ブラジリアン柔術がリアルファイトで機能しない3つの理由

いつも心に1兆個の乳酸菌を。どうもサイコ田中です。

世界で性別・年齢問わず競技人口の多い格闘技を挙げろと言われたとき、

ボクシングや柔道、空手などに並んで必ず名前が出てくるのがブラジリアン柔術です。

日本でも幅広い年齢層の人々に愛され、今でも技術の進歩が続くブラジリアン柔術ですが、

護身術として用いるのは、少し難しいかもしれません。

何故でしょうか?


リアルファイトに寝技の出番はない?

私は若い頃から様々な場所で路上トラブルやリアルファイトの現場に遭遇してきましたが、

(バウンサーという職業柄、当然と言えば当然なのですが)

寝技の攻防が展開されるファイトをまだ一度も見たことがありません。

馬鹿馬鹿しいほどわかりきったことですが、ケンカなのですから、

掴みあった体勢や両者ともに膝をついた状態から、

わざわざ相手の腕や足の関節を極めにいく意味があまりないのです。

相手の顔面や腹部がすぐそこにあるのですから、とにかくパンチを叩き込むか、

黙って頭突きでもお見舞いしたほうがよほど効率的に違いありません。

また首尾よく相手の腕や脚に技をかけることができても、

相手は動くのをやめません。

護身の目的は常に、相手を今すぐその場で倒すことです。

ブラジリアン柔術で相手の動きを完全に止めるためには結局のところ、

「折ってしまう」しかなく、過剰防衛に問われるリスクが高くオススメできません。


ブラジリアン柔術だけでは身を守れない3つの理由

ここでは路上のトラブルにおいてブラジリアン柔術(以下BJJ)では自己防衛に不十分と考えられる理由について、

技術的な観点など3つの側面から解説していきたいと思います。

***BJJの技術体系を「役に立たない」「使えない」などと否定したり批判する意図は全くありません。

あくまでも一個人の意見として、リアルファイトには不向きであるという見解を示しているに過ぎませんが、

もしも不快に思われた方がいらっしゃいましたら申し訳ございません。***

 

環境に左右されすぎる

あなたが戦うのは、丁寧に消毒されたマットの上ですか?

審判が試合を取り仕切り、セコンドのサポートを受けることができるリングの上でしょうか?

答えはNOです。

想像してみてください。

硬くざらざらしたアスファルトの上で寝技を仕掛けに行ったとき、

もしも相手が力任せに技を外そうとしてあなたの身体を少しでも引きずったとしたら、

それが背中でも膝でも、当然のことながら無事ではすみません。恐らくかなりひどい擦り傷になるでしょう。

またしっかりと踏ん張りが効き、ある程度の衝撃を吸収してくれるマットの上とは違い、

リアルファイトの舞台は砂の上や、水にぬれた芝生の上になるかもしれません。

このような環境では、普段の練習で当たり前のように出来ていることも困難になり、

本来の力を半分も発揮できないまま、一方的に殴られてノックアウトされてしまうでしょう。

あなたは割れたガラス片が飛び散った床の上でも、躊躇いなく三角絞めを狙いに行けますか?

お互いに雨に濡れたグリップの効かない状況下でも、しっかり関節を極め切れますか?

100%の自信でもない限り、やめておくのが無難ではないでしょうか。

 

技がいつも通用するとは限らない

下からの締め技や立った状態からでも極められるアームバーなど、

BJJのテクニックは幅広く柔軟性に富んではいるものの、

全てが目の前にいる相手に通用するという保証はありません。

(これはどのような技術体系についても当てはまることですが)

もしも仕掛けた技が相手に効かなかった場合のリスクは、

顔面などの急所が露出したままになる傾向の強いBJJのほうが他の格闘技に比べて遥かに高く、

場合によっては相手に組み付いたまま一方的に殴られて、よくわからないままノックアウトされるということも十分にあり得ます。

またあまりにも有名な話ですが、

この世には生まれつき体質的に関節が非常に柔軟な人がいます。このような人種には恐らく技がかかりません。

体格差が大きすぎる場合は完璧に極まった状態からでも力任せに外される恐れは十分にあり、

もしもバスターやスラムをまともに食らってしまった場合、落とされるのは固いコンクリートの上です。命はありません。

 

”殴られる恐怖”を克服できない

ジムで柔術(グラップリング)メインの方に打撃スパーをお願いすると、

何とも言えない苦笑いと共にほぼ100%断られます。

そのような方に理由をお伺いして一番多く聞かれるのが、

「顔を殴られるのが怖い」という答えです。

BJJのみならずレスリングや柔道など、互いに組み合った状態から展開することが前提の競技において、

打撃技は言うまでもなく反則です。ゲームを変えてしまう禁じ手に他なりません。

それだけに、BJJをメインにトレーニングを重ねているような人ほど、

打撃に対する耐性が著しく低い傾向にあることは否めません。

わかりきったことですが、柔道もBJJも、まずは相手に組み付くことができなければ話になりません。

相手を捕まえるまでには、当たったら終わってしまうかもしれない打撃をいくつもかいくぐり、

最低でも1回は相手の懐に入らなくてはなりません。

防具を付けたスパーリングならまだしも、ルールのない路上において、その1回を成功させられるチャンスは限りなくゼロに近づくでしょう。

運よく相手の腕や脚を極めることに成功したとしても、顔面は血だらけであちこち擦り傷でボロボロ……これは凡そスマートとは言えません。


制圧(コントロール)には有効な場面も

ここまで散々BJJの悪口ばかり並べてしまいましたが、

状況によっては他の格闘技よりもずっとスマートにその場をおさめることができるかもしれません。

例えば相手が動きの鈍い酔漢などの場合全力で殴られてもダメージはたかが知れています。

むしろこちらが手を出してノックアウトしてしまうと厄介なことになる可能性があるので、

腕などの関節をやさしく極めて交番などに連れていけば、きっとお巡りさんに感謝されることでしょう。

また相手が家族や友人など、直接手を上げることに抵抗がある場面でも有効です。

もしも背後からなるべく苦痛を与えないように綺麗な裸絞め(RNC)をかけることができれば誰も傷つきませんし、

基本のニーオンザベリーやガードポジションを知っているだけで怪我のリスクを大幅に軽減できるでしょう。

上に述べた通り、寝技を中心に展開するリアルファイトはほぼあり得ませんが、

相手をなるべく傷つけずに制圧したり、その場に抑え込む必要のある場面でBJJの右に出るものはありません。

趣味程度にやっているという方も、本気で取り組んでいるという方も、

状況や環境を適切に見極めたうえで、正しく効率的なアプローチができるよう、

普段から”極限状態”を想定したトレーニングの時間も設けられてはいかがでしょうか。

(ノーギや打撃ありのスパーがオススメです)

 

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

【器具なしでもOK】自宅で出来るトレーニングとメニューの構成

いつも心に1グラムの唐辛子パウダーを。どうもサイコ田中です。

新型コロナウイルスの蔓延により日本のみならず世界各国で外出を自粛するなどの動きが見られる中、

「ジムに行けなくてもトレーニングがしたい」という方は多いかと思います。

今回はジムが開いていなかったり悪天候などで外出が困難な時でも自宅で行えるトレーニングを、

難易度や器具の有無などに分けて紹介したいと思います。


自重トレーニングも毎日続けるのはNG

自宅でゆっくり行える運動の代表的なものは、何といっても腕立て伏せなどの自重トレーニングでしょう。

中には毎日のようにスクワットや腹筋を100回、200回と行うことを日課にしているストイックな方もいらっしゃるかもしれません。

よく「自重トレーニングは負荷が低いため毎日行ってもよい」と耳にしますが、

自重によるトレーニングでも、毎日続けるのはあまり好ましくありません。

例え負荷の低い運動で、疲労感や筋肉痛などが全くなかったとしても、

筋肉に付随している腱や靭帯・関節には必ず一定のダメージが蓄積しています。

これらのダメージが抜けないうちにトレーニングを重ねていると、

耐えきれなくなった箇所から動きが悪くなり、最終的には痛みや違和感によりトレーニングが行えなくなる可能性があります。

例え自重によるトレーニングだとしても、しっかりと運動の前後に水分・栄養を補給し、

十分な休息をとることが大切です。

もしもあなたが「毎日何かしていないと落ち着かない」とか、

筋トレを休むことで自分が弱くなると思っているなら、

「休むこともトレーニングの一環」という考え方に変えていきましょう。

どうしても毎日何かしらトレーニングがしたいというのであれば、

部位を細かく分けるか、ある程度余力が残るようなレップ数・セット数を設定するように工夫してください。


自宅で出来るトレーニングとメニューの組み立て方

ここでは自宅で安全に行えるトレーニングを、

基礎体力や難易度、器具の有無などに分けて紹介します。

集合住宅やホテルなどで隣室や階下にお住まいの方にご迷惑をおかけすることの無いよう、

ゆっくりと、あるいは静かに行えるものを厳選しています。

十分なスペースを確保し、ご自身の体力や体調などと相談しながら、

怪我の無いように無理せず行ってください。

 

自重トレーニング

自重トレーニングは自宅で行えるトレーニングの中でも最もオーソドックスなものであり、

体力などに合わせて自由に構成や難易度を変更できるのが強みです。

 

腕立伏せ

【難易度★】ニー・プッシュアップ(膝つき腕立て伏せ)

通常の腕立て伏せが難しい場合、膝をついて行うことで難易度が大幅に下がります。

運動の習慣がない方や体重が重すぎる方はここから始めましょう。

 

【難易度★★】ダイヤモンド・プッシュアップ

通常の腕立て伏せよりも手幅を狭く取り、両手で三角形(ダイヤモンドの形)を作るようにします。

そこから手の位置に胸が下りるように腕立て伏せを繰り返します。胸のほかに上腕三頭筋が刺激されます。

 

【難易度★★★★】ワンハンド・プッシュアップ(片手腕立て伏せ)

最高難易度の腕立て伏せです。どちらか片方の腕をついてバランスを取ったら、ゆっくりと上体を上下させます。

足を大きく開いたり上体を傾けたりすることでバランスがとりやすくなり、回数を増やせます。

 

スクワット

【難易度★】レギュラー・スクワット

一般的なスクワットです。足を肩幅に開き、背中が曲がらないよう注意しながらお尻を落としていきましょう。

回数を決めて行ってもいいですが、30秒から1分のように時間で区切るのも効果的です。

 

【難易度★★】スクワット・キック

スクワットを行ってから前方に足を投げ出すようにしてキックを繰り出します。

片足立ちになる瞬間バランスを崩さないよう体幹(コア)に意識を向け、左右交互にキックしましょう。

 

【難易度★★★★】ピストル・スクワット(片足スクワット)

ほとんどの人にとって困難と考えられる、最高難易度のスクワットです。

壁や柱に手をついて、ゆっくりと片足立ちの姿勢からお尻を落としていくだけでも効果があります。

 

腹筋運動

【難易度★】ノーマル・プランク

標準的な姿勢のプランクです。フォームに注意して30秒から1分を目安に行いましょう。

お尻が突き出たり、背中が反りすぎたりしないよう気を付けてください。

 

【難易度★★】ニートゥチェスト

床やベッドの縁などに腰を下ろした状態から両脚を延ばし、

延ばした脚を引き寄せるのと同時に上体を持ち上げます。動作を途中で止めたり、捻りを加えることで負荷が上がります。

 

【難易度★★★★】ジャックナイフ(Vシットクランチ)

難易度の高い腹筋運動です。仰向けに寝そべった状態から両腕両脚を延ばし、

横から見ると身体がちょうどVの字になるよう腕と両脚を同時に持ち上げます。体が硬い場合は膝が曲がっても構いません。

 

背筋運動

【難易度★】バック・プランク

通常のプランクの逆バージョンです。腕立て伏せの姿勢を上下反転した形をイメージしてください。

30秒から1分間維持できるようになりましょう。

 

【難易度★★】バック・エクステンション

一般的な背筋運動です。うつ伏せになって脚を延ばし、ゆっくりと上体を反らします。

腰や背中に痛みや違和感が生じた場合は中止してください。

 

【難易度★★★】スーパーマン・ホールド

バックエクステンションを何セットか繰り返した後、空を飛ぶスーパーマンのように腕を伸ばし胸を反らした姿勢を維持します。

30秒から40秒、手が床につかないよう頑張りましょう。脚も上げるようにするとさらに負荷が上がります。

 

ダンベル・ワークアウト

ダンベルを使った種目です。

ダンベルが無い場合は500mlのペットボトルか、なるべく分厚くて重い本を用意してください。

 

ダンベルカール

ターゲットは上腕二頭筋です。

ダンベルを両手に持ち、身体の横からゆっくりと肘を曲げて胸の高さにまで挙上します。

挙げるときよりも下ろすときに意識を集中することがポイントです。

 

オーバーヘッド・ダンベルプレス

ターゲットは肩の筋肉群です。

ダンベルを両手に持って肩の横に担ぎ上げ、ゆっくりと腕を伸ばしてバンザイをするような姿勢に持っていきます。

肩に痛みや違和感が生じた場合はダンベルを軽いものに交換するか中止してください。

 

レネゲイド・ロウ

ターゲットは背筋上部と肩、上腕三頭筋です。

ダンベルを持った状態で腕立て伏せをするような姿勢を作り、そこからダンベルを片方ずつ胸のところまで挙上します。

腕立伏せと組み合わせることで負荷が大幅に上がり、同時に大胸筋にも効かせることができます。

ペットボトルや本を使って行う場合は手に持つのではなく顔の前に置き、一回ずつ掴んで持ち上げるようにしましょう。

 

ケトルベル・ワークアウト

ケトルベルを用いた種目です。

ケトルベルをお持ちでない場合は手ごろな大きさのバッグやリュックに本などの重りを入れることで代用が可能です。

 

ケトルベル・スイング

ケトルベルを前後に振る一般的な種目です。

背中が丸くなったり腕の力だけで振らないよう注意し、下半身との連動を意識して行ってください。

 

ケトルベル・スナッチ

遠心力を使ってケトルベルを素早く肩に担ぎ上げ、一気に頭上まで持ち上げます。

ケトルベル・スイングと同様に下半身との連動を意識し、遠心力を使って挙上するのがポイントです。

必ず片手で安全に扱える重量を選択してください。

 

ロシアン・ツイスト

ケトルベルを使って腹筋を鍛える種目です。

床に脚を延ばして座り、胸の前にケトルベルを抱えます。

そこからゆっくりと上体を左右に捻り、腰を回旋させていきます。

足は地面からやや離れる程度の高さを維持し、高く上げすぎたり床に着いたりしないよう気をつけましょう。

 

その他の種目

上に挙げたメニューとはまた異なるカテゴリのトレーニングもいくつか紹介します。

メニューに変化をつけたいときや脂肪燃焼(ダイエット)を目的に行う場合は参考にしてください。

 

シャドー・ボクシング

有酸素運動でありながら肩や腕、胸など上半身の筋肉をフレキシブルに刺激することで、

二の腕やお腹まわりの引き締め効果が期待できます。

見よう見まねで全く問題ありませんので、左右のワンツーパンチから始めていきましょう。

(集合住宅やホテルなどでフットワークを組み合わせる場合は音や振動などに十分配慮して行ってください)

 

アイソメトリック・トレーニング

プランクなど一つの姿勢を一定時間維持する種目の総称です。

ゆっくり静かに行えるうえに体幹(特に腹筋)を効率的に追い込めるため、

総合的なシェイプアップと脂肪燃焼に繋がります。

初心者の方はまずその場で片足立ちをするところから始めていきましょう。


メニューの組み立てと休養の設定について

トレーニングメニューの組み合わせはマンネリ化しないよう工夫しつつ、

しっかりと休養の時間を確保できる構成にすることが肝要です。

 

初心者向け(1週間)

【月曜日】自重トレーニング

【火曜日】休み

【水曜日】ケトルベル種目またはダンベル種目

【木曜日】休み

【金曜日】自重トレーニング

(土曜日・日曜日は完全休養日)

 

中級者向け(1週間)

【月曜日】自重トレーニング

【火曜日】ケトルベル種目またはダンベル種目

【水曜日】休み

【木曜日】アイソメトリックトレーニングまたは自重トレーニング

【金曜日】ケトルベル種目またはダンベル種目

(土曜日・日曜日は完全休養日)

 

上級者向け(1週間)

【月曜日】自重トレーニング

【火曜日】アイソメトリックトレーニング

【水曜日】ケトルベル種目

【木曜日】自重トレーニング

【金曜日】ダンベル種目

(土曜日・日曜日は完全休養日)

 

自重トレーニングは組み合わせや内容を比較的柔軟に変えることが可能なため、

体調やモチベーションに合わせて変化をつけることでオーバーワークやマンネリ化を回避できます。

またケトルベル種目、ダンベル種目を軸として週に1回程度アイソメトリック系のワークアウトや脂肪燃焼系の運動を取り入れることで、

筋肉量を増やしながら効率的にシェイプアップすることが可能です。

とにかく身体を絞って体重を落としたいという方はアイソメトリックトレーニングの比重を高く設定し、

単純な筋量を増やしたいという方はダンベル種目や負荷の高い自重トレーニングを多く取り入れるといいでしょう。

 

 

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

【小ネタ】ダンスと格闘技の共通点【豆知識】

いつも心に壊れた1輪車のサドルを。どうもサイコ田中です。

皆さんはヒップホップやレゲエなどの音楽を聴いたり、ダンスを踊る機会はありますか?

一見するとそれほど相関が無いと思われがちですが、実はダンスと格闘技には密接な関係があります。

今回はそんなダンスと格闘技の共通点について、

そのテクニックや歴史的背景などに基づいてお話ししたいと思います。


ダンスが出来る人は格闘技も強い?

まだ私がセキュリティの仕事をしていた頃、

定期的にダンスのインストラクターがやってきて、ヒップホップやシャッフルダンスの練習をさせられていました。

一体何の役に立つのか、センスのない私には最初の1年は全く意味が分かりませんでしたが、

色々なスタイルをそれなりに踊れるようになる頃には、ダンスと格闘技の関係が見えるようになっていました。

まずダンスに使われるテクニックの中には、

ボクシングなどのフットワークととてもよく似た部分があります。

スポンジ・ボブなどと呼ばれる動きはボクシングのシャッフル・ステップやペンデュラム・ステップに近い部分があり、

回転の動きはシンプルなターンやピボットといった動きに関連しています。

また蔑ろにされがちな手の動きはディフェンスのテクニックと深い結びつきがあることにも気づかされ、

ブラックカルチャーと呼ばれるヒップホップやその原型にあたるハーレムルネサンスの偉大さに深い感銘を受けました。

ダンスが上手な人は体が柔らかく体幹安定性が高いため打たれ強く、

強靭な下半身と瞬発力は打撃の破壊力や組際の粘りにも大きく関与すると考えられます。

もしも身近にダンスの上手な人や、踊るのが好きな人がいたら気を付けてください。

彼らは恐らく素手の殴り合いのような場面でも高いパフォーマンスを発揮するでしょう。

***言うまでもありませんが、暴力は犯罪です***


ダンスとつながりのある格闘技

ここではダンスや音楽と密接な関係にある格闘技を2つ紹介します。

音楽やダンスが好きで、身を守ることや格闘技にも興味をお持ちの方はぜひ参考になさってください。

 

カポエイラ(Capoeira)

音楽やダンスと深い繋がりのある格闘技として恐らく最も認知度が高く、

長い進化と発展の歴史を持つのがブラジルの伝統武道・カポエイラです。

遡ること約500年、ポルトガルによる植民地支配を受けていたブラジルの黒人奴隷たちが、

看守の目を盗んでダンスを踊るふりをして身に着けた格闘技とされており、

洗練されたフットワークと華麗な回転技の数々、そして独特のリズム感が最大の特徴です。

手枷をはめられた状態で戦うことを想定していたために蹴り技が主体であり、

中には足の指でナイフを掴んで攻撃する技術まで存在するというから驚きです。

かつては限られた場所でしか学ぶことのできない”未知の武道”といった印象でしたが、

現在では日本でも全国様々な場所で指導を受けることができ、全体的なハードルは下がっているという印象があります。

ゴリゴリの格闘技と言うよりはダンスという側面が強いため、ストレス解消やフィットネス感覚で始められてはいかがでしょうか。

 

52ブロック・スタイル(52blocks)

ジェイルハウスロック・スタイル(Jailhouserock-style)とも。

元々は刑務所に収監された黒人たちが看守や他の囚人からの暴力に抵抗するため編み出した護身術の一種とされており、

肘によるブロック、流れるような連続攻撃が特徴のストリートスタイル・ボクシングです。

その存在や実用性については長く言及することを避けられる傾向にありましたが、

UFCファイターのヨエル・ロメロ(Yoel Romero)が練習中および試合中に見せるパフォーマンスの中にその象徴的な動作が多くみられることから、

近代格闘技としての可能性が再評価されつつあります。

一見すると詠春拳(Wing-chun)の影響を受けているようにも見受けられますが、

カポエイラと同様に黒人たちが音楽やダンスの延長線上に見出したファイト・スタイルという見方が一般的であり、

特に手の動きは独創的かつスタイリッシュなものであり、アフリカ系アメリカ人が受け継いできた独自のリズム感や表現力の豊かさを窺わせるものとなっています。


格闘技と関連するダンス

ここでは格闘技との相関が認められるダンスを2つ紹介したいと思います。

ダンスを学びながら強くなりたいとか、格闘技をやっていて全く別の角度からヒントを得たいとお考えの方は参考になさってください。

 

バレエ

冗談みたいに聞こえるかもしれませんが、バレエの可能性は侮れません。

股関節の柔軟性や体幹安定性が関連することは言うまでもなく、

しなやかな回転や美しいジャンプを実現するための身体の使い方は特にキックと深い相関があると考えられます。

下半身を中心とした軸の安定性と強さがパフォーマンスに影響を及ぼすため、打撃全般は元よりグラップリングにも関係することは想像に難くありません。

とにかく体が硬いという方や身体の使い方、筋肉の動かし方がイメージしづらいという方にはバレエがヒントになるかもしれません。

(ゴリゴリの男性が練習に混ざっていると異様な雰囲気になるかもしれませんが)

 

ブレイクダンス

私が現役のセキュリティとして勤務していた頃に52blocksと共に習得したのがブレイクダンスでした。

ブレイクダンスの最大の魅力はとにかく自由度が高く制限が無いということであり、

「これが正解」といったスタイルが存在しないため”自分らしさ”を追求する楽しさが味わえます。

表現力を高める過程で覚えるべき技はいくつも出てきますが、

難易度が上がるにつれて当たり前のように逆立ちや片手腕立て伏せなどが出来る体力も自然に身につくため、

無理なく、そして楽しく身体能力を高められるという強みもあります。

回転系のテクニックや頭を支点とした技の数々は首や手首などの強さにも関連するため、

踊りながら格闘技に求められる重要な筋肉群をしっかりと鍛えられます。


管理人のオススメはシャッフルダンス

さて、ここまで様々な格闘技やダンスを紹介してきましたが、

これから始めるという方にお勧めしたいのはシャッフルダンス(Melbourne Shuffle)です。

軽快なフットワークとトリッキーな動きが魅力の最新ダンスジャンルで、

ランニングマンやスポンジ・ボブなど、テレビなどで誰も一度は目にしたことのある動きがてんこ盛りのお洒落なスタイルです。

シャッフルダンスを始めるきっかけとして私が強く推したいのは、

現在全国で稼働中のアーケードゲーム、DANCERUSH STARDOMです。

音楽と譜面に合わせて踊る古典的なシステムでありながらもその自由度は極めて高く、

シャッフルダンスに特化した独自の譜面処理が魅力の次世代ダンスゲームとなっています。

何のことかわからないという方は、ぜひ一度Youtube等で実際にプレイしている様子をご覧になってください。

自由で独創的なシャッフルダンスの魅力が、きっとあなたを虜にすることでしょう。

 

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

”最初の一撃”を見極めるために知っておくべきこと

いつも心に一本のマチェーテを。どうもサイコ田中です。

よく路上のファイトでは「最初の一発が勝敗を分ける」と言われますが、

何の訓練も受けていない人が”最初の一撃”を見切るのは至難の業です。

それでもある程度ポイントをおさえてさえいれば、完全に見切ることは出来なくても、

まともに殴られることを回避することには繋がります。

今回はそうした”最初の一撃”を見極めるために大切なポイントについてお話ししたいと思います。


まずは頭をしっかりとカバーすることから

当ブログの護身術に関する記事では再三にわたり申し上げていることですが、

もしも第三者に危害を加えられそうになった時には、

しっかりと頭を保護することが大切です。

頭には言うまでもなく脳をはじめ様々な急所が集中しており、

まともに殴打されると最悪の場合命を落とす可能性もあり大変危険です。

格闘技の経験がない素人の方や、今日まで殴り合いのファイトを経験したことが無いという方は、

完全にノーガードの状態でパンチなどを食らってしまうことが珍しくなく、

文字通り一発でノックアウトされてしまうといったケースが目立ちます。

格闘技の知識や経験、護身術のテクニックなど全く知らなくても、

下の写真のように頭を抱えるようにするだけでも受けるダメージを大幅に軽減することができます。

痛みや恐怖でパニック状態になってしまっても、

・しっかりと頭部をカバーすること

・何でもいいから手を出して抵抗すること

・周囲に助けを求めること

といった対応が生存率を高めることに繋がります。

ちょっとした空き時間や鏡を見て身だしなみを整えるときなどに、

頭を抱えるようなポーズを取る癖をつけましょう。

カッコつけていると思われてもいいのです。その動きはいつか、あなたやあなたの大切な人を守るために役立つはずです。


”最初の一撃”に反応するための3つのポイント

ここでは路上トラブルで相手から危害を加えられそうな場面で、

”最初の一撃”を見切るためのポイントを3つ紹介します。

自己防衛や防犯、護身術に興味をお持ちの方は参考になさってください。

 

相手のボディランゲージを見逃さない

顎をしゃくる、肩を怒らせるなどのボディランゲージは、

攻撃者が手を出す前に見せる明確なサインであり、攻撃を見切るためのヒントになります。

もしも目の前の相手が、

・上から見下ろすような姿勢

・腕を広げて胸を張る

・手や腕を忙しなく動かす

などの動きを見せた場合、最大限の警戒が必要です。

顎を突き出し胸を反らすといった姿勢は、身体を大きく見せ相手を威圧するための典型的なボディランゲージであり、

多くの動物が縄張り争いなどに伴う闘争に際して見せる挙動です。

また手を落ち着きなく動かし続けたり、腕をブラブラさせるといった動作にも注意しなくてはいけません。

多動性の表れは緊張や不安などストレスが高まったことを意味し、手を出すための準備をしているという見方も出来ます。

もしも相手から強い敵意を感じるような場面でこのようなボディランゲージに気づいたときは、

”最初の一撃”に備えて心の準備をしましょう。

 

攻撃者が見せるボディランゲージについては、以下の記事でも詳しく紹介しています。

↓ ↓ ↓

危険な相手が見せる10のボディランゲージ

 

相手の肩ではなく肘を見る

よく格闘技などでは「相手の肩のあたりをぼんやり見るように」と指導されますが、

何の訓練も受けていない人が肩の周辺を見ても動きが分かりにくく反応が遅れがちです。

素人のパンチは写真のように肘が大きく外に開く傾向にあるため、

予め肩ではなく肘のあたりを見るようしておくと動き出しがよく見えて、

なおかつどちらのパンチが飛んでくるのかも見極めやすくなります。

また相手が素人ではなかったとしても、肩も肘も全く動かすことなくパンチを打てる人種というのは一握りです。

必ず肩から肘にかけてのラインに動きが見られるはずなので、

迷ったときはとりあえず相手の肩から肘のあたりをなんとなく見るようにしておくといいでしょう。

 

キックは膝から動き出す

パンチと同様に蹴りの場合はまず膝から動き始めることが多いため、

相手の下腹部から膝のラインに動きが見られたときはキックを警戒しましょう。

格闘技経験などない素人の蹴りは金的などの急所に入らない限りほとんどダメージにならないため無視することも出来ますが、

相手が先端に鉄芯の入った安全靴や軍用ブーツなどを着用している場合はそのリスクを軽視できません。

また相手が格闘技経験者の場合は高確率で後ろに引いている足(一歩から半歩下げたほうの足)から蹴りが飛んでくると予想され、

これはスピード・破壊力ともに想像を絶するためまともに食らってしまった場合はほぼ手遅れです。

蹴りの予備動作として、

・蹴り足と同じ側の腕を小さく前に振る

・一歩から半歩斜め前にステップする

・前後の足を素早く切り替える(スイッチする)

などが考えられますが、経験者の蹴りはこれらの予備動作を考慮しても見極めるのは至難の業です。

もしもトラブルになった相手が明らかにそれとわかる構えを見せた場合や、

拳の周辺の変色や変形、首の太さなどから素人ではないと判断できる場面では距離を置くことを最優先にし、

よほどの事情が無い限り真っ向勝負は回避すべきです。

(身を守るためにやむを得ない場合は身近なものを武器にするなどの柔軟な対応が求められます)


いつも「先手必勝」とは限らない

ファイトは常に先手必勝、先に動き出したほうが勝つという教えが一般的ですが、

日本の法律を考慮すると、少し話は複雑になってきます。

まず日本の法律では手を出した時点でほぼ100%暴行罪なり傷害罪が適用されます。

殴られるのが先だろうと、殴るほうが早かろうと同じことです。手を出した時点で有罪という扱いに変わりはありません。

問題なのは、

・今すぐ、その場で

・身を守る必要があり

・やむを得ず手を出した

という3点が抑えられていないと、正当防衛が認められないということです。

あなたの目的が身を守ることで、目の前の相手から何らかの危害を加えられる恐れがあるような場面では、

先に手を出しても恐らく問題にはならないでしょう。(やりすぎてしまった場合はまた別ですが)

また相手の攻撃が見えて、それに対して取った咄嗟の行動で相手をノックアウトしてしまったとしても全く問題はないと考えられます。

正当防衛と過剰防衛の境界線上でもっとも厄介な問題は、

相手に攻撃の意思があるかどうかが、ギリギリになるまでわからないということです。

明らかにキレてやばそうな雰囲気になった相手が空き瓶や陶器の灰皿などを手に取ったとしたら、攻撃を防ぐ必要があると考えるべきですが、

ただ大きな声で何かまくしたてたり、物を投げたりしているだけの人物には攻撃の意思があるのかどうかがわかりません。

このような”グレーゾーン”にある人物に先手必勝のセオリーに従って先制攻撃を仕掛けてしまった場合、

警察官らが現場に到着してから立場が不利になる可能性が高く、周囲の目撃者からの印象も決して良くありません。

「先に殴られろ」などと恐ろしいことは言えませんが、

路上のトラブルでは可能な限り先に手を出させたうえで、

どんな結果になっても「身を守るためにやむを得ない対応だった」というスタンスだけは崩さずに済むようにしましょう。

(相手を殴ったことについての言い訳を考えましょう、という話ではありません)

 

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

【小ネタ】路上トラブルで事態を悪化させるNG対応【豆知識】

いつも心に1メートルのクレモナロープを。どうもサイコ田中です。

例えばそれが料理でもスポーツでも仕事でも、予期せぬ事態が起きたときに対処法を知らないと、

パニックになって誤った対応をしてしまい、事態を悪化させてしまうということは十分に考えられます。

今回は路上トラブルの現場において、状況を悪化させる可能性のあるNG行動の例と、

正しい対応方法についてお話ししたいと思います。


どんな時でも視野を広く・冷静に

人は予期せぬトラブルに見舞われるとどうしても冷静さを欠き、視野が狭くなりがちです。

最も恐ろしいことはいきなり殴られることでも、攻撃者に追いかけられることでもなく、

周りが見えなくなることです。

周囲に注意が向けられなくなると逃げ道を確保することも困難になる上に、

次に行動を移すきっかけも掴めません。

また自分に近づく別の攻撃者の存在に気付くのが遅れたり、無駄なリアクションが増えて時間やエネルギーをロスしてしまいます。

あなたの注意力や集中力のレベルを0から100で表せるとした場合、

目の前で起きたトラブルに対して向けていいのは最大でも60までであり、

残りの40はそれ以外の場所に向けられているべきです。

人はどうしても「今目の前で起きたこと」「予期していない出来事」に対して100パーセント集中してしまいがちですが、

これは身を守る上で好ましくありません。

普段から注意力のレベルを一定に保ち、何が起きても激しく動じたり、周りが見えなくなったりしないよう意識することが大切です。

また冷静さを保つのが困難なほどの強い衝撃に襲われた時でも、

目の前の状況だけに集中するのではなく、落ち着いて周りを見るようにすることでパニックを軽減できます。


事態を悪化させる3つのNG行動とその回避方法

ここからはトラブルの現場で事態を悪化させる恐れのある誤った対応を、

具体的な例と共に3つ紹介したいと思います。

良かれと思って取った行動がきっかけでリスクが上昇するという例は決して珍しくありません。

正しい対処法を覚えて、パニック状態に陥ることを回避しましょう。

 

攻撃者の行く手を塞ぐ

とても大切なことなので最初に断っておきますが、

暴れている人物や酔っ払い、強盗などを捕まえるのは我々民間人の仕事ではありません。

それは本職のセキュリティまたは警察官の仕事であり、

本来我々にそうした義務や権利はなく、積極的に攻撃者を制圧・逮捕しようと試みるべきではありません。

痴漢や強盗を現場から逃がさないために出入口を塞いだり、

ドアに鍵をかけて閉じ込めるなどの対応を取った場合、

追い詰められた攻撃者はさらに興奮し攻撃的になるため大変危険です。

犯罪の現場などを目撃したとしても、まずはそこから犯人を遠ざけることに協力し、

いたずらに言葉や行為で刺激または威嚇することのないように十分注意しましょう。

 

攻撃者を追いかける・捕まえる

上に述べた通り、攻撃者を制圧・捕縛するのは我々の仕事ではありません。

世間には現場から逃走しようとした攻撃者を追いかけたり、捕まえようとする人がいますが、

自分がどれほどのリスクを冒しているのかを理解すべきです。

まず攻撃者は一人とは限りません。

仲間と合流するつもりかもしれませんし、近くに車があるのかもしれません。

攻撃者を追いかけるのは勝手ですが、もしも相手が3人に増えたり、

逆に車で追い掛け回されるような事態に発展した場合、文字通り命はありません。

また一見逃げているように見えても、武器を取りに走っただけかもしれず、

もしも武装されてしまった場合は一瞬にして形勢が逆転します。

あなたに柔道や逮捕術、その他実践的な武道の心得がある場合は別として、

攻撃者に自ら向かっていくという対応は自殺行為に他なりません。

相手が逃げていったときはむしろ「ラッキー」と捉えたうえで、

相手が逃げていった方向と反対に走りましょう。

攻撃者と距離を置くことは、生存率を高めるための第一歩で、誰にでも実践できる護身術です。

 

大勢で詰め寄る・カメラで撮影する

よく痴漢などのトラブルの現場では、大勢で容疑者を取り囲んだり、

カメラを向けるなどの光景が見られますが、大変危険なので絶対にやめましょう。

まず大勢で攻撃者を追い詰めるというのは、一見安全かつ合理的な対処のように思えますが、

集団心理で冷静な判断が出来なくなった結果、無謀な行動に出ているだけにすぎません。

人間には集団の規模が拡大すると無謀で無責任な行動を取るリスクが増えるという性質があり、

それは特にトラブルの現場のような、緊張感とストレスが高まった状態で強く作用します。

人数が増えたからと言って、あなたやあなたの周囲の人が強くなったわけでも、

攻撃者が弱くなったわけでもありません。

3人、4人で制止にかかってもナイフを抜かれた場合その場で全員殺されても全く不思議でなく、

泥酔者や薬物中毒者の場合、強い身の危険を感じることで攻撃性が強くなる恐れもあり大変危険です。

またトラブルになった相手にカメラを向けたり、現場の様子を撮影するのもあまり好ましくありません。

相手が痴漢などの場合強い抑止力になる可能性がある一方で、

場合によっては相手の感情を逆撫でし、結果的に事態をただ悪化させてしまう恐れがあることもまた事実です。

映像や音声で証拠能力のあるものを残したいときには、

撮影機器をカバンやポケットの中に収めた状態で、なるべく目立たない形で記録するようにしましょう。

ただやり取りの記録を残すだけであれば、ボイスレコーダーだけでも十分な効力があります。

絶対に相手の顔にカメラを向けたり、言葉や態度で相手を煽ったりすることの無いように気をつけましょう。

もしもそのような誤った行動を取ってしまった場合、いきなり殴られても文句は言えません。


自分で何とかできないときは黙って110番

ここまで長々と述べてきましたが、

迷ったら110番通報するのが手っ取り早く確実です。

事態が悪化してからではなかなか警察を呼ぶのも困難になる上に、

現場に到着した警察官に文句を言われることも珍しくありません。

繰り返しになりますが、

攻撃者や事件の容疑者を追跡・逮捕するのは警察官の仕事であり、

我々民間人の義務ではありません。

もしもトラブルの現場に遭遇したり、自身が巻き込まれたりしたときには、

・出来るだけ攻撃者から遠ざかる

・凶器を持った相手には協力的な態度で接する

・安全が確保出来たら警察や救急車を呼ぶ

といった対応を最優先にすべきです。

近くに家族や友人がいると状況が複雑になり、上手くいかないことが増えてくるかもしれませんが、

冷静に周りを見ながら自分の置かれた状況を見極めていけば、必ず突破口は開けます。

集団心理などに囚われて無責任な行動に出たり、正義感と無謀をはき違えることの無いよう十分注意し、

現場に居合わせた全ての人が無傷で帰れるよう最善を尽くしましょう。

 

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

セルフディフェンスと日本の法律

いつも心に1皿のコオロギ料理を。どうもサイコ田中です。

護身術を学ぶ上で大切な要素はいくつもありますが、

法的な側面からのアプローチはどうしても後回しにされがちです。

今回は現在日本で施行されている法律に基づき、

身を守る上で知っておくべきことについてお話ししたいと思います。


トラブルを回避することが最優先

言うまでもなく、どのような場面でもまずはトラブルを回避するために最善を尽くすことが一番です。

自動車を運転している最中であれば「急に割り込まれた」だとか、

電車の車内であればヘッドフォンの音漏れを注意されたとか、色々な理由が考えられますが、

怒りのピークは5秒から6秒と言われています。

もしキレてしまいそうになったときは、深呼吸を数回繰り返し、この5秒から6秒をどうにかやり過ごしましょう。

そして相手をキレさせてしまわないよう、態度や言動には十分注意し、

もしも自分に非があると明らかにわかる場面ならば、きちんと誠意をもって謝罪することが大切です。

対人トラブルの多くはどちらかがモラルや常識を欠いた振る舞いをするところから引き起こされます。

相手が悪いとわかる場面でも言葉や態度で相手を詰るようなことは避け、

自分から相手を煽ったり刺激するようなことが無いように注意しましょう。

(トラブルの場面で相手の顔にカメラを向ける、ファイティングポーズを取るなどは以ての外です)


護身術を学ぶ上で絶対に知るべき法律

ここでは実践的なセルフディフェンスを学ぶ上で絶対に外せない法律について、

大切なポイントのみに絞って紹介します。

(本格的に解説するとかなり複雑・難解になるため、詳細は割愛させていただきます)

 

暴行罪/傷害罪

現在の日本の法律では、手を出した時点で100%適用されます。ほぼ確定です。

・服をつかむ

・肩を突き飛ばす

・水や飲み物をかける

など、パンチやキックなどのような典型的な暴力行為以外でもあっけなく成立するため注意が必要です。

そして一番大切なことは、

防衛者が自衛(護身)の目的で手を出したとしても形式的には成立するという点です。

 

正当防衛

刑法36条1項において、「急迫不正の侵害に対して、自己又は他人の権利を防衛するため、やむを得ずにした行為は、罰しない」と規定されています。

一つひとつ見ていきましょう。

まず”急迫不正の侵害”という文言についてですが、

これはシンプルに表現するならば、「相手が違法行為をした場合」ということになります。

上で述べたような暴行・傷害は既に違法行為なので、手を出された時点でまずこの最初の条件はクリアとなります。

次に”自己又は他人の権利を防衛するため”とありますが、

これは文字通り「自分の身を守るため」ということになります。

大事なことは、自己防衛の目的と意思がそこにあることです。

手を出す理由が自分を守ることではなく、「相手を攻撃すること・傷つけること」では成り立ちません。

この点に注意が必要です。(相手を仕草や言葉で挑発・刺激した場合も当然アウトです)

そして最後に、”やむを得ずにした行為”という部分ですが、

「ほかに手段がなかった」「手を出すことが最後の手段だった」という意味合いに他なりません。

当ブログではあくまでも”手を出すのは最後の手段”と色々な場所で述べてきましたが、

法的な意味合いでも非常に重要なことであるため、繰り返しお伝えします。

あなたが手を出してもいいのは最後の最後、どうしようもなくなった時だけです。

決して忘れないでください。

 

過剰防衛

正当防衛の範囲を超えてしまった場合、

要するに「やりすぎてしまった」ような状況では、過剰防衛に問われるかもしれません。

あなたの目的があくまでも身を守ることであり、頑なに正当防衛を主張したとしても、

現場に駆け付けた警察官や裁判官が見るのは事態の結果だけです。

もしもあなたが相手に命に関わるような大けがを負わせてしまったり、

防衛の目的を逸脱した凶器(金属バットやナイフなど)を用いた場合は過剰防衛とみなされても仕方ありません。

相手の人数や体格、置かれている状況など様々な条件から総合的に判断されるため、

過剰防衛に問われるかどうかは状況次第であり、すべては裁判官次第ですが、

・倒れた相手を殴り続ける

・自分に敵意を向けていない相手を攻撃する

・刃物で襲い掛かる

などは完全にアウトです。

あなたの目的が自己防衛で、報復や襲撃ではないことが明らかにされていなければ、

過剰防衛に問われても文句は言えません。やりすぎには十分注意しましょう。


護身用ツールの扱いには注意が必要

他の記事でもお伝えしてきたことですが、

護身を目的としたツールの所持と取り扱いには注意が必要です。

あなたの目的が身を守ることでも、

その機能が護身の目的を逸脱していると判断されたときや、

実際に相手を過剰に傷つけてしまった場合有罪判決は免れません。

催涙スプレー、特殊警棒、タクティカルペン……世間には様々なツールが出回っていますが、

本当にそれを使うべきなのか、使ってもいいのか、決めるのはあなたです。

法的な側面などを慎重に見極めたうえで、それでも自分には必要だと思う場合のみ購入・携行するようにしてください。

あなた自身が犯罪者にならないために、とても大切なことです。

 

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

今日から始める護身術27【護身に役立つストレッチ】

いつも心に1本のフォールディングナイフを。どうもサイコ田中です。

性別年齢を問わず、とにかく現代人はストレスを抱えがちです。

特にデスクワーク主体の働き方をされている社会人の方や立ちっぱなしの作業が多い方は、

腰や肩、首などに疲労や痛みを感じることが多いかもしれません。

今回はそうした身体の硬さや不調を取り除きながら、

いざという時身を守れる身体を作ることに繋がるストレッチを紹介したいと思います。


180度開脚は出来なくても問題ない?

身体の柔軟さというと、脚がしっかり180度開いて、胸がぺたっと床につくのを理想と思ってしまいますが、

あなたの目的が身を守ることならば、そこまでの柔軟性は必要ないかもしれません。

当然のことながら、腰や股関節が柔軟であれば運動時の怪我を防げるうえに、

脚を高く上げる蹴りなどがスムーズに繰り出せるようになります。

しかし現代護身術において、ストリートファイトで蹴りを使うことは好ましくないとされており、

特に動きが大きくバランスを崩しやすいハイキックなどは推奨されません。

護身テクニックとして特に効果的とされる膝蹴りや金的蹴りを無理なく蹴れるために、

前後左右にしっかり180度開くような股関節の柔軟性は不要です。

膝が曲がってもいいので、無理なく気持ちよさを感じられる範囲で、

太ももの裏(ハムストリングス)や背中の筋肉を伸ばせればそれで十分です。

格闘家を目指すとか、しっかり身体づくりに取り組むのであればまた話は違ってきますが、

あなたが目指すのが「いざという時動ける身体」というレベルであれば、

身体が硬いことを気にしすぎる必要はありません。

むしろ気にしすぎると身体はどんどん硬くなってしまうので、

しっかりリラックスできる時間に全身の力を抜いて、「脱力する」という感覚のほうを意識していきましょう。


あなたの”護身力”を底上げする3つの簡単ストレッチ

ここでは10分から15分という短い時間で無理なく行えて、

身を守ることにも役立つストレッチを3つ紹介します。

お風呂上りや運動の後などある程度身体が温まっている状態で、

ゆっくりと自分のペースで行ってください。

***ストレッチ中に痛みや違和感が生じた場合は中止してください***

 

背中・肩のストレッチ

ヨガでは「猫の伸びのポーズ」とも呼ばれるストレッチで、

主に肩から背中にかけて、上半身全体を伸ばすのに効果的です。

四つん這いの姿勢から腕を前に伸ばし、ゆっくりとお尻を後ろに引いていきましょう。

猫をイメージしてしっかり脱力し、出来る限り胸を床に近づけるのがポイントです。

ゆっくり息を吐きながら、15~20秒を目安にじっくり伸ばしていきましょう。

猫背のような姿勢の問題を改善すると同時に、上半身全体の柔軟性を高めることで、

パンチや肘打ちのキレと破壊力をアップさせる効果が期待できます。

 

腰・背中のストレッチ

脚を延ばして座った状態から片方の脚を曲げ、もう片方の脚をまたぐようにします。

そこから曲げた脚の膝に反対側の腕をかけて上体を捻り、後ろを見るようにします。

息を止めないように注意しながら15~20秒かけてゆっくり伸ばしていきましょう。

腰痛の改善にも繋がると共に、パンチと蹴りの動作に不可欠な腰の回旋運動をスムーズにする効果が期待できます。

慣れてきたら腹筋の動きにも注意を向けてみましょう。

 

太ももの裏(ハムストリングス)のストレッチ

胡坐をかくような座り方から片方の脚を伸ばし、上体を倒していきます。

背筋を真っ直ぐに保ちながら、ゆっくり息を吐いて15~20秒維持します。

硬さや痛みのある人は決して無理をせず、適度な伸びと気持ちよさを感じてください。

(膝が曲がってしまっても問題ありません)

継続することで腰痛等の改善はもちろん、下半身の歪みも徐々に矯正されていきます。

(O脚やX脚でお悩みの女性には特にオススメのストレッチです)

ハムストリングスの柔軟性は前蹴りや金的蹴りなどのキックの破壊力と安定性、

組み合った体勢での粘りなどに関わります。


”首”がつくところをしっかり伸ばそう

首や手首、足首など、”首”がつく部位の柔軟性は非常に重要です。

首の柔軟性は頭を殴打されるなどした際のダメージを軽減することに繋がり、

手首の柔軟性は自分のパンチで自爆するリスクを大幅に軽減します。

また足首の柔らかさは蹴り技を繰り出す際の安定性に大きく関与するとともに、

走って逃げる際に生じる捻挫などの怪我を防ぐうえで不可欠です。

ストレッチと聞くと屈伸や開脚など大きな筋肉や靭帯・関節にばかり目が行きがちですが、

路上のファイトなどの極限状態を想定するのであれば、

手首や手の指など、小さく繊細な部位の柔軟性も無視できません。

仕事や勉強の合間に首を回したり手首をいろんな方向に捻ったりして、

疲労やストレスとうまく付き合いつつ、「常時臨戦態勢」の身体を作っていきましょう。

ストレッチ中はあれこれ余計なことを考えず、しっかりとリラックスすることを忘れずに。

 

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

セルフディフェンスと神経科学

いつも心に1グラムのエポキシ樹脂を。どうもサイコ田中です。

人間の思考や行動には、セロトニンやアドレナリンといった脳内物質が密接に関係しています。

それはスポーツの試合中などはもちろん、路上におけるファイトのような極限状態においても同じことです。

今回はそうした脳内物質が人体に与える影響について、

現代護身術の考え方に基づいて解説したいと思います。


ストレス耐性が低い=虚弱という勘違い

昨今の研究により、日本人はセロトニンレベルが他の人種や国民に比べて低いことがわかっています。

生まれつきセロトニン受容体のキャパシティはある程度決められており、

これが高い人はストレス耐性が高く、逆に低いと様々なストレスに弱くなると考えられています。

日本人が悲観的であったり、うつ病になりやすいことと関係があるのかないのかはまだはっきりしていませんが、

この研究結果が意味することは、日本人の多くが緊張しやすくリラックスするのが困難であるということです。

一般に「ストレス耐性が低い」と聞くとメンタルが不安定で虚弱な印象を受けますが、

実際はその真逆です。

ストレス耐性が低くリラックスるのが困難ということは、言い換えるならば、

「簡単に安心しない」「気を抜かない」ということになります。

これは防犯・護身の観点で非常に重要なファクタに相違ありません。

セロトニンレベルが高くいつもリラックスしているような人は、いざという時弛緩した状態から緊張状態に切り替えるのが困難であり、

結果的に反応が一歩も二歩も遅れることになります。

これに対しセロトニンレベルが低く、常に一定の緊張感を保って生きているような人物は、

不測の事態が起きてもストレスという刺激に素早く反応でき、反応や行動に遅れが生じません。

ストレス耐性が低いと、確かに精神的には打たれ弱く、些細なことで自信を失ってしまうかもしれませんが、

それ自体が人間的な弱さや生存能力の低下へと直結するわけではありません。

むしろ生まれつき弱く繊細であるからこそ、強さを求めて貪欲になれるのです。

そして弱さを認められるということは、それ自体が一つの強さでもあるはずです。


あなたを強くする3つの脳内物質

脳内物質には様々な種類がありますが、ここでは主に極限状態で力を発揮するものを3つ紹介します。

それぞれの脳内物質には分泌に関連するトリガー(スイッチ)が存在します。

自分に合ったトリガーの探し方といざという時に開放するためのテクニックも併せて記載しています。

様々な場面で役立つ脳内物質を自在に操り、「強くなる」という感覚を身につけましょう。

 

アドレナリン

ファイトに関係する脳内物質として真っ先に思い浮かぶという方も多いのではないでしょうか。

アドレナリンは、緊張・興奮を司る脳内物質であり、分泌時には心拍数増加・血糖値上昇といった反応が見られます。

瞬間的にストレスが高まった状況において力を発揮する脳内物質であり、

自分自身を保護するために生じるごく自然な反応とも言えます。

身体を闘争または逃走に向けて最適化し、痛みを感じにくくさせるなどの副次的な効果を持つことも大きな特徴です。

アドレナリンの分泌をコントロールする上で大切なことは、緊張しすぎて萎縮してしまわないことです。

恐怖などから生じる緊張が萎縮に繋がると、ノルアドレナリンという別の脳内物質が分泌されストレスが強化されます。

ノルアドレナリンの過剰分泌はパニック状態を引き起こすリスクがあるため、アドレナリンとノルアドレナリンの境界点を探ること、

その両者の強みを知り武器にする考え方が大切です。

アドレナリンは、ウエイトトレーニングにおいて高重量を扱ったり、短い距離を全力疾走するなどした際に分泌するとされています。

他にも危険と隣り合わせの作業や自動車の運転中など、主に強い緊張と不安を伴う場面で多く分泌されます。

強いストレスを感じたときや身の危険を感じたときには、戸惑ったり萎縮したりするのではなく、

身を守るためにアドレナリンが出ていることを意識し、そこから生じる興奮や高揚といった感覚をしっかりと記憶することが重要です。

 

ノルアドレナリン

アドレナリンの対極にあるもう一つの抗ストレス性脳内物質です。

アドレナリンが心拍数の上昇や体温上昇など身体的な機能に大きく影響するのに対し、

ノルアドレナリンは精神面、内面の変化に直結します。

アドレナリンと同様に闘争または逃走に向けて心身を最適化する効果を持つノルアドレナリンですが、

精神面に強く働きかけ、集中力や思考速度を大幅に向上させるという特性を持ちます。

このためリアルファイトなどの極限状態では瞬間的な反応速度や対応能力を大幅に引き上げ、

攻撃の積極性を高めるといった効果が期待できます。

ただしアドレナリンと同様に分泌させすぎた場合はパニックや暴走に繋がるため制御するための工夫は必要です。

激しい運動などで心拍数が上昇した状態を作り、そこから徐々に呼吸を整えていくといった訓練方法が理想的と考えられます。

アドレナリンとノルアドレナリンはその性質がとてもよく似ているため区別するのが困難ですが、

どちらもセルフディフェンスにおいてはメリットしかない重要な脳内物質には変わりないため、

「今どちらが分泌しているか」までは意識する必要はないでしょう。

 

β-エンドルフィン

エンドルフィンとも呼ばれます。

アドレナリンとは少し違い、幸福や快感といったポジティブな感情の動きを司る脳内物質です。

食事や性交渉など癒しや心地よさを感じたときに分泌される一方で、

命に関わるような極限状態でも多く分泌されることが知られており、

・苦痛や恐怖を和らげる

・注意力、集中力を強化する

・免疫力を向上させる

など身を守る上で必要不可欠な役割を果たします。

アドレナリンと非常によく似た特性を持つエンドルフィンですが、分泌する条件は多岐にわたり、

おいしいご飯を食べるだけで出る人もいれば、大声で歌うことで多く分泌するなどトリガーは人それぞれです。

ドーパミンやセロトニンなどのように快感や癒しに関わる脳内麻薬の一種とされているため制御は必須ですが、

ストレスを軽減し生きる活力をもたらす大切な脳内物質には違いないので、積極的に多く分泌する条件を探すといいでしょう。


エナジードリンクで脳内物質をブーストする

少々乱暴なアプローチにはなりますが、

カフェインを多く含んだ飲料で脳内物質の分泌を強制的に促すというテクニックもあります。

カフェインにはストレスホルモンの一種であるコルチゾールの分泌を増加させ、血管を拡張させる効果があります。

これにより半ば強制的に興奮・緊張状態を作り、脳内物質の分泌量を増加させ、仮想「闘争状態」を作り出すことが可能です。

特に糖分を多く含んだエナジードリンクの効果は強力で、瞬間的に心身を戦闘モードに切り替え、

勉強や仕事、運動でのパフォーマンスを大幅に向上させることができます。

もちろん副作用はあるため乱用には注意が必要ですが、

脳内物質が出ている感覚がイマイチ掴めないとか、体質的になかなか興奮状態に入りにくいという方にはオススメです。

ワークアウトの前に飲むか、緊張状態を強いられる場面で適量口にするといいでしょう。

メーカーや製品のバリエーションも豊富ですので、ぜひ自分の口に合うものを探してみてください。

 

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

究極の現代サバイバル術”グレイマン・セオリー”とは何か

いつも心に1頭の麻薬探知犬を。どうもサイコ田中です。

突然ですが皆さんは、究極の武術・護身術は何だと思いますか?

色々な答えが出てくるとは思いますが、正解の一つは、

「戦わずして勝つ」ことではないでしょうか。

今回はそうした「戦わずして勝つ」ことを実現するためのアイデアとして、

昨今軍事やセキュリティなど様々な分野で注目されつつある最新の生存術である、

グレイマン・セオリー(Grey-man Theory)を紹介したいと思います。


日本人は誰でも”グレイマン”として生きている?

グレイマン・セオリーの根底にある最も重要な課題と目的は、

いかに目立たず環境に溶け込むか、ということです。

徹底的に個性と特徴を消し、気配や存在感を殺す――このような思想は、

古くは戦国時代、忍者と呼ばれるスパイまたはステルス兵たちが持ち合わせていたものであり、

現代の日本人にも受け継がれているように見受けられます。

同じようなスーツや制服に身を包み、雑踏に溶け込みなるべく目立たないように振る舞う――これは全くの無意識にせよ、

グレイマン・セオリーを体現した振る舞いに他なりません。

一部の目立ちたがりな人を除いて、その多くが控えめで自己主張の乏しい日本人は、

知らず知らずのうちに他者を刺激しないサバイバルテクニックを身に着けているのかもしれません。


”グレイマン”として生きるための3つのルール

ここからはグレイマン・セオリーの根幹を成す要素について、

服装や振る舞い方といった観点から3つの項目に分けてお話しします。

ここで紹介するグレイマン・セオリーは防犯・防災・護身など様々な分野に応用可能な理論とされています。

身を守ることや護身術などに興味をお持ちの方はぜひ参考になさってください。

 

”ベースライン”の決定と同化

まず最初に重要なルールは、自身が接する環境の”ベースライン”(基準となるもの)を見極め、

しっかりと同化していくことです。

真冬のゲレンデに水着姿で水鉄砲を構えていたらものすごく目立ちますよね。

これはかなり極端な例ですが、グレイマン・セオリーにおいて、

その環境・状況にそぐわない振る舞い方をすることは好ましくないとされています。

混雑した駅の構内で一人だけ人の流れに逆行すると明らかに目立ちますし、

人が行きかう往来で仁王立ちして微動だにしていないのも人目に付きます。

周囲の状況をしっかりと観察し、無理なく同化するための条件を把握することが何よりも重要です。

(観察すべき対象は服装・行動など多岐にわたります)

それが例え電車の車内でも、パーティなどの会場だとしても、

周囲の服装や振る舞いなどを適切に見極め、無理なく溶け込むことが”グレイマン”としての第一歩ということです。

(「空気を読む」などという言い回しにも見られるように、多くの日本人にとってはごく当たり前で得意な分野かもしれません)

 

 

目立たない”カラー”で身を包む

グレイマン・セオリーではその名の通り、比較的暗く地味で目立たない色の服装が推奨されています。

明るい色はそれだけで周囲の人々に視覚的な刺激を与えるため好ましくありません。

同様にして、一目でそれとわかる有名ブランドのロゴが入ったバッグや帽子、ジャケットなどの着用も避けるべきです。

グレイマン・セオリーにおいて最も重要視されることは常に、

他者の印象に残らないことです。

自分以外のいかなる人物にも、その場所、その時間帯に自分がいたことを記憶させてはいけません。

後から「そんな人いたかなあ……」と思われるぐらいがベストです。

また単純に身分や目的を明らかにすることで、他者の意識から消えるというテクニックもあります。

制服を着ていれば学生として認識され、作業着のようなものを着ていればそこら辺のブルーワーカーとして、

見た人はその人物を「学生」「工場作業員」などとシンプルにタグ付けして処理し、特に興味が無ければ意識の枠から棄却します。

夜間に黒ずくめで徘徊していたら間違いなく職務質問されますが、きちんとジャージに身を包みランニング・シューズを履いていれば、

警察官でさえよほど不審な点が見当たらない限り素通りするでしょう。

このように目的と所属を明らかにすることで環境に溶け込むのが多くの人にとって容易であり、最も効果的と考えられます。

 

匂いや音にも気を遣う

他者をなるべく刺激しないために、匂いや音にさえ気を遣う必要が出てきます。

私は基本的に汗をかかない冬場は香水などは一切使わず、夏場も無香または微香タイプの制汗剤しか使いません。

匂いはそれが好ましいものであれ不快なものであれ、他者に一定の情報を与え印象を残す手掛かりとなるため注意が必要です。

また匂いのみならず音にも人の意識に影響を与える可能性があることを忘れてはいけません。

ヘッドホンからの音漏れはもちろんキーホルダーやアクセサリがぶつかる小さく規則的な金属音、

電話の着信音から話し声に至るまで、音はその人物の存在を知らせる重要なサインです。

ジャラジャラと耳障りな音がする装飾品は極力身に着けないようにし、

電車の車内などで音楽を聴く際には音量に十分注意しましょう。

(最低限のマナーであると同時に、身だしなみの面でも大切なことです)


高身長・イケメンは”グレイマン”になれない

残念ながら(?)、背が高くて容姿の整っているような方はどう頑張っても”グレイマン”にはなれません。

集団の中で目立たないことの前提条件は、

その外見的特徴が至って平凡であり、これといった特徴が無いことです。

私自身、その地味な顔立ちや背がそれほど高くないことを少なからずコンプレックスに感じていた時期があることは確かですが、

グレイマン・セオリーを知ってからは、高身長・イケメンに生まれなかったことを肯定的に受け止められるようになりました。

日本人の平均身長は170センチから175センチとされており、180センチを超えるとかなり目立ちます。

これは既にグレイマン・セオリーに基づくと極めて不利な条件です。

更に顔は最も個性の現れる部分であり、人が個人を特定するのに用いる部位の筆頭です。

ここが他と比べて突出して整っているとか、あまりに個性的すぎることもまた不利に違いありません。

グレイマン・セオリーの究極的な目標は、

誰の記憶にも残らないことです。

人の意識や印象から消え、いるのかいないのかさえわからない人物になることが最高の理想形です。

かつての私のように地味な容姿にコンプレックスを感じていらっしゃる方も、

「目立たないこと」が武器になることをどうか忘れないでください。

そして「注目されたい!」という目立ちたがり屋なあなたは、ここで紹介したグレイマン・セオリーのルールを徹底的に破りましょう。

恐らくすれ違う誰もが振り返る”アンチ・グレイマン”として注目を浴びることでしょう。

 

 

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

【防犯】安全な距離を保つために覚えておきたいこと【護身】

いつも心に1杯のガラナ飲料を。どうもサイコ田中です。

電車の車内に駅の構内、飲食店など、時間帯や場所を問わず、

酔っぱらったりして感情的になっている人はどこにでも見かけられます。

このようないわゆる「危ない人たち」「キレる人々」をうまく受け流す一番の方法は、

なるべく安全な距離を保つことに他なりません。

今回はそうした危険人物や攻撃者との正しい距離感の保ち方について、

誰にでも実践できる小技(Tips)と共にお話ししたいと思います。


相手の正面に立ってはいけない

安全な距離を保つ上で最も重要なルールは、

決して相手の正面に立たないことです。

些細な小競り合いからつかみ合いなどに発展するとしても、

いきなりどちらかが手を上げてリアルファイトに移行するにしても、

トラブルになっている人物同士が互いに正対しているという状況は非常によく見られます。

実はこれが既に一つの大きな間違いで、路上のファイトにありがちな致命的ミスの一つです。

相手に正対するということは、頭部はもちろん人体における正中線上に位置するすべての急所を晒していることになり、

ディフェンス等の技術を持っていない場合はいきなり殴られて一発KOされるリスクが避けられません。

また格闘技経験のない素人でも手の届く距離に動きの少ないターゲットがあれば、パンチやキックをある程度正確に命中させることができるため大変危険です。

・相手の正面に棒立ち

・顔面を保護しない

・反撃できる体勢が整っていない

などは最悪です。

これらの点に注意しながら、なるべく相手の斜め前や横に立つように心がけ、

可能なら走って逃げるなどして十分な距離を取りましょう。


誰でも出来る2種類の立ち方とフットワーク

ここではフィジカルの強度やスポーツの習慣などに関係なく、

誰でも直感的に実践でき、なおかつ効果的なスタンスとフットワークを紹介します。

***安易に「誰でも出来る」などという表現を用いることは極力避けたいところですが、

性別年齢を問わず10人中9人の人が安全に再現できることを目指して解説しています。

防犯・護身に興味をお持ちの方は参考になさってください。***

 

インタビュー・スタンス

文字通り相手の話にしっかり耳を傾けるときの姿勢であり、

同時に素早く防御・反撃が行える立ち方です。

写真のように片手を顎に添えて、もう片方の手で反対側の肘を支えるようにして立ちます。

このとき、なるべく利き腕と同じ側の足を半歩から一歩後ろに引いて、

相手から見ると上半身が少しだけ斜めを向いているようにすることが理想的です。

このように立つことで自然と頭部から上半身にかけて打撃を受ける面積が小さくなり、

素早く頭を守ったり手を出して反撃するなどの動きが容易となります。

現代の警備や軍事の現場において非常にオーソドックスな立ち方であり、その信頼性は折り紙付きです。

迷ったときはとりあえず「考える人」のポーズを思い出しましょう。

 

グルーミング・スタンス

相手の隣(右側が最も確実)に立ち、さりげなく肩などに触れるようにする立ち方です。

相手が泥酔していたり、過度に感情的になっている場面で特に有効であり、

相手の話に耳を傾けながら、危害を加えられるリスクを最小にしたいときに力を発揮します。

日本人の多くは右利きであるため、相手の右隣に立つことで利き腕で強打されるリスクを大幅に軽減できるうえに、

肩や背中の周りにさりげなく手を回すことで、相手の動きを直前で察知することが容易となります。

話が通じる場合は積極的に語りかけて交番などの安全な場所まで誘導し、

身の危険を感じたときには相手の利き腕を強く押さえつけ、背中や肩に頬を押し付けるようにすれば顔面をまともに殴られることを回避できます。

もしも相手が横に立たれることを嫌がるときにはインタビュー・スタンスに切り替えたり、

十分なスペースがある場合は頭を保護しながら少しずつ後退するというオプションもあります。

また肩などに置いた手を強く振りほどかれたり、相手が触れられることに対して過剰に反応する場合は一人で何とかしようとせず、

周囲の助けを求めるなどして確実に動きを制限することが求められます。

(特に泥酔者は何がきっかけで暴れだすかわからないため注意が必要です)

 

斜め後ろ歩き

ボクシングなどのフットワークなど一切知らなくても出来る安全な足運びが、

斜め後ろ歩きです。

相手のほうを向いたまま真っ直ぐ後ろに下がってしまうと、一方的に殴られる危険性が増すため大変危険であり、

逃げ場も無くなってしまうため好ましくありません。

どうしても目の前の相手と距離を置きたいときには、真っ直ぐ後ろに下がるのではなく、

右、または左向きにに後退し、可能なら相手の側面に回り込むように動くのがベストです。

この斜め後ろ歩きの最も効果的かつ簡単な練習方法は、

ぐるぐると小さな円を描くようにバックする、というものです。

はじめは比較的広い場所で、大きな円をイメージしながら左右どちらかにバックします。

慣れてきたら、バックする向きを適当に切り替えたり、描く円の大きさを小さくしていきましょう。

この斜め後ろ歩き、全く意味のない動きに思えますが、攻撃者が追跡するのが困難な動きであり、

ここに小さなサイドステップ(反復横跳びをイメージしてください)を組み合わせると、

かなり複雑なフットワークになり素人相手ならばついていくのがやっとになります。

斜め後ろ歩きがスムーズに出来るようになったら、そのままバックで小走りができるように練習しましょう。

バック・ペダルという非常に強力なフットワークが身に付きます。


日ごろから”目立たない人”になる工夫を

トラブルに巻き込まれないために誰でも出来る最もシンプルなアプローチは、

とにかく個性や気配を殺し、特徴のない人物になりきることです。

(このような考え方を海外では”Grey-man Theory”などと呼びます)

相手が酔っぱらいにせよキレやすい人物にせよ、相手を刺激する要素があなたになければ、

摩擦や軋轢の生じる余地はありません。

地味で目立たない、良く言えば人畜無害、悪く言えば無個性で存在感のない人物になることができれば、

攻撃者はそもそもあなたを捉えることすらできなくなります。

服装も地味、挙動も目立たず平板で集団に溶け込んだ対象を、

刺激を求めている危険人物や交戦的な若者はわざわざターゲットに選びません。

(そうした考えを逆手に取ってくる攻撃者もいますが少数派です)

そこにいるのかいないのかさえわからない、まるで空気のような存在になれたなら、

それこそが究極の護身ということになるのかもしれませんね。

 

グレイマン・セオリー(Grey-man Theory)については以下の記事で詳しく解説しています。

↓ ↓ ↓

究極の現代サバイバル術”グレイマン・セオリー”とは何か

 

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。