

椅子やスツールのようなものを構えてブロックするというメソッドですが、

これらはやり方によっては効果的と言えます。よって答えは「ホント」です。

 

ナイフの有無にかかわらず、攻撃者にとってターゲットとの間に遮蔽物を挟むのは、

精神的・肉体的に大きなストレス、プレッシャーとなります。

 

特に椅子の脚は長く先端が細くなっているため無数の槍や棒のような抑止力を持ち、

攻撃者が距離を詰めようとする動作を著しく阻害します。

 

椅子は脚部分を掴まれると面倒なことになるため、

椅子の座面を掴んで顔や胸の高さに構えたら、

ハンドルを回すようにくるくると動かすのが効果的です。

(椅子の脚が不規則な動きをすればするほど、攻撃者は不快感を覚えます)

 

また腕力に自身があり、周囲に椅子がたくさん置かれているような状況ならば、

難しく考えず掴んで相手に投げつけるのが最も効果的です。

(相手がナイフを投げてくるというワーストケースも想定されますが……)

 

カバンのようなもので攻撃をブロックできる?

椅子は間違いなく効果的と言えますが、

普通のカバンのようなものは少々心もとないかもしれません。よって答えは「ウソ」になります。

 

強度の高い登山用リュックや革製バッグのようなものであれば、

胸の前に抱え込むだけで抑止力にはなるかもしれませんが、

普通の布やビニールで出来たバックパックのようなものでは、

致命的な攻撃を防ぐのは難しいかもしれません。

 

カバンを振り回して応戦するというアイデアも有用には違いないのですが、

両手でバットを振るような動作のフルスイングや、

力任せに振り下ろすような攻撃は隙が大きく、

攻撃動作の終わりに距離を詰められてあっけなく刺されてしまう可能性が高くおすすめは出来ません。

 

カバンのようなものを使って身を守る際には、

手に持ってどうこうするというよりは、

・相手に向かって思いきり投げつける

・片方の腕に巻き付けるようにする

・カバンを使って相手の腕を押さえつける

といったアプローチが効果的であり、

ただ手に持って振り回せばどうにかなるものではないといった点に注意が必要です。


2on1メソッドで生存率を1パーセントでも高く

昨今の護身術業界におけるナイフディフェンスのトレンドはずばり、

2on1メソッドに他なりません。

 

シンプルにナイフを持っている相手の腕を、

こちらはいつでも必ず2本の腕を使ってコントロールするという考え方です。

(1つに対し2つと言う意味で、2on1です)

 

両手で相手の片方の手を押さえるときは、

相手のもう片方の腕で攻撃を受けるリスクが高く危険に違いありませんが、

ナイフによる直接攻撃を受けるよりもよほど安全です。

また相手の方が体が大きく腕力が強くとも、

流石に腕2本で邪魔された場合は思うように動かすことが出来ません。

 

しっかりと相手の凶器を持った腕を2本の腕で抱え込むようにコントロールし、

可能であれば相手の肩口や胸元に顔を押し付けるようにして、

空いているほうの手で攻撃されないよう立ち回りましょう。

 

とにかく凶器による直接攻撃を凌いでさえいれば、

無傷は困難にしても生き残ることはできるはずです。

(大声で助けを呼んだり頭突きなどの攻撃で抵抗することを忘れずに)

 

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました。