【一人で出来る】10分で追い込むムエタイ式時短トレーニング【宅トレ】

いつも心に1本の草刈り鎌を。どうもサイコ田中です。

7月から東京のみならず全国で新型コロナウイルスの感染が拡大し、

今年に入って2度目となる緊急事態宣言の発令もいよいよ現実味を帯びてきました。

リモートワークや外出を控える生活が続いていても、現代人は常に多忙です。

今回はなかなか時間が確保できない方にも取り組んでいただける自己防衛トレーニングとして、

最強と呼ばれる打撃格闘技の一つであるムエタイからヒントを得た時短式トレーニングをご紹介します。


護身術としてのムエタイが持つ合理性と強み

現代においてムエタイと呼ばれる格闘技(近代ムエタイ)の原型は遡ること400年以上、

タイで生まれた古式ムエタイ:ムエ・ボーランと呼ばれる実戦武術です。

ムエ・ボーランは現代における軍隊格闘技のような位置づけにあったと考えられ、

・素手及び武器攻撃を想定

・膝または膝を多用する打撃テクニック

・隙や予備動作の小さいコンパクトな攻撃

などが大きな特徴であり、

かつての王族たちがその身を守るために学んだという歴史的背景からも明らかなように、

護身術としての技術的側面を持っていたことが窺えます。

特に接近戦において肘や膝を多用することは現代護身術の観点から見ても非常に合理的であり、

相手につかまれた状態など組際からの展開や脱出を想定した動きは現代のムエタイのみならず、

ラウェイやキックボクシングなど様々な競技格闘技へと応用されています。

なんとなくハードルの高そうな印象のある古式ムエタイですが、

実は日本国内でも指導を受けられるジムや教室、セミナーが催されています。

興味をお持ちの方はお近くのジムを検索されるか、セミナーの日時などを確認されてはいかがでしょうか。

(FacebookなどSNS上でもセミナー開催の告知は確認可能です)


10分で追い込むムエタイ式時短トレーニング

ここからは10分前後という非常に短い時間で追い込めるトレーニングを、

ムエタイ式のトレーニング方法を基にご紹介します。

・バーベルプレート

・ケトルベル

などが必要になりますが、

無ければ大きなお鍋やフライパンなどでも代用が可能です。

ウォームアップと軽いストレッチを行ってから、

無理せず自分のペースで行ってください。

 

クリンチ強化ドリルNo.1

首相撲(クリンチ)で主導権を握るためのトレーニングです。

護身術においてはつかみ合いや組み合った体勢からの展開に関連します。

 

バーベルプレートまたはケトルベル(無ければフライパンなど)を両手で持ち、

腕を真っ直ぐ伸ばして顔の前に突き出します。

そこから車のハンドルを切るイメージで、

プレートを左右に回転させていきます。

(回しすぎると肩などを傷めるので、45度くらいを目安にしてください)

25秒から30秒間を1セットとし、3セットを目標に行っていきましょう。

 

クリンチ強化ドリルNo.2

クリンチ強化ドリルNo.1が終わったら、次は膝蹴りを組み合わせていきます。

相手の首に手をかけてお腹や金的(股間)に膝を突き刺すイメージで、

バーベルプレートを持った両腕を素早く胸元に引き付けながら、

左右の膝蹴りを繰り出していきます。

膝蹴りはただ膝を持ち上げるだけではなく、

膝を抱えて前に突き出すイメージを持つことが重要です。

イメージしにくい場合は一度プレートを置き、

お腹の高さに持ち上げた膝を、なるべく前に押し込むような動作を繰り返してください。

壁に手をついても構いません。上体をやや反らせるようにするのがコツです。

25秒から30秒間を1セットし、30秒前後のインターバルを挟んで3セットを目安に取り組んでください。

 

クリンチ強化ドリルNo.3

No.2の膝蹴りが上手くできたら、

続いては相手を振り回す動作を練習していきます。

プレートを掴んだ腕をしっかりと伸ばしたまま、

小さく反動をつけてその場で180度ターンします。

(プレートを持ったまま勢い良く後ろを振り返るのをイメージしてください)

腰を傷めたり目が回ったりしないよう気を付けながら、

25秒から30秒間上記の動作を続けてください。

 

この動きは相手の首に手を回した状態から振り回したり、

自分に有利なポジションへ移動することに関連しています。

 

クリンチ強化ドリルNo.4

クリンチ強化ドリルの締めは、No.1から3の動作を全て繋げて行います。

プレートを持った両腕をしっかり伸ばしたら、

・顔の前でハンドルを切るように回転させる

・素早くプレートを引き寄せて膝蹴り

・腕を振って左右にターン

という流れをひたすら繰り返します。

30秒から1分を目安に行い、終わったら1分以上のインターバルを取りましょう。

 

頭突きと組み合わせてフィニッシュ

最後の追い込みです。

プレートを置き、手ぶらの状態でスタートします。

クリンチ強化ドリルNo.4と同様にして、

両腕を伸ばして相手の頭か首の後ろを掴んだ状態をイメージし、

・素早く頭を振って頭突き

・両腕を胸元に引き寄せながら膝蹴り

相手を振り回して再度頭突き

といった流れを繰り返してください。

1分間全力で動いてフィニッシュです。お疲れさまでした。

(ここまでで大体10分前後の時間が経過していると思います)


パンチやキックの練習もセットで

今回ご紹介したムエタイ式時短トレーニングでは、

時間の関係上パンチやキックのメニューを省いています。

確かにリアルファイトを想定する場合通常のパンチや蹴りの優先順位が下がり、

・頭突き

・肘打ち

・膝蹴り

といった至近距離で相手を一発KOできるテクニックが重要視されるため、

クリンチからの膝蹴り・頭突きが出来ればそれで十分とも言えますが、

やはり手持ちのカードは多いに越したことはありません。

時間的に余裕があれば、最低でも左右のパンチ(ジャブ・ストレート)、

足を前に伸ばした金的蹴りなどは練習しておくと、更に心強いでしょう。

攻撃も大切ですが、相手の攻撃をしっかりとブロックする必要があることも忘れずに。

 

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

【小ネタ】重力を味方につける「体重のかけ方」と護身への応用【コラム】

いつも心に1杯のキューバ・リブレを。どうもサイコ田中です。

何年もかけてシステマを学んだ管理人ですが、

結局システマが持つ独自のメカニズムは半分も理解できませんでした。

(システマについてまとめた記事はこちら

とは言え人体の動作とその作用には科学的に最も効率的な形というものが存在し、

それは最小の動作でなるべく大きな力を発揮し攻撃者を圧倒するという、

自己防衛の分野においても重要なファクタとなります。

今回は体重(重力)の使い方と押す・引くといった動作への応用について、

実戦的なテクニックと共にお伝えしたいと思います。


体重は重いほど有利?それとも不利?

格闘技やラグビーといったコンタクトスポーツはもちろん、

あらゆるスポーツにおいて身体の大きさ・フィジカルの強さは非常に重要な位置を占めます。

(卓球など例外もあります)

特にシンプルな体の重さ――すなわち体重は、

あらゆる物理学の法則(公式)に「重さ」の要素が見られるように、

エネルギー(パワー)の発生に必要不可欠と言っても過言ではありません。

(F=maなどは典型的な例です)

基本的に体重は重ければ重いほど大きな力を発揮でき、

衝撃に対する耐性(慣性の大きさ)・単純な腕力や握力の強さなど、

軽いよりも重いに越したことは無いとさえ言えます。

ただし体重が重くなりすぎると動きが鈍くなったり、

より短い時間でスタミナが失われるなどのデメリットもあるため、

「体重が重いから強い」などと簡単に断じてしまうわけにもいきません。

体重が軽ければ逆にスピードや柔軟性、瞬発力などを武器にすることでその差を埋めることが出来、

特に格闘技におけるカウンター打撃は、力を伝えるタイミングの重要さを示す典型例です。

身体が小さく体重が軽い人も、「こんな体だから自分は弱いんだ」などと悲観せず、

自分にしかない強みを見つけて磨くことで、唯一無二の武器を手に出来るかもしれません。


身を守るための「体重の使い方」と3つのルール

ここからは路上トラブルなどの現場で身を守るうえで役立つ「体重の使い方」について、

3つの基本ルールと共にお伝えしたいと思います。

体格や運動経験などには依存しない技術体系となっておりますので、

老若男女を問わず身を守ることに興味をお持ちの方はぜひ一度参考になさってください。

 

体重は「利き腕側」にかけていく

凶器を持った相手の腕などをコントロール際には、

利き腕で相手の腕を取り、そのまま利き腕側に体重をかけていくのが合理的です。

片手腕立て伏せなどを試みるとよくわかりますが、

基本的に利き手とそうでないほうの腕では、体重を支える力に差があります。

(中には全く差がない方や、逆になっている方も見られます)

相手の腕などをコントロールする際、利き腕と反対の腕でどうにかしようとしても、

根本的に握力・腕力が弱くすぐに力負けするか、振りほどかれやすく危険です。

可能な限り利き腕でしっかりと相手の手首や二の腕をホールドし、

利き腕側に上体を傾けるようにし、体重を相手の身体に預けるようにすると力が入りやすくなります。

(右手で相手の腕を抑えるときは、右肩から首の右側辺りに体重をかけていくよう意識すると比較的容易です)

 

全体重をかけるイメージはジャンプで覚える

体格差のある場面や相手が凶器を手にしているような極限状態では、

腕などに全体重をかけるようなイメージで望まなければ勝機はありません。

この感覚を捉えるのが難しい場合は、以下のような方法がおすすめです。

 

(パートナーがいる場合)

1.パートナーの片方の腕を両手でつかむ

2.上から全体重をかけるようにして真下に押す

3.押す動作に合わせてその場で軽くジャンプする

 

(一人で行う場合)

1.適当な高さの手すりなどに両手でつかまる

2.上から全力で下へ押すように力を加える

3.押すのと同時に地面を蹴って小さく飛び上がる

 

ポイントは、

飛び上がるときに両腕にぐっと体重が乗る感覚を意識することです。

この感覚を養い徐々に慣らしていく事により、

咄嗟に緊急性の高い場面に遭遇してもスムーズに全体重を預ける動作を再現できるようになります。

(相手を地面に押さえつけ制圧する・ナイフを持った腕をコントロールする…etc)

 

パンチ・キックにはあえて体重を乗せない

パンチやキックに体重を乗せていくには、

・重心がどこにあるか

・重心はどこへ移動するか

・力はどの方向に加わるか

など通常の身体感覚でとらえるには少々複雑な点が多く、

よほど運動神経に恵まれてでもいない限り非常に困難と考えられます。

無理して体重移動を意識したフォームを身に着けようとした結果、

身体にフィットした正しいフォームを崩し、怪我や故障に繋がりかねません。

パンチやキックには無理して体重を乗せようとせず、

正しく合理的なフォームを保つことを優先するのが好ましいでしょう。

 

どうしても体重を乗せる感覚を掴みたいときには、

・パンチのフォームでグイグイと壁を押す

・パートナーの身体に手や足を「置きに行く」イメージで打つ

・バットを用いた素振り運動

などがヒントになるかもしれません。

(一生懸命ミットやサンドバッグを叩く過程で、自然に身につくことも少なくありません)


パニックになったらとりあえず「腰を落とす」

ここまで体重移動を用いたアプローチについてお伝えしてきましたが、

極限状態では頭が真っ白になって、知っていることや覚えたことも忘れてしまいがちです。

もしも実際に第三者から攻撃を受けパニックになってしまったら、

とにかく腰を落として重心を低くすることを試みましょう。

背筋を伸ばして棒立ちのままでは体幹安定性が低くなり、

頭部を殴打されるなどした場合あっけなく倒されてしまう恐れがあり危険です。

しっかりと顎を引いて膝を緩く曲げ、

中腰とはいかないまでもなるべく腰の位置を低くすることで、テイクダウンされるリスクも軽減します。

迷ったときや焦って正常な判断が難しいような場面では、

・顎を引いて腕などで頭を保護する

・片方の足を後ろに引いて斜に構える

・軽く膝を曲げ腰を落とす

といった立ち方を試みるだけでも、生存率はぐっと高まります。

「ただ殴られるだけ」「一方的にコントロールされる」といった状況を自分から遠ざけ、

相手の思い通りにならないことが、身を守るための第一歩です。

(男性はもちろん女性についても同様です)

 

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

【ボクシング】パンチのフォーム矯正と最適化につながる5つのポイント【宅トレ】

いつも心に1杯のネギ味噌ラーメンを。どうもサイコ田中です。

日本では今月に入り東京・大阪で新型コロナウイルスの感染者数が急増し、

引き続きリモートワークや外出を控える動きが見られる中、

自宅でのトレーニングや独学に限界を感じておられる方も多いと存じます。

今回は自宅で出来るボクシング・トレーニングとして、

パンチのフォーム矯正と最適化についてお伝えしたいと思います。


全てのパンチは下半身から

ボクシングはパンチのみで構成された技術体系を持つため、

下半身の力は軽視されがちですが、これは大きな間違いです。

フットワークはもちろんパンチをブロックするなどディフェンス面は言うまでもなく、

下半身の力はより強いパンチを打つことにも密接な繋がりがあります。

特にストレート、アッパーなど腰の回旋によりパワーを発生するパンチにおいては、

土台となる下半身の粘りと地面を蹴る力が重要なファクタとなり、

どれだけ上半身を鍛え上げていても破壊力を生み出すことは困難になります。

もしもパンチのフォーム矯正以前に「下半身から力を伝える」イメージが困難な場合は、

2週間から1か月の間一定の距離を走り込んだり、ジャンピングスクワットなど下半身を追い込む種目を取り入れ、

下半身全体の根本的強化に取り組まれることを強くおすすめします。

そうして手に入れた下半身の強さはパンチの威力アップにつながることは勿論、

パンチを「下半身を使って打つ」という感覚を養ううえでも大いに役立つでしょう。


パンチのフォーム矯正・注意すべき5つのポイント

ここからはパンチのフォームを矯正する上で注意すべきポイントについて、

ストレート・フック・アッパーを中心に5つお伝えしたいと思います。

ボクシングはもちろん格闘技に興味をお持ちの方はぜひ一度参考になさってください。

 

基本的に肩の力は抜く

基本のスタンス(構え)を維持している時も、パンチを打つ時も、

肩からはなるべく力を抜いておくことが重要なポイントとなります。

肩に余計な力が入るとロボットのように動きが硬くなり、

パンチに必要なキレもスピードも全て失われてしまいます。

パンチを打たない時もリラックスを心がけて肩回りを積極的に脱力させ、

パンチを打つ際も拳と肘以外にはなるべく強いテンションをかけないよう意識し、

インパクトの瞬間のみ腕全体にぐっと力が入る形が理想です。

 

ストレートを打つときは肘を開かない

ストレート系のパンチを打つ際のよくある間違いとして、

肘が外へ開いてしまうというものが見られます。

肘が外へ開き脇が閉まらないフォームは力を十分に伝えられないうえに、

肩から肘にかけてのラインが大きく動くためパンチを見切られやすくなってしまいます。

予備動作が小さくコンパクトでより強力なストレートパンチを手にするためにも、

なるべく脇を締め肘が肋骨の辺りをこするようにして腕が伸びるのをイメージしましょう。

 

腕を伸ばし切るのではなく前に踏み込む

腕を大きく伸ばし切るようにするとリーチを最大限使うことができ、

より強力なパンチを打てるような気がしますが、実はそうでもありません。

腕を伸ばし切るようなパンチは肘・肩の関節にかかる負担が非常に大きく、

基礎のトレーニングが不十分な初心者・格闘技未経験者にとっては故障リスクが高く安全とは言えません。

腕を大きく伸ばし切ることでパワーを発生するのではなく、

前に強く踏み込む(ステップインする)ことによって力を伝えるほうが合理的です。

特に距離の遠い相手と対峙する場面では腕を目いっぱい伸ばしたストレートを打ちたくなりますが、

確実に当てられると確信できる距離まで詰めて打てば、腕を大きく伸ばす必要はありません。

また前に踏み込む力も加わるため、その場で腕だけを伸ばして打つよりも破壊力は向上します。

 

フックは肩の脱力と肘の固定を意識

肩の脱力が重要であることは先に述べた通りですが、

これは特に強いフックを打つために欠かせない要素となります。

肩に力を入れてフックを打とうとすると、上半身全体から肘にかけての回旋が阻害されてしまい、

十分なパワーを発生することが出来ません。

肩に力を入れて腕を回すというイメージではなく、

肘をしっかりと90度の角度に固定し、肩を支点に腕をしっかりと回し切るイメージが大切です。

肘に力を入れると肩まで硬くなってしまうという人は、

肘の角度を固定したまま肩をぐるぐると回すエクササイズを試してみましょう。

腕全体にテンションをかけたまま肩周りはなるべく脱力し、

90度に曲がった状態の腕がぶらぶらと揺れるようなイメージが出来ればそれで十分です。

慣れてきたら腰の回旋運動に合わせ、「腕が勝手に飛び出していく」感覚がつかめることでしょう。

 

アッパーは下半身の捻りと蹴り込みがカギ

アッパーカットはどうしても手打ちになってしまいがちですが、

相手をノックアウトするためには下半身をしっかりと連動させる必要があります。

左のアッパーを打つ際には左足を、右アッパーでは右足をねじり込むように大きく内旋させ、

床を強く蹴って伸び上がるようなイメージを持つことが肝要です。

特に下半身の捻りは自分が思っているよりもずっと大きく、大げさにしなければ効果が薄く、

(ガードも自分が思っているよりずっと高くしなければディフェンス効果が得られないのと似ています)

内もも同士がこすれ合うぐらい激しく巻き込み、強い捻りを生むことがノックアウトパワーの獲得に繋がります。

アッパーにおける下半身の内旋・捻りのイメージは、ストレートパンチ(クロス)においても同様です。

床を蹴るイメージが困難な場合、パンチの動きは除外して下半身のみに集中し、

ひたすら地面を蹴って上に伸び上がる感覚だけを養う練習がヒントになるかもしれません。

(ケトルベルや小さなダンベルでスナッチの動作を繰り返すのも効果的です)


「打ったら動く」を癖に

初心者の方や格闘技経験のない方が一からパンチを練習する際は、

「パンチを打ったら打ったまま」で終わってしまいがちです。

パンチを打つ前も打った後も、そのまま同じ場所で棒立ちの体勢でいると、

相手にカウンターの攻撃を受けるリスクがあり好ましくありません。

・パンチを打った後は一歩下がる

・コンビネーションをまとめた後は左右にステップする

・パンチとパンチの間にディフェンスの動作を挟む

などして、

しっかりとカウンターをもらわないための対策を意識していく事が大切です。

更にただ後ろに引くだけでなく「下がりながらジャブ」「下がると同時にアッパー」など、

距離を開ける動作から攻めに転じるといった緩急の変化も付けられるようになると、

より戦略的で実用的なボクシングスキルが身に付きます。

様々なコンビネーションとフットワーク、基本のディフェンス技術を組み合わせ、

自分だけのノックアウトイメージを拡大させていきましょう。

 

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

【小ネタ】動物の生存戦略から学ぶ現代人のためのセルフディフェンス【コラム】

いつも心に1年分の入れ歯洗浄剤を。どうもサイコ田中です。

動物とは賢いもので、自分たちが生き残るために必要なものをよく理解しています。

生まれたてのガゼルがすぐに立ち上がったり、クモが本能的に糸を操れるように、

動物には生き残るため、生存率を上げるための生存戦略が最初からある程度身についています。

今回はこうした動物の生存戦略を応用し、

現代人が身を守るために必要なことは何かについて考えてみたいと思います。


人間は「本能」を完全に失ってしまった?

昨今の研究では現代社会においてヒトは極度の、そしてあまりに急速な文明化の影響により、

誰もが持っていたはずの「本能」を失くしてしまった可能性が高いとされています。

例えばいわゆる「草食系男子」に代表されるように(既に死語かもしれませんが)、

積極的に異性と関わり子孫を残すことを自分の意志で回避する若者が増えているように、

少しずつ人間が持つ生存本能は失われつつあるように見受けられます。

現代人が要求されるのは命がけの狩りでもなければ火起こし・土器の制作などであるはずもなく、

ただ目の前の仕事や人間関係といったストレスにどう向き合い、

どのようにして明日の露命を繋いでいくかという、ただそれだけの生々しい現実が横たわるばかりです。

まして世界的に見て極めて高い水準の治安が維持されている日本においては、

差し迫った命の危険や脅威はほぼ無く、一般人のほとんどが非常に危機感の乏しい生活を、

当たり前のように送ることが出来てしまっているという現状があります。

闘争の原理もなく、生命維持に関わるリスクもない現代人は動物としての本能を失ったというよりも、

自らの意思で放棄したという言い方が適切なのかもしれません。


動物の生存戦略に学ぶ自己防衛メソッドとその応用

ここでは様々な動物が生存率を高めるために持っている本能的戦略を基に、

我々現代人が極限状態を生き残るためのアイデアをその応用法と併せて紹介します。

少し変わったセルフディフェンスを学びたい方や、

現在の自分の生き方に疑問を抱えているという方は、一度参考になさってください。

 

群れをつくる

多くの動物が用いる最もシンプルかつ強力な生存戦略の一つは、

群れをつくることに他なりません。

個体数が増加すればそれだけ相対的な危機管理能力は向上し、

捕食者(攻撃者)と対峙した場面での生存率も高くなることは明白です。

また単に互いの結束力が高まることに帰属・所属意識が芽生え、

「誰かと繋がっている」という安心感が得られることも大きな強みと言えます。

(強すぎる結束力や協調性は重荷になるリスクも兼ね備えているため注意が必要です)

もしも「自分一人では不安」「心強い味方が欲しい」と感じているなら、

迷わず何らかのコミュニティに加わることをお勧めします。

 

「死んだふり」

捕食者から攻撃を受けるなどしてストレスが高まった時、

自ら「死んだふり」をする動物がいるのは有名な話です。

動く獲物しか狙わない習性を持つ捕食者に対して特に有効な生存戦略であり、

人間が用いる際には大げさに痛がったり苦しんだりするという応用が想定されます。

特に人の場合はそれがたとえ他人のものでも血を見ると極端に取り乱したり、

興奮状態から一気に冷静さを取り戻したりする傾向にあるため、

もしも殴られるなどして鼻や口から出血した際には、

わざわざ血が相手によく見えるように振る舞うのは効果的と考えられます。

また単に気を失ったふりをしたり、うずくまって動かなくなるといったリアクションも、

攻撃者の焦りや不安を煽る効果が期待できます。

(倒れた相手を攻撃し続ける危険人物もいるため注意が必要ですが)

 

相手を威嚇する

縄張り争いなどの場面で身体を大きく見せるなど、

目の前の相手を威嚇する動物は多く見られます。

ただ「相手を威嚇する」といった振る舞いは人間が用いると好ましくない結果になる恐れがあるため、

・相手から目を逸らさない

・毅然とした態度で接する

・「警察を呼びますよ」と静かに告げる

など簡単に弱さをさらけ出さず、

逃げない・屈しない姿勢を示すことは非常に重要です。

またファイトに発展しそうな場面では武器になりそうなものを手にしたり、

大きな声で「下がれ!」と叫ぶのも有効に違いありません。

(ただしファイティングポーズについては相手を刺激する恐れがあるため回避すべきです)

 

ダッシュで逃げる

ほとんどの動物が持つ最も合理的かつ確実な生存戦略は、

全力で走って逃げることに違いありません。

より強力な捕食者と対峙するとき、まともに向き合っては勝ち目が無いため、

多くの動物(特に草食動物)には逃げるための力が備わっています。

シンプルに走って逃げる以外にも、

・砂をかける

・毒を出す

・異臭がする液体を放つ

など危機に直面した際のアプローチは動物ごとに様々であり、

これらは人間の自己防衛にも応用が可能と言えます。

目くらましになるもの(何かの粉や液体)を相手にぶちまけるのは勿論のこと、

お酒や炭酸飲料など目に染みるものを顔にかけるのは非常に効果的です。

(特定の調味料や洗剤の類も目潰しに使うことが出来ます)

また催涙スプレーに代表される護身用ツールは攻撃者と距離を置くことに特化しており、

夜間であれば強力なフラッシュライト・レーザーポインターなども視力を奪う効果があり、

より緊迫した場面での生存率を高めることが期待できます。

(催涙スプレーなどはプロの指導の下、正しい用法を守って運用するようにしてください)

 

ガードを固めて致命傷を避ける

あまり安全な対応とは言えませんが、

致命傷を避けるためガードを固めるという戦略は有効と言えます。

アルマジロのように攻撃を受けた際に丸くなり身を固めるといった対応は、

「勝てないまでも負けない」ためのいわば最終手段であり、

死んだふりも現場からの逃亡も通用しない場面での切り札という位置づけです。

(アルマジロには最初から「死んだふり」や「逃げる」という選択肢はありませんが)

人間が身を守る上では、

を抱えて背中を丸める

・急所に相当する首や胸部をカバンなどで保護する

・相手に抱き着く(クリンチ)

などがこうした戦略に相当し、

特に相手が凶器を手にしているなど緊迫した場面においては、

使えるものを何でも使って致命傷を避けるという意識が求められます。

「撃たれても切られても、とにかく死ななければいい」のであり、

どれだけ心身にダメージを負っても、最後まで諦めないことが何よりも大切です。


人間も最終的には「やる」しかない

動物も本当に追い込まれたら相手と直接向き合わざるを得ないように、

人間も最後の最後、他に手段が無ければ「やる」しかありません。

なるべく相手の顔面(特に鼻・顎・こめかみ)に打撃を集中させ、

可能な限り一撃で相手を倒すことが目標となります。

そのため顔面以外にも喉や金的(股間)・鳩尾(水月)といった急所を積極的に狙う必要があり、

これらの急所攻撃を躊躇わず使えるようにするため訓練することが必須となります。

また女性などフィジカル面で不利な部分を抱えているような人が身を守るためには、

相手を圧倒するための武装が必要不可欠となります。

普段持ち歩いているものや近くにあるもので武器になりそうなものは何でも手に取り、

・相手を簡単に近づかせない

・服や体の一部をつかませない

・一方的に攻撃されない

といった意識を持つことが生存率を上げることに繋がります。

使えるものは何でも使って、最後の最後まで抵抗し続けましょう。

 

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

スパーリングが自己防衛能力向上に結び付かない5つの理由

いつも心に1丁の猛獣用ソードオフを。どうもサイコ田中です。

護身術において対人訓練は欠かすことのできないものですが、

一般的なスパーリングは、あまり効果的ではないかもしれません。

何故スパーリングは、身を守ることに結び付かないのでしょうか。


格闘技と護身術の決定的な違い

護身術にまつわる記事では繰り返しお伝えしていますが、

そもそも護身術と競技格闘技(Combat Sports)の間には、決定的な差があります。

まず護身術が極限状態での生存を目的としているのに対し、

格闘技リング上(またはケージ・畳の上)という限られた環境下で、定められたルールに従い

体重差がほとんど無い対戦相手と闘うことのみを想定したものです。

リアルファイトの舞台はトイレ・バーカウンター・階段の踊り場など多岐にわたり

ルールなど無いため凶器の使用も想定しなくてはなりません。

また相手は自分よりも圧倒的にフィジカル面で上回る場合も多く、

服や体の一部を掴まれた時点で終わってしまう可能性さえあります。

また格闘技の試合では事前に対戦相手の情報を集めて準備をする時間が与えられるのに対し、

リアルファイトにそのような事前準備の時間は一切ありません。

トラブルになる相手のほとんどは見ず知らずの第三者であり、

格闘技などのバックボーンも、凶器を携行しているかどうかも知る術がなく、

防衛・反撃の全てがぶっつけ本番と言えます。

このように、格闘技と護身術には明確な差があり、

それぞれに長所・短所があることは確かですが、

あくまでも身を守ることを目的としているのであれば、

格闘技ではなく護身術を学ぶべきというのが、管理人個人の考えです。

(格闘技を学ぶことが、身を守ることに役立たないという意味ではありません)


普通のスパーリングが護身に役立たない5つの理由

ここからは一般的なスパーリングが身を守る上で効果的とは言えない理由について、

練習内容など5つの項目に分けてお伝えします。

防犯・護身に興味をお持ちの方で、

格闘技ジムなどに通われている方などはぜひ一度参考になさってください。

 

ルールを遵守することが前提になっている

当たり前と言えば当たり前ですが、普通のスパーリングは安全のため、

ルールに従って行うことが大前提となっています。

(中にはルールに従わない人もいますが)

確かに怪我を防ぐため、試合の形式に慣れるためなど様々な理由でルールは設定されていますが、

先述の通りリアルファイトには一切ルールなどありません。

リアルファイトで優先順位の高い攻撃手段である、

・頭突き

・肘打ち

・金的

などが軒並み制限され使えなくなってしまうと、

貴重な対人練習の時間にも関わらず全く実戦的ではない、ただの馴れ合いという印象が強まります。

ルールの無い状況下でのファイトを身に着けるために、

ルールを定めた条件下での対人練習を繰り返しても効果が無いのは自明と言うほかありません。

 

試合で勝つための戦略しか身につかない

例えばスパーでローキックを蹴るのがとても上手な人も、

試合ではない――目の前の相手を一発で倒さなければならない場面では、

実力を半分も出せないまま追い込まれてしまうでしょう。

ルールが決められた試合で勝つための戦略としてコンビネーションを磨いたり、

相手にプレッシャーをかけるテクニックを身に着けるのは大事なことですが、

極限状態で生き残るためにはまた違ったアプローチが必要です。

・ローキック(カーフキック)

・ボディ(リバーブロー)

・変則的な蹴り技

などは時間で区切られたラウンド制の試合においてのみ効果的なテクニックであり、

護身の目的には適していません。

スパーリングを通して試合で勝つための戦略やテクニックをどれだけ身に着けたところで、

ナイフを構えられたらどうすることも出来ないというのが現実です。

 

グローブなどの防具が無い状態をイメージしにくい

練習中の怪我を防ぐためにしっかりとプロテクターを身に着けることは重要ですが、

それらの防具類に甘えていると、身を守る能力が低下してしまうかもしれません。

まずリアルファイトにおいてはヘッドギアはおろか、

グローブやバンテージ、マウスピースなども装着する余地はありません。

(稀にマウスピースを持ち歩いているという酔狂な人物もいることは確かですが、

少数派には違いありません)

普段からそうした防具類があることを前提とした練習だけを繰り返してしまうと、

それらを全く身に着けない状態での動きには明確な差が出ます。

ベアナックル(素手)はグローブの半分から3分の1ほどの大きさしかないため、

普段のスパーリングでは通用するディフェンスも使えないことがほとんどです。

(普通の感覚でパンチをブロックしようとすると、相手の拳が手の間をすり抜けてしまいます)

またシンガードを着けない状態での蹴りも自爆のリスクが極めて高く、

よほど脛や足首周辺を鍛えてでもいない限り、本気の蹴りは使えないと考えたほうがいいでしょう。

ボクシングのスパーリングがどれだけ上手でも、バンテージやグローブの無い状態で相手を殴れば、

自身の拳や手首は無事では済みません。

 

相手との体格差や凶器攻撃などを想定していない

スパーリングは安全のため、実力や体格が近い相手と組む場合が多くなります。

怪我をしないため、そして互いの技術を磨くためにとても重要な「暗黙の了解」ですが、

現実のファイトを想定するならばあまりに甘すぎるというほかはありません。

基本的に人は自分よりも弱い相手にしか戦いを挑みません。

(「弱肉強食」は人間のみならずあらゆる動物について当てはまる原則です)

よってファイトの相手はいつも、自分より圧倒的に大きいか体力のある相手ということになり、

自分と同等かそれより弱い相手というのは、まずありえないと考えるべきです。

また言うまでもなく普通のスパーリングはヘッドギアやグローブを装着し、

一対一の状態で、パンチやキックのみを用いることが前提です。

路上のファイトではナイフを持っている危険人物を相手にする可能性もあれば、

その場にあるもの(落ちている酒瓶や傘など)を武器にする場合も珍しくはありません。

普段から体格差のあるファイトや武器攻撃を練習しなければ、

身を守る能力はいつまでたっても向上しないでしょう。

 

道着や動きやすい服装での練習

道着やジャージを身に着けての練習が普通には違いありませんが、

リアルファイトの現場であなたが身に着けているのは、道着でもジャージでもなく、

スーツなどの普段着に違いありません。

普段から道着やジャージを身に着けてのスパーリングが当たり前になっている場合、

動きにくい服装で本来のパフォーマンスを発揮するのは困難であり、

自己防衛能力は相対的に低下してしまうと考えられます。

極限状態での生存を想定して訓練するのであれば、

スパーリングはなるべくスーツなど日中自分が身に着けている普段着で行うのが好ましく

カバンや折り畳み傘といった持ち物を活かしたテクニックも併せて身に着けるのが理想的と言えるでしょう。

特に女性の場合、高いヒールなどを履いた状態でのアプローチを学ぶことは非常に重要です。


スパーリング(対人練習)が全てではない

確かに護身術とは対人技術であり、対人練習なくしては習得しえません。

しかし上に述べた通り、ただ漫然とスパーリングを繰り返すだけでは、

強くなるどころか弱くなってしまう可能性さえあります。

護身を目的としたスパーリング練習を行う場合は、

ルールを細かく定めない

タイムを設定しない(時間無制限で行う)

・なるべくオープンフィンガーグローブ着用で行う

・積極的に自分よりも身体の大きな相手と組む

・ラバーナイフなどを使い凶器攻撃を想定して行う

・可能な限り普段着に近い服装で取り組む

といった工夫が求められます。

特にオープンフィンガーグローブ着用での投げ・絞めありの総合ルールで行うのが理想であり、

互いがズボンの後ろやポケットにナイフなどの凶器を持った状態でスタートするのも効果的です。

またバーカウンターやトイレ、電車の車内など限られたスペースでのファイトを想定し、

積極的に狭い場所でのスパーリングに取り組むのも決して無駄ではありません。

対人練習が困難な場合は上に挙げたシチュエーションや現実的なシナリオを想定し、

一人で出来る動作を繰り返すという練習方法もあります。

ある程度はスパーリングを経験しなければ強くなれないことも確かですが、

スパーリングだけでも強くなることはできません。

様々な角度から効果的な訓練方法を探り、

安全かつ効率的に自己防衛能力を高めていく意識が大切です。

 

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

【護身術】パンチの練習で肩・腰を傷めないために知っておきたいこと【怪我予防】

いつも心に1切れのスモークタンを。どうもサイコ田中です。

運動習慣のあまり無い女性や中高年の方が護身術の練習を始める際に問題となるのが、

練習中の怪我や事故をどのようにして回避していくか、という点です。

若く健康的な方にとっても、スパーリングを通して致命的な怪我をするということは決して珍しくはなく、

不正なフォームでサンドバッグを叩くなどしても運動機能の障害が誘発されます。

今回は特に基本のパンチに絞ったうえで、肩や腰を傷めないために出来ることは何かについてお伝えします。


ウォームアップ・準備運動は入念に

冬場はもちろん夏場においても、

しっかりと体を温めてほぐしておくことは、怪我を防ぐうえで非常に重要です。

特に普段身体を動かす習慣のない方や、学生時代に部活動などでハードな運動経験のない方などは、

少しの動作で靭帯・関節を傷める可能性があり、注意が必要と言えます。

・首

・腰回り

・肩関節(肩甲骨など)

・ハムストリングス(太腿の裏側)

・アキレス腱

などを中心とし、歩くなどゆっくりとした動作で身体を温めて様子を見ながら、

最低でも15分はウォームアップと調整、ストレッチに充てるようにしたいものです。

激しいシャドーの前後や重いサンドバッグなどを叩く際には、

特に大きな負担のかかる肘や手首もしっかりと伸ばしておきましょう。

運動前後の準備運動については、「やりすぎる」ということはありません。

(明らかな痛みや違和感がある場合は、練習そのものを中止するという決断も必要です)


パンチで肩・腰を傷めないための5つのポイント

ここではパンチを練習する際に肩や腰を傷めないために知っておきたいことを、

フォームなど5つの項目に分けてお伝えします。

防犯・護身に興味をお持ちの方で、普段あまり身体を動かさない方や、

中高年の方はぜひ一度参考になさってください。

 

パンチを打つ際は力みすぎない

初心者の方に多い間違いとして、

パンチを打つ際に力が入りすぎている、といったケースは頻繁に見受けられます。

「強く打たなければ」という思いから肩や肘、背中などを過度に緊張させてしまうのは無理もありませんが、

パンチのような打撃テクニックを正しく安全に運用するためには、適度な脱力が必要です。

特にメジャーな間違いとして、

・拳を強く握りすぎている

・肩に力が入りすぎている

・腕が完全に伸び切っている

といったものが挙げられます。

拳を強く握りすぎるとパンチにキレがなくなるだけでなく、

疲労が溜まりやすく練習の質も下がってしまいます。

パンチを打つ際は当てる瞬間(インパクトの瞬間)に拳を強く握り込むよう意識し、

それ以外は卵か虫を捕まえているようなイメージで、ゆるく握っておくことが肝要です。

拳のみならず肩から背中にかけて力みが出たときも同様に動きが悪くなり、

肩や腰などを傷める原因にもなります。

出来るだけ脱力とリラックスを心がけ、身体に力が入っていると感じたときには、

一度ファイティングポーズを解いて深呼吸するなどしてリセットしましょう。

またパンチを打つ際には、肘が完全に伸び切ってしまわないよう注意しましょう。

 

肩を大きく内旋させない

ストレート系のパンチを打つ際に肩を大きく内旋させる、

いわゆるコークスクリュー型の打ち方は回避すべきです。

確かに肩を内旋させ拳を捻り込むようにすることで、

・肩で顎を保護する

・ナックルをより深く押し込める

・肘で相手のブロックを崩せる

などの恩恵が得られることは確かですが、

いわゆるローテーターカフ――インピンジメント症候群などに関連する肩の筋肉には、

想像以上の負担がかかるため、とても合理的とは言えません。

特に中高年以上の方ともなると四十肩・五十肩と言った腱板周辺の障害も顕著となり、

いよいよ肩周辺の故障リスクは無視できないものとなります。

肩を無理に内旋させるようなフォームは避け、

「下半身から力を伝えること」「打ち終わりに素早く基本姿勢に戻ること」などを意識し、

肩や腕に負担の少ない身体の使い方を身に着けていくイメージが大切です。

 

肩を肘より前に出して打たない

よくボクシングのフックなどは、

「肩が肘より先に出るように打ちなさい」と指導されますが、

肩に痛みを引き起こす原因になると考えられ、好ましくありません。

そもそも腕が肩の動きに連動し「後からついてくるように」打つ打ち方は、

肩をしっかりと鍛え上げたボクサーだからこそなせる業であり、

それ以外の、——格闘技経験などない一般人にとっては無理なフォームに違いありません。

(格闘技経験者でも、ボクシングのボディの打ち方は肩に大きな負担がかかるため慣れと調整が不可欠です)

肩を支点に腕だけを大きく振り回すような無理なフォームは避け、

腕・肩・腰がしっかりと連動した、タイトなフォームを意識しましょう。

またジムで先に述べたようなフォームでの指導を受けた際には、

きちんと自分から痛みや違和感がある旨を伝えることも必要です。

 

肩のインナーマッスルを鍛える

肩のインナーマッスルは、しっかり鍛えなければ衰える一方です。

特に中高年の方にとっては四十肩・五十肩の原因ともなる筋肉であり、

場合によっては上着を羽織るなどちょっとした動作が原因で生じる障害も想定されます。

・ゴムチューブやタオルを上下左右に引く

・軽いダンベル(1キロ前後)を持って腕を回す

・鉄棒などにぶら下がる

といったエクササイズを通して、日ごろから肩のインナーを鍛えることが怪我の予防に繋がります。

またインナーのみならず肩の大きな筋肉(三角筋)を鍛えることはもちろん、

背中や首回りの筋肉を鍛えることも、肩を支える上で重要となります。

肩周りの動きや強度に不安を感じたときは、ゆっくりインナーから鍛え始め、

徐々に肩周辺の大きな筋肉も鍛えるようにしていくといいでしょう。

オススメの種目はダンベルを使ったサイドレイズと、自体重を用いた懸垂運動です。

 

下半身・腹筋背筋を鍛える

格闘技経験のない方のほとんどが、

パンチを肩や腕など、上半身の力に頼って打とうとしがちです。

(ボディビルダーの方などが意外と強いパンチを打てないときがありますが、

この辺りの問題と関連しているように見受けられます)

パンチは下半身から力を伝え、腰・背中・肩などが連動し始めて機能するものです。

ですから上半身を一生懸命鍛えるというよりも、

下半身はもとより腹筋背筋を徹底的に鍛え上げることが、

結果的に練習中の怪我を減らしつつ、強いパンチを打つことに繋がってきます。

特にコアと呼ばれる体幹部の強さと安定性はパンチのみならずキックや組技体系とも深く関連しており、

鍛えられているかどうかが決定的な差になると言っても過言ではありません。

まずは1分間のプランク、そして50回前後の自重スクワットから始め、

肩や腕・腰などの負担を最小にしながら最大のパフォーマンスを発揮できる、

強い足腰を作っていきましょう。

ケトルベルを用いたトレーニングも、全身連動性を高めることができ非常に効果的です。


練習を続けることは大切だが……

仕事に勉強、どんな事についても当てはまることですが、

とにかく上達するには練習し続けるほかはありません。

最初は肩や腰・下半身などに違和感があっても、

練習を続けることで体に負担の少ない自然なフォームが身に付き、

いつの間にかどこにも不調を感じなくなっている、ということも珍しくありません。

特に肩などの筋肉は動かす機会を増やすことで負荷に慣れていき、

自動的にパンチなどの動作に適した筋肉が増えていくため怪我のリスクも相対的に減少していきます。

とは言え痛みや違和感を感じたままで練習を続けるのはやはり好ましくはありません。

明らかな痛みや違和感、関節の引っ掛かりや詰まり感を覚えているようなときには、

練習を自主的に中止し、早めに整形外科を受診することを強くお勧めします。

強くなるためのトレーニングで、怪我をして弱体化しているのでは笑えません。

自身の経験や体力に合わせた安全かつ効率的な練習メニューを消化し、

怪我無く・無理なく強くなっていきましょう。

 

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

【防犯】倒せる頭突きの使い方とコンビネーションの構成【護身】

いつも心に1頭の荒ぶるビーバーを。どうもサイコ田中です。

当ブログでは自己防衛において接近戦を制する強力な武器として、

積極的に頭突き(Head-butt)を紹介しています。

頭突きといってもただ単純に頭をぶつけるだけでは、自分が怪我をするリスクも免れません。

今回は相手を倒せる頭突きの安全かつ効果的な運用方法を、

簡単なコンビネーション・セットアップと共にお伝えします。


リアルファイトの8割は至近距離から始まる

わざわざ語るまでもないことですが、

リアルファイトの大半は息がかかるような超至近距離からスタートします。

特に銃の所持と携行が認められない日本国内においては、

ほぼ全てのシチュエーションにおいて徒手格闘が前提となり、

つかみ合いや罵りあい、互いの肩を手で突き飛ばすといったやり取りから展開することが多いと考えられます。

こうした近い距離では腕を伸ばし切る直線的なパンチや蹴りは使いにくく、

肘打ちや膝蹴り、頭突きといったオプションが好ましいと言えます。

護身術として積極的にパンチやキックを練習するのはとても大切なことですが、

より現実的な状況を想定するのであれば、

肘打ちなど至近距離から大ダメージを与えられるテクニックを優先すべきでしょう。


相手を倒せる頭突きの使い方とコンビネーション

ここでは相手を確実にフィニッシュするために知っておくべき頭突きの運用方法について、

比較的難易度が低いながらも効果的なコンビネーションと共にお伝えします。

防犯・護身に興味をお持ちの方はぜひ参考になさってください。

 

頭突きで自爆しないための3つのルール

最初に自分の頭突きで自爆(自分を傷付ける)しないためのルールを3つお伝えします。

 

ルール1:頭を振って反動をつけない

頭を後ろに引いたり大きく振って反動をつけるのは危険です。

隙が大きくなりカウンターをもらうリスクが高く、

肘などをぶつけられ大けがをする危険があります。

頭を大きく振るのではなく、身体ごとぶつかるイメージを持つようにしましょう。

 

ルール2:遠すぎる距離で使わない

相手と距離が開いている場面で頭突きを狙いに行くと、

パンチなどをカウンターのタイミングでもらってしまう恐れがあり、

完全な自滅行為になるため注意が必要です。

頭突きが使えるのはつかみ合いやクリンチの体勢など、

息がかかるほどの至近距離であり、それ以外ではパンチなどを使いましょう。

 

ルール3:自分より背が低い相手にはなるべく使わない

自分より背が低い相手にそのまま頭突きを入れようとすると、

額と額がぶつかりお互いがダメージを受けます。

基本的に頭突きを使う相手は身長が自分と同じかそれよりも高いことが望ましく、

背が低い相手には顔面を狙った肘打ち・膝蹴りなどを用いるよう心がけましょう。

 

頭は横に振る

頭突きというと、正面から相手の頭めがけて振り下ろすような形をイメージしがちですが、

これでは自分の鼻や額を強打して自爆する恐れがあり合理的とは言えません。

ぶつけたい場所に対して斜め・あるいは横向きに頭を振り、

額の中心ではなく外側にあるやや膨らんだ部位を当てるのが理想的です。

(眉毛の末端付近から前髪の生え際にかけてのラインをイメージするとわかりやすいかと思います)

 

下半身と腹筋を意識する

頭突きは頭を振って力いっぱいぶつけるというよりも、

下半身と腹筋を使い、身体ごとぶつかるようにして打つのが最も効果的です。

特に下から突き上げるようにして(伸びあがるようにして)打つ頭頂部を使った頭突きでは、

下半身全体の筋力が重要となり、

・スクワット

・カーフレイズ

といった種目が関連してきます。

また至近距離で身体ごとぶつかるようにする場合は腹筋から首にかけての筋肉をしっかり固め、

腰(足)から額にかけて一本の鈍器になったようなイメージを持つことが肝要です。

そのため首を鍛えることはもちろん、体幹を鍛えるトレーニングが重要になることは言うまでもありません。

 

首を鍛えるトレーニングメニューについては以下の記事で詳しく紹介しています。

↓ ↓ ↓

【器具なし】首を鍛える安全・簡単なトレーニング方法【宅トレ】

 

相手の体格別打ち分け・コンビネーション

背の低い相手には使いにくいと述べましたが、

体格別に適切なアプローチというのが存在します。

 

自分よりも背が高い相手に対して

相手が自分よりも身長が高いと一目でわかる(5~10センチ以上高い)場面では、

高さの関係上正面から頭突きを叩き込めば顎や鼻といった急所に直撃するため、

あまり難しいことは考えず頭を振りましょう。

相手に掴まれたり押さえつけられたりしている場面では、

一旦腰を落として頭を下げ、下から伸び上がるようにして打つ頭突きが最も効果的です。

(頭頂部から後頭部に近い部分を相手の顎や顔面にぶつけるイメージです)

 

自分よりも背が低い相手に対して

基本的に自爆のリスクがあるため背が低い相手に頭突きは使えませんが、

自分から腰を落として相手と同じかそれよりも低い目線になれば、

頭突きを決められるチャンスはあります。

特につかみ合いや組み合った体勢で膠着状態のとき、

相手の腰に手を回しながら素早く重心を下に移動させ、

小さく頭を振って頭突きを入れながら押し倒すのが簡単なテイクダウンの方法になります。

(倒し切れなかったとしても立て続けに頭をぶつけたり、肘打ちを入れるというオプションがあります)

 

相手の方が大きく力が強いとき

体格差が大きく圧倒されそうな場面では、

首筋に噛みついてから頭突きを入れるというコンビネーションが切り札になります。

噛みつきはリスクが多くお勧めできない攻撃方法ですが、

フィジカルの差が大きい場面で手段は選べません。

海外ドラマや映画でヴァンパイア(吸血鬼)がするように首に犬歯を突き立て、

相手との間に十分な距離が出来たら素早く頭を振って頭突きを入れましょう。

少々乱暴なアプローチですが、非力な女性にとっても有効なテクニックです。

 

自分の手に当ててしまう

トリッキーなテクニックとして、

自分の手にぶつけるという変わった手法もあります。

相手とつかみ合いになるなどして膠着した場面において、

相手の顔面を手で押さえつけて横を向かせるようにし、

その手もろとも頭突きを叩き込めば、一撃で相手を倒すのが困難でも、

意表を突く強烈な「嫌がらせ」としては十分に機能します。

迷ったときは難しく考えず両手で相手の顔を押さえつけ、

自分の手の上からでいいので、思いきり頭をぶつけてみましょう。

案外一発でノックアウトできるかもしれません。

(自分の手もそれなりにダメージを受けるので覚悟は必要です)


実は女性にこそ覚えてほしい頭突き

野蛮で暴力的なイメージが強く、とてもスマートとは言えない攻撃手段ですが、

女性にこそ知っておいてほしいのが頭突きという選択肢です。

残念ながら女性は男性よりも持っている「武器」が少なく、

いざという時身を守るためには、相手を圧倒するために凶器とも呼べるツールが必要になります。

(典型的なものは刃物や鈍器、銃器の類です)

手持ちの武器が少ない女性だからこそ相手の意表を突ける頭突きのようなオプションは効果的であり、

特に暴行被害に遭うといった切迫した場面では、相手との距離が近づいていることがほとんどと考えられ、

その効果は十分に保証されます。

ほとんどの女性が「自分の頭をぶつけるなんて……」と思われるかもしれませんが、

頭にこぶが出来たり小さな切り傷が残るくらいなら、「ただの怪我」で済みますよね。

心や体に一生消えない傷痕が残るのに比べれば、その方がよほど楽なはずです。

強い身の危険を感じたとき、経験が無い種類の不安や恐怖を感じたときには、

例え相手が家族や恋人でも、全力で抵抗しなければいけません。

そして身を守るための一つの手段として、自分の頭をぶつける技があることを知っておいてください。

 

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

 

全く意味が無いどころか逆効果になる「ガードの間違い」5選と直し方

いつも心に1匹の黄金カブトムシを。どうもサイコ田中です。

身を守るための基本となるディフェンス技術はガード(ブロック)に違いありませんが、

初心者の方のほとんどは間違ったまま覚えて運用している印象があります。

今回はガードとして効果が無いだけでなくむしろ逆効果になる、

よくある「ガードの間違い」とその修正方法についてお伝えします。


迷ったらとにかく頭を抱える

よくドラマや映画などで急に殴りかかられた人物が必死になって頭を抱える描写が見られます。

みっともなく弱弱しい印象ですが、身を守るためには合理的な対応と言えます。

基本的に頭部や顔面には人体の急所とされる部位が集中しており、

特に側頭部(こめかみ)、顎、後頭部などへの打撃は致命的で、

まともに殴られた場合は命を落とす危険性もあります。

これらの危険な急所をしっかりと保護するためにも、

「しっかりと顎を引き、両手で後頭部を覆うようにして頭を抱える」というのが、

誰にでもすぐできる安全なブロックの形です。

パンチをかわしたり格闘家のように受け流す・受け止める技術を知らなくとも、

迷ったらとにかく両手で頭を抱えるようにすると覚えているだけで、

緊迫した場面での生存率を少しでも高めることに繋がるでしょう。


よくあるガードの間違い5選と修正方法

ここでは初心者や格闘技経験のない素人の方がやってしまいがちなガードの間違いを、

姿勢など5つの項目に分けてお伝えします。

修正方法やいざという時のワイルドカードとも言えるテクニックも併せて紹介していますので、

老若男女を問わず身を守ることに興味をお持ちの方はぜひ参考になさってください。

 

きちんと顎を引けていない

致命的かつ頻繁に見受けられる間違いは、

ちゃんと顎を引けていない、というものです。

基本姿勢の段階での間違いであり、とくにパンチを受ける際においては危険なミスで、

相手のどんなパンチもKOパンチになってしまう恐れがあり注意が必要です。

しっかりと顎を引くことにより体幹安定性も向上し打たれてもふらつきにくくなり、

顎も簡単に揺れなくなるため頭部に受ける打撃によるダメージを軽減することに繋がります。

また顎を引くだけでなくやや猫背気味に背中を曲げることで、打撃に対する衝撃耐性はさらに向上します。

(ボクシングの試合などでかなり大きく前傾して構えている選手が見られますが、ガードを固めるうえでは合理的な体勢と言えます)

 

顎を引くことを癖づける簡単な方法は、

顎の下にテニスボールや丸めたタオルを挟んでシャドーボクシングをする、というものです。

顎が上がってくるとボールが落ちてしまうのでわかりやすく、

ボールを落ちないよう顎を強く引こうとするため、

自然に顎を引く形が身についていくというメカニズムになっています。

(プロのムエタイ選手ともなると、薄い紙きれのようなものを顎の下に挟んで姿勢を矯正されます)

 

ガードする手が顔から離れている

頻繁に見受けられる誤りの代表例として、

ガードの手が顔から大きく離れてしまっている、というものが挙げられます。

ガードする手が顔から離れてしまうと、相手の打撃を受けた腕がそのままの勢いで自分の頭にぶつかるため、

結果的にブロックとして機能していないどころか、むしろ逆効果になってしまう恐れさえあります。

(ガードしているつもりになっていながら、その実態は自分の手で自分を殴っているのと大差ありません)

ガードする際にはしっかりとブロックする腕やグローブを額に密着させ、

相手の打撃の勢いを少しでも吸収するイメージを持つことが肝要です。

 

この間違いを正す簡単な方法は、

しっかりと手で額に触れることを意識することです。

ガードの動作を確認する際に、しっかりと両手または片手が額や側頭部に触れる形を作ることで、

腕が宙ぶらりんになる間違ったフォームを修正することができます。

ガードの動作で自分の手が顔に触れない時は間違いだとすぐわかるのに加え、

ガードする手がずるずると下がってくることを防ぐ効果もあり一石二鳥です。

ブロックの形が上手く作れない初心者の方は、積極的に自分の顔に触れることから始めてみましょう。

(片方の手を顎にくっつけたままにする、両手を鼻の前から動かさないといった試みも効果的です)

 

ガードが高すぎてボディががら空き

ボクシングなどを始めたばかりの初心者の方によく見受けられる間違いとして、

ガードを上げることを意識しすぎるあまり、お腹周りががら空きになってしまうというものがあります。

ガードをしっかり上げて頭部を保護するイメージを持つことは大切なことですが、

胸や腹部への攻撃もきちんと防げなければ意味がありません。

ガードの体勢を作る際には、お腹や胸ががら空きになっていないか、

肘が外に開いたりしていないかを、鏡を見てチェックするようにしましょう。

 

ガードが上がりすぎる間違いを正す手っ取り早い方法は、

肘の高さを一定に保つ練習です。

ガードが高くなってしまう人に共通するのは、

前腕で顔面をカバーしようとして、肘が高く上がりすぎてしまっているというケースです。

よほど腕が短い人でもない限り、人体の構造上は肘が胸の前から首の高さにまで上がっていれば、

十分顔面から頭部全体をカバーでき、それ以上肘を高く上げる必要はありません。

肘打ちの練習をするような場面を除いては、肘を高く持ち上げるような構えは避け、

どんなに上げても首から顎の下までにとどまるよう意識することが大切です。

 

前後の体重配分が不適切

ディフェンスの際にふらふらしてしまうという方は、

前後の重量バランスが乱れているかもしれません。

後ろ足に体重がかかりすぎると腰が引けてしまい、

打撃をもらうたびに上半身が反って危険な体勢になってしまいます。

また逆に前に体重が乗りすぎていると、バックステップなどで距離を置く動作に遅れが生じ、

結果的に総合的なディフェンス能力が低下してしまうため好ましくありません。

前後の体重配分はなるべく50対50の形を意識し、

どんなに相手のプレッシャーが強くとも前60:後40前後のバランスを保てるイメージを持つことが重要です。

 

体重バランスを一定に保つためのドリルとして、

片足立ちチェックをおすすめします。

やり方はいたって簡単で、普通に構えの形を作ったら、

どちらか片方の足を地面から離して片足立ちになります。

バランスを取りやすい方と取りにくい方があると思いますので、

(どちらも特に問題なかった方はとても完成度の高い体幹をお持ちです。自信を持ちましょう)

バランスを取りにくい方の足で片足立ちのままパンチなどの動作を繰り返し、

前後の均整を取れるよう意識していきましょう。

片足立ちチェックの過程でパンチを打つ際の体重移動や、床を蹴る感覚なども掴めるかと思います。

 

ガードを固めすぎる

初心者の方がスパーリングの時間などに陥ってしまう好ましくない状況として、

ガードを固めたまま手が出なくなる、というものが挙げられます。

ガードをしっかりと固めて攻撃を防ぐのは大切ですが、

攻め手を欠いていてはただのサンドバッグとして殴られ続けるだけです。

消耗からガードが下がり致命的な打撃をもらうのは時間の問題であり、

このような状況に陥った場合は、

・何でもいいから手を出す

・クリンチに持ち込んで相手の動きを止める

・コーナーやロープ際から脱け出す

というイメージが重要になってきます。

セルフディフェンスにおいては、壁やフェンスに押し付けられた状態での連続した殴打や、

凶器を使った連続攻撃を受けている際などにも当てはまる考え方です。

 

ガードを固めて動けなくなる状況を回避するためには、

相手の打撃の切れ目を見つけて手を出すほかはありません。

どんなにアグレッシブ、テクニカルなファイターでも、

コンビネーションの組み立てには一定の規則と癖があります。

例えば頭を2回打ったらボディを挟んでアッパーにつなぐ、

ボディを強めに打ったら強いフックを打ってもう一度上下に散らす……など、

打たれながらでもその打撃にある種のルールがあることは見えてきます。

(ボコボコにされている最中は思考が止まってしまいがちですが、冷静になれば突破口は開けます)

打撃パターンがつかめてきたら、ブロックの合間に小さなジャブを返したり、

モーションの大きい技の前後でクリンチを試みたり、相手のリズムを崩すことが肝要です。


ハイガードで打撃戦を優位に

ハイガードなどと呼ばれる相手の顔の前に手を伸ばすようなガード型も有効と言えます。

特に自分の方が背が高くリーチを生かせる場面において有効なテクニックであり、

ハイガード自体の攻撃を防ぐ能力は決して高くありませんが、

顔の前に手を出されて視界を塞がれるというのは想像以上に不快であり、

アグレッシブで突進力のあるファイターを足止めするにはうってつけと言えます。

また総合格闘技の世界最大プロモーターであるUFCのコナー・マクレガー選手はこのハイガードを応用し、

相手の腕や肩に触れることで、攻撃の予備動作を察知しカウンターを合わせるという驚異的なテクニックを披露しています。

このようにハイガードは比較的簡単かつ安全に運用できるうえに、

状況によっては一方的に主導権を握れる強力なディフェンスとなっています。

もしも通常のガードやブロックでは心もとないと感じたときには、

ワイルドカードとしてハイガードを採用するのもありかもしれません。

 

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

 

【小ネタ】自制心と闘争心のバランスを保つ5つのテクニック【コラム】

いつも心に1本の砕石ハンマーを。どうもサイコ田中です。

自己防衛における重要なファクタの一つは言うまでもなく、

自身の内的欲求——衝動や強い感情の動きをどのように抑制するかという点に終始します。

アドレナリンは強い味方ですが、冷静さを欠いていては被害者ではなく加害者になる恐れがあり、

逆に恐怖心が強く表れてしまうと、反応・行動が遅れ対応力が低下してしまいます。

自制心や冷静さと、強い闘争本能——相容れない両者のバランスを取るために、

どのようなアプローチが考えられるでしょうか。


逃げたいときは逃げるのがベスト

あなたの本能が闘争ではなく逃走(逃避)を選択した際には、

迷わずその場から立ち去ること、ダッシュで逃亡することを強くお勧めします。

全ての人間には生まれつき危機回避に大きく関与する反応がインプットされており、

・黄色と黒のまだら模様を見ると危険を感じる

・暗闇に恐怖を感じる

・火や強い熱を回避しようとする

といったものがその典型例として挙げられます。

これらと同様に、目の前の第三者と何らかのトラブルになった場面でも、

あなたが直感的または本能的に「危険だ」「怖い」「どうしようもない」などと感じたときには、

そこから全力で逃げること、対象から遠ざかることを最優先に行動すべきです。

あなたの本能はあなたが思う以上に危険を知らせるバロメータとして機能します。

迷ったとき、少しでも不安や脅威を感じたときには、

いつでも逃げるという選択肢があることを覚えておきましょう。

(逃げられない場面では、残念ながら「やる」しかありません)


自制心と攻撃的感情のバランスを保つ5つのテクニック

自制心と闘争心は、その両者のバランスを取れた状態が理想的に違いありません。

(理性と本能がちょうど50対50のバランスになっていると考えてください)

こうしたアプローチは、恐怖心を克服することにも繋がっています。

ここでは理性と感情の均衡を保つためにどんなことができるか、

主にマインドセットの観点から5つ紹介したいと思います。

 

「冷静になれ」と言い聞かせる

古典的なやり方ですが、

自分自身に「大丈夫だ」「カッとするな」「キレたら負けだ」と言い聞かせるのは、

とても重要かつ効果的なアプローチです。

感情に押し流されて周りが見えなくなる時の最悪のパターンは、

一時の強い憤りや憎しみに任せて動き、正しい判断ができなくなるというものです。

これは護身術はもちろん格闘技などあらゆる対人競技にも当てはまる考え方であり、

極限状態(追い詰められた状態)でも普段通りの動きをするには、

なるべく自分自身の内面やイメージを、普段通りの形に近づけるほかはありません。

カッとなって周りが見えなくなりそうになった時には、

5秒から6秒(怒りのピークは大体5~6秒前後と言われています)、

「今の自分は普段通りか」「いつも通りの動きができるか」と自分自身に問い直しましょう。

普段から感情的になりやすい人、衝動的に行動してしまいがちな人にも大切な習慣と言えるでしょう。

 

自分にGOサインを出すルールを決める

管理人がセキュリティ時代に先輩方から指導されて採用していたアプローチは、

「やる」と決める――自分にGOサインを出すときのルールを決めるというものです。

例えば管理人自身の場合、

・相手に最低2回警告を与える(例:「お引き取りください」「これ以上は見過ごせません」etc)

・言葉、行為により攻撃を受ける(例:唾をかけられる、服を掴まれるetc)

・他のお客様またはスタッフが危害を加えられる

これらの条件のうちいずれか2つが満たされた時点で実力行使に移ると決めておくことで、

自然と迷いがなくなり、相手を差別することも無くなりました。

(以前は女性相手の場面で対応力が低下することを指摘されていました)

性格的に優しすぎる・真面目過ぎるなどして本気を出せない、いざという時手を出せない人はもちろん、

すぐにキレてしまい手が出やすい人にとっても効果的なアプローチです。

ぜひ自分の中で具体的にルールを設定し、迷いのない対応・行動を可能にしていきましょう。

 

ゲーム感覚でフラットな視点を保つ

管理人が学生時代から積極的に採用している心理面でのアプローチは、

ゲーム感覚で状況を見つめることで、なるべくフラットな目線を維持するというものです。

例えばRPG(ロールプレイングゲーム)では似たようなキャラクターが似たようなセリフを繰り返し、

時にあなたを励まし、時には恫喝するような場面もあるでしょう。

それと同じ規則性を現実にも当てはめ、あたかも目の前の人物をゲーム上のNPCであるかのように見つめることにより、

過度に感情を動かされたり、不安や恐怖を感じなくさせるというテクニックです。

このアプローチを効果的に運用するポイントは、

・相手を区別しないこと

・対応をパターン化しておくこと

・迷ったら逃げること

の3点です。

相手を区別しないことは性別や年齢を問わずフラットに対応するために不可欠なルールであり、

どんな人物と接するときも「村人A」「村人B」という単位で対応するということです。

(人間らしさが失われ単調なリアクションになりますが、家族や恋人以外にはそれぐらいが丁度いいでしょう)

対応をきちんと自分の中でパターン化しておくことで迷いがなくなり、その分不安も小さくなります。

(RPGにおける「戦う」「アイテムを使う」「逃げる」といった行動選択画面のように、

馬鹿にされたらこうやって切り返す、暴力を振るわれたらこうする、と大雑把に決めておくだけで十分です)

また迷ったらさっさと逃げてしまうのもゲーム的ではありますが、非常にスマートな対応と言えるでしょう。

 

感情を乱すものをなるべく遠ざける

当たり前のことですが、怒りなど負の感情を刺激されるようなものは、

自分から積極的に遠ざけるようにするのが肝要です。

例えば大声で話をする学生や女性が苦手という人は、

イライラしそうになっている自分を見つけたら、さっさと距離を置いてしまうのが無難です。

距離を置くのが困難な場合でも、音楽を聴いたりゲームに没頭するなどして、

なるべく気にしない、対象を視界に入れないといった工夫も重要です。

大切なことは、どんなときも感情をフラットに保ち、

冷静に周りを見ることのできる視点を持ち続けることです。

そのために障害となりうるものは、どんな手を使ってでも排除し遠ざけるというのが、

誰にでもすぐ実行できる生存戦略に相違ありません。

(暴力に訴えるなどそもそもあなた自身が加害者になるアプローチは許されません)

 

身体を鍛える・実戦的な技術を習得する

自信が無い人・もともと不安の強い人が自我を保つのは容易ではありません。

適度に身体を鍛え、実戦的なテクニックを吸収しておくことにより、

些細なことでは動じない自信が身に付き、それらは普段の言動にも変化をもたらします。

もともと身体が小さいことにコンプレックスを抱いている人はもちろん、

太りすぎでだらしない体型を気にしている人も、適度に絞ることで考え方、

世界の見え方が変わってきます。

誰かに絡まれたときも、「怖い」とか「どうしよう……」という負の感情を先行させるのと、

「かかってこい」「やってみろ」というマインドセットを持っているのとでは、その先の展開に決定的な差が生じます。

簡単に屈しない、負けない理由を自分で自分に与えることは、

決して無駄にはなりません。

自己満足でもなんでもいいので、ある程度身体は鍛えておきましょう。

(不安や恐れを拭うためにナイフなどの凶器を携行するのは大きな間違いです。気をつけましょう)


「怒りが人を強くする」という間違い

よく格闘技を扱うドラマや漫画では、

「怒りが人を強くする」という考え方や表現が見られますが、

こうしたイメージは根本的に間違っているので注意が必要です。

基本的に感情が人を瞬間的に強化するということはなく、

アドレナリンやエンドルフィンといった脳内物質が身体能力に影響を与えるだけです。

したがってあなたがブチ切れていても、平静な状況でも、

殴られたら痛いに決まっていますし、普段以上の力が出るということはあり得ません。

(アドレナリンが過剰に分泌されている場面では、痛みが緩和される可能性はあります)

「火事場の馬鹿力」などというすごい力が発揮されるためには、脳内物質の分泌と増幅が必要不可欠であり、

これらは目の前の状況(例:家が燃えている、子供が危険に晒されている)にのみ依存するもので、

個人の感情の動きや衝動とは関連がありません。

筋トレの最中もちょっとキレ気味ぐらいのときが力が出るような気がしますが、

本当に最大限のパワーが発揮されるのは冷静なとき、頭の中がクリアな時です。

アドレナリンの奔流と強い感情の変化を混同せず、

常にフラットな視点と冷静な判断・行動ができるよう心がけましょう。

こうした考え方は、誰かに殴られているときも、誰かを殴るときも共通しています。

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

【器具なし】自重トレーニングで痩せるための3つのポイント【宅トレ】

いつも心に1切れのマルゲリータを。どうもサイコ田中です。

新型コロナウイルスの蔓延により大荒れの2020年ですが、

今年も夏本番を前にボディメイクの追い込みに入った方は少なくないと思います。

今回はジム通いが困難な方やウェイトを扱うことに抵抗をお持ちの方に向けて、

自重を使ったトレーニングで脂肪燃焼させる際のポイントについてお伝えしたいと思います。


歩く・走るだけが有酸素運動ではない?

脂肪を燃焼させるのに最も効果的なのは有酸素運動に違いありませんが、

有酸素運動というとウォーキングや軽いジョギングなど、

歩く・走るといった運動ばかりが想起されがちです。

実は有酸素運動といってもアプローチは様々で、

・心拍数を高めるもの

・呼吸のリズムが激しく変化するもの

・単純に発汗を促すもの

など多岐にわたり、歩く・走るといった動作はそれらのごく一部でしかありません。

長雨で外を歩いたり走ったりできない、ジムに通うのも困難といった状況でも、

効率的な有酸素運動が行えるよう、トレーニング種目の選択肢はなるべく多く確保しておきたいものです。

歩く・走る以外の脂肪燃焼に効果的な運動には、どのような種目が考えられるでしょうか。


自重トレで痩せるための3つのポイントと効果的な種目

ここからは歩く・走る以外の脂肪燃焼運動として自重トレーニングを用いる際のポイントを、

具体的なトレーニング種目と併せて3つお伝えしたいと思います。

ここで紹介するトレーニングに特別な器具は必要ありません。

夏本番に向けてダイエットしたいという女性はもちろん、

鍛えながらしっかり絞りたいという男性の方もぜひ参考になさってください。

 

時間で区切る(回数・セット数を設定しない)

自重トレーニングで脂肪燃焼を狙う際は、

回数やセット数を決めず、時間ごとに区切って行うのが手っ取り早く効果的です。

例えば腕立て伏せを12回×3セットとして行うのではなく、

25秒から30秒間、呼吸を意識してなるべくペースを保って行うことにより、

筋肉に効かせるというより、心拍数を上げることに効果的な運動に変化させることができます。

時間で区切るため後半は苦しくなり、フォームの乱れも出てくるかもしれませんが、

・途中で休憩しないこと

・どんな形でも続けること

・インターバルをなるべく短くすること

などを意識することで有酸素運動としての脂肪燃焼効果は十分に期待できます。

怪我に注意しながら、自分の限界に挑戦してみましょう。

インターバルは運動と同じかそれよりも短くなるように設定するのが最も効果的です。

(25秒間スクワットを続けた場合、インターバルは25秒以下が好ましいということです)

 

ペースを上げる(動作を速くする)

通常の自重トレーニングを有酸素運動に変える最も簡単な方法は、

シンプルにペースを上げて行うというものです。

腕立伏せにせよスクワットにせよ、

なるべく上下運動のテンポを上げ、身体に休む暇を与えないよう意識することにより、

一気に高負荷の全身運動へと変貌します。

(逆にペースを限界まで落としてゆっくりと行うことで、しっかりと筋肉に効かせることが可能となります)

特にマウンテンクライマー,バイシクルクランチなど腹筋を追い込む種目では、

ペースを限界まで高めて行うことで、腹筋を追い込むのと同時にお腹周りの脂肪を燃やすことができるため、

短期間でシックスパックを手に入れることに繋がるでしょう。

ハイペースの自重トレーニングに取り組む際は怪我に十分注意し、

集合住宅などにお住いの場合は、お隣や階下にお住まいの方に配慮して行うようにしてください。

マウンテンクライマーの例。ハイペースを意識して行うことがポイントです。

 

ジャンプの動作を増やす

小さく飛び跳ねるような動作は、非常に地味ながら心拍数を上げることに関与しており、

回数を重ねることで半自動的に有酸素運動としての側面を持つようになります。

例えばスクワットを行う際も、ただ漫然と上下運動を繰り返すのではなく

立ち上がる際に床を蹴って飛び上がるイメージを持ち、小さくホップするだけで負荷が急激に高まります。

特にジャンピングジャック,バーピーなど最初からジャンプの動作を含む種目は非常に効果的であり、

ジャンピングスクワット、ジャンピングランジなども同様の効果が期待できます。

(体力に自信のある方は腕立て伏せで地面から飛びあがるエクスプルーシブ・プッシュアップや、

スーパーマン・プッシュアップに挑戦しても良いでしょう)

バーピーの例。体力に自信のある方は腕立て伏せを組み合わせても良いでしょう。


筋トレ+有酸素運動で効率的に脂肪燃焼

カタボリック状態に陥ることが懸念されるなど諸説ありますが、

筋トレ直後に30分前後の有酸素運動を行うと、脂肪燃焼効率が高まるとされています。

特にゆったりとしたウォーキングやジョギング、縄跳びなどの運動は全身の筋肉をほぐし、

疲労を回復させることにも繋がるため一石二鳥と言えます。

効率的・健康的なボディメイクを習慣化するためにも、

時間に余裕のある方は筋トレのメニューを消化するだけでなく、

直後に軽い有酸素運動を取り入れられてはいかがでしょうか。

 

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました。