護身用としてのエアガン(空気銃)の可能性と問題点

護身用としてのエアガン(空気銃)の可能性と問題点

いつも心に1kgのドライアイス爆弾を。どうもサイコ田中です。

管理人自身もそうでしたが、

いざという時「市販されているエアガンで身を守れるのではないか」と考える方は少なくないと思われます。

確かに市販のエアガンでもある程度の抑止力になる可能性はあると考えられますが、

問題点は数え切れません。

この記事では、護身用ツールとしてのエアガンが持つ可能性と問題点についてお伝えしたいと思います。


「護身用です」という言い訳は通用しない?

ナイフにせよ何にせよ、グレーなものを持ち歩く理由として、

「護身用です」という常套句は頻繁に耳にしますが、

全く言い訳になっていないので注意が必要です。

 

まず大前提として、

・明らかに殺傷力があるものを

・「殺傷力がある」と理解したうえで

・いつでも使える状態にして持ち歩いている

というのは、

・十分な殺傷力があるものを

・明確な殺意を持って

・誰かに危害を加えることを目的に所持していた

と思われても仕方がありません。

(「え?何がダメなんですか?」という方は、一度メンタルクリニックを受診してください)

 

あくまで”護身用として”何らかのアイテムを持ち歩くのは自由ですが、

お巡りさんに声を掛けられてしまったとき、

あなたはきちんと正当な理由と目的を示すことが出来ますか?

 

それが難しい、できそうも無いと思うのであれば、

そんなものは最初から所持・携行しないのが一番であり、

自分自身が加害者にならないためにも重要な考え方ではないでしょうか。

 

護身用ツールの法的問題点については以下の記事も参考にしてください。

↓ ↓ ↓

【小ネタ】ツールの「護身用です」はどこまで通用するか【コラム】


エアガンが護身用として使えない3つの理由

見出しに結論を書いてしまいましたが、

ここからはエアガンが護身用として有用でない理由について、

管理の難しさなど3つの観点からお伝えします。

護身用としてエアガンの購入を検討している方や、

既に所持しているような方は、太字の部分だけでも目を通して参考になさってください。

 

殺傷力が低すぎる

言うまでもありませんが、

市販されているエアガンに殺傷力というものはありません。

(もし殺傷力があるなら一般向けに販売することはできません)

 

サバイバルゲームなどで実際に被弾したことのある人ならわかると思いますが、

エアガンで撃たれても「ちょっとイタイ」くらいであって、

倒れて動けなくなるようなダメージを受けることはありません。

一発で目の前の危険人物の動きを封じたり、

複数の攻撃者を制圧するような効果は期待できず、

とても護身用として活用することは出来そうにありません。(というかまず間違いなく機能しません)

 

かといって改造して殺傷力を上げてしまうと法的に所持できなくなり、

競技用の空気銃などは所持に許可(法的な手続き)が必要であり、

仮に手に入ったとしてもそれらを正当な理由なく所持して歩くなどは論外です。

 

また殺傷力が低いといっても眼球のようなデリケートな部位に直撃した場合は失明のリスクもあり、

過剰防衛に問われる可能性も決して無視してはいけません。

 

維持管理及び携行が難しすぎる

現在日本で市販されているエアガンには様々な種類があり、

そのほとんどがメンテナンスの容易さを売りにしてはいますが、

安全確実に正しく使える状態を保つというのは、誰にでも出来ることではありません。

 

まずガスをパワーソースとしたタイプのエアガン(ガスガン・ガスブローバック)ですが、

これらは使用するためにガスを充填しておく必要があり、

当然のことながら外気温などの影響を受けやすく挙動は想像以上にデリケートなものです。

またガスを充填し圧力の高まったマガジンをポケットやカバンに入れっぱなしにして歩くというのは、

それだけで破裂・破損による自爆の恐れがあり、

高温や火気に近づく場面では特に注意が必要と言えます。

 

ガスガンに次いでオーソドックスなものとして電動ガンが挙げられますが、

電力をパワーソースとしているためこまめな充電・放電といったバッテリーの管理が欠かせず、

バッテリーの劣化により出力が大きく低下するという致命的な欠点も抱えています。

更に電動ガンは大振りなライフルタイプが多く、ケースに入れて持ち歩くにしてもあまりにも無理があり、

危害を加えられそうになった時、

「準備するのでちょっと待ってください」といって取り出すのもおかしな話です。

(もはやケースで思いきりぶん殴ったほうが早いです)

 

日本国内では抑止力として機能しにくい

最近の市販エアガンはとても精巧に出来ており、

ぱっと見は本物と区別がつかないようなものまで普通に売られています。

 

しかし銃社会アメリカや普通に銃火器が流通している諸外国ならまだしも、

「本物の銃」が強く規制され購入・所持が困難な日本国内においては、

そんなものを向けたとしてもほとんどの人は玩具としか思いません。

本物を持っているはずがないと考えている人が、圧倒的多数を占めるからです。

 

よって何かの拍子にエアガンを抜いて見せたとしても、

それは相手を刺激するだけで全くの逆効果にしかならず、

何より残念なことにその銃に本物のような殺傷力は無いのですから、

構わず向かってくる相手を止めることもできず、結果為す術もなく危害を加えられる羽目になるケースがほとんどでしょう。

(相手が日本の銃規制に詳しくない外国人の場合は強い抑止力となる可能性もあります)

 

またどれだけ完成度が高いといっても実銃と見分けがつくように刻印があったり、

銃口内部に金属パーツが見えたりと、

慣れればわずかな時間観察するだけでエアガンまたはモデルガンと見抜くことが出来るようになります。

抑止力として所持しているものを全く効力の無い玩具と見抜かれることは、

より危険な状況に置かれることに繋がり、大変危険です。


どうしてもエアガンを持ち歩きたいなら……

ここまで市販のエアガンが護身用として「いかに使えないか」を説明してきましたが、

それでもエアガンを持ち歩きたいという変わった方のために、

いくつかグレーなアドバイスを残しておきます。

(言うまでもなく、犯罪などへの悪用は厳禁です)

 

一般的なハンドガンタイプのエアガンの場合は、

マガジンにガスやBB弾を充填せず、ガムテープなどで抜け落ちないようしっかりと固定します。

あとは普通に持ってグリップ部分(マガジン底部)で殴打するだけです。

ガスガンほどの重さと硬さがあれば、単純に殴打するほうがよほど効果的と言えます。

 

また拡張マウントレールが装備されているエアガンの場合、

別売りのタクティカル・フラッシュライトを装着しておき、

相手の顔に弾を浴びせる代わりにいきなり光を浴びせ、

そのまま顔面を殴打するというダーティなアプローチもあります。

(危険極まりないため、身を守る目的以外には決して応用してはいけません)

 

このように、エアガンのようなものを持ち歩ていても、

結局は「殴ったほうが早い」場面のほうが圧倒的に多くなるため、

グレーな飛び道具をいくつも買い揃えたり、

護身用ツールをアクセサリーのように持ち歩くのはやめたほうが無難でしょう。

それよりもしっかり身体を鍛えてパンチやキックなど基本の打撃テクニックを一つでも多く身につけたほうが、

よほど有用に違いありません。

 

銃で撃ちあいの真似事がしたいならサバイバルゲームを、

本気で身を守りたいならきちんとセルフディフェンスを学びましょう。

 

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました。