【小ネタ】重要なのに誰も教えない大切なこと【コラム】

いつも心に1か月前の怪しいネギ塩チキンを。どうもサイコ田中です。

長く護身術を学んでいると、当たり前になり過ぎてなんとも思わなくなりますが、

大切なのに意外と誰も教えたり教わったりしていないことがあったりします。

今回はそんな現代護身術の「落とし穴」について語りたいと思います。


「知っている」と思うことの危うさ

非常に馬鹿馬鹿しい話ですが、

人は一度何かを学んで理解したつもりになると、

もうそれ以上何かを疑問に思ったり、追求したりすることは無くなってしまいます。

自然な人間らしい反応であり間違いとは言えませんが、

どこかに見落としがあっても気付く機会が永遠に訪れないのは危険です。

成長できる可能性がまだ残されているのに、自分で制限を設けているのと変わりません。

 

護身術だけでなくそれが仕事にせよ趣味にせよ、

一度学んで自分のものにしたことをもう一段掘り下げること、

「本当にそうだろうか?」という疑問を持つことは非常に重要です。

逆に言えば、そういう精神で臨めるなら、分野を問わず成長し続けられる可能性があるということです。

 

もしも答えがわかっている問題を前にした時でも、

別の切り口で探ろうとする人と、人から教わった方法を忠実に守るだけの人との間には、

将来的な成長性という点において決定的な違いが出てきます。

あなたは安定という名の停滞を望みますか?

それとも常に挑戦し続け成長する道を選びますか?

私はいつでも後者の人間でありたいと考えています。


大切なのに教わる機会が少ない3つのスキル

ここからは現代護身術を学ぶ上で非常に重要であるにもかかわらず、

意外と学ぶ機会が少ない3つのスキルを紹介します。

身を守ることに興味をお持ちの方は是非参考にしてみてください。

 

ファイトが終わった後の行動

とても大切な事であるにも関わらず、何故か誰も教えてはくれません。

それがファイトの後始末です。

馬鹿らしく思えるかもしれませんが、かなり重要です。

 

まず自分がどうにか無傷でファイトを終えることが出来たとしても、

相手は恐らくそうではないので、様子を見て必要なら救命措置や治療が必要です。

また自分が負傷している場面でも同じことで、

特に刃物などの凶器を手にした相手と闘った後は、必ず傷や出血の確認をします。

 

小さな傷でも放っておくと感染症の原因となるだけでなく、

最悪の場合失血や内臓の機能障害などにより命を落とします。

傷が大きい場合は止血帯やタオルなどで止血を試み、

落ち着いて警察に連絡し状況を伝え、救急車の到着まで安全な場所で待機します。

もし自覚症状があまり無かったとしても速やかに病院で検査と治療を受けましょう。

(こうした一連の流れは交通事故が発生した際とほぼ同じです)

 

状況変化に対応するための訓練

巷によくある護身術の講習や一般向けセミナーでは、

目の前の相手1人を想定したシンプルなシチュエーションを前提に話が進みますが、

現実のファイトでは何が起こるか予想できません。

 

運よく目の前の1人を制圧できたとしても、

後から合流してきた仲間に背後から攻撃されるなどはザラであり、

地面でもみ合っている最中にいきなり刃物を抜いて襲われるという場面も稀ではありません。

 

状況は常に変化し予測が困難であることを前提に、

・途中で相手が2人に増える

・相手が素手の状態からナイフを取り出す

・一度倒した相手が起き上がり襲ってくる

といった多面的なシチュエーションに対応できる訓練が必要不可欠です。

そして必要不可欠であるにも関わらず、何故か誰も教えようとせず、

教わる側も疑問を持たず、練習しようとさえしないのです。

(日本はあまりに治安が良すぎるので、必要性が無く軽視されるのかもしれません)

 

自分が武器を使うという選択肢(武器術)

理由は定かではありませんが、

何故か多くのセルフディフェンス・セミナーでは徒手格闘を前提に話が進み、

自分が武器を積極的に使うという選択肢を示そうとしません。

 

素手でのファイトを避けることには、

・拳などの怪我を防止できる

・相手を短時間で圧倒できる

・相手が武装していても対応しやすい

といった複数の明確なメリットが存在します。

 

その反面過剰防衛に問われるリスクが上がるなど課題があることも確かですが、

その場に武器になりそうなものがあるなら、

あるいは武器になるものを所持しているのなら、使わない理由はありません。

むしろどんどん積極的に活用する術を学び覚えていくべきなのです。

 

そもそも体格差のある相手や凶器を手にしている攻撃者に対して、

「ああして、こうして……」などと手順を追って対処できるはずも無く、

教わった流れの通りに相手が動く保証などありません。

であるならば、それが小さな金属片にせよそこら辺のボールペンにせよ、

とにかく武器になりそうなものを握り込んで振りかざすほうが、

よほど生存の可能性は高まるというものです。


攻撃者の心理を知るということ

ここまで見落とされがちな護身術の重要ポイントについてお伝えしてきましたが、

特に最後の項目、「武器の扱いを学ぶ」ということは、

攻撃者側の視点や心理を理解するという意味でも非常に重要です。

 

例えば相手がどういう動きをすると距離が詰めにくいとか、

どういった体勢になると刃物が無力化されるのかといった知識は、

実際に自分が武器を手にした攻撃者側の視点に立たなければ得られないものです。

 

また武器を隠し持つと不自然な振る舞いになるといったことも、

実際に自分がズボンのポケットやパーカーの袖口に刃物を隠して歩いてみれば、

より現実的なイメージに近づき理解が深まるというものです。

 

このように、敵を知るため時には自分が敵になりきることも必要です。

攻撃者側と防衛側に分かれて行うドリルやロールプレイに時間を割くべき理由は、

こういった部分とも深く結びついているのです。

 

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

【お知らせ】今後のサイト更新について【Notice】

いつも当サイトをご利用いただきありがとうございます。

管理人のサイコ田中と申します。

 

今年(2025年)に入り、予期せぬ転勤を始めとする生活環境の大きな変化により、

サイトの継続的な更新がこれまで以上に困難な状況となっております。

 

全く個人的な事情であり、サイト利用者の方々には関係の無いことには違いありませんが、

今後生活が安定するまでの期間、サイトの更新を見合わせることとし、

活動再開の予定についても未定とすることに致します。

 

多忙のため乱文となっていることも併せてお詫び申し上げます。

 

(サイト自体は今後も運営を継続する予定ですのでその点につきましてはご安心ください)

 

 

【QuickTIPS】パンチが”手打ち”になってしまわないために【護身術】

いつも心に1本の艶消しスプレーを。どうもサイコ田中です。

格闘技を学び始めたばかりの方などによく見られる間違いに、

「パンチが手打ちになっている」というものが挙げられます。

よく耳にする言葉ですが、パンチの”手打ち”とは一体どういう状態で、

どうすれば改善できるのでしょうか?


”手打ち”がダメとは限らない

所謂格闘技や武道におけるパンチの”手打ち”とは、

肩や腰などが十分に回旋せず、腕だけで打っている状態を指す表現ですが、

これが完全に間違いかというと、そうでもないと管理人は考えています。

 

確かに腰や肩を十分に回旋させ体重を乗せたパンチというのは強力で、

人体の構造的にも見ても合理的に違いないのですが、

目の前の相手を制圧することが目的ならば、

そこまでフォームや体重移動などに拘る必要は無いように思います。

(というかそんなことを意識している時間がありません。勝負は一瞬です)

 

実際完全な手打ちで体重なんて全く乗っていなかったとしても、

いきなり不意打ちのタイミングで目を狙ったジャブが正確に刺されば、

相手は瞬間的に行動不能となります。

身を守ることが目的ならば、これで十分なわけで、

「なんだよ手打ちじゃねーか」なんて言ってくるような輩は放っておけばいいのです。

 

大切なのは目的意識と合理性であり、

これを読んでいる方が身を守ることを目的としていて、

今後格闘技の試合に出場することなどを考えているというわけではないのなら、

自分のパンチが”手打ち”かどうかなどということは、あまり気にする必要は無いでしょう。


パンチが”手打ち”にならないための3つのポイント

ここからはパンチが”手打ち”にならないために知っておくべき重要な要素を、

ややこしい人体の構造などはなるべく省きながら、3つお伝えします。

女性や小さなお子さんでも実践できる内容となっておりますので、

身を守ることのみならず格闘技や武道に興味をお持ちの方も、是非参考にしてみてください。

 

腕は「後からついてくる」というイメージ

これもよく耳にする言い回しなのですが、

「腕はあくまでも後からついてくるだけ」というイメージを持つことは、

”手打ち”を脱するために最も重要と言っても差し支えありません。

 

全く格闘技や武道の経験が無い方に、

「ちょっとパンチを出してみてください」とお願いすると、

9割以上の方がお手本のような”手打ち”を披露してくださいます。

これは言うまでも無く、

「パンチは腕を振って打つもの」という意識が前提にあることを示すものです。

要するに「腕を振りまわす行為=パンチ」と認識しているわけですね。

 

実際にパンチというのは足元から始まり全身の各関節が非常に短い時間で連動し、

結果的にそれが拳の先に伝わって大きな破壊力を生んでいる、という現象なわけですが、

知識の無い人間が見れば腕をぶん回しているようにしか見えないのは仕方がありません。

ですが我々が目にしているKOシーンなどの多くはあくまでもパンチという現象の結果に過ぎません。

 

肘の先をぶつければ肘打ちに、それが足先を使ったものならば蹴りになるのであり、

格闘技における身体操作、大まかな動作のメカニズムは共通、そして一貫しています。

それは「全身を使っている」ということであり、

逆にそうでないものは全部”手打ち”と言われてしまうわけです。

 

「押して引く」という意識

外国人インストラクターの多くは「もういいよ」と言いたくなるほど、

「Push and Pull(押して引け)」という言葉を頻繁に使います。

実は打撃だけでなくグラップリングなど様々な場面で重要なキーワードなのですが、

これは”手打ち”の呪縛から解放してくれる魔法の言葉でもあるのです。

 

押して引く——あまりにも抽象的な表現ですが結局のところ、

パンチを出している腕の方を「押す」側と考えたとき、

反対側の肩は後ろに「引け」という意味になるのです。

押してダメなら引いてみろ、ではありません。押しながら引くのです。

 

パンチの腕と逆側の肩を引こうとすると、

必然的にパンチを打っている腕がもう一段階前に出ようとして、

結果的にリーチも伸び、しっかりと肩が回ったパンチの形になります。

この時点でもう”手打ち”の段階を凌駕した威力が出るようになります。

 

更にここから引いたほうの肩をストレートやフックに繋げようとすると、

「捻じれた状態からの回復(反発)」により大きな力で肩から先が弾き出され、

更に強力な打撃が打てるというおまけもついてくるのです。

(弾力のあるものを雑巾のように絞ると、元に戻ろうとする性質を利用しています)

 

足元は勝手に動き出す

さて、ここまで”手打ち”を回避するためのポイントを2つお伝えしましたが、

ここまでの説明が理解できた方ならば、恐らく足元——すなわち下半身の動作は、

説明しなくても勝手に出来ていると思います。

というか、そうなっていてもらいたいのです。

(それが正しいパンチの打ち方だからです)

 

よくボクシングなどの指導員が鼻息を荒くして「パンチは脚から打つんですよ‼」と息巻いていますが、

全く予備知識の無い初心者の方たちからすれば完全に意味不明でしょう。

爪先を回転させて……などと説明してもパンチとの関連性が解説されていないため、

ますます謎は深まるばかりです。こういう教え方は個人的にあまり好きではありません。

 

上の2項で”手打ち”の意味と回避するためのイメージを伝えましたが、

これをそのまま体で表現しようとしたとき、

足元の動きは勝手についてくるのです。

下半身の動きを止めてしまうとバランスを崩して、

前につんのめったり、打ち終わりに上体が大きくふらつくからです。

そうならないような立ち方と腰の回旋が正しく行われれば、

誰に教わらなくとも勝手にパンチと同時に爪先が回転し、

内腿を絞り込もうとするはずです。

 

運動神経の悪い管理人でさえ、自分の動きがロボットみたいで気持ち悪いことに気づき、

勝手に足元の動きを付け足したくらいですから、絶対に普通の人は気付きます。

鏡を見ながらパンチを出して、「俺の動き、何かおかしくねぇか……?」と思った人は、

ほぼゴールにたどり着いています。

そしてその違和感は、下半身を動かした瞬間に解消されるはずです。


練習するなら肘打ちから

パンチをいきなり練習しようとすると、

どうしても「腕を振る」イメージが先行してしまい、

結果的に”手打ち”になってしまうという方は少なくありません。

 

従って最初からパンチを練習するのではなく、

まずは肘打ち(エルボー)の動作を習得し、

腰・肩といった上半身の連動が正しく行われること、

そしてそれに下半身の動作が付随することを身体に覚え込ませると、

後からパンチの練習に移行したときとても簡単に感じることと思います。

 

いわば肘打ちとは拳の代わりに肘をぶつけるパンチであり、

基本動作はパンチとそう大きくは変わりません。

この説明ではわかりにくいという方は、

少々荒っぽい例えですが、歩いている最中すれ違いざまに肩をぶつける動作をイメージしてほしいのです。

あれはまさに肩を使ったパンチであって、腕を振らないパンチ——いわば肩パンチとも言えるものですが、

この動作から徐々にリーチを伸ばし、当てる部位を肘にしたものが肘打ち、

拳に変えたものがパンチ、という風に解釈してもらえればいいのかなと思います。

 

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

【QuickTIPS】相手が目の前に来た時に出来ること【護身術】

いつも心に1年分の高級干しシイタケを。どうもサイコ田中です。

(この挨拶文も正直ネタ切れの感が否めないのです。いやマジで)

皆さんは普通に会話していただけなのにいきなり詰め寄られたり、

トラブルになった相手が激高し顔を近づけてきた——などという経験はお持ちでしょうか。

こういう場面では、意外と緊張や不安などで身体が思うように動かず、

どうすればいいか対応に迷うものです。

相手が距離を詰めて目の前に来たら、どうすればいいのでしょうか?


自分から手を出すのは基本的にNG

相手が詰め寄ってきたから対処するとか、

身の危険を感じて実力行使に出る、というのは問題ありませんが、

どんな場面でも自分から手を出したら負けだと思ってください。

 

状況によっては先手必勝——やらなければやられるというのも事実ですが、

基本的に手を出してしまった時点で暴行・傷害の罪に問われることは確定となり、

ましてや目撃者にあなたが先にしかけたと証言されてしまえばもう言い逃れは出来ません。

(今の時代どこの誰に携帯電話で撮影されているかも知れません)

 

極限状態で冷静な対応をするのは困難なものですが、

単なる口論や些細なきっかけのトラブルの場合は、

「すみません、許してください」と下手に出て、

極力争う意思が無いことを明確にするのが無難です。

 

例え頭に血が上り「やってやろうか」という気持ちになったとしても、

一度深呼吸をして冷静になり、周囲を丁寧に観察できるぐらいの心のゆとりは欲しいものです。

「逃避」の反応よりも「攻撃」に移るのが良いとするのが一般的な教えですが、

法廷闘争で不利にならないためにも、アンガーマネジメントは非常に重要です。

怒りをコントロールする訓練も重ねておきましょう。


目の前の相手を圧倒する3つの小技

ここからは実際にトラブルの場面で相手に詰め寄られた際に出来ることを、

具体的な応用法も含め3つご紹介します。

少々過激な内容となっていますが、身を守ることに興味があればぜひ参考にしてください。

(もはや言うまでもありませんが悪用厳禁です)

 

脳を揺らすクリンチ

クリンチというと、両手で相手の首に組み付くムエタイの伝統的テクニックですが、

これだけだとストリートファイトではやや不十分です。

 

相手の首筋から耳元にかけて、

前腕の内側を激しくぶつけるようにして組み付くことで、

瞬間的に脳を揺らし軽い脳震盪のような状態を引き起こすことが可能です。

(耳への打撃は脳へ深刻なダメージを与える可能性があるため注意が必要です)

 

特に重要なポイントは、

左右の腕で時間差を作って(同時ではなく)、

パンパン、と速いテンポで前腕をぶつけることです。

こうすることで瞬間的に相手の脳を激しく揺さぶり、

より短い時間で相手を制圧するきっかけが作れるというメカニズムです。

海外ではコンカッシブストライク(Concussive-Strike)や、

コンカッシブクリンチ(Concussive-Clinch)と呼ばれるテクニックで、

昨今欧米にて超接近戦において有効なテクニックとして注目されつつあります。

 

上下に時間差または同時攻撃

身体の上下に対する同時または時間差の攻撃は、

体格差のある対象でも制圧できる攻撃的アプローチです。

 

具体的には、

金的(股間)を打たれると多くの攻撃者は身体をくの字に折り曲げるか、

大きく前のめりになるため、

下がってきた頭に頭突きや肘、掌底などを打ち込むという手法です。

 

確実に相手の金的を打つことが前提となりますが、

膝蹴りはリスクも小さく対象を捉えやすく、

手の甲や掌でポンと叩くだけでも十分有効です。

(やたら胡散臭いデモンストレーションがYoutubeに上がっていますが、

本当に金的は軽く打たれただけでも効きます。これは女性も同様です)

 

またあえて時間差を作らず、

金的を打つのと同時に前項で紹介したコンカッシブクリンチで頭を抑えたり、

相手の顔面に肘や前腕を打ち付けるのと同時にシャツの襟を掴み、

そこから金的に膝を打ち込むといったアプローチも非常に効果的です。

 

大切なのは上下に打撃を散らすことと、

同時または非常に短い時間差で動作をまとめるということです。

 

尖ったもので柔らかい部分を突く

至近距離において手っ取り早く効果的なのは、

ペンなど尖ったものの先端を、

黙って相手の身体に押し込むことに違いありません。

(これもインチキに見えるパフォーマンスがネット上に多く散見されますが、

正しく運用することで一定の効果が期待できます)

 

既に胸倉などを掴まれてしまった場面では、

相手の肘の関節——皮膚の柔らかい部分を狙ってペンの先などを突き立てれば、

ほとんどの攻撃者は驚いて手を放します。シンプルに痛いからです。

 

こうした圧痛箇所は人体にいくつも存在し、

親指の付け根、肩の窪み、脇腹など挙げ始めるとキリがありませんが、

迷ったら相手の身体の柔らかい部位——喉や鎖骨の周りなどに押し込んでやればそれで十分です。

また相手に大けがを負わせるリスクもありますが、

眼や首、金的などに突き込むという攻撃的なアプローチも存在します。

(強い身の危険を感じる場面など、差し迫ったリスクがある場面に限ります)

 

強い力は必要無いため、女性や体の小さいお年寄りでも実践でき、

ペンや車のキーを活用すれば銃刀法違反に問われる心配もありません。

(もちろんタクティカルペンなどを携行してもいいのですが、

職務質問を受けた際は面倒なことになるでしょう)


身体を鍛えることが抑止力に

今回紹介したテクニックは非常に強力なものばかりですが、

ある一定以上の体格差がついてしまうと厳しい状況になる可能性は否めません。

 

男性の場合は普段から短い時間でも体を鍛えることを習慣化し、

ある程度体重を増やすことを心がけましょう。

また単に身体を大きくするのではなく、

いざという時走って逃げられるスタミナと瞬発力も必要不可欠です。

歩く・走るといった簡単な有酸素運動はもちろん、

縄跳びやラダーワーク等も取り入れながら、動ける身体を作り上げてください。

そうして時間をかけて作り上げた肉体は、それそのものが武器となり、

攻撃者に対する強い抑止力として働くでしょう。

 

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

【小ネタ】「困ったらとりあえず何か投げろ」は正しいか【コラム】

いつも心に1mgの怪しい鎮痛薬を。どうもサイコ田中です。

管理人は護身術を真剣に学び始めた10代の頃、

当時師事していた外国人インストラクターから事あるごとに、

「困ったときは何でもいいから相手に投げつけろ」と指導されていました。

非常にシンプルなアプローチですが、一体どれほど効果があるのでしょうか?


現実のファイトはとにかく泥臭い

映画のファイトシーンのように素早く華麗に、

そして一方的に相手を圧倒するというのが究極的な理想ですが、

現実のファイトというのは傍から見ると泥臭く、みっともないものです。

 

郊外にお住いの方はピンと来ないかもしれませんが、

都会では駅のホームで酔っ払い同士が取っ組み合いを始めたり、

そこら辺の路上で若者同士が互いの脚や腰にむしゃぶりついているなど珍しくもありません。

最近では高齢者同士の熱いバトル(笑)もそれなりの頻度で拝むことが出来ます。

 

パンチ一発で終わったり、キレのある蹴り一閃で終わるファイトなどありません。

互いがとにかく必死になって顔を赤くしながら掴み合い、揉み合い、

終わったころには服は破れあちこち擦り傷だらけ、砂ぼこりと何かの汁でグズグズ……そんなものです。

もちろん争っている当の本人同士は糞真面目、とにかく必死なのですが、

外野からすれば吹き出してしまうほど滑稽に見える——それが路上のファイトのリアルです。

 

我々は”路上の伝説”こと朝倉未来やホルヘ・マスヴィダルではありませんから、

始まってしまったらとにかく覚悟を決めるしかないのです。

行きかう人々の見世物となり、泥臭く争った末に得るものが何もないという現実に、

真正面から向き合うという悲壮な覚悟をです。

ストリートファイトのリアルというのは、そういうものなのです。


「何か投げろ」が効果的な3つの理由

現代護身術において「相手に向かって何かを投げる」というアイデアは効果的とされていますが、

その理由や正しい運用方法を知らなければ効果は薄れてしまうでしょう。

ここでは投げるものや投げ方など3つの項目に分けて、

「何か投げる」をより効率的に活用する考え方をお伝えします。

身を守ることに興味をお持ちの方は、是非一度参考にしてください。

 

手っ取り早く確実

現代護身術のコンセプトにおいて、

シンプルかつ効果的というのは非常に重要な意味を持っています。

 

「何かを掴んで投げる」という動作は手っ取り早く、

直感的にわかりやすく無駄がありません。女性はもちろん、小さな子供でも実行できます。

更に手軽であるのと同時に一定の効果も見込めます。

訳も分からず拳を振り回すより、手近にある硬いものやある程度重さのあるものを投げるほうが、

相手の接近を許さず時間稼ぎにも繋がり一石二鳥です。

また自分が怪我をするリスクも抑えられるうえに、

相手に過剰なダメージを負わせる危険性も小さいため法廷闘争においてもこちらが有利となります。

(特に女性や学生の場合、「身の危険を感じやむを得ず対応した」と証言すればほぼ罪には問われないでしょう)

 

次の動作への起点となる

ものを投げるという動作は、

上に述べた通りそれ自体が身を守るためのアクションであるのと同時に、

次の動作へと繋げる起点として効果的に機能します。

 

例えばあなたがハンドバッグを持っているのであれば、

それを掴んで振り回すよりも、相手の顔に投げつけ隙を作り、

一気に距離を詰めてパンチや肘打ちを叩き込んだ方が遥かに効率的です。

またキーホルダーやライターなど小さく金属光沢を放つアイテムの場合、

下から山なりにふわりと投げてやれば、相手はそれに目を奪われるか、

両手で受け止めようとします。

(理屈はわかりませんが、大多数はどういうわけかキャッチしようとするのです)

この際大きな隙が生じるため、そのまま逃げてもいいでしょうし、

あなたが手元にもっと強力な武器(タクティカルペンなど)を所持しているなら、

それらを抜いて構えるチャンスにもなります。

 

椅子など大きなものでも活用できる

椅子のような少し大きいものでも、

使い方次第で身を守ることに大いに役立ちます。

 

椅子を掴んで振り回したり投げたりしてもいいのですが、

身体を鍛える習慣のある男性以外は難しいでしょうし、

過剰防衛に問われるリスクも上がってしまいます。

 

手近にスツールやパイプ椅子のようなものがあるときには、

相手の足元に転がしたり、

相手が向かってくるタイミングに合わせて倒したりすると特に効果的です。

特に複雑な形状のスツールや重さのある肘掛け椅子などは、

避けなければ脛や膝を強打し、避けても足元がばたついて体勢を崩すため、

どちらにせよ相手の動きを一定時間大きく制限できます。

この間にダッシュで逃げてしまう——というのが基本的なアプローチになりますが、

慌てている相手の顔面にフルスイングのパンチをお見舞いするというのも全然ありでしょう。

このテクニックは相手が複数いる場面でも効果を発揮しますが、

自分の退路が無くなってしまわないよう注意しましょう。


「物を投げる」は日本では違法?

さて、ここまで「何かを投げる」テクニックの効率的な運用法についてお伝えしてきましたが、

ここで皆さんに残念なお知らせがあります。

それは「相手に物を投げる」という行為が、

日本の法律では暴行罪に問われるリスクがあるということです。

非常に重要なことなので繰り返しますが、

当たったか否かを問わず、人に物を投げると暴行罪に問われる可能性があります。

 

「じゃあダメじゃん……」と思った方も少なくないでしょうが、

状況として既にあなたが危害を加えられており、

「身を守るためやむを得ず取った行動」であることが認められるなら問題はありません。

(「正当防衛」と「過剰防衛」の境界は非常に曖昧ですが、後者になることは珍しいと考えていいでしょう)

 

だから好き放題相手に向かって物を投げつけていいよ、ということにはなりませんが、

あなたやあなたの大切な人が危険に晒されている差し迫った場面で、

ただ黙って耐えているなんておかしな話です。

トラブルの場面では手近に掴んで投げられるものが無いかを探し、

無くても倒れた際に砂や金属片を握り込むことは覚えておきましょう。

あなたが身を守るための武器は、色々なところに転がっているはずです。

 

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

【QuickTIPS】狭い場所で身を守るための5つのポイント【護身術】

いつも心に1本のまたたびスティック(真空パック済み)を。どうもサイコ田中です。

エレベーターにトイレ、バスの車内など、

狭い場所は自己防衛におけるリスクの温床です。

こうした限られたスペースで身を守るために、何ができるでしょうか?


トラブルは場所を選ばない

比較的治安が良いとされる日本ですが、

どうやら最近はそうでもないようです。

 

表を出歩けば様子のおかしい人物が急に暴れ出したり、

高齢者がよくわからない理由で激高し喚き散らし、

車を運転していると薄汚れた軽自動車が車間を詰めてきます。

管理人が住んでいるのは関西の田舎町ですが、

それでも一日に一度は「なんだかなぁ」と感じるような場面に出くわすのですから、

都会にお住いの方が味わう緊張感とストレスは計り知れないでしょう。

 

このように昨今の日本国内でも絶対に安全と呼べるような場所はなく、

コンビニの店内からそこら辺の駐車場に至るまで、

あらゆる場所がトラブルの温床になっているという考えに基づき、

常に注意力を研ぎ澄ませて過ごすことが危機回避への第一歩と言えるでしょう。


狭い場所で身を守るための5つのポイント

タイトルにある通り、ここからは特にエレベーターなど狭い空間で身を守るうえで知っておくべきことについて、

基本的な心構えも含めて5つの項目に分けてお伝えしていこうと思います。

性別や生活環境を問わず誰もが実践できる内容に絞って解説していきますので、

身を守ることに興味をお持ちの方は是非参考にされてください。

 

すぐにその場を離れる

当たり前と言えば当たり前なのですが、

「何となく嫌な感じがする」とか、「不気味な人物がいる」ような空間からは、

すぐに立ち去ることが何よりも肝要です。

 

エレベーターの場合はよほどの事情が無い限り階段を利用すれば済む話で、

トイレも急な腹痛などでない場合は他を探すべきです。

また電車やバスの車内でも嫌な感じがしたら別の車両に移動するか、

直近の停車駅で降車してもいいでしょう。

 

人間の直感というものは案外馬鹿に出来ないもので、

少しでも違和感や生理的嫌悪感を覚えるような状況や人物に遭遇した際には、

自身の感覚というものを信じ、すぐにその場を離れる癖をつけておきましょう。

 

他人に背後を取られない

ゴ〇ゴ13とかではありませんが、

なるべく他者に背後を取られるような立ち方は避けるべきです。

これは何も狭い場所に限った話ではありません。

 

我々が考慮すべき最も致命的で防ぐのが困難な攻撃の一つは言うまでも無く、

背後からの奇襲に他なりません。

攻撃を受けるタイミングもわからず、凶器の有無や相手の狙いすらも把握できない中、

逃げ場も目撃者もいない閉所で襲われることは文字通り死を意味します。

 

それがどのようなシチュエーションであったとしても他者に背後を取られるような状況は避け、

なるべくそこにいる全ての人物が視界に入る形で、

尚且つすぐに身を守る行動に移れる立ち方で、誰にも隙を見せないよう心がけましょう。

(家に帰ったらリラックスしても大丈夫です)

 

出口に近い場所を確保する

特に電車の車内などで重要なアプローチは、

とにかく出口(脱出経路)に近い場所にいるということです。

 

特に難しい説明も無く多くの方が理解できることと思いますが、

何も対人トラブルのみならず災害発生時においても、

現場からの迅速な非難のため脱出経路に近い場所またはその軌道上に身を置くことは何よりも優先されるべきです。

またエレベーターであれば各種ボタン類(特に非常用ボタン)にアクセスできるパネルの傍や、

公衆トイレでも可能な限り出口に近い位置で用を足すことが理想的です。

(逆に誰かがそうした位置に最初から陣取っている場合、何らかの悪意があると考えるべきです)

 

馬鹿馬鹿しいと感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、

本気で逃げなくてはならなくなった時逃げ場が無いまたは遠いというのは、

想像を超えて致命的な状況に違いありません。

 

居合わせた人物の所作や服装に気を付ける

エレベーターに乗っていたら他の客が乗ってきた……これは仕方ありません。

ですが問題なのはそこに居合わせた人物に対し一定の警戒感を持つことです。

 

例えば利き腕(日本人の多くは右腕)を見えにくい位置に隠しているとか、

ダブついた服で両手をポケットに入れ伏し目がちにしている——などは危険信号です。

 

悪意を持った人間は、必ずそれを悟られないよう周囲を警戒し、

知らず知らずのうちに挙動不審な振る舞いになっているものです。

身を守る側の我々は、とにかくそうした不審点を一つも見逃さないことが目標となります。

 

一見相手が普通のサラリーマンに見えても、大人しい風貌の学生だっだとしても、

「こいつは様子がおかしい」と感じたら、すぐに警戒レベルをマックスにすることが大切です。

 

ファイトは汚く・攻撃的に

エレベーターなどの閉所では残念ながら、

ファイトが始まってしまった場合逃げ場がありません。

怖くても痛くても、とにかくやるしかないのです。

 

閉所で特に有効な攻撃手段は、

・肘や膝といった硬い部位による打撃

・シンプルに頭突き

・ペンなど鋭利なものによる刺突

などが挙げられますが、これらだけでは不十分です。

 

相手の髪を掴んで何度も頭突きをお見舞いするのもいいでしょう。

お互い手が届く距離にいるわけですから、相手の顔を掴んで揺さぶりながら、

親指を目に押し込んでも良いのです。

首筋や耳に思いきり噛みつくのも即効性がありますし、

相手が耳や鼻にピアスを付けていればそれらを引き抜くのも一つの手です。

 

やりすぎに思えるようなアプローチばかりですが、

逃げ場のない閉所で手段を選んでいる余裕はありません。

ファイトが始まってしまった場合はとにかくダーティに、

そしてどこまでもアグレッシブに攻め立てることを最優先に、

最初から最後まで相手に主導権を渡すことなく一方的に圧倒することが重要です。

そしてそれらを可能とする基礎体力もつけておくのを忘れずに。


おススメはムエタイとラウェイ

閉所でのファイトでは肘・膝による攻撃が有効と述べましたが、

これらを活用する代表的な格闘技は言うまでも無くムエタイでしょう。

 

ムエタイは、特に古式ムエタイ(ムエ・ボーラン)が護身に特化しており、

肘打ちや膝蹴りを有効活用するための受け方、コンビネーションの構成が秀逸です。

 

またミャンマーの伝統武術ラウェイは、ムエタイをさらにアグレッシブに進化させ、

頭突きを通常の攻撃手段として採用しています。

(競技においてはルールで正式に頭突きの使用が認められています)

こうした攻撃的かつ超接近戦に特化した格闘技を学ぶことは、

閉所でのセルフディフェンスだけでなく、総合的な自己防衛能力向上に繋がるため、

ほとんどメリットしかありません。

護身術を学ぶ上で何らかの格闘技を始めることをお考えの方は、

是非一度ムエタイ、そしてラウェイについて検索してみてください。

 

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

【小ネタ】反復練習の重要性と課題【コラム】

いつも心に1匹の怪しい野良猫を。どうもサイコ田中です。

”反復練習”と聞くと、

「今時時代遅れだよ」とおっしゃる方もいらっしゃるかもしれませんが、

身を守る技術を習得するうえでは欠かすことの出来ない習慣です。

何故、同じ動作の繰り返しがそれほど大きな意味を持つのでしょうか?


何事も”慣れ”と経験の積み重ね

仕事にせよ趣味にせよ、

初めてのことは大抵上手くいきません。

中にはどんなことでも最初から人並み以上に出来てしまう器用な方もいますが、

そのような人は少数派に違いありません。

 

特別な才能や資質に恵まれた一部の人種以外の所謂”凡人”の我々にできること、

為すべきことは、とにかく場数を踏み物事に慣れていくことに違いありません。

簡単な書類の作成にせよ車の運転にせよ何にせよ、

よほど要領の悪い人でなければ繰り返すことで必ず上達し、

安全確実で効率的な方法というものを自然に身に着けることが出来るものです。

これは、セルフディフェンスを学ぶ上でも全く同じことです。

 

漫然と繰り返すだけでは意味がありませんが、

続けていくことで必ず上達できますし、重要なポイントも見えてきます。

ですから最初は失敗続きで上手に出来なくてもいいからまず始めること、

そして一度始めたことをなるべく長い時間継続することが何よりも大切なのです。


反復練習の重要性と応用に向けた課題

反復練習反復練習と言っても、

ただ漫然と同じようなメニューのドリルや対人練習を続けていけばいいのではありません。

効率的な反復練習とは何か、そして実戦への応用に向けてどのような課題が挙げられるでしょうか。

 

基本動作を高い精度で身に着ける

基礎が大事なのはどんなことにも当てはまりますが、

身を守ることが目的なのですから生半可な内容ではお話になりません。

 

・一般的なパンチやキックなどの動作

・ディフェンス関係のスキル

・対武器並びに武器の基本操作

などセルフディフェンス基礎もその中身は多岐にわたりますが、

いずれもその基礎を可能な限り高い精度で習得し、

一つの技術をいつも同じように再現できる必要があります。

 

たった一度のミスが命取りになる極限状態で、

「あ、間違えた……」は通用しません。

どのような場面でも習い覚えた技術が寸分違わず、

そして最も高い効果を発揮する形で再現できるまで、

基礎トレーニングを徹底的に継続することはもはや最低条件でしょう。

 

反応してから動作に移すまで

パンチやキックの基礎動作が様になってきても、

正確にこちらが意図したタイミングで用いることが出来なければ全く意味がありません。

 

相手の動作や目線などに注意を払い、

反応して動き出すまでの過程も反復によって記憶しなくてはなりません。

もっと正確に表現するならば、

自身の肉体(マッスルメモリー)に正しい反応と操作を覚えさせる時間が必要です。

 

具体的には「ゴー‼」の掛け声と共にパンチを打つ、

パートナーが両手を上げたら振り払って蹴りを入れるなど、

眼で見て、あるいは音を聞いてから動作に移るといった、

外部からの情報に対する応答とその応答時間を短縮するトレーニングが必要ということで、

もちろん長い長い反復練習の末に身につくものに違いありません。

 

動きの中で正確に対応する

互いに棒立ちの状態でスタートするリアルファイトなどあり得ません。

常に相手も自分も動いている状況の中で、

更に上で述べた反応と対応が求められるわけですから、当然訓練が必要です。

 

具体的には、

・普通に歩いている状態から掛け声と共にディフェンス動作へ

・座って談話している状態からブザーと共に立ち上がり攻撃

・小さく左右に足を運びながらボールが飛んで来たら武器を抜く

などシンプルかつ現実的なシチュエーションに即したドリルは特に有効です。

 

大切なことは認知と行動を統合することであり、

反復して身に着けた動作を他の動きをしている最中も迷わず正確に実行できるようになるまで、

何度も何度も繰り返し身体に覚え込ませることです。

言うまでも無くこの工程は時間がかかるうえにストレスを伴いますが、

高い応用力を身に着けるうえで不可欠な取り組みに違いありません。

 

より高度な条件付けと対応力の強化

ここからが反復練習の最重要にして最難関の課題です。

ここまで繰り返した訓練の集大成として、

複雑な動作をいくつも組み合わせた上に、厳しい条件を設定し行う練習です。

 

具体的な例を挙げると、

・相手の攻撃をブロックし武器を抜く

・武器を抜いたら2名の攻撃者に最低3回攻撃を加える

・最後の1人は脅威かどうかを目視で判断し任意に行動する

というものですが、これは管理人がクラブセキュリティ(バウンサー)として勤務していた時代に実際に取り組んだドリルであり、

最も苦手で大嫌いだったトレーニングの一つです。

(もう時効なので白状しますが、この練習が嫌で嫌で仕方がないので頻繁に仮病を使って休んでいました)

 

こうしたドリルにおける課題とは、

・「極限状態で正確な動作が出来るか」

・「攻撃者を確実に処理できるか」

・「脅威でない一般人を保護できるか」

といった項目であり、特に難しいのが最後の一つ——「脅威かどうかの見極め」です。

 

実際の練習では相手役が黒のリストバンドを付けているか否か、

という至ってシンプルな条件付けで行われていましたが、

実際の現場ではそう簡単にいきません。

 

一見無害に見える女性客も敵意をもって近づいているかもしれませんし、

攻撃者の仲間のように見える男性が実は全く無害な一般客という可能性もあるのです。

そうした状況判断というものは一朝一夕に出来るものではありません。

とはいえ失敗すれば自分や周囲に危害が及ぶことは明白です。ミスは許されません。

 

「極限状態でミスをしないこと」は護身における最重要・最難関課題の一つであり、

セルフディフェンスを学ぶ人間は日夜この課題をクリアするため努力を重ねているといっても過言ではありません。

そして反復練習はそうした目的のため絶対に欠かすことの出来ない取り組みと言っていいでしょう。


プロでもミスはするのだから……

なんだか悲しいお話なのですが、

その道のプロでもミスはしてしまいます。

(管理人も勤務中の「やっちまった回数」は恐らく上位に位置しているでしょう)

 

例えばプロの格闘家でも追い詰められると悪い癖が出て格下相手にノックアウトされたり、

トップクラスのアスリートでもプレッシャーのかかる場面で冷静さを欠くと信じられないようなミスをします。

プロの方々でもそうなってしまうのですから、

何の肩書もキャリアも無い一般人は、

普段からミスをしないための努力を欠かすことが出来ません。

 

恐らく当ブログを訪れこのような記事をお読みになっている方の大半は、

本気で身を守る方法を身に着けようとお考えになっていることと思いますが(実際どうか知りませんが)

プロでもミスをする極限状態で、しかもたった一度のミスも許されない闘いを強いられているのですから、

生半可な覚悟ではとてもやってはいけません。

 

目的意識やイメージは人それぞれだとは思いますが、

セルフディフェンスを学ぶということは要するにそういうことです。

常に高い志を持ち、質の高い努力を継続できない方には不向きであるということを、

念のためお伝えしておこうと思います。

 

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

【QuickTIPS】セルフディフェンスに活かせる脚のトレーニング【護身術】

いつも心に1年分の天然岩塩パウダーを。どうもサイコ田中です。

突然ですが皆さんは身体を鍛えていらっしゃるでしょうか?

1日10分の腹筋運動、100回の腕立て伏せ、仕事の合間に握力グリップ……など、

鍛え方は様々でしょうが、脚のトレーニングも蔑ろにせず行っていきたいところです。

今回は下半身にフォーカスしたトレーニングメニューを、

セルフディフェンス(護身術)に活かせる種目を中心に紹介しようと思います。

(カテゴリは【筋トレ】にするかどうか悩みましたが、今回はあえて当ブログのメインコンテンツである【護身術】としました)


走り込みは意味が無い?

近年ではスポーツ科学が急速に発達し、

一昔前までは不可欠な基礎トレーニングとして扱われていた長距離走も、

その効果が疑問視されていることは動かしがたい事実です。

 

心拍数を上げたり持久力を付けることが目的であったとしても、

その種目やカテゴリは多岐にわたり、長い距離を漫然と走ることそのものが持つ効果は薄いでしょう。

縄跳びやラダーワークでも同様の効果が得られるうえにアジリティ強化にも繋がり、

ボクシングなど格闘技においてはフットワークスキルの向上にも期待が持てます。

 

また単に長い距離をダラダラと走るよりも、

シャドーや軽いパッドワーク、サーキットトレーニングなどを取り入れたほうが遥かに効率的であり、

時間の管理が困難な多くの社会人にとっては理にかなっていると言えそうです。

 

「走ること」が目的ならば長い距離を走る事には大きな意味があると言えるでしょうが、

あなたの目的が「闘うこと」「生き残ること」ならば、

時間と体力を無意味に浪費するロードワークメニューは、その質と量をすぐにでも見直すべきでしょう。


身を守ることに役立つ4つの下半身強化種目

ここからは護身術——特にパンチなど打撃テクニックの強化と密接な繋がりがある下半身トレーニング種目を、

誰でも自宅で行えるような内容に絞って4つお伝えします。

無理せず自分のペースで行える内容がほとんどとなっておりますので、

身を守ることに興味をお持ちの方は是非一度参考になさってください。

 

ランジ(ブルガリアン・スクワット)

ランジは、ブルガリアン・スクワットまたはスプリット・スクワットなどとも呼ばれ、

主に太腿——ハムストリングスの強化を目的とした種目です。

 

やり方は至って簡単で、

1.両足を肩幅に広げて立つ

2.片足ずつ大きく前に踏み出し、元の姿勢に戻る

 

基本的にはこの2ステップを繰り返すだけです。

この際膝が内側に入ったり、外に広がり過ぎたりしないよう注意し、

なるべく歩幅を前後に広く取り、膝が地面につく寸前まで腰を落とすことがポイントです。

 

10回1セットとして行い、3から4セットを目標に行ってください。

慣れてきたら12回、13回と1セット当たりの上限回数を増加し、

尚且つ一つ一つの動作をゆっくりと行うことで負荷を高めることが可能です。

 

カーフレイズ

ふくらはぎの所謂ヒラメ筋を鍛える種目です。

ジャンプや細かい姿勢制御に関連した筋肉であり、

パンチ・キック、フットワークなど打撃系スキルの全てと密接な繋がりがあります。

 

やり方はランジ同様簡単で、

1.両足を肩幅よりやや狭くして立つ

2.そのままゆっくりと踵を上げて爪先立ちになる

3.限界まで上がったらゆっくりと地面に踵を付ける

以上3ステップを一定のリズムで繰り返すのみとなります。

 

階段や小さな踏み台の上で踵がはみ出た状態で行うことにより負荷が高まり、

動作の頂点で一定時間静止することでも強度が上がります。

12~15回程度を1セットとし、合計3セットを目安に行ってください。

 

その場でジャンプ

文字通り、その場でジャンプするだけです。

要するに縄跳びの代わりとなる種目ですが、

広いスペースやロープが無くとも行えることが最大のメリットです。

(とはいえある程度の騒音は避けられないため、集合住宅などでは注意が必要です)

 

最初は両足を肩幅よりやや狭めて立ったところから、

なるべく一定のリズムでジャンプします。

続いて同じリズムで左右の足を交互に地面から離します。

(わかりにくければ、その場で小走りするようにしてもOKです)

最後に片足立ちで15回から20回ジャンプして終了です。

 

集中して下半身のアジリティを高めるなら週に3から4回以上、1回10分前後で行い、

他の種目を行う前のウォームアップとして心拍数を上げる目的で行ってもいいでしょう。

 

反復横跳び

学生時代のトラウマが蘇るという方がいらっしゃるかもしれませんが、

(かくいう管理人もその一人に違いありません)

反復横跳びの動作はそれそのものが高効率のフットワークトレーニングとなっており、

下手なラダーワークを繰り返すよりもよほど効果的と言えるでしょう。

 

駐車場の車止めなど目印になるものを設定して行えるのが理想ですが、

無ければ道路に水で線を引いてもいいでしょう。

一定のリズムを保ちながら目印の間を行ったり来たりするだけですが、

漫然と行うのではなく常にペースと呼吸を意識し、

1週間ごとに回数を記録しながらペースアップを目標に行っていきましょう。

 

1分間連続で試行し30秒間のインターバル、

計4回の試行を目安に取り組んでください。

(膝や腰などに負担がかかる種目のため、決して無理をせず自分のペースで行ってください)


”スキマ時間”を見つけて効率的に

さてここまで護身に役立つ4つの下半身トレーニング種目を紹介してきましたが、

全てをしっかりとこなすのは難しいと感じる方が少なくないでしょう。

 

「ちゃんとやらなきゃ……」という真面目な姿勢も大切ですが、

疲れが溜まっているときに無理をするのは逆効果です。

少し心身にゆとりのある休憩時間に軽くランジのような動きをするだけでもいいでしょう。

電車を待っているときにちょっとつま先立ちをするだけでもいいのです。

 

多忙な日々の中でもちょっとした”スキマ時間”を見つけ、

気長に、尚且つ自分のペースで取り組めればそれで十分です。

無理せず毎日少しずつでも強くなっていけるのなら、

あなたが今よりも弱くなることは決してありません。

 

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

【QuickTIPS】前蹴りの練習方法と実戦での活用方法【護身術】

いつも心に1か月前の残飯を。どうもサイコ田中です。

毎度タイトルにQuickTIPSなど明記しておきながら、

読み返してみるとちっともQuickでもないしむしろ冗長な内容になっているため、

今回はなるべく短い文章とシンプルな表現を用いて基本的な打撃テクニックである、

前蹴りの練習法と使い方について説明しようと思います。

(決してネタ切れであるとか記事の執筆が面倒になってきたわけではありません。いやマジで)


腰より上の高さへの蹴りは基本的にご法度

現代護身術の常識として、

原則的に腰より上の高さに自分の足を挙上する動作(蹴り全般)というのは、

推奨されていません。

 

蹴り足を掴まれ転倒させられるリスクはもちろん、

自分自身がバランスを崩して転んだり、

蹴りに武器攻撃のカウンターをもらったときのダメージを考慮すると、

基本的に蹴り技は積極的に活用するべきとは言えません。

 

身を守るうえで蹴りを活用する場面というのは、

・相手の股間(金的)への膝蹴り

・シンプルに相手の足を上から踏みつける(ストンプ)

・倒れた相手へのサッカーボールキック(そこそこ危ない)

などであり、いずれも腰より下の高さにしか足を持ち上げないだけでなく、

大きく体勢を崩さない範囲で繰り出せる動作に限定されていることにも留意しなくてはなりません。

 

これから前蹴りの使い方を説明しますが、

蹴り技はリスクの方が大きいため積極的に活用するのでなく、

「追い詰められた場面での切り札」ぐらいに思っておくのが丁度いいでしょう。


1人で出来る前蹴りの練習と応用

ここからは1人でも行える前蹴りの練習方法と、

具体的な実戦への応用方法について解説します。

老若男女を問わず誰にでも実践できる内容に絞ってお伝えしますので、

身を守ることに興味をお持ちの方は是非参考にされてください。

 

壁に足を乗せるようにする動作

基本動作として、

壁に足を乗せるような動きを繰り返してみてもらいたいのです。

 

いきなり前蹴りの動作を説明すると小難しいので、

ゆるく膝を曲げた状態で、目の前の壁に片足を乗せるような恰好で、

そのままゆっくりと壁に体重をかけていきましょう。

 

慣れてきたら、「足で壁を押す」というイメージよりもむしろ、

階段を登るように足をかけて少し下へ押し込むような感覚を持つと、

強力な前蹴りを打つきっかけとなる感覚が掴めるかと思います。

(運動経験などにより個人差があるとは思いますが、

「体重をかけていく」感覚が養えればそれで十分です

 

膝を抱え込んで”放り投げる”運動

壁を押し込む感覚が掴めてきたら、

次は前蹴りの準備動作である「膝の抱え込み」を覚えましょう。

 

どちらか片方の膝を腰より上——胸の前あたりまで抱え上げて、

そのままストンと落とすように前方を足を放り出してみてください。

(難しければ、実際に両手で膝を胸の前に抱え込み、

パッと放してあげるだけでも十分です)

 

力任せに足を投げ出そうとするのでなく、

抱え上げた足を重力と筋肉の反発力に任せて「落としてあげる」ようにイメージすると、

自然と脱力した無理のないフォームが形成されていきます。

焦らず何度も繰り返し、足を前に投げ出す感覚を養っていきましょう。

 

背中で壁を押し”背筋を使う”感覚を養う

再び壁に向き合っての練習ですが、

今度は壁に背中を預けて立ってください。

 

ここまで繰り返した2つの動作を思い出しながら、

今度は壁に背中を押し付けるようにして、

身体全体で蹴り足をぶつけるイメージを育んでいきます。

 

何もない場所で蹴り足だけを前に放り出そうとしても気付きませんが、

背中で壁を押すようにして蹴ることで、

「上体を反らして蹴ると強く蹴れるかもしれない」という気づきが得られることでしょう。

実際それは正解で、背筋を使って蹴り足と反対側に上体を反らすことで破壊力は増大します。

(同じく膝を挙上して前に蹴り込む膝蹴りにも同様のことが言えます)

 

3つの動作を統合し実戦へ応用

いよいよここまで3つの動作を統合し、

実戦(素手でのファイト)へ応用します。

 

壁に足を置くときの動作を思い出しながら相手の金的(股間)を蹴り抜くと、

かなり強力な急所攻撃となりタイミングによっては女性でも一撃で相手をノックアウトできます。

「足を乗せに行く」というイメージが、自然と体重を乗せることに繋がっていることがポイントです。

 

続いて膝を抱える動作からの蹴りは、

自分に向かってくる相手の動きを止めるため、

相手を突き飛ばすようにして蹴る前蹴りの動作に直結しています。

狙う場所は下腹部または金的であり、壁に足を乗せる感覚を思い出しながら体重を乗せることで、

更に強力なストッピングパワーを獲得できるでしょう。

小さくコンパクトに膝を抱え上げ、そのまま落とすように蹴り出すイメージが理想です。

 

最後に壁を背にした反復練習ですが、

これは文字通り壁に追い詰められたシチュエーションで効果を発揮します。

壁まで追い込まれた状態で相手がこちらに向かってくるとき、

壁で背中を押して素早く蹴り込みながら、前に飛び出すようにすることで、

そのまま蹴りと同時に壁際から脱出することが可能です。

またもしも一回で相手を蹴り飛ばせなくとも、

同じ要領で壁の力を使って膝蹴りを叩き込み、続いて肘打ち、頭突き……といった形で、

手を休めなければ活路が見出されるはずです。

諦めずに闘えば、勝てないまでも負けはしません。


前蹴りから繋がる攻撃の選択肢を広げる

前蹴りが使えるようになっても、それ単体では武器として不十分です。

そこから繋がる他の選択肢——パンチやキック、肘打ちなどへの応用・展開も視野に入れ、

コンビネーションを組み立てる意識が更なる護身スキル向上への足掛かりとなります。

 

前蹴りの動きが自然に繰り返せるようになり自信がついてきたら、

・前蹴り→ワンツーパンチ

・前蹴り→膝蹴り→肘打ち

・前蹴り→膝蹴り(腹部)→膝蹴り(金的)

など前蹴りを軸にした連続攻撃への展開に繋げ、

一方的に相手を圧倒するイメージをさらに強固なものにしていきましょう。

「相手は基本的に一発では倒れない」ということを胸に刻み、

急所への打撃を短い時間にまとめる意識が、極限状態では必ずあなたの助けになります。

 

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

【QuickTIPS】刃物が持つ危険性について(令和6年度最新版)【護身術】

いつも心に1本のバス釣り用ロッドを。どうもサイコ田中です。

護身術を学んでいると必ず目にするトピックとして、

「もし刃物を持った相手に襲われたら」というものが挙げられますが、

そうした技術体系や知識のほとんどは役に立たないと考えた方が無難です。

何故、刃物はそれほどに危険なのでしょうか?


ナイフディフェンスのリアル

ナイフなどの刃物を扱うセルフディフェンスは世界中にいくつも存在し、

もちろん日本でも一部の武術や格闘技でそうした知識も共有されていますが、

それらのほとんどは実戦においてあまり役立たないと考えるべきでしょう。

 

理由は明白で、

この世界でいわゆる普通の日常生活を送るほとんどの人々は、

実際にナイフで襲われるという経験が無いからです。

 

本末転倒のように聞こえるかもしれませんが、

実際に見たことも聞いたことも、またやったことも無いようなことを、

どうやって他人に伝えるのでしょうか?

海も川もプールさえも無い地域に住む発展途上国の人々に陸上で水泳を教えて、

その人々は果たして実際に泳げるようになるでしょうか?

戦場やテロの脅威といった極限状態の最前線に立ったことのない我々が、

どうやって本当に身を守る術を学べるというのでしょうか?

 

実際に刃物で襲われ、刺される・切られるといった経験が無い我々が学べることのほとんどは、

残念ながら全て机上の空論になると言わざるを得ません。

またそうした知識を共有できる数少ない機会や人材等に恵まれたとしても、

実際に正しく知識や技術を獲得し自身で応用していくことは困難を極めるでしょう。

 

馬鹿馬鹿しいほどシンプルな話ですが、

人間は自分で体験し、試行錯誤を重ねる中でしか成長することが出来ません。

実際にナイフで刺されたり、切り付けられたりしたような人物から話を聞けるのが一番なのですが、

残念ながらそのような人物は、そのほとんどがもうこの世にはいないのです。

これがナイフディフェンスにおいて避けては通れない、

残酷で絶望的な現実なのです。


あなたが知らない刃物が持つ5つの危険性

ここからはナイフなどの刃物が持つリスクについて、

現代護身術で特に重要視されている要素にフォーカスして5つご紹介します。

身を守ることに興味をお持ちの方は是非参考になさってください。

 

至近距離から始まる攻撃

よくある護身術のデモンストレーションに、

「ナイフを持った相手が向かってきたら」というものが見られますが、

そんな間抜けな攻撃者はいません。

(いるかもしれませんが、かなりやる気のない少数派でしょう)

 

実際の刃物を使った攻撃がどのように始まるかというと、

・口論の最中に何の前触れもなく切りかかる

道を尋ねるふりをして近づいて刺す

・スマホに目を落としている最中に背後から突く

などであり、攻撃のほとんどは互いの手が届く至近距離から始まり、

決して遠くから「行きますよ」と言って襲っては来ないことに留意する必要があります。

 

予測が極めて困難な奇襲

前項とつながる部分ではありますが、

ナイフをはじめ刃物のほとんどはズボンや上着、袖口などに隠して、

その存在を悟られないよう携行している攻撃者が大半を占めます。

 

きちんと人の目につくよう構えるのは強盗か小心なチンピラくらいのもので、

明確な害意や殺意を持った攻撃者は、凶器を必ず隠し持っています。

 

持っているかどうかを見極めることさえ困難なうえに、

虫も殺せないような見た目のサラリーマンや学生のような風貌で、

にこやかに「道を教えてくれませんか」と言って近づいてきたら、

10人中9人の一般人は刺されるその瞬間まで気が付くことはできないでしょう。

そうして刺されてしまった時点で、もはや助かる見込みはありません。

 

”もう片方の手”の脅威

現代護身術におけるナイフディフェンスで最大かつ致命的な課題の一つは、

言うまでもなく”ナイフを持っていない方の手”の扱いに他なりません。

 

ナイフを持った攻撃者は、何もナイフだけを使って攻撃してくるわけではありません。

・服などを掴んで引っ張りながら刺す

・ナイフを持っていない方の手で殴打する

もう1本のナイフを取り出して切り付ける

など、リスクパターンは数え上げると切りがなく、

その全てに対して一切ダメージを負わず完璧に対処するなど、不可能に違いありません。

 

またよくある護身術のテクニックに、

「刃物に対する受け速攻」——すなわち、

ナイフ攻撃をブロックすると同時に相手の顔面にパンチを当てる……といった技術が見られますが、

お察しの通り相手はもう片方の手でそのパンチを防いでくるため、

全く効果がありません。

”もう片方の手”は、現代護身術において永遠の課題と言っても差し支えないでしょう。

 

多岐にわたる連続攻撃

ナイフの攻撃は素早く見えづらいだけでなく、

決して一度では終わりません。

 

よくあるデモンストレーションに、

「相手がナイフで突いてきたら」というのがあり、

攻撃者役が「よいしょ」と一回刺す動作を見せますが、

そんなフレンドリーで都合の良い攻撃者がいるはずもありません。

 

実際の攻撃者はあなたが倒れるまで、

・何度も繰り返し腹部を刺す

・首筋や太ももなどを何度も切り付ける

・胴体を手当たり次第にめった刺し

など、決して自分から手を止めることはありません。

そして攻撃は一度で終わることなどあり得ません。

 

例え最初の一撃を運よく防げたとしても、

立て続けに別の部位を何度も突いたり刺されたりして、

悲鳴を上げる間もなく目の前が真っ暗になっていくことでしょう。

 

致命傷を避けられない

「当たり前でしょ」と思われるかもしれませんが、

刃物による攻撃は、それがどんなに浅くとも致命傷になりかねません。

 

・太ももなどを繰り返し切られる

不衛生な刃物で刺される(破傷風のリスク)

喉や目などの急所を攻撃される

など、たとえ傷が浅くとも命を落とすか大きな後遺症が残る可能性は高く、

例え相手が女性や小さな子供であっても、刃物を手にしている場合は警戒が必要です。

 

また護身術や格闘技のテクニックを駆使して相手をどうにか制圧できたとしても、

首や手首、太ももなどを切られて出血している場合は速やかな止血処置が必要です。

正しい止血の方法を学び、可能なら携行止血帯を持ち歩くようにしましょう。

(冗談のような話ですが、管理人は常にマウスピースと止血帯を携行しています)


刃物で襲われたときに出来ること

「結局のところどうすればいいのか」という話になってくると思いますが、

結論から申し上げますと、

「ダッシュで逃げる」以外の選択肢はありません。

(「えぇ……」という声が聞こえてきそうですが、これが現実です)

 

自分から向かっていくのは自殺行為であり、

例え複数人で囲んでもその場で全員始末される可能性を否定できません。

拳銃などの飛び道具が無い限り制圧は極めて困難となるため、

残る選択肢はシンプルに”逃亡”を置いて他にありません。

全力ダッシュでとにかくその場から離れることを最優先に考えてください。

 

刃物を持っていない相手でも、

もし口論などトラブルに発展した場面で少しでも嫌な予感がした時には、

なるべく相手の右隣りか右斜め後ろに立つよう心がけ、

刃物に手を伸ばされたとき死角からの不意打ちをもらわないよう心がけることが肝要です。

(「日本人の約9割は右利きである」という統計的データを基にしたある種のギャンブル的対処法であり、

何の保証も無いことをあらかじめお断りさせていだきます)

 

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました。